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掲載日:2021年10月21日
Q 浅野目義英 議員(無所属)
ALSは、運動をつかさどる神経細胞が死滅し、徐々に全身の筋力が弱くなる病気です。進行性の病気で、一般的に発症から3から5年で全身の筋力が失われ、自分で食事や呼吸ができなくなります。現医療では治療法がなく、対症療法の延命治療、つまり気管切開による呼吸器装着しかありません。ALS患者さんは、呼吸器を装着しなければ死を意味するし、呼吸器を装着すれば生を手の中に入れることはできますけれども、絶え間のない絶望からは離れることはできません。延命治療を望まない人は多いのです。
ALS患者さんは、埼玉県で535人、日本では約1万人です。呼吸器をつければ生きられる、つけなければ生きられない。延命希望の方は2割台。理由は、先ほどお話ししたとおりです。執行部の皆さん、呼吸器をつけますか。この厳しい現実を前に、私は粛然とさせられます。希望の光、就労の光、生きがいの光をどうやったらかざすことができるのだろうか、私はいつも思います。
群馬県庁では、総務部財産有効活用課が主導しているようですが、ALSなど重度障害を持つ方が自宅等から分身ロボットOriHimeを遠隔操作し、群馬県庁32階のカフェのスタッフとして働いています。この事業は、分身ロボットを活用した障害者の社会参加事例を多くの方に見てもらいたい、知ってもらいたい、体験していただくことを目的としているようです。
東京都港区では、障害者福祉課が主導していますが、7月から、重度の身体障害などにより働くことが難しい障害者の方を対象に、港区役所1階の福祉売店にて、分身ロボットOriHimeを使った就労機会の創出事業が始められています。
神奈川県庁でも、移動が困難なALSをはじめとした障害者の方が分身ロボットOriHimeを使った在宅勤務により、福祉ショップへの来訪者に対して案内や声かけを実施したようです。
我々が目指さなければならない未来社会は、重度身体障害者でも、ALSなどの難病でも、様々な理由で家から出られない状況の人でも、子供でも、存在や役割を得て、誰かに必要とされている、自分は人のためになっている、自分は生きているを自覚できて、自分を否定しなくなる社会ではないでしょうか。これを共生社会と呼ぶ人もいます。
質問です。
ALS患者さんや肢体不自由の方の就職率は、どんなに偉いことを言う人でも、残念なことに、実態は極めて低いものです。通勤が難しくても、ベッドの上でも、在宅なら働ける、そういったALS患者さん、肢体不自由の方も多いはずです。移動が不可能でも、行きたい場所、行かなければならない場所に、この分身ロボットOriHimeを置くことで、その場にいるかのようなコミュニケーションが可能で、就労の可能性が広がるのです。
実は、このOriHimeは2タイプありまして、もっと大きいものもあります。都内のカフェなどでも活躍しているということをよく聞きます。新しいテクノロジーを活用した、障害者の方々の絶望から脱却をした社会参画、就労の支援を埼玉県として行うことにより、共生社会の実現を図ることはできないか、新しいロールモデルを構築できないか、福祉部長から答弁を求めます。
A 山崎達也 福祉部長
議員お話しのとおり、重い障害があっても社会参加や就労につながることにより、希望や生きがいを持つことができると思います。
それは、誰一人取り残さない社会の実現につながるものだと考えます。
そこで、県では、分身ロボットOriHimeについて、デジタル技術を活用した障害者の社会参画の促進の方策の一つとして研究していきたいというふうに考えております。
民間や他県で活用している例を把握するとともに、ロボット開発者、障害当事者、就労継続支援事業所、企業の方々の御意見をお聞きし、県デジタルトランスフォーメーション推進計画を踏まえた具体的な取組として、今後県として何ができるか検討してまいります。
重い障害のある方が希望と生きがいを持ち、社会の中で自らの能力を発揮することができるよう、県として積極的に取り組んでまいります。
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