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掲載日:2021年3月30日

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答申第146号 「埼玉県監査委員が引き受けた事務引継書」の不開示決定(平成21年10月20日)

答申第146号(諮問第183号)

答申

1 審査会の結論

埼玉県監査委員(以下「実施機関」という。)が平成20年11月27日付けで行った、「事務引継書(引受者:○○○○監査委員 分)(引受者:○○○○監査委員 分)」について、これを保有していないとして不開示(不存在)とした決定(以下「本件処分」という。)は、妥当である。

2 異議申立て及び審議の経緯

(1) 本件異議申立人(以下「申立人」という。)は、平成20年11月13日付けで、埼玉県情報公開条例(以下「条例」という。)第7条の規定に基づき、実施機関に対し、「次の監査委員が引き受けた事務引継書 1○○○○議員・○○○○議員(○○○○年○月○日就任)2○○○○3○○○○(識見・非常勤・○○○○年○月○日就任)」についての公文書の開示請求(以下「本件開示請求」という。)を行った。

(2) これに対し実施機関は、平成20年11月27日付けで、「事務引継書(引受者:○○○○監査委員 分)(引受者:○○○○監査委員 分)」(以下まとめて「本件事務引継書」という。)について、これを保有していないとして不開示(不存在)の決定を行い、申立人に通知した。

(3) 申立人は、平成20年12月9日付けで、実施機関に対し、本件処分の変更を求めて異議申立て(以下「本件異議申立て」という。)を行った。

(4) 当審査会は、本件異議申立てについて、平成21年2月4日に実施機関から条例第22条の規定に基づく諮問を受けた。

(5) 当審査会は、実施機関から、平成21年3月13日に開示決定等理由説明書の提出を受けた。

(6) 当審査会は、平成21年5月15日に実施機関の職員から意見聴取を行った。

(7) 当審査会は、平成21年6月16日に申立人の口頭意見陳述を行った。

3 申立人の主張の要旨

申立人が主張している内容は、おおむね次のとおりである。

(1) 平成20年11月27日付けの公文書不開示決定処分を変更せよ。

(2) 監査委員事務引継書の文書管理を適正に行え。

(3) ○○○○委員が引受けた事務引継書の保存期間は「11年以上」、保管上の取扱いは「現年度扱い」となっている(私の手元のコピー。2000年1月7日に監査事務局より交付されたもの)。本件文書について、よく探せば必ず発見できるはずだ。

4 実施機関の主張の要旨

実施機関が主張している内容は、おおむね次のとおりである。

(1)不開示とした理由について

監査事務局における文書管理は、「埼玉県監査事務局の職員の勤務時間及び服務、文書管理等に関する規程」第4条第2項により、「文書に関し必要な事項は、埼玉県文書管理規則、埼玉県文書管理規程及び埼玉県公文例規程の例による。」とされている。これに基づいて、ファイル基準表、文書管理台帳、文書保存(引継)台帳が作成され、文書の件名や保存期間等あるいは文書が引き継がれた状況が記録される。
○○○○監査委員が引受けた事務引継書は平成9年度に作成された文書であるが、平成9年度のファイル基準表及び文書管理台帳は、埼玉県文書規程第37条により保存年限が3年とされていることから、平成13年3月31日に廃棄されており、当該引継書の存在は確認できなかった。
○○○○監査委員が引受けた事務引継書は、平成7年度に作成された文書であるが、平成7年度のファイル基準表及び文書管理台帳は、同様に平成11年3月31日に廃棄されており、当該引継書の存在は確認できなかった。
また、両事務引継書とも、文書保存(引継)台帳に記載がなく、完結後文書課に引き継がれていないと考えられたため、監査事務局執務室を調査したが、不存在だった。
さらに、文書課の文庫及び文書館も調査したが、不存在だった。
以上により本件事務引継書の存在が確認できないことから不開示とした。

(2)申立人の主張について

申立人は、○○○○委員が引受けた事務引継書の保存期間は「11年以上」、保管上の取扱いは「現年度扱い」となっている(申立人は、平成12年1月7日に監査事務局から交付された事務引継書のコピーを持っている)。本件文書について、よく探せば必ず発見できるはずだとする。
しかし、再度、監査事務局執務室内、文書課の文庫、文書館を調査したが、当該引継書の存在を確認できなかったことから、不開示決定は妥当と判断する。

5 審査会の判断

(1)監査委員の事務引継書の作成について

監査委員の事務引継ぎは、地方自治法第201条で準用する同法第159条並びに地方自治法施行令第123条及び第124条に規定されており、前任者はその担任する事務を引き継がなければならず、書類等を調整しなければならないとされている。
○○○○監査委員は平成○年○月○日に、○○○○監査委員は平成○年○月○○日に就任したことから、このときに前任者により事務引継書が作成されたと考えられる。

