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掲載日:2022年12月27日

令和4年12月定例会 一般質問 質疑質問・答弁全文(守屋裕子議員)

脳に障害がある人もない人も地域で共に暮らすために ー高次脳機能障害への支援強化をー

Q   守屋裕子 議員(共産党)

事故や脳の病気で脳が破壊されることにより残る様々な障害を高次脳機能障害といいます。私は、患者支援団体によるピアカウンセリング地域相談会に参加しました。30人ほどの当事者と家族が集まっていました。息子さんが高次脳機能障害となり、転職を繰り返し、「息子の気持ちが分からない」と泣き出すお母さんに対し、家族の皆さんが次々助言をしていました。患者と家族がお互いに悩みを率直に語り合い、解決方法をアドバイスし合う、すばらしい場になっていました。福祉部長、このような相談会は全県何市町村で行われていますか。ピアカウンセリングの委託を受けている団体を更に支援して、相談会を拡充すべきと考えますが、2点、答弁を求めます。
高次脳機能障害は、症状が分かりづらく、診断できる医師も非常に限られています。医師に診断してもらわなければ、支援は何も始まりません。知識を持つ医療機関の存在次第で、この障害者の数が大きく変わってしまいます。例えば、2014年、三芳町から相談があった件数は1件ですが、2021年には18件に増加しています。一方、川越市は2件から2021年に5件と、さほど増加していません。
現在、埼玉県は、高次脳機能障害の診療医療機関を公表していますが、さきの相談会でも、何度医療機関に通っても高次脳機能障害と診断してもらえず、東京の医療機関で初めて診断されたという声がありました。厚労省は、高次脳機能障害の診断を行う協力医療機関や専門機関養成のために、来年度2億円を概算要求しています。福祉部長、昨年の医療機関への研修状況の御報告と、どのように専門的医療機関を増やしていくのか、御答弁ください。
厚生労働省は、高次脳機能障害など多様な精神疾患についての医療連携体制イメージを、拠点となる都道府県の協議の場と、市町村や保健所、医療圏の医療機関などでつくる圏域ごとの協議の場の2つを構築するイメージを示しています。埼玉県でいえば、高次脳機能障害の拠点医療機関は総合リハビリテーションセンターです。私が参加した相談会の皆さんは朝霞市の方たちであり、リハセンはあまりに遠い存在でした。リハセンを拠点として県レベルの協議の場を発展させつつ、圏域ごと、いずれは市町村ごとの協議の場を発展させる必要があると感じます。
私は、この間、愛知県医療的ケア児支援センターを訪問しました。愛知県は、医療的ケア児について、拠点のセンターと圏域ごと6か所の地域センターを設置し、市町村を支援していきます。高次脳機能障害も、県と圏域ごとに拠点をつくり、市町村レベルの支援体制をつくっていくべきです。福祉部長、決意をお示しください。
先ほど取り上げた厚労省の精神疾患についての医療連携体制イメージに基づき、他県では高次脳機能障害を保健医療部で所管しているところもあります。支援団体の中からは、本県においても福祉部ではなく保健医療部の所管とすべきという意見もあります。それだけ、専門医療機関育成が鍵となるのです。しかし、本県では、リハセンを中心に福祉部が所管していく方針です。所管は福祉部であっても、医療と福祉がしっかりと連携し、縦割りを排して高次脳機能障害を支援していくものと考えますが、知事の認識はいかがでしょうか。

A   大野元裕 知事

保健医療部と福祉部とが連携した高次脳機能障害の支援についてであります。
高次脳機能障害は、交通事故や脳血管障害などにより脳が損傷を受け、記憶力や意欲、感情コントロールの低下などによって日常生活や社会生活などに様々な困難が生じる障害とされています。
このため、医療機関での治療やリハビリテーションが一段落した後も、生活能力や対人関係能力を高める訓練、さらには就労に向けた支援なども必要となることから、医療や福祉などの関係機関が御指摘のとおりしっかりと連携し、切れ目なく支援していくことが重要であります。
県では、高次脳機能障害者支援センターを核として、高次脳機能障害者やその御家族からの相談に応じ、就労訓練や生活訓練を実施するとともに、必要に応じて医療や福祉などの適切な専門機関にも縦割り行政を排して紹介をし、支援に結びつけております。
議員お話しの医療と福祉の連携について、県では、病院内のリハビリテーションから地域の福祉サービス事業者への支援のつなぎ方など医療職と福祉職が交流しながら学ぶ合同研修を実施しております。
今後は、オンラインなども活用をし、新たに地域の医療機関と福祉サービス事業所等との事例検討の場を設けることなどにより、医療と福祉が一体となって関係機関がより緊密に連携し、身近な地域で適切な支援を受けられる体制づくりに取り組んでまいります。

A   金子直史 福祉部長

「ピアカウンセリング事業の地域相談会は全県何市町村で行われているのか」についてお答えを申し上げます。
地域相談会は、高次脳機能障害の当事者やその家族が同じ立場で相談に応じ、支えあうことを目的としており、令和3年度は8市町で16回開催し、延べ243人が参加しています。
次に、「事業の委託を受けている団体をさらに支援して、地域相談会を拡充すべき」についてでございます。
地域相談会は、悩みや不安を抱える当事者や御家族にとって極めて有意義であり、より多くの方に参加していただけるように、身近な地域で開催することが必要と考えております。
委託先の団体からは会場の確保に苦労しているとの話を伺っておりますので、今後は、会場の確保を支援するなど、多くの地域で開催できるよう努めてまいります。
次に、「昨年の医療機関への研修状況と、どのように専門的医療機関を増やしていくのか」についてでございます。
令和3年度は、医療関係者向けに、高次脳機能障害の診断のノウハウ等を学んでいただく内容の研修を動画配信により開催し、247人が参加をいたしました。
こうした研修を実施してきたこともあり、県ホームページに公開している高次脳機能障害に対応できる県内の医療機関数は、5年前の59機関から、現在は85機関に増加しております。
今後、地域の医療機関向けの専門研修については、より効果的なものとなるよう内容を検証して充実させるとともに、医師会を通じて参加者を募るなどより多くの医師に受講していただき、専門的な医療を提供できる医療機関の拡充を図ってまいります。
次に、「県と圏域ごとに拠点を作り、市町村レベルの支援体制を作っていくべき。」についてでございます。
県では、高次脳機能障害の支援拠点として、県総合リハビリテーションセンター内に高次脳機能障害者支援センターを設置し、人材育成や研修を実施するとともに、個別に市町村や地域の相談支援事業所等に対する技術的支援などを行っております。
また、県西部と県東部の2カ所の医療機関に高次脳機能障害に関する相談窓口を設置するとともに、さらに地域の支援も行っております。
議員お話しの圏域の拠点については、高次脳機能障害の支援には高い専門性が必要となるため、その機能を担える機関が現時点では確保が難しいことから、現体制でしっかりと支援をしていきたいと考えております。
このため、これまで地域の支援機関を対象に実施している研修等を一層充実させるとともに、市町村や相談支援事業所等に直接出向いて支援を行うなど、高次脳機能障害者やその家族が地域で安心して暮らしていけるよう取り組んでまいります。

 

  • 上記質問・答弁は速報版です。
  • 上記質問・答弁は、一問一答形式でご覧いただけるように編集しているため、正式な会議録とは若干異なります。
  • 氏名の一部にJIS規格第1・第2水準にない文字がある場合、第1・第2水準の漢字で表記しています。 

お問い合わせ

議会事務局 政策調査課  

郵便番号330-9301 埼玉県さいたま市浦和区高砂三丁目15番1号 議事堂1階

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