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掲載日:2020年11月10日
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林業支援担当
寄居林業事務所では、林業普及指導、林業経営の支援を行っています。
皆さんが所有されている山林で、間伐などの手入れができず、木が混みすぎて真っ暗な林になっているところはないでしょうか?
今は木材価格が安く、間伐をしても間伐材の販売価格より木を出すコストのほうが高くなり赤字になってしまうことが多いため、なかなか山の手入れができないのが現状です。
ところが、赤字にならない間伐のやり方があり、実際にそのやり方を実践している地域もあります。下の2つの表は間伐した木材を市場に搬出し、販売した実例です。赤字でないどころか所有者が収入を得ています。
箇所 |
神川町大字渡瀬地内 |
---|---|
樹種 |
スギ、ヒノキ |
林齢 |
45年生 |
間伐面積 |
1.06ヘクタール |
販売丸太材積 |
72.53立方メートル |
森林所有者の収入 |
527,751円 |
箇所 |
神川町大字矢納地内 |
---|---|
樹種 |
スギ |
林齢 |
43年生 |
間伐面積 |
3.77ヘクタール |
販売丸太材積 |
372.58立方メートル |
森林所有者の収入 |
127,384円 |
では、この2箇所はなぜ黒字なのでしょうか。2箇所の共通点は森林内に「道」が通っていることです。この「道」はもともと通っていたわけではなく、間伐し、その後も森林を管理するために作ったものです。このような「道」を「作業道」と呼んでいます。
この作業道が森林内に通っていれば、伐倒した木を森林内から効率よく運び出すことができる高性能林業機械を森林内に入れることができます。そうすると間伐した木を容易に運び出すことができ、コストを安くすることができるのです。
しかし、この作業道はまとまった森林内を効率よく通さなければ、かえって作業道を作るコストが嵩んでしまい木を出すコストも安くできません。したがって1人の所有者の森林だけに作業道を通すのではなく、隣接する複数の所有者の森林内に通すことが必要になってきます。
このように隣接する複数の所有者の森林をとりまとめ(このことを森林の団地化といいます。)、共同で作業道を通し、間伐を行い、間伐材を販売するまでの一連の仕事を調整してとりまとめ、実行する組織が必要です。
当事務所管内には、森林所有者さんの協同組合である埼玉県中央部森林組合が活動しています。組合では、森林所有者の収入を増やすため、森林の団地化・作業道の開設・高性能林業機械による搬出間伐を実施しています。
皆さんが所有されている山林で、間伐が必要な箇所があれば森林組合又は寄居林業事務所にご相談ください。近隣の森林と団地化し、先の例のとおり間伐で収入を得られるように支援いたします。
スイングヤーダによる集材作業 |
作業道と高性能林業機械 |
保安林と税金の減免
保安林とは、水源かん養や土砂災害防止のために、国や県が指定する森林のことです。事の始まりは幕末から明治時代にさかのぼりますが、産業の発展にともなって多くの森林が伐り出され、ハゲ山となったのが原因で水不足や土砂災害が増えたことから、これを防止するために明治30年に保安林制度が定められました。
保安林に指定されると、木を伐採や※1、道の作設などには許可が必要となるため、所有者の権利が制限されますが、そのかわり税金が減免されます。具体的には固定資産税・不動産取得税・特別土地保有税が免除になります。また相続税・贈与税についても収穫時の伐採方法によって林地及び立木評価額の控除を受けることができます。伐採方法は保安林に指定するとき定めます。全部伐る場合(皆伐)は30パーセント、抜き伐りの場合(択伐)は50パーセント、全く伐らない場合(禁伐)は80パーセントの控除となります。
※1間伐・択伐の場合は届出書のみの提出です。また、下刈り・除伐・枝払・枯死木除去については許可を受ける必要はありません。
森林経営(施業)計画と税金の減免
森林経営(施業)計画・耳慣れない言葉かもしれません。
埼玉県内の森林所有者は、1ヘクタール以下の小面積所有者がほとんどです。このことが木材の生産に大きなブレーキとなっています。なぜなら木を売って黒字にするためには、量をまとめて売らなければならないからです。およその目安ですが、現在の伐出方法では、皆伐で黒字にするためには3ヘクタール以上、間伐では10ヘクタール以上のまとまった面積が必要です。
この問題を解決するために、所有者が集まって森林を団地化し、共同で木を伐ったり、道をつけたり、手入れをすることが考えられます。この取り決めをつくって、市町村長に認定してもらう仕組みが森林経営(施業)計画制度です。計画の作成は地域の森林組合が支援しています。
計画が認定された森林の一部では、相続税の林地及び立木評価額が公益的機能別区分に応じた施業方法の種類によって20パーセントまたは40パーセント控除されます。この区分及び施業方法は、お住まいの市町村ごとで作成している「市町村森林整備計画」で定められています。
そのほかにも、伐採や譲渡によって収入があった場合、必要経費等を除いた残額の20パーセントを控除できます。
また税金の減免のほかに、間伐をはじめとする造林補助金(森林管理・環境保全直接支払制度)による支援についても計画認定森林所有者が対象となり、費用負担を減らして手入れを効率的にすすめることができます。
間伐には補助制度があります!所有者が森林組合に間伐を頼んで実施した場合、補助金がでますので、皆さんの負担が少なくなります。「山の手入れはしたいけど、お金がない。人手がない。」「せっかく間伐するなら、材を出していくらかでもお金にしたい。」という方は、寄居林業事務所、または、お近くの森林組合へご相談ください。
※埼玉県中央部森林組合
電話0493-72-1125
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