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掲載日:2021年3月9日

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街の魅力を再発見・テーマ別スポット情報 文化財探訪!

文化財深訪!

埼玉高速鉄道沿線地域は、鋳物などの産業が発達し、人の往来も多かったことから魅力的な文化が発展してきました。今なお沿線には、かつての賑わいや文化の香りを感じることができるスポットが数多く残っています。
注目の文化財施設を訪問し、それぞれの施設の魅力や見どころについてお話を伺いました。

赤山城跡(赤山陣屋跡)

赤山城址の石碑

戦国時代から江戸後期まで川口市の赤山周辺を治めていた伊奈氏。
その拠点は現在、埼玉県旧跡「赤山城跡(赤山陣屋敷址)」に指定され、伊奈氏の足跡をうかがうことができます。
徳川家の江戸支配に大きな功績を残した伊奈氏の偉業を、史跡とともに振り返ります。

伊奈氏と赤山陣屋

伊奈氏の成り立ち

史跡めぐりの前に、まずは伊奈氏と陣屋の成り立ちについてご紹介します。

伊奈氏は、清和源氏の流れをくむ一族で、元々は信濃国伊那郡(長野県伊那市付近)を治めていたことから、「伊奈」と称するようになりました。戦国時代になると、三河国(愛知県東南地域)へ移り、松平広忠とその子、徳川家康に仕えるようになったと言われています。

三河から関東へ移ったのは伊奈忠次の頃。
忠次は三河の小島城城主・伊奈忠基の末子として生まれ、様々な功績を立て家康の信任を得ました。家康が江戸に移封された際に同行し、河川改修や新田開発、領内総検地等の事業によって徳川家の関東支配に貢献しました。

伊奈氏の動き

その功績から武蔵国足立郡小室(現・埼玉県北足立郡伊奈町小室)に1万石(一説には1万3千石)を与えられ、忠次は代官頭という役職に任命されました。

「代官」の職は初代・忠次以降、3代目となる赤山陣屋を拠点としていた忠次の次男・忠治が代官の職を拝し、改易となった12代目・忠尊まで引き継がれ、幕府の地方支配に貢献しました。

民衆に愛された伊奈氏

伊奈氏は様々な功績を残しましたが、特に関東地方の河川改修等の治水事業を進め、同時に大規模な新田開発を行ったことで知られています。
その中でも、利根川の流路を変えた利根川東遷、荒川の流路を変えた荒川西遷は大きな事業で、川周辺の水害を抑え、江戸と地方との運河による交通の整備を行うなど幕府の基盤を支える礎となりました。

伊奈氏の治水工事(イラスト)

地域の治水や灌漑用水の工事を行い、災害対策と新田開発等により、農民の暮らしを支えたことで、幕府だけでなく農民たちからも多大な信頼を寄せられていたと言われています。

 

民衆から愛される伊奈氏(イラスト)

12代目・伊奈忠尊の時代には「天明の大飢饉」がおき、江戸の各地で米価が高騰して、民衆による打ちこわしが発生しました。その際に忠尊は諸国から米を買い集め、江戸市中に放出することで難局を乗り切りました。
大飢饉で米が不足する中で、各地から米が提供されたのは、手腕とともに伊奈氏が広く民衆に支持されていたからだと考えられています。

赤山陣屋について

初代・忠次の跡を継いだ2代目で長男の忠政は若くして亡くなり、次男・忠治が代官の職を継承することになりました。
忠治は代官になる前から勘定方として幕府に仕えており、武蔵国赤山(現在の川口市赤山)に7千石余を新たに拝領し、赤山陣屋を建設しました。

赤山城の創設年代については、元和4年(1618年)説、寛永6年(1629年)説、寛永19年(1642年)説があり定かではありませんが、いずれにしても江戸時代の初期に築かれたものと考えられています。

陣屋の中心となる本丸、二の丸だけでも110,000平方メートル(約3万3千坪)、山王三社、山王沼新田、家臣屋敷地など関連の施設を含めた総面積は770,000平方メートル(約23万坪)にもなる広大なものでした。

川口市赤山周辺地図

現在の川口市赤山周辺と陣屋、そして家臣屋敷地等が設けられたおおよその敷地範囲。外環道とから首都高まで、広範囲が伊奈氏の陣屋の敷地でした。

伊奈氏は徳川幕府の経済基盤の確立に尽力しましたが、寛政4年(1792年)12代目・忠尊の時代に改易に処されて、同時に赤山陣屋も廃されました。
現在は堀の跡などが現存し、今でも当時の名残を感じることができます。

