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掲載日:2022年3月30日

令和4年2月定例会 一般質問 質疑質問・答弁全文(渡辺 大議員)

ナッジ理論・行動経済学の導入について

Q  渡辺 大 議員(自民)

このナッジ理論は、昨年お亡くなりになられた木下高志前議長が県議会で提言されたものであります。木下高志県議は、先進的で有益な数多くの提案をしてくださいました。これも、そのうちの一つです。改めて、木下高志議員の御冥福を心よりお祈り申し上げますとともに、生前の御献身に感謝を申し上げます。
ナッジ理論は、いかに人の関心を引き、ある選択まで誘導するかというものです。これは、強制することなく良い方向へ誘導することが可能な実用性が高い理論です。
県庁内の業務遂行においても、県民に対して一定の行動を求める場合でも、このナッジ理論は用いるのと用いないのでは大きな差が生じます。そのため、全庁的に職員の資質リテラシーとして保有しておくべきスキルだと考えます。
具体例がないとイメージしづらいかと思います。例えば、男子便所のハエのマークが描いてあったり、レジの列に足のマークが描いてあるなど、そういった取組が有名です。
また、得をしたうれしさよりも損をしたがっかり感を強く感じるというプロスペクト理論と呼ばれるもの、これもナッジ理論の一つで、これも有名なものですが、例えば大腸がん発見には毎年のリピート受診が必要です。Aグループには検診を受けてもらえれば来年も検査キットを送りますという対象者にとって得になるメッセージを、Bグループには受診しないと来年は検査キットは送付されなくなりますと、これまで自分が享受していたサービスを失う可能性があるメッセージを送りました。この例では、受診率が7.2%向上しました。
こうした理論は、県民への特定の行動を促したい際には常に利用可能なもので、県庁の全職員に要求される県庁職員としての基礎的資質スキルであると考えます。そこで、県庁職員への啓発、研修を実施するべきと考えますが、知事の御所見を伺います。

A   大野元裕 知事

御質問にお答えを申し上げる前に、木下元議員が、このナッジ理論を取り上げていただいたこと、そして、皆さんがこれを共有していただいていることに改めて感謝とお悔やみの気持ちを申し上げます。
さて、ナッジ理論は、比較的少ない費用負担で人々の自発的な望ましい行動を促すことができるため、有効な政策形成手段の一つであると考えます。
本県でもナッジ理論を参考にして、市町村が行っている40歳から74歳の方を対象とした特定健診の受診勧奨の取組などにおいて、連携を図り工夫を凝らしているところであります。
例えば、過去3年間の受診における質問票の結果などから、「健診に行くのが怖い、病気が見つかりそうだから行きたくないと思っているタイプ」と分類された方には、病気が見つかった場合の万全のサポート体制などを分かりやすく表現したハガキを送ることで行動変容を促しております。
しかしながら、ナッジ理論は比較的新しい考え方であることから、本県における取組事例はまだ少数にとどまっているところでございます。
今後、更にナッジ理論を政策に生かしていくためには、職員一人一人がナッジ理論に対する理解を深める必要があると考えております。
今年度は外部講師をお招きして、ナッジ理論など行動経済学の知見を利用する手法について、その可能性、課題や具体的な自治体施策などを内容とする政策法務研修を実施をいたしました。
令和4年度からは、彩の国さいたま人づくり広域連合において、主任級職員を対象とした階層別研修で、政策形成の一手法としてナッジ理論にも触れた講義・演習を予定をしております。
政策を実現するためには、場面に応じて様々な手法を駆使する必要があると考えます。
今後も、議員御指摘のとおり、ナッジ理論を含めた行動経済学を活用した政策形成手段について、研修などにより職員の基礎的なスキルの一つとして身に付けさせ、政策に活用できるよう努めてまいります。

再Q  渡辺 大 議員(自民)

ありがとうございます。非常に良い御答弁だったと思います。ナッジ理論の重要性を共有できたんだなというふうに思います。
このナッジ理論なんですけれども、事業を実施していく際に、このナッジ理論を用いた施策が本当に効果があったかどうかというのを後に検証をするということを前提として事業自体を組まないといけないと思います。例えば、さっきのように一定の文言を書いたケースと書かなかったケースを二つ行って、その二つのどちらにどれだけの効果が出たのかということを、その事業を行う段階から設計していかないといけないという側面があります。事業設計の段階から、効果検証を前提として仕組み作りするということです。
その辺りの効果検証の重要性も知事も重々御承知だと思いますけれども、その点についての御所見を伺います。

再A   大野元裕 知事

ナッジ理論は、行動科学の知見を活用した有効な政策手法ではあります。
しかし、必ずしも万能であるわけではなく、行動変容で解決できなければ、補助金などの財政的手法や法令などの規制的手法といった政策手段と併せて検討をし、県としての政策目標を実現できるように活用しなければならないと考えております。
さらに、人間の行動は様々な要素が複雑に絡んでいるため、その効果検証については、社会科学一般に言えることではありますけれども、事業を進めながら多面的に行わなければ、ナッジによる効果を測ることは困難だと思っています。
まずは、ナッジ理論を参考にして先行的に取り組んだ事例について、客観的なデータを時系列で把握・分析をするなどをし、その有効性を見極めてまいりたいと考えております。

 

  • 上記質問・答弁は速報版です。
  • 上記質問・答弁は、一問一答形式でご覧いただけるように編集しているため、正式な会議録とは若干異なります。
  • 氏名の一部にJIS規格第1・第2水準にない文字がある場合、第1・第2水準の漢字で表記しています。 

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