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掲載日:2019年6月26日
Q 齊藤邦明議員(自民)
誰もが安心して医療を受けることができる日本、保健医療水準が高く世界一の長寿国となっています。それを支えるものの一つが、越谷市が発祥と言われている国民健康保険制度です。しかし、少子高齢化が進む中で、現在のまま制度を維持していくのは難しく、実情に即した制度改革が必要です。
平成24年12月定例会において、国保運営を県が行うべきではないかという旨の一般質問をしました。その後、平成27年5月27日に、持続可能な医療保険制度を構築するための国民健康保険法等の一部を改正する法律が成立しました。この制度改革により平成30年度からは都道府県が財政運営の責任主体となり、安定的な財政運営や効率的な事業の確保等、国保運営の中心的な役割を担うこととなります。
しかし、スムーズに移行するためには課題を解決する必要があると思います。まずは赤字問題を解決しなければなりません。県からの交付金や負担金、一般会計からの多額な繰り入れにより現在の制度を維持してきた市町村国民健康保険。平成26年度の国保赤字である法定外の一般会計繰入金は、約357億円に上ります。
赤字になる一番の原因は、国保の性質によるものと考えます。他の公的医療保険制度と比べ被保険者に高齢者や所得水準の低い方が多い国民健康保険、一人当たりの医療費が高く、保険税収入が見込みにくいことから財政基盤はとてもぜい弱です。ちなみに全国の被保険者の所得層別世帯数を見ると、所得100万円未満の世帯が52.3パーセントとなっています。
また、家族構成及び所得が同じであれば、医療費水準にかかわらず全ての市町村で国民健康保険税を同額にすべきであると考えます。一人当たりの平均保険税額は、最高額である八潮市の10万7,041円から、最低額である小鹿野町の5万9,538円まで、その差は4万7,503円になります。1.8倍もの開きを埋めるのは簡単なことではないと思います。
なお、県には国民健康保険の実務経験がありません。よって、現場である市町村の声に十分耳を傾けていただきたいと思います。財政面に偏り過ぎず、健康啓発事業にも力を入れる視点で運営していただきたいと思います。そのためにも、県に設置される国民健康保険運営協議会においては、被保険者代表の意見を最大限に尊重する中で、制度改革を進めるべきだと考えます。
そこで、保健医療部長に伺います。
国保制度改革について、今後どのように課題を解決し展開していくのか、御所見をお聞かせ願います。
A 三田一夫 保健医療部長
平成30年度から国民健康保険制度は市町村と県との共同運営となります。
今回の制度改革は、広域化によって財政運営の安定化を図るものですが、持続可能な制度とするためには、収入の確保と医療費の増加を抑制することが大きな課題であります。
まず、赤字の解消において収入面で重要となるのは収納率です。
平成26年度は89.44%で、全国42位です。
県としては、納期内の納付に有効である口座振替を促進するなど、収納対策に係る経費を引き続き助成してまいります。
また、徴収事務に携わる市町村職員の人材育成も進めてまいります。
保険税の設定に当たっては、県は地域の医療費水準や所得水準に応じて、市町村ごとの標準保険税率を算定することとなっております。
市町村では、この標準保険税率を参考に、地域の実情に応じて独自に保険税率を設定することとなります。
収納対策や医療費抑制の取組を進めることにより、将来的には法定外の一般会計繰入金に頼らずに、保険税率を標準保険税率に近づけていくことが市町村の判断ではありますが、できるものと期待しております。
次に、医療費については、その急激な増加を抑制することが重要です。
被保険者に対する直接的な働き掛けは市町村の役割となっており、県には医療費適正化の効果的な取組への支援が求められています。
例えば、レセプトや健診データの分析により、糖尿病ハイリスク者を抽出し保健指導を行う糖尿病重症化予防事業は、今後、具体的な医療費検証を行い啓発普及して、全県の取組としてまいります。
また、新制度においては、県と市町村が共同運営する際の基本的な指針となる国民健康保険運営方針を、県が定めることとされています。
この運営方針には、今後10年間の医療費や財政の見通し、標準的な保険税算定方式、収納対策、医療費適正化などを盛り込むこととされています。
そもそも国民健康保険制度は、戦前の、主に農村部の集落単位の隣人同士が支えあう仕組みであったものを、昭和13年市町村単位の互助組合に拡大されたものです。
戦後、事業の公共性に鑑み、昭和23年、市町村の公営事業とされました。
以来70年、延々と積み重ねてきた市町村のノウハウを、一朝一夕に県の職員が習得することはかないません。
このたびの制度改正でも、個々の給付事業や諸般の手続きは依然として市町村が担います。
運営方針の策定に当たっては、議員お話のとおり、市町村や被保険者の意見を十分踏まえることが重要です。教えていただく気持ちで臨んでおります。
現在、制度運営に関する具体的な課題とその対策について、市町村の担当職員と分野別に協議を進めています。
この協議に基づき素案を取りまとめ、改めて市町村から意見をお聞きしてまいります。
また、法に基づき新たに設置する国民健康保険運営協議会は、こうした国保運営方針などの重要事項を審議する機関となります。
運営協議会には、議員お話の被保険者代表をはじめ、医療関係者の代表、公益代表、健康保険組合などの代表の方々に参加いただきます。
この協議会において、被保険者の方の御意見を伺い、専門的あるいは全県的な見地からの審議を経て、最終的に答申をいただきます。
関係各位の共通認識の下、新制度への円滑な移行を進めてまいります。
その上で、相互に扶助し、隣人同士支え合う理念にのっとり、被保険者200万人にとって最良の保険制度となるよう努めてまいります。
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