赤山陣屋史跡めぐり

現在、赤山陣屋があった赤山周辺は一部公園として整備されており、散策にもピッタリの場所となっています。
埼玉高速鉄道「新井宿駅」からも歩ける距離にあり、専用の駐車場もある立ち寄りやすい史跡です。
今回は、赤山日枝神社付近からスタートして、伊奈氏と陣屋跡の歴史に触れられるコースを歩いてみました。

 

赤山陣屋散策地図

赤山陣屋跡散策例。(1)~(8)は案内板や石碑です。

赤山日枝神社の石碑

(スタート地点)赤山日枝神社付近。赤山陣屋跡入り口の案内があります。

赤山城(赤山陣屋)全景の看板

スタート地点から西に進むと見えてくる、赤山陣屋跡駐車場近くの看板。赤山陣屋の範囲を示した地図から居城の広さを感じることができます。

赤山日枝神社の境内

赤山日枝神社。伊奈氏の時代は山王神社と呼ばれていたとのこと。

神社の近くにある案内板

地図(1)のスポット。赤山陣屋跡にはこのような案内板が多数あります。こちらの案内板をめぐりながら散策します。

赤山日枝神社付近に、赤山陣屋と神社についての案内板がありました。伊奈氏が守り神としていた神社のことや、取り行われていた儀式について知ることができます。

神社から少し西に歩くと、地図(2)のスポットに。
こちらにある案内板には、伊奈氏の治水事業によって関東地方東部の低地帯は水害から開放され、広大な穀倉地帯へと変貌したことが書かれています。また、江戸幕府初期に農政をあずかる行政官としての功績や、民政家として民衆に広く支持を受けていたことも記されています。

治水工事について書かれた案内板

(2)の案内板。治水事業で多くの人を救ったことを知ることができます。

伊奈氏の実績を記した案内板

伊奈氏が何を行ってきたか、詳しく記載されています。

さらに西へ進んでいくと見えてくるのが(3)の赤山陣屋の石碑。
こちらの石碑周辺は公園として整備されており、植木もきれいに剪定されて歩いているだけで気持ちが良い場所となっています。
季節が合うと、桜が咲き誇り散策しながら花見もできます。

赤山城址の石碑

高い石碑。赤山陣屋に思いを馳せます。

石碑近くの案内板

石碑近くの看板を見ると、この場所に本丸があったことがわかります。

石碑横の通りを西に進んでいくと、道に沿うように大きな堀が続きます。
この堀で伊奈氏の住まいである本丸を守っていたのでしょう。

お堀の様子

堀の横の通路。本丸を守るようにまっすぐ続いています。

お堀について書かれた案内板

(4)の看板。本丸を囲む堀は、南は浅めに、西は深めに掘られていたそうです。

防衛について書かれた案内板

(5)の看板。低湿地帯だったこの地は、堀と相まって大きな防衛力があったようです。

(4)の地点から北上する途中の路は、竹垣とその奥にある竹林が美しく、歴史の趣とともに訪れる人に心地よい風景を楽しませてくれます。

 

竹林の横を散策

きれいに整えられた竹林。空気が澄んでいるように感じられます。

竹林にある祠について書かれた案内板

(6)のポイント。この竹林には水神の祠があり、伊奈家の姫と龍にまつわる伝説が残されているとのこと。

水神の祠の様子

水神の祠を発見!

本丸・出丸について書かれた案内板

(7)外環道を境にして、南が本丸、北が出丸だったそうです。

出丸の跡地に設置された案内板

(8)外環道のトンネルをくぐると出丸の跡地。ちなみに出丸は城から張り出した形で建てられる小城で、大河ドラマ「真田丸」に登場した真田丸も出丸の一種です。

(8)の地点で一旦赤山陣屋跡の散策を終了。
元の陣屋が広大な敷地面積だっただけに、一部をたどるだけでも結構な距離となり、良い運動になります。
今は陣屋として、木々に囲まれた静かな史跡ですが、端々に当時の伊奈氏の威光や功績の大きさをうかがうことができました。
訪れる際はぜひ散策路の周辺に目を凝らしながら見学してください!

赤山陣屋跡付近情報

赤山陣屋跡の楽しみは、史跡以外にもあります。
近隣にある「イイナパーク川口」は、子どもたちに嬉しいトランポリンや、赤山陣屋の歴史等も扱っている歴史自然資料館などがある施設です。
散策の前後に訪れれば、子どもたちの良い思い出になるはずです。

また、赤山陣屋跡の石碑近くには、「安行オープンガーデン」という自由に入れる庭園もあります。きれいなバラのアーチや色とりどりの花々、ユニークな形に刈り込まれた植木などが、訪れる人の目をなごませてくれます。

イングリッシュガーデンの様子

一般公開されているイングリッシュガーデン。

熊の形に刈り取られた植木

かわいい植木もたくさん。

またオープンガーデンの隣には、赤山陣屋跡の清掃活動などを行っている「NPO法人赤山陣屋の会」のイベント広場があります。
ここでは赤山陣屋跡近隣でとれた無農薬野菜を無人販売コーナーで売ったり、おおよそ月に1回~数回行われている「陣屋かふぇ」では石窯ピザを振る舞ったりしており、多い時で70人~80人もの方がやってくるそうです。
イベント開催はイベント広場横の掲示板などに掲載されているので、赤山陣屋跡散策の際にはチェックしてください!

