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掲載日:2024年4月2日

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答申第151号 「埼玉県情報公開懇話会(2000年3月)に盛り込まれていた提言が、なぜ新しい情報公開条例案(同年12月)に反映されなかったのか、その経緯の詳細が分かるもの。」の開示決定(平成22年3月19日)

答申第151号(諮問第197号)

答申

1 審査会の結論

埼玉県知事(以下「実施機関」という。)に対し平成21年11月5日付けでされた、「埼玉県情報公開懇話会「行政情報公開制度のよりふさわしい在り方について~提言~」(2000年3月)に盛り込まれていた「本県独自の制度である監察委員制度(情報公開オンブズパーソン制度)を継続する」との提言が、なぜ新しい情報公開条例案(同年12月)に反映されなかったのか、その経緯の詳細が分かるもの。」の開示請求については、下記の文書を新たに特定して、開示等の決定をすべきである。

平成12年度情報公開条例改正「部長手持想定問答」(以下「想定問答」という。)の8ページ「救済機関を情報公開監察委員制度から情報公開審査会制度に改めた理由は何か。」

2 異議申立て及び審議の経緯

(1) 本件異議申立人(以下「申立人」という。)は、平成21年11月5日付けで、埼玉県情報公開条例(以下「条例」という。)第7条の規定に基づき、実施機関に対し、「埼玉県情報公開懇話会「行政情報公開制度のよりふさわしい在り方について~提言~」(2000年3月)に盛り込まれていた「本県独自の制度である監察委員制度(情報公開オンブズパーソン制度)を継続する」との提言が、なぜ新しい情報公開条例案(同年12月)に反映されなかったのか、その経緯の詳細が分かるもの。」についての公文書の開示請求(以下「本件請求」という。)を行った。

(2) これに対し実施機関は、本件請求に係る公文書として「行政情報公開制度のよりふさわしい在り方について提言(平成12年3月28日)」(以下「対象文書1」という。)及び「埼玉県情報公開条例について(平成12年11月13日決裁)(以下「対象文書2」といい、対象文書1と2を併せて「本件対象文書」という。)を特定し、平成21年11月16日付けで開示決定(以下「本件処分」という。)を行い、その旨を申立人に通知した。

(3) 申立人は、平成21年11月20日付けの異議申立書により、公文書の特定を誤っているため本件処分を変更すべきであるとして、異議申立て(以下「本件異議申立て」という。)を行った。

(4) 当審査会は、本件異議申立てについて、平成21年11月25日に実施機関から条例第22条の規定に基づく諮問を受けた。

(5) 当審査会は、実施機関から、平成21年12月7日に開示決定等理由説明書の提出を受けた。

(6) 当審査会は、申立人から平成22年1月22日に反論書の提出を受けた。

(7) 当審査会は、平成22年1月25日に実施機関から意見聴取を行った。

(8) 当審査会は、平成22年2月25日に申立人の口頭意見陳述を行った。

3 申立人の主張の要旨

申立人が主張している内容は、おおむね次のとおりである。

(1) 本件処分は、公文書の特定を誤っているため、事実上の公文書不開示決定処分である。

(2) 県の情報公開制度における救済機関の制度設計について監察委員方式が提言されていたにもかかわらず、条例案では審査会方式が提案されたのだから、普通に考えるならば、条例案の議会提出までの間に両方式のメリット・デメリット等が詳しく比較検討されたであろうし、その結果として監察委員方式を採用しなかった理由及び審査会方式を採用した理由について記載された文書が当然に作成されたはずである。

(3) 監察委員制度は、都道府県のうち埼玉県にのみ導入された独自の救済機関であった重要性を踏まえるならば、なおさら公文書の存在が強く推認できる。メモを含めた文書の探索や、平成12年12月議会総務常任委員会等の「想定質問」の確認などの努力をすれば、発見できる可能性があるはずである。

