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掲載日:2023年3月14日

令和5年2月定例会 一般質問 質疑質問・答弁全文(辻 浩司議員)

障害のある児童生徒も共に学ぶインクルーシブ教育について - 市町村による事実上の「入学拒否」に対する、県の立場と役割について

Q   辻 浩司 議員(民主フォーラム)

現在の学校教育法施行令においては、市町村教育委員会が本人・保護者に対し十分情報提供しつつ、本人・保護者の意見を最大限尊重し、本人・保護者と市町村教育委員会、学校等が教育的ニーズと必要な支援について合意形成を行うことが原則とされており、最終的には市町村教育委員会がその就学先を決定することが適当であるとされています。
市町村教育委員会に依然として就学先の最終決定権がありますが、本人・保護者の意向を最大限尊重することが求められていますので、就学相談の段階での十分な情報提供と合意形成が不可欠であることは言うまでもありません。これは新規入学においてもそうでありますし、また、ほかの学校から転学の際においても同じです。
しかし、障害のある児童生徒が特別支援学校から地域の学校へ転学する場合、新入学時よりも地域の学校へ入ることが困難ということがあります。私が把握しているケースでは県南西部に位置する市、ここでは個人情報に配慮し仮にA市としますが、A市の市立小学校へ特別支援学校からの転学を希望する児童、転学を認められずに学校に通えない状態が続いているというケースがございます。
この児童は医療的ケアを要し、タブレット端末でコミュニケーションをする肢体不自由児ですが、県南西の特別支援学校小学部の2年生で、担任が代わったことをきっかけに適応障害を起こし不登校となり、通うことが著しく困難になったことを受けて、主治医等からの助言もあり、地域の小学校への転校を希望しました。当初ほかの特別支援学校への転学も検討しましたが、通学距離や該当するクラス配置などの問題から現実的な選択肢とはなりませんでした。その後、インクルーシブ教育に共感した保護者と本人は、地域から分けられた特別支援学校ではなく地域の学校で、地域の同年代の児童とともに学び育つ学習環境を求めて、居住しているA市の小学校へ転学を希望しました。
保護者は、不登校に至るプロセスとその後の対応において特別支援学校側に強い不信感を持ったことや、A市教育委員会からも転学手続に関して正確な情報提供を受けられていないと感じていたことから、弁護士同席の下での話合いを希望し、A市の市立小学校への転学相談の席に弁護士を同席しての就学相談を求めました。
しかし、A市教育委員会は、弁護士の同席を理由に相談会場への立ち入りを拒否、弁護士の同席拒否については「その理由も話せません」とし、保護者と弁護士を入れないまま転学希望先のA市市立小学校、現在在学している特別支援学校、A市教育委員会とそれから保護者から強い希望でオブザーバー参加していた県教育委員会の関係者のみの出席で転学相談が行われました。その結果、特別支援学校への就学が望ましく、A市の小学校への入学が認められない旨の決定がなされました。
しかし、現在在籍している特別支援学校への通学が事実上不可能な中で、地域の普通学校への転学も事実上拒否され、行くも戻るもできず学習権を奪われたまま、この児童は自宅待機を余儀なくされています。就学相談は新規就学時も転学時も十分な情報提供を行い、本人・保護者との合意形成の下に行われるべきでありますが、今回の事例は十分な情報提供もせず、保護者が相談の席につくことも許さずに相談を強行し、一方的に就学先を決定するものであり、多大な人権侵害であります。
こういった形で行われた就学相談及び一方的な就学先の決定は問題がないと教育長はお考えでしょうか。見解をお伺いいたします。

A   高田直芳 教育長

小中学校や特別支援学校への就学は、学校教育法施行令に基づき、市町村教育委員会が決定することとされ、その際には、保護者及び専門的知識を有する者の意見を聴くものとされています。
各市町村では、このうち保護者の意見を聴く場として、いわゆる就学及び転学相談を実施しております。
こうした手続きの詳細について、県では、就学事務手続実施要項を定め、その中で、市町村教育委員会が本人・保護者の意見を最大限尊重し、本人にとってよりよい学びの場を決定することが重要であることとしております。
議員お話しの児童は、現在、県立特別支援学校に在籍しており、地元の小学校への転学希望にあたり合意形成を十分に図ることができなかったことから、県教育委員会としても、これまで保護者や当該教育委員会等との相談を継続して行ってまいりました。
また、当該教育委員会においても、保護者との面談や小学校の見学等、これまで本人や保護者と相談を重ねてきたと伺っております。
しかしながら、結果として保護者を含めた関係者との共通理解に至らなかったということは誠に残念なことと認識しております。
県といたしましては、今回の事案を踏まえ、就学相談にあたっては、児童生徒一人ひとりの教育的ニーズとそれを踏まえた支援内容について、本人や保護者への十分な情報提供と共通理解のもとで進めるよう、あらためて各市町村教育委員会に働き掛けてまいります。

再Q   辻 浩司 議員(民主フォーラム)

今、教育長おっしゃられたように、就学決定権は市町村教育委員会にあるわけでございますが、この市町村教育委員会が決定するに当たっての前提条件として、今、教育長おっしゃられたように保護者や専門家の意見を十分に踏まえて、そして県が示した実施要綱に基づいて相談がなされる、就学相談がなされるということがやはり大前提になっていると思います。
しかし、今回のこのA市の場合は、そもそも保護者が同席をさせてもらえていないという、それ以前には、就学相談前には意見を聞いていたかもしれませんが、決定的な就学相談の場で保護者を入れないで就学先が決定されてしまったということにおいては、これやはり決定的にこの就学相談の要件を満たしていないんではないかなというふうに思います。
ですから、やはりこれは仕切り直しをしていくべきだと思いますが、これは市町村の権限でありますので、県がこれを仕切り直すというわけにいきませんが、しかし県教育委員会として県立特別支援学校からの転学者でありますので、きちんとした形で、つまり保護者が同席した中で、保護者の意向が十分反映される形で就学相談が行われるように県教育委としても最大限の働き掛けをしていく、そういう意味での働き掛けということで理解してよろしいでしょうか。

再A   高田直芳 教育長

市町村が行う転学先の判断等につきましては、県教育委員会として、その適否についてお答えする立場にはございませんけれども、今回の事案においては、結果的に本人・保護者の気持ちに十分寄り添った対応には至らなかったものと認識をいたしております。
先ほど議員からもお話しがございましたとおり、そのため、今後、県教育委員会、当該の教育委員会、そして保護者の方、3者による協議の場を設けることについて、県として、当該市町村に働き掛けてまいります。

 

  • 上記質問・答弁は速報版です。
  • 上記質問・答弁は、一問一答形式でご覧いただけるように編集しているため、正式な会議録とは若干異なります。
  • 氏名の一部にJIS規格第1・第2水準にない文字がある場合、第1・第2水準の漢字で表記しています。 

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