野菜の無人販売所

無農薬野菜の無人販売。

イベント告知のちらし

NPO法人赤山陣屋の会さんが主催されているイベント。楽しそう。

大きな人口を抱える川口市で、赤山陣屋跡付近は史跡としての価値だけでなく、都市部に残された貴重な自然エリアとなっています。
また、地元の人たちが清掃活動を行うなど綺麗な環境が整えられているので、歴史の趣を感じながら気持ちよく散策できます。
ぜひ、赤山陣屋跡やその周辺スポットを楽しんでください。

近隣の方の声

70代男性
平日は人出もあまり無いですが、休みの日は散策に来る方々もいます。特に春先は桜並木もあり、開花時期には花を見に来る方も多くいます。清掃活動などを行っている赤山陣屋の会のメンバーが畑スペースで野菜を育てていて、それを無人販売していたりします。そんな風景も含めて、川口の中でも特にのどかでのんびりした場所だと思います。

担当者からのメッセージ

川口市文化財課 文化財保護係
イイナパーク川口で赤山陣屋跡などを紹介する歴史自然資料館では最新型の映像機器やジオラマで、地域の歴史と、安行の植木産業を中心に紹介しています。ワークショップも定期的に開催しておりますので、遊びに来てください。

【利用案内】
赤山城跡(赤山陣屋跡)

  • 所在地:埼玉県川口市赤山220(赤山陣屋跡専用駐車場)
  • 最寄駅:埼玉高速鉄道「新井宿駅」
  • 入場料:なし
  • 営業時間:年中無休
  • 休園日:なし

川口市立文化財センター

文化財01

川口の歴史と文化の再発見

埼玉高速鉄道「川口元郷駅」からほど近く。元々は中央公民館だった場所を改築し設立したのがこちらの「川口市立文化財センター」です。
旧鳩ヶ谷市を含む川口市(以下「川口」という。)は、江戸期に日光へ伸びる日光御成道の宿場町として発展し、埼玉でも有数の人の往来により文化や産業が発達した街です。また近年には、江戸期だけでなく古代や中世に遡っても豊かな文化が育まれていた地域であることがわかり、当時の様子を今に伝える出土品も多く発見されています。
文化財センターはそんな川口が後世に伝えるべき文化財を調査・研究・収蔵し、展示を通じて「川口に住む人に郷土の文化や魅力を再発見してもらうこと」、「市外の人には川口への理解を深めてもらうこと」を目的として活動を行っています。小学生の授業なども含め、年間4000人を超える人が訪れて川口の文化に触れています。

文化財02

川口の意外な「古代の遺産」を発見

文化財センターで展示物の紹介などを行っているお二人の学芸員にセンターについてお話を伺いました

展示資料はどのように集められるのですか?

「遺跡から出土した石器や土器だけでなく、鋳物や植木など産業に関する道具や機械など、文化的に価値があるものも収集・展示しています。多くは寄贈といった形で集められます。鋳物の生産地として発展した川口ですが、鋳物業で財を成した経営者が趣味で美術品を収拾していて、代替わりの際などにご提供頂くこともあります。」

どのようなものを展示されていますか?

「大きく分けると、原始・古代から中世を経て今に至る「川口の歴史に関する展示室」と、鋳物をはじめとした「川口の産業に関する展示室」の2コーナーを常設しています。その他にも定期的に企画展が行われています。常設展示のひとつ、歴史に関する展示室では、遺跡から出土した石器や土器を中心に展示しています。」

文化財03

「川口の遺跡からは、旧石器時代から江戸時代まで、長期間にわたる多様な出土品が発見されています。近年では、台地上の調査に加えて、低地での調査事例も多くなってきました。台地上の遺跡では分解されてしまう木の道具も、低地の土の中では保存されていることがあります。例えば、川口の低地遺跡からは、縄文時代に使われた漆塗りの木の器や櫛なども出土しています。数千年前のものとは思えないほど鮮やかな色と綺麗な形を留めていますので、ぜひ実物を見ていただきたいです。」

※枯れた植物が長い間、分解が進まずに堆積した地層。

文化財04

川口の魅力を未来へ

「川口の産業に関する展示」ではどのようなものを展示していますか?