(4) 知事は、条例の当初案(平成12年12月議会提出)の立案過程のうち、救済制度に関する部分を検証し、その結果を申立人に情報提供してほしい。

(5) 現在の情報公開制度の運営は、職員本位である。これを、県民本位の開放型の運営にし、情報公開制度を自治型・参加型の制度に発展させていくためには、異議申立てのみならず、県民の意見を聴く場としての第三者機関が必要である。過去の監察委員制度は、公文書の開示不開示の決定に係る判断のみならず、制度の運用に関する苦情や制度自体への意見等にも対応するものであった。審査会方式になったことにより、制度上、県民が制度運営における意見を表明する機会がなくなったため、県民の要望や意見を申し出る場が欲しい。過去の成果を生かして、新しい時代に対応した情報公開オンブズパーソン制度を研究してほしい。

4 実施機関の主張の要旨

実施機関が主張している内容は、おおむね次のとおりである。

(1) 該当する公文書が作成されたと推測される平成11年度及び平成12年度について公文書の探索を行った。当該年度に作成した公文書で現存すると考えられるものは、第1種(保存期間11年以上)及び第2種(保存期間10年)の公文書であり、これらの公文書の保存は、ファイル基準表に基づき、文書課の書庫又は執務室のファイリングキャビネット内で行われる。そこで、まず、これらが文書課の書庫に存在しないか確認した。公文書は、作成した年度及びその翌年度は執務室のファイリングキャビネットに保存し、その後、文書課長に引き継いで文書課の書庫に保存する。そのため、平成13年度及び平成14年度の、文書引継ぎに係る文書課長あての通知文書を確認したところ、引き継いだ文書の中に第1種及び第2種文書は存在しなかった。よって、平成11年度及び平成12年度の公文書で、文書課の書庫に保存されているものは存在しないことが確認された。

(2) 次に、同様の公文書が県政情報センターの執務室内に保存されていないか探索したところ、資料を収納しているロッカー内に対象文書1が、また、ファイリングキャビネットの第1ガイド「制度改正」・第2ガイド「例規」・個別フォルダー「条例」内に対象文書2が存在することを確認した。
なお、平成11年度及び平成12年度の文書管理台帳は保存期間が3年であったことから既に廃棄されているため、今回の探索において使用することはできず、該当する公文書の作成の有無について確認することはできなかった。
以上のことから、上記2文書のほかには開示請求の対象となる公文書は存在しないと判断し、公文書の特定をした上で、開示決定を行ったものである。

(3) 申立人の主張を受け、平成12年12月議会の想定質問の探索を行ったところ、職員が個人所有している文書を保管しているロッカー内に、想定問答が保管されていた。この8ページ目に「救済機関を情報公開監察委員制度から情報公開審査会制度に改めた理由は何か」という標題の文書があり、その理由として

  1. すべての実施機関に対する救済機関とすること。
  2. 判断の慎重性・客観性・公平性を確保する上からも合議制が望ましいこと。
  3. 本県以外の都道府県はすべて附属機関を救済機関としていること。

と記載されていた。しかし、当該文書が申立人の求めている「提言が条例案に反映されなかった経緯の詳細が分かるもの」に相当することについては疑問がある。なお、その内容について情報提供することは可能である。

5 審査会の判断

(1) 埼玉県行政情報公開制度懇話会(以下「懇話会」という。)について

懇話会は、埼玉県行政情報公開条例(昭和57年条例第67号。以下「旧条例」という。)の見直しを行うために、行政情報公開制度のよりふさわしい在り方について専門的な視野から検討し、その結果を知事に提言することを目的として設置された。知事が委嘱した学識経験者8名によって構成され、任期は平成11年6月22日から平成12年3月31日であった。この間に、県民広聴集会を含む計7回の審議を行い、平成12年3月28日、知事に提言を行った。

