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掲載日:2024年4月2日

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答申第147号 「「議会あり方研究会」をサポートするために、事務局関係各課が収集・作成したもの 2008年1月1日から本日まで」等の不開示決定(平成21年12月4日)

答申第147号(諮問第184号)

答申

1 審査会の結論

埼玉県議会議長(以下「処分庁」という。)が平成21年1月21日付けで行った、「1 「議会あり方研究会」をサポートするために、事務局関係各課が収集・作成したもの2008年1月1日~本日まで、2 「議会あり方研究会」での議論の内容が具体的に分かるもの2008年3月24日~本日まで開催分」(以下「本件対象文書」という。)について、これを埼玉県議会情報公開条例(以下「議会公開条例」という。)の対象となる公文書は存在しないとして非公開(不存在)とした決定(以下「本件処分」という。)は、妥当である。

2 異議申立て及び審議の経緯

(1) 異議申立人(以下「申立人」という。)は、平成20年12月10日付けで議会公開条例第6条の規定に基づき、処分庁に対し本件対象文書の公開請求(以下「本件請求」という。)を行った。

(2) これに対し処分庁は、平成21年1月21日付けで、本件対象文書について、「議会あり方研究会(以下「研究会」という。)は、会派が任意に設置したものであり、事務局としては研究会の委員である議員からの個別の依頼に基づき、資料の清書や会議での発言のメモ作成などをしているだけであり、公文書としての文書管理は行っていない。よって、議会公開条例の対象となる公文書は、存在しない。」との理由により非公開(不存在)の決定を行い、申立人に通知した。

(3) 申立人は、平成21年1月26日付けで、処分庁に対し、本件処分の取り消しを求めて異議申立て(以下「本件異議申立て」という。)を行った。

(4) 当審査会は、本件異議申立てについて、平成21年3月27日に処分庁から議会公開条例第13条の規定に基づく諮問を受けた。

(5) 当審査会は、処分庁から、平成21年5月15日に開示決定等理由説明書の提出を受けた。

(6) 当審査会は、平成21年6月22日に処分庁から意見聴取を行った。

(7) 当審査会は、平成21年9月17日に申立人の口頭意見陳述を行った。

3 申立人の主張の要旨

申立人が主張している内容は、おおむね次のとおりである。

(1) 本件対象文書は、本来、議会公開条例上の公文書として文書管理の対象となるものであり、したがって本件対象文書は存在するものといえるので、本件処分は変更されなければならない。 

(2) 本件処分は、公文書非公開決定通知書(以下「非公開決定通知」という。)の書面上に、本件公開請求の対象となる文書の存在(文書件名・日付・文書点数・分量・外形的内容・個別フォルダー名・所在場所・保存期間・廃棄年月日等)を特定することなく行っており、手続的瑕疵がある。

(3) 研究会は、地方自治法(昭和22年法律第67号)第100条第12項のみなし適用により、事実上、議会の機関として位置づけられる。

4 処分庁の主張の要旨

処分庁が主張している内容は、おおむね次のとおりである。

(1) 議会公開条例は、「公文書」の定義について、県議会事務局の職員(以下「職員」という。)が職務上作成し、又は入手し、議長が保管しているだけでなく、「決裁又は受理等の手続が終了」していることも要件としている。

(2) 研究会に関して、職員が議員の活動を補佐するために職務上作成し、又は収集した書面は、議員が手書きした資料をパソコンで作成したり、会議での発言をメモしたり、参考文献をコピーしたものであり、上司の決裁を受けることなく、作成・収集を依頼した議員の確認を受けた上で、直ちに当該議員に渡している。
このような書面は、県議会として作成の意思決定をする必要のない軽易なものであり、また、その内容について県議会として責任ある対応ができないものである。
したがって、埼玉県議会事務局規程(昭和54年議会訓令第1号)第12条第2項及び埼玉県文書管理規則(平成13年規則第61号)(以下「文書管理規則」という。)第5条の規定に照らして、公文書として文書管理の対象とする必要はない。

(3) 研究会は、自民党、民主党・無所属の会、公明党及び無所属刷新の会の4会派の合意により自主的に設置されている研究会であり、地方自治法又は埼玉県議会会議規則(昭和58年議会規則第1号)(以下「会議規則」という。)に基づき設置されている議会の機関ではない。
また、議会において、研究会を議会の機関とみなす旨の意思決定も行っていない。