「鋳物に関する展示が多いです。製造業が盛んな川口の中でも、砂型に入れて鋳造する「鋳物」はこの地域の顔となる産業で、全国でもその名が知られています。例えば昔なつかしい鋳物のストーブ。最盛期には全国で使われる鋳物ストーブの8割が川口で作られていました。」

文化財05

「また、鋳物はモノだけでなく、言葉や文化にも影響を与えてきました。例えば、交代で代わることを意味する「かわりばんこ」という言葉ですが、実は鋳物をつくる時に、炉に空気を送り込む「たたら」と呼ばれる送風機を踏む作業を「ばんこ衆」と呼び、火を止めないように休みなく交代していたことから派生した言葉です。」

文化財06

「そんな、誇るべき川口の鋳物ですが、最近は地元の若者でも「名前は聞いたことがあるけれど、どのように造られているかよくわからない」という人も増えています。そのため、当センターでは展示だけではなく、小学校の歴史教室などにより、子どもを中心に若者にも鋳物の魅力を知っていただけるように努めています。鋳物を通じて川口の魅力を伝え、川口を好きといってくれる人が一人でも多く増えてくれるとうれしいですね。」

施設を訪れていた大学生に伺いました

「私は大学で考古学を学んでいます。この施設があることをホームページで知って初めて来館しました。こちらは土器などの出土品が展示されているだけでなく、米や麦などからゴミを選り分ける道具など、今まで見たことがない古い農業の機械がたくさん置かれていて驚きました。昔の人はこんな道具を使って農業を行っていたのですね! みんな手作業でやられていたなんて、現代人にとってはびっくりです。そんな苦労があって今があるのだから、昔の人に感謝しないといけませんね。」

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学芸員からのメッセージ

「川口市立の施設ですので、『体験教室など参加できるのは市民のみ?』と思われる方がいるかもしれませんが、実はイベントや各講座は市外の方でも受けられます。ぜひ当センターに訪れ、『川口ってこんな一面もあるのか!』と興味を持って頂けるとうれしいです。また、私たちは、川口の歴史と文化を後世に伝えていける人を育てたいと思っていますので、子どもたちをはじめもっと多くの若者に当センターを訪れてもらいたいです。」

文化財08

【利用案内】
川口市立文化財センター

  • 所在地:埼玉県川口市本町1丁目17番1号
  • 最寄駅:埼玉高速鉄道「川口元郷駅」
  • 電話番号:048-222-1061
  • 入館料:一般100円、中学生・小学生50円(団体割引有り)
  • 開館時間:9時から17時(展示室の観覧は9時30分から16時30分まで)
  • 休館日:月曜日、年末年始

 

 


旧田中家(きゅうたなかけ)住宅 川口市立文化財センター分館

田中邸01

大正ロマンを感じる和洋折衷の邸宅

埼玉高速鉄道「川口元郷駅」から岩槻街道を北に進むと現れる旧田中家住宅は、大正時代に建設された本格的洋風住宅です。煉瓦造三階建ての洋館と、昭和初期に増築された和館、茶室、池泉回遊式庭園※1などを見学することが可能です。
室内は実際に利用されていた照明器具や椅子、飾り棚など時代を感じさせるデザイン性に優れた調度品が飾られています。
旧田中家住宅は味噌醸造業や材木商を生業としていた「田中德兵衞商店」の四代目・德兵衞※2が建設しました。当時用意できる最高級の木材やこだわり抜いた煉瓦などを用いて建てられました。建築費用は当時のお金で18万円、現在の価値にするとおよそ2億5千万円にもなり、破格の絢爛豪華な住宅でした。

※1池を中心に橋や小島など各地の景勝を再現し、池の周りを回遊して鑑賞を楽しむ庭園

※2田中家は代々長男が家督を相続して「德兵衞」を襲名していた。二代目から味噌醸造業や材木商などを営み、四代目(1875~1947)は先代からの跡を継ぎ富を築き上げた。

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建物、調度品、田中家のこだわりを体感

施設の管理を行っている川口市文化財センターの学芸員の方に旧田中家住宅について伺いました

「田中家」は何を生業としていたのですか?

「この地域は鋳物などの産業だけではなく、麦の生産地としても知られていました。良質の原材料があることから味噌の生産も盛んで、田中家もまた味噌の生産などで財をなしました。浦和水脈の豊かな水源があったこの地域では、水が必要な味噌や醤油などの産業が大きく発展しました。また、車が普及する以前は、川は物流の要で大消費地の江戸・東京に船で物がすぐに運べたこの地域は、多くの企業にとって良い場所であったと考えられます。四代目・德兵衞は家業を発展させただけではなく、埼玉味噌醸造組合理事長をはじめ埼玉県議会議員や貴族院議員など政治家としても幅広く活動した人物でした。そのような德兵衞だからこそ、住むためだけの住宅だけではなく、お客様をもてなすための建物が必要だったのではないでしょうか。」

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住宅の特徴はどのような点ですか?