(2) 情報公開監察委員(以下「監察委員」という。)と情報公開審査会(以下「審査会」という。)について

監察委員は、旧条例第13条に規定する救済機関として旧条例施行規則第4条により置かれた非常勤の特別職(地方公務員法第3条第3項第3号)である。その職務は、「1 非公開決定等について請求者から申立てがあった際に、実施機関に対して是正その他の措置をとるように勧告すること。2 行政情報の公開に関する相談等に応じ、実施機関に対して助言をすること。3 上記1,2の職務を遂行するために必要な調査を行い、実施機関の職員に対して報告や説明を求めること。」であり、職務の執行等に係る事項は埼玉県情報公開監察委員職務規程(昭和58年告示第476号)に規定されている。5名の監察委員それぞれが独立して職務を行うことから、簡易迅速な判断ができる本県独自の制度として、旧条例施行当初(昭和58年6月1日)から平成13年3月31日まで存在した。なお、職務執行の方針・計画等を決定するときは監察委員の合議により処理を行った。
審査会は、執行機関の附属機関に関する条例(昭和28年条例第17号)により設置する知事の附属機関であり、条例第25条の規定に基づき、実施機関又は埼玉県議会議長から諮問のあった不服申立てに係る事件について調査審議し、答申を行う。新条例施行当初(平成13年4月1日)から現在まで、委員の合議体で調査審議を行い、職務を遂行している。

(3) 本件請求について

懇話会が行政情報公開制度のよりふさわしい在り方として知事に行った提言には、「本県独自の制度である監察委員制度を継続する。今後もこの制度の特色を生かし、簡易迅速性をもって、その機能が十分発揮できるように努める。」と記載されている。しかし、その後議会に提出された条例においては監察委員制度が継続されず、審査会が設置された。そのため、申立人は、当該提言内容が条例に反映されなかった経緯が分かるものを開示請求している。

(4) 本件処分について

実施機関は、上記4(1)及び(2)のとおり公文書の探索を行い、本件対象文書を特定した上で開示決定を行った。対象文書1は懇話会の提言そのものであり、対象文書2は条例案を議会に提出してよいか伺う起案文書で、起案理由、主な改正点、条例案、旧条例と条例案の対照表等が記載されている。
申立人は、本件処分を事実上の公文書不開示決定処分である旨主張しているが、このことについて実施機関は、本件対象文書はいずれも、申立人が開示請求書に記載する「提言が新しい情報公開条例案(同年12月)に反映されなかった」ことを事実として証する公文書であり、開示請求の対象であると判断した、と説明している。さらに、申立人の求める「提言が条例案に反映されなかった経緯の詳細が分かるもの」が直接記載された公文書については、当時の文書管理台帳が廃棄されていることから、そもそもそのような文書が作成されたか否かも確認ができないものであるため、本件対象文書を特定し、開示決定したとのことである。
そこで当審査会は、本件処分に際して行った公文書の探索方法について実施機関から説明を受け、本件対象文書以外の公文書の存否を確認した。本件請求の対象となる公文書が作成されたと推定される平成11年度及び12年度のファイル基準表を確認したところ、文書管理台帳は3年、県議会関連の個別フォルダーはすべて1年の保存年限であり、ファイル基準表に定める文書保存年限から判断する限り、実施機関の説明に不自然・不合理な点はなかった。
さらに、申立人が探索を主張する「メモや平成12年12月議会総務常任委員会等の想定質問」等の存否を確認したところ、想定問答が存在するとのことであったため、当該文書が本件請求の対象であるかを検討した。当審査会で当該想定問答を確認したところ、8ページ目に、救済機関を情報公開監察委員制度から情報公開審査会制度に改めた理由が記載された文書があった。当該文書は、条例案が作成された後にその説明資料として作成されたものではあるが、広くとらえれば請求の趣旨に合致するものであり、実施機関においては、当該文書を新たに特定して開示等の決定をすることが妥当であると考える。
なお、申立人のその余の主張は、審査会の結論に影響を与えるものではない。

以上のことから、「1 審査会の結論」のとおり判断する。

(答申に関与した委員の氏名)
管野 悦子、野口 貴公美、松村 雅生

審議の経過

年月日

内容

平成21年11月25日

諮問を受ける(諮問第197号)

平成21年12月7日

実施機関から開示決定等理由説明書を受理

平成22年1月22日

申立人から反論書を受理

平成22年1月25日

実施機関から説明及び審議(第一部会第49回審査会)

平成22年2月25日

申立人の口頭意見陳述及び審議(第一部会第50回審査会)

平成22年3月19日

答申(答申第151号)

お問い合わせ

総務部 文書課 情報公開・個人情報保護担当

郵便番号330-9301 埼玉県さいたま市浦和区高砂三丁目15番1号 埼玉県衛生会館1階

ファックス:048-830-4721

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