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掲載日:2022年12月27日

令和4年12月定例会 一般質問 質疑質問・答弁全文(守屋裕子議員)

塙保己一学園の寄宿舎拡充を。県立視覚障害特別支援学校の複数設置を

Q   守屋裕子 議員(共産党)

川越市にある県立特別支援学校塙保己一学園は、創立115年目を迎える児童生徒数108名の視覚障害の学校です。幼稚部、小学部、中学部、高等部から成り、それぞれに一般学級と重複学級があります。さらに、高等部には普通科と専攻科があります。専攻科では、あん摩マッサージ指圧師などを養成しており、皆さん猛勉強して国家試験受験資格を取って、自立していきます。
私は、同学園の視察、また、関係者との懇談の中で、幾つか要望をいただきました。同学園の高等部には、視覚障害のある教員が複数名います。こうした教員たちが力を発揮するためには、サポートする支援者が必要です。障害のある教員のための支援者を配置すべきと考えますが、教育長、どうですか。
次に、同学園のパソコン視聴覚室で使用されるパソコンには、音声読み上げソフトが必要です。しかし、立ち上げに要する時間が長い、作業も遅い、フリーズが多いなど、処理能力が作業に追いつかないため、新しいパソコンを要望しています。視覚障害者の学習にとって、IT機器によるサポートは必要不可欠です。パソコンリース期間を短縮して、常に動作の早い機種を整備すべきですが、教育長の見解をお伺いいたします。
埼玉県には、県立視覚障害特別支援学校が1か所しかありません。そのため、全県から最長2時間かけてスクールバスで通ってくる児童生徒もいます。また、通い切れない小学校3年生以上の児童生徒は、寄宿舎生活をしています。ここにも要望がたくさんあります。
初めに、寄宿舎のWi-Fiについてですが、現在はプレイホールのみWi-Fiが使用でき、各部屋では利用できません。多くの家庭ではWi-Fi利用が当たり前であり、子供たちの生活を保障する観点からも、各部屋で使用できるネットワーク環境が必要です。特に、高等部の生徒は、学習面でもWi-Fi環境の整備が必要です。直ちに整備すべきですが、教育長にお伺いいたします。
寄宿舎、各部屋から浴室に行くためには、屋根のみの渡り廊下を通らなければなりません。横から雨風や雪が入ったり、水たまりが廊下にできると、生徒は見えずに、お風呂上がりに足がつかることもあるのだそうです。私が視察した際も、渡り廊下の床は真っ黒で、雨の日は相当広範囲に水がたまるようです。もうすぐ雪が降る季節であり、直ちに対応していただきたい。教育長、答弁を求めます。
寄宿舎については、週4泊5日の利用を希望する子供たちがたくさんいます。しかし、部屋が足りず、現在は希望に応えられていない状態です。寄宿舎を増築すべきですが、どうか。特に、重複障害を持つ児童生徒の対応は、子供1人に対し、1人、寄宿舎指導員が必要であり、より手厚い体制が求められることから、指導員を増員すべきと考えますが、2点について、教育長、答弁を求めます。
そもそも、県立の視覚障害特別支援学校が1か所であることが問題なんです。青森県には2校、静岡県には3校、愛知県には2校あります。通学時間を短縮し、安全な登校を保障するためにも、県内に複数の視覚障害特別支援学校をつくるべきと考えますが、教育長、どうですか。