「江戸時代の商家は、接客や商談を行いやすいという理由から街道沿いに店をかまえていたことが多く、旧田中家住宅もメインストリート(現在の国道122号線)沿いに建てられています。
また、実際に中に入ると驚くと思いますが、洋館ながら入口が畳敷きの「帳場」と呼ばれる商談スペースになっています。仕事上の取引を行う目的があったと考えられます。」

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「1階の応接室や3階の大広間は来客をもてなすための洋室で、調度品は趣深い意匠のものが揃えられており、家主のこだわりを感じることが出来ます。」

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「1階の座敷は3部屋ある中で、奥の座敷の天井が一段高くなっています。これは、和装による迎賓するため書院の間を格調高く配置したものと思われます。また、大広間は1階に配置されるのが一般的ですが、洋館では眺望を重視して3階に大広間を配置するなど、田中家のこだわりが詰まった佇まいになっています。」

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インスタ映えする被写体が多数!

メディアや一般のお客様にどのような評価を受けていますか?

「テレビの取材なども多いですね。建物の紹介だけでなく、天気予報などのコーナーのバックに流す映像を撮っていかれることも。建物の美しさだけでなく、いつ来ても庭園に何かしらの花が咲いていて一年中絵になる映像が撮れます。」
「また、メディアだけではなく、英語版のWikipediaにも旧田中家住宅について記載があり、旧田中家住宅のすばらしさが海外の方にも知られ始めているのかもしれません。」
「さらに、旧田中家住宅は都心からアクセスしやすく、一般公開されている大正ロマン漂う住宅ということもあり、最近撮影を行いたいという相談も増えています。」

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市外から見学に訪れていた女性グループの方々にお話をお伺いしました

「みんなでずっと来たいと思っていて、やっと見学に来られました! こんなに立派な住宅に住まわれていたなんて、田中家の方々はどんな人だったんでしょうね? 田中家の家系についてもっと深く知りたいと思うようになりました。」
「部屋がたくさんあって掃除が大変だから、私のような一般人では面倒で住めないかもしれませんね(笑)。お庭も立派で、植木も剪定もされていてとても美しいですね。これも維持するのが大変そうだからきっと家に多くのお手伝いさんがいたんでしょうね。当時の生活を考えるとドラマで見たような光景が思い浮かぶのでとてもわくわくして楽しくなります。また子供と一緒に家族で訪れてみたいと思います。」

学芸員からのメッセージ

「訪れた人はみなさん建物や庭の景色を見て思わず撮影したくなる施設だと思いますし、もっと多くの若い方々に気軽に立ち寄ってもらいたいです。」

田中邸08

【利用案内】
旧田中家住宅 川口市立文化財センター分館

  • 所在地:埼玉県川口市末広1丁目7番2号
  • 最寄駅:埼玉高速鉄道「川口元郷駅」
  • 電話番号:048-222-1061 (文化財センター)
  • 入館料:一般210円、中学生・小学生50円(団体割引有り)
  • 開館時間:9時30分から16時30分
  • 休館日:月曜日、年末年始

 

 


十一屋(じゅういちや)北西(きたにし)商店

十一屋01

宿場町・鳩ヶ谷の面影を残す趣深い貴重な文化財

埼玉高速鉄道「鳩ヶ谷駅」から徒歩5分。国の登録有形文化財に指定されている店舗と蔵は、鳩ヶ谷宿の面影を見ることができる貴重な建物です。
かつて鳩ヶ谷は江戸時代に整備された日光御成道の宿場町として、人の往来で栄え多くの商家が軒を連ねていました。この店舗と蔵はこのような商家のひとつとして昭和初期に建てられ、文化財となった今でも酒屋として商売を続け地域の方々に愛されています。

十一屋02

店舗として今でも利用され、重厚な梁が特徴

4代目となる現在の店主にお話を伺いました

店舗として利用されている建物の特徴は何ですか?

「内側の上部の梁は、造船用のケヤキの良材を用いたそうで、重厚な面持ちを楽しめます。外壁は、板の仕上がり面が平らになる羽目板張りをしています。今時珍しいのか外観の写真を撮っていく人も多いですね。昔、宿場町に立ち並んでいた商家の佇まいを感じることが出来るのではないでしょうか。」

十一屋03

こちらの建物が文化財登録されたきっかけは何ですか?