(2)文書の保存について

平成8、9年当時における監査事務局の文書管理については、「埼玉県監査事務局の職員の勤務時間及び服務、文書管理等に関する規程(昭和58年3月31日改正のもの)」第4条第2項により、「文書に関し、必要な事項は、埼玉県文書規程及び埼玉県公文例規程の例による。」とされていた。
埼玉県文書規程の第35条では、課所長はファイル基準表の作成が義務付けられており、ファイル基準表にはそれぞれの文書の保存期間が記入されることになっている。本件事務引継書の場合、それが記載されているファイル基準表は埼玉県文書規程第37条により保存年限が3年とされていることから、平成11年3月31日及び平成13年3月31日に廃棄されており保存されておらず、ファイル基準表における本件事務引継書の保存期間を確認することはできない。
また、同規程では文書の保存期間については、第37条で、第一種11年以上、第二種10年、第三種5年、第四種3年、第五種1年と定めており、個々の文書の保存期間は、同規程別表第二に定める基準に基づき課所長が定めるものとしている。しかし、別表第二には事務引継書の保存期間の基準は示されていない。したがって、同規程によって本件事務引継書の保存期間を推測することはできない。
さらに、同規程の第42条では、完結文書の保存方法が定められており、課所長は、完結文書を保存しようとするときは、文書保存(引継)台帳を作成し、文書課に引き継ぐこととされている。本件事務引継書の場合、該当する年度の文書保存(引継)台帳は保存されていたが、そこには本件事務引継書は記載されていない。このことから、本件事務引継書は、完結後も文書課に引き継がれずに、監査事務局内で保存されていたものと推測される。

(3) 文書の調査について

  • ア 監査事務局執務室内の調査について
    実施機関は、上記(2)により本件事務引継書は文書課に引き継がれていないと推測されたため、監査事務局内を調査した。
    特に監査委員関係や事務局職員の人事関係の文書が入っているキャビネットについては、事務引継書が保管されている可能性があるため入念に調査し、昭和60年度から平成19年度の監査委員関係のファイルや、平成元年度から平成10年度の人事関係のファイルの確認を行った。
  • イ 文書課及び文書館の調査について
    さらに、文書保存(引継)台帳には記載されていないが、現実には文書課に引き継がれていた場合を想定して、文書課の文庫や文書館内を探索した。特に文書館については埼玉県文書規程第47条第1項により永年保存文書が管理委任されることとなっており、本件引継書は、作成年から考えると11年以上経過し、永年保存文書として文書館に保存されている可能性があることから、文書館の職員と協力して、館内にある文書を詳細に調査した。
  • ウ しかし、これらの調査にもかかわらず本件事務引継書は発見できなかったことから、保存されている可能性は低いと考えられる。

(4)本件開示等決定について

  • ア 以上のことから本件事務引継書についての実施機関の説明は合理性が認められ、不存在により不開示としたことは妥当であると考えられる。
  • イ なお、申立人は、平成12年1月に開示請求をして得た、識見委員用の監査委員事務引継書の起案書の写しを当審査会に提出した。これは、起案した日付から、申立人が申立書の中で述べている○○委員の事務引継書と考えられる。それによれば申立人の主張のとおり、保存期間は11年以上、保管上の取扱いは現年度扱いになっている。
    これについては、現在の監査委員の事務引継書の保存期間は3年となっていることから、当時の監査委員の事務引継書の保存期間も3年であるのに、当該起案書の保存期間を誤って記入したか、あるいは当時保存期間を11年以上としていたが、その後の保存期間の見直しにより3年保存になったと推察される。しかし、文書の存否について、推察をもってしか語ることのできない状況は、「県の諸活動を県民に説明する責務が全うされるようにする」ことを目的に掲げる埼玉県情報公開条例第1条の理念に反し、県政に対する県民の信頼を失わせることにもつながりかねず、大変遺憾である。今後、保存期間の決定は、埼玉県文書管理規則、埼玉県文書管理規程等の例規に則り厳正に行うとともに、文書の保存や廃棄の状況等については、常に県民に説明できるようにしておくべきと考える。
  • ウ 知事の事務引継書は11年以上保存になっているとのことである。監査委員の事務引継書についても、知事の事務引継書と同じく地方自治法に基づいて作成されるものであることから、同じ保存期間とすべきと考えるが、検討されたい。

以上のことから、「1 審査会の結論」のとおり判断する。

(答申に関与した委員の氏名)
鈴木 幸子、田村 泰俊、早川 和宏

審議の経過

年月日

内容

平成21年2月4日

諮問を受ける(諮問第183号)

平成21年3月13日

実施機関から開示決定等理由説明書を受理

平成21年4月17日

審議(第三部会第49回審査会)

平成21年5月15日

実施機関から説明及び審議(第三部会第50回審査会)

平成21年6月16日

申立人の口頭意見陳述及び審議(第三部会第51回審査会)

平成21年8月5日

審議(第三部会第53回審査会)

平成21年10月2日

審議(第三部会第54回審査会)

平成21年10月20日

答申

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