5 審査会の判断

(1) 議会公開条例の対象となる公文書について

議会公開条例第2条は、「この条例において「公文書」とは、職員が職務上作成し、又は入手した文書で、決裁又は受理等の手続が終了し、議長が保管しているものをいう。」と規定している。また、「埼玉県議会情報公開条例 解釈と運用」(平成19年3月埼玉県議会事務局)(以下、「解釈と運用」という。)には、「「決裁」とは、起案文書に対して、委任決裁に関する規定等に基づいて決裁権者が承認、決定、裁定等を与えることによって、その起案を確定し、議会の最終的な意思を決定することをいい、原則として書面により行われることを要する。」、「「受理等の手続が終了した」とは、文書管理に関する規定等に基づく受理、回覧又は検査の手続が終了したことをいう。」、「「議長が保管している」とは、県議会議長として文書管理に関する規定等に従い、公的に保持していることをいう。」と記載されている。なお、文書管理規則第6条には、文書等の分類の基準を定め、当該分類の基準に従って文書等を整理することが規定されている。
処分庁の説明によれば、「職員は研究会に関して、議員が手書きした資料をパソコンで作成したり、会議での発言をメモしたり、参考文献をコピーするなどにより、議員の活動を補佐している。」とのことである。
地方自治法第138条第7項は、「事務局長及び書記長は議長の命を受け、書記その他の職員は上司の指揮を受けて、議会に関する事務に従事する。」と規定しているが、処分庁の説明によれば、「研究会は議会内部の改革について研究を行っていることから、これに係る議員活動を職員が補佐することは、議会に関する事務に従事することに含まれる。」とのことであった。
このことから、職員が研究会に関連して作成し、又は入手した文書は、議会公開条例第2条前段に規定する「職員が職務上作成し、又は入手した文書」に該当する。
一方、当審査会は、議会公開条例第2条後段について、研究会に関連する文書で現存するものを見て、その該当性を検討した。現存する文書としては、まず、「議会あり方研究会における検討結果について(提言)平成20年10月10日」(以下「平成20年10月提言」という。)があった。これは、職員が余白に押印することにより議会事務局総務課内で回覧を行っており、さらに文書管理規則第6条に基づき作成された議会事務局総務課のファイル基準表に従い、個別フォルダー(庶務通知報告)に保管されていた。このことから、平成20年10月提言は職員が職務上作成し、又は入手した文書で、決裁又は受理等の手続が終了し、議長が保管しているものに該当することから、議会公開条例の対象となる公文書であることを確認した。
なお、これ以外に会議の次第や資料があったので、議会公開条例第2条後段に該当するか検討する。
処分庁の説明によれば、「これらの次第や資料は、議員の依頼に応じて職員が作成したものであるが、作成に際して上司の決裁は受けていない。また、作成したものは、依頼した議員の確認を経て直ちに議員に手渡している。現存するものは、その一部を職員が個人的に保管していたものであり、すべてが残っているわけではない。」とのことである。
この処分庁の説明を議会公開条例第2条後段に照らして検討すると、現存する会議の次第や資料は、職務上作成したものではあるが、決裁の手続を経ているものではなく、また、県議会議長として文書管理に関する規定等に従い公的に保持しているものでもないと判断できる。
ところで、埼玉県情報公開条例第2条第2項は、「「公文書」とは、実施機関の職員が職務上作成し、又は取得した文書、図画及び電磁的記録であって、当該実施機関の職員が組織的に用いるものとして、当該実施機関が保有しているものをいう。」として、組織共用文書を公文書開示請求の対象としている。これに対し、議会公開条例の対象となる公文書の範囲は、決裁又は受理等の手続が終了し、議長が保管しているものに限定されている。解釈と運用によれば、これは、処分庁の責任が明確にされていない情報までが公開された場合には、いたずらに混乱を招き、制度が有効に機能しなくなるおそれがあるためであり、処分庁の責任が明確になる時点として決裁及び受理等の手続の終了を規定しているものである。会議の次第や資料は、職員が職務上の必要から保管していたものと推量され、組織共用文書に該当する可能性は否定できない。しかし、処分庁の責任が明確にされていることを、議会公開条例の対象となる公文書の要件としている議会公開条例の趣旨から判断すると、上司の決裁を経ずに作成し、さらに文書管理に関する規定等によることなく、事実上保管していた状況にある会議の次第や資料を、議会公開条例の対象となる公文書ではないとした処分庁の判断は是認できる。