「この建物ができたのは昭和初期ですが、この地で商売を始めたのは明治時代からです。元々先祖は酒を多く取り扱う近江商人で、明治期にこちらに移り住んでからもお酒の問屋を生業にしていました。建物が建てられた昭和初期、この地域は宿場町として賑わっており、商家がたくさん立ち並んでいたそうですが、時代とともに古い建物はなくなりここだけになってしまいました。うちは商売が続き、店舗を兼ねたこの建物もそのまま残り現在に至ります。」
「文化財登録は、市役所などの紹介で申請すれば登録できそうだと知った時に『登録することで建物の良さが伝わるなら』と思い申請しました。ちなみに、文化財登録には、建物を存続させることが条件とされているのですが、存続させる前提であれば内装など自由にカスタマイズしても良いという点も、文化財登録する決断をした理由のひとつです。」

十一屋04

倉庫として利用されている石造りの蔵

石造りの蔵はどのように利用されていますか?

「今は倉庫として利用しています。お酒は環境の変化に敏感なので、日頃はしっかり入口を閉じています。石造りの蔵はお酒の保存にぴったりかと思います。そんな理由もあって、こちらはあまり中に人を入れることが出来ないのですが、外から見るだけでもレトロな雰囲気が味わえます。」

十一屋05

昔からこの鳩ヶ谷で商売をされていますが、今の街についてどう感じられますか?

「埼玉高速鉄道ができてからは、他の地域から引っ越してくる方も多くなりました。お酒の好みなども変化しているようで、うちに寄ってくれる若い方はお酒だけでなく料理に使う酒粕なども好んで買っていきます。ただ、街は常に変化していますが、古いものにも良さがあります。この建物がもつ文化的な価値に負けないように、取り扱うお酒にもこだわっています。例えば日本酒は旬のもの、秋ならひやおろし※1や、冬には蔵元に直接行って仕入れる朝搾り※2など、その時々に仕入れられる良いものを揃えています。建物の見学がてら、お店の中にもお気軽に立ち寄ってください。」

※1「ひやおろし」とは、江戸の昔、冬にしぼられた新酒が劣化しないよう春先に火入れ(加熱殺菌)した上で大桶に貯蔵し、ひと夏を超して外気と貯蔵庫の中の温度が同じくらいになった頃、2度目の加熱殺菌をしない「冷や」のまま、大桶から樽に「卸(おろ)して」出荷したことからこう呼ばれ、秋の酒として珍重されてきた酒。

※2早朝に搾りあがったばかりの生原酒

十一屋06

最近、引越してきたという買物中の若い夫婦に話をお伺いしました

「二人とも都内に通勤しています。都心への交通の便が良いのでSR沿線に住まいを探していましたが、最近、この鳩ヶ谷駅近くに引っ越してきました。駅前を中心にベッドタウン的な風景が広がりますが、それだけにこちらのお店はレトロな味わいがあって良いですね。街が発展して新しいものができるのもいいですが、こういった古い建物がお店とともに残り続けるのはうれしいことです。この鳩ヶ谷を選んで移り住んだことはとても良かったと思います。」

店主からのメッセージ

「文化財を守っていくことはとても重要なことです。この建物を後世に残していくためこれからも頑張っていきたいと思います。建物の写真を撮影しにぜひお立ち寄りください。」

【利用案内】
十一屋北西商店

  • 所在地:埼玉県川口市鳩ヶ谷本町1丁目2番8号
  • 最寄駅:埼玉高速鉄道「鳩ヶ谷駅」
  • 電話番号:048-281-2111
  • 入場料:無料
  • 営業時間:9時から20時
  • 休み:日曜・祭日
    ※店の事情で閉店日時等が変わる場合があります。なお、石造の蔵は外観のみ公開で、内観は倉庫であるため撮影できませんのでご注意ください。

 

 


川口市母子・父子福祉センター

川口市母子・父子福祉センター01

川口市母子・父子福祉センターとして利用されている建物は、昭和57年に鋳物問屋「鍋平」から川口市に寄付され、主屋・離れ・蔵が川口市初の登録有形文化財として登録された施設です。
建築した「鍋平」4代目当主・嶋崎平五郎が「西洋文化の風情を取り入れた建物を」と、こだわり抜いたデザインからは、当時の鋳物問屋の隆盛や時代の雰囲気を感じることができます。

和風建築の母屋と離れは、贅を尽くした意匠が楽しめる建築物

川口市母子・父子福祉センターの管理をする担当者の方にお話を伺いました

施設の見どころは何ですか?

