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掲載日:2022年12月27日
Q 守屋裕子 議員(共産党)
荒川の広大な河川敷は、川幅日本一と言われるように関東平野の象徴でもあります。現在、この河川敷の中に巨大なダム、囲繞堤と仕切堤を建設し、河道を狭める荒川調節池事業が進められています。第一調節池に続き、第二、第三に着手し、今後第四、第五と上流に進む計画です。
河川敷に巨大な構造物を建設する事業は、全国でも先行事例がありません。それだけに荒川中流域、とりわけ川越市の住民たちからは、不安の声が広がっています。川越市長も、私に「心配だ」と語っております。川越の川と水を考える会が立ち上げられ、繰り返し河川事務所の説明を求めていますが、十分納得を得られていません。経験したことのない台風が毎年のように日本に上陸する。例えば、2018年、西日本豪雨では、100か所で200年に一度と言われる雨量が観測されるという豪雨の時代です。不安は当然と言えます。
懸念の第一は、第二、第三調節池のさいたま市、川越市の部分で最も囲繞堤と右岸堤防が接近する点です。つまり川幅が最も狭まることになります。200年に一度などの短時間豪雨によって水が狭い河道に押し寄せた場合、何が起こるのか。越流堤という小さな入り口から調節池に水が排出される仕組みがうまく機能するのか、懸念の声があります。
私は、あらかじめ国土交通省にこの点を質問してまいりました。その答えは、「荒川調節池事務所が水利解析を行い、必要な堤防強化策を講じる」というものでした。計算をしっかりするから任せてくれと言われても、簡単に納得いくものではありません。
そこで、質問です。
(1)第二、第三調節池のリスクについての水利解析というものを県としても詳細に説明を受け、安全性を確認すべきだと考えますが、どうか。(2)県としても、この部分の安全性について独自に検証を行うべきと考えますが、どうか。(3)また、模型による実験など、目に見える形で納得を得られる説明を国に要望すべきと考えますが、3点、県土整備部長、答弁を求めます。
第二は、この狭まった河道部分に入間川が合流する点です。この数年間の水害のほとんどが、越辺川、都幾川、川越江川など、本川に支流が流れ込むことができなくなる、いわゆるバックウオーターが原因です。入間川へのバックウオーター対策について国土交通省に質問したところ、荒川河川整備計画により堤防強化とのことです。
質問ですが、計画に基づきこの堤防強化の完成年度について伺います。また、完成後は、200年に一度の雨が降ってもバックウオーターの心配はないということですね。2点、県土整備部長、答弁を求めます。
第三に、JR川越線の橋りょうと堤防が低いという問題です。かさ上げについては計画がありますが、2030年まであと8年かかります。かさ上げを早急に進めていただきたい。昨年に質問した際には、ソフト対策で対応するという答弁でしたが、工事を急ぐよう、改めて県土整備部長の答弁を求めるものです。
A 北田健夫 県土整備部長
はじめに、「調節池の水理解析の詳細な説明を受け、安全性を確認すべき」についてです。
荒川は、戦後最大である昭和22年9月のカスリーン台風による洪水と同規模の洪水が発生しても、災害の発生の防止を図ることとして河川整備計画が定められております。
この河川整備計画に位置付けられている荒川第二・三調節池事業は、1キロメートル以上もある川幅を、新たな堤防である囲繞堤で概ね半分に仕切り、川の水が流れる部分と、洪水を貯める調節池に分けるものです。
国は、囲繞堤の一部を低くした越流堤から横越流方式により洪水調節を行うこととしており、この方式は本県のみならず全国的にも広く採用され、河川工学的にも確立された手法です。
横越流方式の施設を有する河川の現場は数多くあり、実現象をもって、その有効性妥当性は証明されていると考えています。
また、平成16年に完成した荒川第一調節池にも、越流堤が整備されており、令和元年東日本台風の際にはその機能が発揮され、洪水調節効果がありました。
県としては、この調節池の越流堤が特殊な構造でないことを確認した上で、事業実施前に国から説明を受けた水理解析結果には問題は見当たらず、妥当であると判断しています。
次に、「県としても安全性の検証を行うべき」についてです。
荒川調節池の整備事業は、荒川の河川管理者である国が直轄河川事業として行っている事業です。