(2) 対象公文書の特定について

(1)のとおり、研究会に関連する文書で現存するもののうち、議会公開条例の対象となる公文書として確認できたものは平成20年10月提言であるが、当該公文書が本件請求の対象公文書に該当するかについて検討する。
処分庁の説明によれば、「平成20年10月提言は、研究会の座長から処分庁に対して提出されたものを受理し、回覧したものであり、職員が研究会をサポートするために収集・作成したものではない。また、本件請求の記載内容から、申立人が求めるものは、たとえば議事録等、研究会における審査や話の内容が具体的に記載されたものであると理解したため、検討結果しか記載されていない平成20年10月提言は、対象公文書ではないと考えた。」とのことであった。
当審査会で平成20年10月提言を確認したところ、研究会の検討結果を座長が処分庁あてに提言したものであり、内容は会議規則の改正案であった。このことから、平成20年10月提言は、研究会が処分庁に対して会議規則の改正に係る素案や意見を伝えるために提出したものを処分庁が受理したものであり、職員が研究会をサポートするために収集・作成したものでないことは是認できる。また、平成20年10月提言が通知文書、新旧対照表、委員名簿の3つから成り立っていて、その中に、研究会の審議内容に係る記載や検討結果に至るまでの具体的議論等に係る記載がないことから、処分庁が当該公文書を申立人の求めるものではないと判断したことは理解できる。
よって、平成20年10月提言は本件請求の対象公文書ではないとした処分庁の判断は、是認できるものである。

(3) 非公開決定通知の記載について

申立人は、非公開決定通知の記載方法に関連して、本件処分に手続的瑕疵があると主張しているので、この点について検討する。
当審査会が申立人に聴取したところ、議会公開条例の対象となる公文書であるかないかに関わらず、まず、本件請求に対応するものとしてどのような文書があるのかを明らかにし、非公開決定通知に記載するべきであるとの趣旨であった。
非公開決定通知は、議会公開条例第10条第5項及び第6項の規定に基づくものであり、その様式は埼玉県議会情報公開条例施行規程(以下「施行規程」という。)第4条第2号で定めている。当該様式の記載方法を定めたものは存在しないが、施行規程第1条で定める公文書公開請求書の「請求する公文書」の欄については、「公文書の件名又は公文書の特定ができるような情報を記載すること。」と解釈と運用に記載されている。このことから、請求に係る公文書を公開しないと決定したときに作成する書面である非公開決定通知の「公開しない公文書」欄についても、公文書の件名又は公文書の特定ができるような情報を記載するものと考えられる。
また、非公開決定通知の「公開しない理由」欄は、公開請求に係る公文書を公開しないことと決定した理由を記載する部分である。
本件請求については、上記(2)のとおり、対象公文書として特定される公文書はない。よって、本件処分は、非公開決定通知の「公開しない公文書」欄に公文書の特定ができるような情報として本件対象文書を、「公開しない理由」欄に本件請求の対象公文書として特定される公文書はない理由を記載したものである。このことから、当審査会は非公開決定通知の記載方法に関連して、本件処分に手続的瑕疵があるとは認めない。

(4) 結論

以上のとおり、本件請求の対象となる公文書は存在しないとした処分庁の判断は、妥当である。
また、申立人は、研究会の位置づけや文書管理の適正化、議会公開条例対象文書を組織共用文書に拡大することについても主張しているが、これらの主張は、当審査会の判断に影響を与えるものではない。

以上のことから、「1 審査会の結論」のとおり判断する。

(答申に関与した委員の氏名)
管野悦子、野口貴公美、松村雅生

審議の経過

年月日

内容

平成21年3月27日

諮問を受ける(諮問第184号)

平成21年5月15日

実施機関から開示決定等理由説明書を受理

平成21年5月25日

審議(第一部会第43回審査会)

平成21年6月22日

実施機関から説明及び審議(第一部会第44回審査会)

平成21年7月22日

審議(第一部会第45回審査会)

平成21年9月17日

申立人の口頭意見陳述及び審議(第一部会第46回審査会)

平成21年10月26日

審議(第一部会第47回審査会)

平成21年12月4日

答申

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