「主屋は明治末期に建築された和風建物です。数度の増築を行っていますが、創建当時の雰囲気を今に留めています。
離れは屋久杉を使った天井、ケヤキや黒檀(こくたん)などの銘木類を多用した床や棚、華やかな造りの書院が見どころです。来客を接待するために設けられた部屋だけに、和風建築の贅を尽くした意匠が楽しめる造りとなっています。」

川口市母子・父子福祉センター02

[離れ]

「また、離れに隣接する洋風トイレにも、美しい色合いの窓ガラスや、細かい細工装飾がほどこされています。」

川口市母子・父子福祉センター03

[洋風トイレの窓ガラス]

「離れの鴨居にある1本の木から掘りおこした欄間も見どころです。職人の高度な技術が必要なもので、現在同じものを再現しようとしても簡単にできないと思われます。また、縁側の上部に設けられた通気口には、ベネチアから特別に取り寄せた青と白のベネチアンガラスがモザイク状にはめ込まれており、機能性だけでなく部屋に彩りを与えています。」

川口市母子・父子福祉センター04

川口市母子・父子福祉センター05

富士山の形をした石が置かれた日本庭園

「ここの庭園は池泉回遊式日本庭園※と呼ばれ、様々な花で彩られた美しい庭を眺めることも出来ます。庭園は敷地の隅々まで、来る人にかつての繁栄を思い起させる贅沢な邸宅となっています。」

※池を中心に橋や小島など各地の景勝を再現し、池の周りを回遊して鑑賞を楽しむ庭園

「庭は中に入って自由に見学頂けますが、実はとある道を進んだ先に、「富士山」の形をした石が置かれています。おそらく昔、この地域に高い建物など無かった頃に、この石あたりから富士山を眺めることができたため、粋な家主が置いたのだと思われます。なかなか見つけにくい場所にありますので、偶然発見できたらラッキーです。お子さんがいらっしゃる方はぜひ、一緒に探してみて下さい! ヒントは滝の近くです。」

川口市母子・父子福祉センター06

来館者はどのくらいいるのですか?

「年間約300日程度開所しており、来場者は1年で約500名程度です。団体利用ですと多いときで50名ほどの方がいらっしゃることもあります。平日ですとそれほど混雑していませんので時間を気にせずのんびり観覧することが出来ます。全国を巡り古い建物を撮影しているカメラ好きの方もよくいらっしゃいます。ご留意点として、内部見学をご希望される方は、事前に電話での予約が必要となっています。お気軽に担当までお問い合わせ下さい。」

母子相談、教養講座など各種イベントを開催

「福祉センター」としてどのような活動をされていますか?

「こちらの施設の運営は、川口市母子・父子・寡婦福祉会の協力を得て、社会福祉法人川口市社会福祉事業団が行っています。施設の見学以外で行っていることとしては、「母子相談」や「教養講座」、「各種集会」などがあります。母子相談では、生活や住宅、育児など様々な相談に応じ、指導や助言を行っています。「書道」、「手芸教室」、「絵手紙」、「フラワーデザイン教室」などの教養講座は、広報かわぐちなどで公募していますので、興味のある方はぜひご参加下さい。」
「その他、日頃の感謝をこめて行う『母子・父子福祉センターまつり』や、各種研修会など様々なイベントを行っており、多くの方に楽しんでいただいています。これらのイベントは、子育て中の方でも参加しやすいようにと施設のスタッフで一時保育も行っています。住宅街の中にあり、あまり知られていない施設ですが、より多くの方に知っていただければと思っています。」

川口市母子・父子福祉センター

施設を訪れたお客様にお話を伺いました

「古い文化財が好きで、日本各地のスポットにカメラを抱えて出かけて行くのですが、ここは何度も来ている施設です。これだけ立派な建物が昔のまま残っていることも素晴らしいですし、住宅街の中にあるので静かでのんびりした雰囲気にとても癒されます。
また、スタッフの方もアットホームでいつも親切に質問に対応してくれるので、文化財の見学が好きな方やカメラ撮影が好きの方にはおすすめの施設です。」

文化財の保存を支援している東京のNPO法人の方も訪れていました

「東京を中心に都市化が著しく、文化財の保存は個人では困難です。そのためほとんどの方々は建物が維持できずに壊してしまっています。このような貴重な建物はいったん壊すと復元は不可能です。川口地域は田中邸など他にも貴重な建物が残っているし、徒歩で回遊できる距離に集積しているのでよく訪れています。多くの方々に川口の文化財の良さを知ってもらいたいです。」

担当者からのメッセージ

「この地域は、昔は鋳物工場が立ち並びにぎやかでしたが、今は工場がなくなり跡地はマンションやアパートになってしまいました。
とても静かな場所にひっそりと残っているこの建物は中に入ると静寂の空間に癒されますし、文化財の建物の中で過ごすという体験はなかなかないと思います。施設見学の方も、イベントへの参加を希望される方も大歓迎ですので、お気軽にお越しください。」

川口市母子・父子福祉センター

【利用案内】
川口市母子・父子福祉センター

  • 所在地:埼玉県川口市金山町15番2号
  • 最寄駅:埼玉高速鉄道「川口元郷駅」
  • 電話番号:048-223-7655
  • 入館料:無料
  • 開館時間:9時から16時
  • 休館日:毎週月曜日、祝日、年末年始

 

 