A   高田直芳 教育長

まず、視覚障害のある教員のための支援者を配置すべきについてでございます。
塙保己一学園では、視覚障害のある教員も勤務しており、こうした教員に対しては同僚の教員がサポートを行うとともに、事務作業や授業補助など教員の業務を支援するため、県の負担により会計年度任用職員を配置して対応しております。
さらなる人的支援には、新たな財政負担を伴うことから、国に対して、こうした障害のある教員に対する支援のための財政的、制度的措置を講じるよう要望しているところです。
次に、パソコンリース期間を短縮して、つねに動作の早い機種を整備すべきではないかについてでございます。
視覚障害者がパソコンを操作するためには、画面に入力された情報を音声で把握し、マウスを使わずキーボードのみで操作を行うなど独自の技能習得が不可欠です。
そのため、塙保己一学園には音声読み上げ機能や画面拡大機能のある児童生徒用パソコンを整備し、様々な学習活動に活用しております。
県立学校のパソコンの調達については、財政負担の平準化や費用対効果の観点も踏まえ、5年間の長期継続契約としています。
現在のパソコンは令和5年7月に更新時期を迎えることから更新にあたっては、児童生徒の活用状況等について学校から詳細に聞き取りを行い、どの程度のスペックを有するパソコンを導入していくか、検討してまいります。
次に、寄宿舎の各部屋にただちにWi-Fi環境を整備すべきについてでございます。
現在、寄宿舎では、多目的に活用できる「プレイホール」にWi-Fi環境を整備するとともに、個人の通信機器も活用しながら、児童生徒がICTを活用した学習を行っております。
寄宿舎において、児童生徒がICTを活用してより積極的に学習に取り組むためには、必要なWi-Fi環境を整えることは大切であると考えます。
今後、児童生徒のWi-Fiの利用状況などを確認しながら、寄宿舎の各部屋におけるICT環境の整備に努めてまいります。
次に、寄宿舎の渡り廊下についてでございます。
議員お話しのとおり、寄宿舎から浴室を繋ぐ廊下には、屋根はあるものの壁などは設置されていないため、天候によっては雨や風が吹き込む状況がございます。
児童生徒の安全や衛生面を考慮しますと、雨などが床に溜まらないような対策が必要であると考えます。
そのため、渡り廊下の構造や周囲の状況をより詳しく調査の上、実施できる有効な対策について早急に検討してまいります。
次に、寄宿舎を増築すべきについてでございます。
寄宿舎につきましては、自宅が遠距離、あるいは、視覚障害の程度により通学が困難な児童生徒が優先的に利用できるようにしております。
その上で、生活習慣の確立や生活上の知識・技能の習得などを目的とした児童生徒の利用希望も受け入れているため、特定の日に希望が集中した場合などには、全ての希望に沿うことができない状況もございます。
しかしながら、ここ数年、寄宿舎の利用希望者は増加しておらず、増築を検討する状況にはないと考えており、日程調整をより丁寧に行うことにより、できる限り希望に沿った利用ができるよう努めてまいります。
次に、重複障害のある児童生徒の対応のため、寄宿舎指導員を増員すべきについてでございます。
塙保己一学園の寄宿舎指導員については、法令で定められている定数に基づき配置を行っておりますが、法令に定めのない専攻科については、県単独の負担で配置しております。
法令で定められる定数は、重複障害のある児童生徒数が考慮されていないことから、県といたしましては、引き続き、教職員定数の改善について、国に要望してまいります。
次に、県内に複数の視覚障害特別支援学校を作るべきについてでございます。
県では、現在、知的障害特別支援学校の過密解消のため、新校の設置や高校内分校の整備を優先的に進めております。
こうした中、塙保己一学園に在籍する幼児児童生徒数については、増加傾向にないことから、現在のところ、新たな視覚障害特別支援学校を設置する予定はございません。
議員お話しの他県の状況は、いずれも本県をはるかに超える面積を有しており、本県の地理的状況とは大きく異なる事情があるものと思われます。
県といたしましては、県内で唯一の視覚障害を対象とする特別支援学校として、寄宿舎を含めその機能が十分に発揮できるよう、引き続き、塙保己一学園の適切な運営に努めてまいります。

 

  • 上記質問・答弁は速報版です。
  • 上記質問・答弁は、一問一答形式でご覧いただけるように編集しているため、正式な会議録とは若干異なります。
  • 氏名の一部にJIS規格第1・第2水準にない文字がある場合、第1・第2水準の漢字で表記しています。 

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郵便番号330-9301 埼玉県さいたま市浦和区高砂三丁目15番1号 議事堂1階

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