当該調節池の構造は、一般的な構造であることから、国と県との役割分担の中で、国が実施した水理解析の検証結果をもって、十分に機能を発揮することが確認できると考えています。
次に、「目に見える形での説明を国に求めるべき」についてです。
荒川調節池事業は、荒川の治水安全度向上のために大変重要な事業であり、流域の皆様の御理解が不可欠であると考えています。
県としては、水理解析の検証結果をもって、構造や機能の確認はできていると考えておりますが、それを流域住民に対して、今まで以上に分かりやすく丁寧に御説明いただけるよう、国に伝えてまいります。
続いて「入間川における堤防強化の完成年度」についてです。
国は、調節池整備による入間川へのバックウォーターの影響も加味して整備計画を検討しており、調節池の整備に先行して入間川堤防、及び入間川と並行する区間の荒川右岸側の堤防整備を行ってきています。
国はこの堤防整備について、調節池の整備が終わる令和12年度までに完成させるとしています。
次に、「堤防強化完成後は200年に1度の雨が降っても入間川へのバックウォーターは心配ないか」についてです。
御質問の、200年に1度の雨により発生する洪水は、現行の河川整備計画で目標とするカスリーン台風の規模を上回る外力です。
現在実施中の堤防強化工事は、荒川本川の河川整備計画規模において、荒川のバックウォーターによる被害が生じない構造で整備されており、所定の安全性が確保されると考えております。
続いて「JR川越線の橋りょうと堤防の工事」についてです。
JR川越線荒川橋りょうの周辺の堤防は、荒川調節池に必要な高さや幅が不足していることから、堤防を高くする計画としています。
これにあたっては、鉄道橋を現在よりも高くする架換えを行った後に堤防を高くする必要があるため、整備には一定の期間が必要と認識しています。
引き続き、早期に整備効果が発現できるよう国に要望するとともに、今後もソフト対策による洪水の備えを強化してまいります。
再Q 守屋裕子 議員(共産党)
先ほどいろいろと答弁をされておりました。100年に一度ということの中での、カスリーン台風の頃の関係で100年に一度の関係で計画立てている、長期的には200年に一度なんですが。
しかし、今、この現在の計画が100年に一度というのでは大丈夫だということを言っていましたけれども、2020年の令和2年豪雨で最大の被害を受けた熊本県の球磨川流域、このときの大雨が、正に1,000年に一度なんです。この雨量の関係は、1年間の中で雨量の確率が何%ということでやっているわけですよね。この問題でやると、また、2017年の7月には九州の北部豪雨で、福岡朝倉は550年に一度の相当する、日本気象協会が発表して、大変な被害を受けているんですね。また、広島の方でも、2018年には101か所の200年に一度の豪雨で被害を受けているんですよ。今、正に、いつどういうふうになるか分からない想定外の豪雨というのが起きてきているわけですね。
そういうことを考えたときには、本当にこの体制をきちっとしていかなきゃならないという問題と、福岡朝倉の550年に一度の相当するといったとき、日本の気象協会が発表したときには、同協会の事業本部防災ソリューション事業部の技師の方が、「河川の防災対策は100年から200年に一度の災害を目安に行われるが、今回はそういった目安を超える被害だ」と述べているんですよ。ですから、想定外の豪雨が頻繁に起きているということではないですか。
ですから、万全の対策を立てなければならないということでは、県土整備の安全性について再度答弁をお願いします。
再A 北田健夫 県土整備部長
議員お話のとおり、1,000分の1や550分の1といった想定を超える雨が降っていることは事実でございます。
荒川におきましては、戦後最大のカスリーン台風による洪水と同規模の洪水が発生しても、災害の発生を防止できることを目的として、河川整備計画が定められています。
この整備をしっかり行うことによって、超過洪水に対しても十分に効果はあると考えてございます。
また、流域治水対策で、河川のハード整備だけでなくソフト対策も含めて、流域全体で総合的に対応することが必要だと考えております。
この荒川調節池事業については、治水安全上、大変重要なものであると考えておりますので、県としては、この事業を推進してまいりたいと考えております。
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