浦和くらしの博物館民家園

浦和くらしの博物館民家園01

伝統的な建物や豊かな自然に親しめる野外博物館

東川口駅 又は東浦和駅から車で約10分、国道463号沿いに「浦和くらしの博物館民家園」があります。
国の登録文化財である「旧浦和市農業協同組合三室支所倉庫」、約250年前の江戸時代中期に建築され市内最古の民家といわれる「旧蓮見家住宅」など、市内の伝統的な建造物7棟を移築・復原した野外博物館です。
これらの貴重な建物の内部に昔の生活用具などを展示しており、建物とともに昔の暮らしを感じることができます。
また、当館は見沼田んぼのほぼ中央に位置し、園内を公園施設として無料で開放していますので、緑や野鳥など自然とのふれあいの場としても楽しむことができます。

浦和くらしの博物館民家園02

園内を訪れていたお子様連れのお母様を見かけましたので話をお伺いしました

「ここは博物館ですが、無料で誰でも気軽に入れるのが魅力的ですね。広い園内は公園になっているので、天気が良い日は芝生の上でお弁当を広げていつも楽しんでいます。シラサギなど野鳥もいますし、自然にも親しめるので、散歩で子供と一緒によく訪れています。」

浦和くらしの博物館民家園

親子にも嬉しいイベントがもり沢山! 小学校の体験学習にも好評

博物館の担当者の方に見所やPRポイントなどについて伺いました

来館者はどのくらいいるのですか?

「年間5万人ほどの方が博物館を訪れています。文化財の建物を見るだけでも楽しめますが、当館が依頼した講師や現在30名ほどいる外部のボランティアさんが行う講座も大変人気です。」

どのような講座があるのですか?

「例えばおもに小学生を対象とした講座では、水鉄砲や貯金箱づくりなどを行っています。また、和紙作りの講座では、職人の方が講師になり伝統的な手漉き和紙作りの体験が可能です。また、「昔のあそび塾」は遊び道具を変えて毎月第一日曜日に開催しています。3月4日に行いました「竹馬とけん玉」にはたくさんの方に来ていただきました。その他にも、虫取り体験や年間を通じて魅力的なイベントが行われており、子どもだけではなく、お父さんお母さんも楽しめるイベントがございます。」

(昔のあそび塾のチラシ 平成30年3月開催時のもの)

浦和くらしの博物館民家園

小学校の体験学習を受け入れているようですが?

「当館では小学校の体験学習を積極的に受け入れています。年間約70校、約9,000名もの小学生が来館しています。さいたま市内だけでなく、近隣の川口市や越谷市などの小学生も訪れていますよ。ぜひたくさんの小学生に来てもらいたいですね。」

浦和くらしの博物館民家園

体験できるプログラムはどのようなものですか?

「大豆を石臼で黄な粉にする『石臼の体験』」、建物の座敷で行灯やランプの明るさを体験する『あかりの体験』、荒物屋(昔の雑貨屋)(昔のお店だった建物)で買い物を体験する『昔のお店体験』などのプログラムを用意しています。今の子供たちには昔の暮らしぶりは想像できなかったと思いますが、実際に体験した子供たちは驚きと感動でいっぱいです。」

浦和くらしの博物館民家園06

農作業体験も実施中

農作業の体験もできるそうですが、どのような内容なのですか?

「体験講座もどの講座も人気ですが、特に「子ども農作業体験』は多くの方から参加して楽しかったとの声を頂いています。例年4~10月の7か月間が活動期間ですが、年間10組程度のご家族を受け入れています。じゃがいもや大根、里芋など、農業経験の無い方が植え付けから収穫までの体験を行っています。費用は材料費だけで、採れた野菜は各ご家庭にお持ち帰り頂いていますが、たいへん喜んでいただいています。」

浦和くらしの博物館民家園

担当者からのメッセージ

「当館では、市内に残された伝統的な建物を移築復原し公開していますが、これらの貴重な建物を後世に残し、伝えていくことが重要だと思っています。また、昔の生活道具や農作体験などの体験学習の募集はWEBサイトやさいたま市報などでお知らせしていますので、興味のある方はぜひご参加ください。」

浦和くらしの博物館民家園

【利用案内】
浦和くらしの博物館民家園

  • 所在地:さいたま市緑区下山口新田1179-1
  • 最寄駅:JR「東浦和駅」、埼玉高速鉄道「東川口駅」
  • 電話番号:048-878-5025
  • 入館料:無料
  • 開館時間:9時から16時30分
  • 休館日:月曜日(休日を除く)、休日の翌日、年末年始

 

お問い合わせ

企画財政部 交通政策課  

郵便番号330-9301 埼玉県さいたま市浦和区高砂三丁目15番1号 本庁舎2階

ファックス:048-830-4742

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