ページ番号:268322

掲載日:2025年6月2日

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伝染性紅斑


1 伝染性紅斑について

2 主な症状

3 感染経路

4 治療方法

5 予防・対策

1 伝染性紅斑(リンゴ病)について

概要 

伝染性紅斑(いわゆる「リンゴ病」)は、ヒトパルボウイルスB19というウイルスに感染することによって起こる、紅斑(赤い発疹)を主症状とする発疹性の疾患です。

発疹が出てくる前にかぜ様症状を認めることも多く、その7日~10日後に、顔の頬部(ほほ)に境界明瞭な紅斑が現れます。その様子からリンゴ病とも呼ばれます。顔の紅斑に次いで、体や手・足の外側などにレース様の紅斑が出現することも特徴です。これらの発疹は1週間前後で消失しますが、なかには長引いたり、一度消えた発疹が短期間のうちに再び出現したりすることもあります。

発疹が出現する前の微熱やかぜ様症状が出ている時期にウイルスの排出が最も多く、周囲への感染に注意が必要な時期となります。頬に紅斑が出現してから伝染性紅斑と診断された場合には、診断時においてウイルスの排出はすでにほとんどないため、感染力もほぼ消失しているとされています。

幼少児(2~12歳)に多い疾患といわれていますが、乳児や成人が罹患することもあります。

成人では特徴的な発疹が出現しない場合や症状の目立たない不顕性感染も多く、感染していることに気づかない場合も多いと考えられています。

伝染性紅斑はほぼ5年周期で流行を繰り返しており、最近では、2024年11月以降、2025年3月にかけて大きな流行が認められました。一旦減少しましたが、同年4月以降、報告が多い状況が続いています(2025年5月現在)。

 

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その他(感染症法等に基づく取り扱い)

感染症法では、五類感染症(定点把握対象)として定められ、小児科定点医療機関から毎週患者数が報告されています。学校保健安全法施行規則に基づく「出席停止期間」は明確には定められていません。発疹期には感染力はほとんど消失しているので、発疹のみで全身状態がいい場合には登校(園)可能です。ただし、病状や周囲の感染状況などの条件によっては、第3種感染症の「その他の感染症」として、学校医、その他の医師において感染の恐れがないと認めるまでの期間、出席停止の措置が必要と考えられる場合があります。

2 主な症状

臨床的特徴

10日~20日の潜伏期間の後、両頬に境界鮮明な紅斑が現れます。続いて体や手・足に網目状の紅斑がひろがります。これらの紅斑は、通常1週間程度で消失します。多くの場合、紅斑が出現する7~10日前に、微熱やかぜ様症状がみられ、この時期にウイルスの排出が最も多くなります。紅斑が現れる時期になるとウイルスの排出量は低下し、感染力もほぼ消失します。

紅斑の他に発熱、関節痛、咽頭痛、鼻症状、粘膜疹、リンパ節腫脹、関節炎を合併することもありますが、予後は通常良好でほとんどは合併症を起こすことなく自然に回復します。中には長引いたり、一度消えた発疹が短期間のうちに再び出現したりすることがあります。成人では、半数以上が感染しても症状が目立たない不顕性感染であるため、感染していることに気づいていない場合も多くあります。

溶血性貧血患者では、汎血球減少を起こすことがあります。また、妊婦(特に28週未満)が感染した場合、胎児にも感染し、胎児の異常(胎児水腫)などの重篤な状態や、流産、死産のリスクとなることがあります。

診断法 

通常は特徴的な症状などから臨床診断されます。確定診断は、血液での抗体検査や病原体遺伝子の検出によります。

3 感染経路

感染経路

主に、感染した人の咳のしぶき(飛沫)を吸い込むことによる感染(飛沫感染)、感染者と接触したりすることによる感染(接触感染)によって感染します。このほか、母子感染(胎内感染)が知られています。

感染期間

紅斑が出現する7~10日前に、微熱やかぜ様症状が見られ、この時期にウイルスの排出が最も多くなるため、周囲への感染の可能性が高くなります。紅斑が現れる時期にはウイルスの排出量は低下し、感染力はほぼ消失します。

4 治療方法

治療

基本的には軽い症状のことが多く、経過観察を含め症状に応じた対症療法が行われます。免疫不全者、溶血性貧血患者などではγ-グロブリン製剤の投与が考慮されます。

5 予防・対策

感染予防

排出ウイルス量が多い時期(かぜ様症状の時期)には伝染性紅斑に特徴的な症状が現れないので、かぜ様症状があった場合には周囲への感染に注意が必要です。手洗いや咳エチケットなど基本的な感染予防策を行うことが大切です。

妊娠されている場合などは、流行時におけるかぜ様症状のある人との接触に気をつけましょう。

 

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参考文献:
「学校、幼稚園、保育所において予防すべき感染症の解説 | 日本小児科学会 予防接種・感染症対策委員会 2020年5月改訂版(外部サイト)
https://www.jpeds.or.jp/uploads/files/yobo_kansensho_20200522.pdf.pdf(別ウィンドウで開きます)

一般的な感染症対策 学校において予防すべき感染症の解説(※公益財団法人日本学校保健会ホームページ) | 文部科学省(外部サイト)
https://www.mext.go.jp/a_menu/kenko/hoken/1353635.htm(別ウィンドウで開きます)

学校における感染症発生時の対応第3版 令和4年3月 埼玉県学校保健会・埼玉県教育委員会 | 埼玉県(外部サイト)
https://www.pref.saitama.lg.jp/documents/20613/kansen_taiou_dai3.pdf(別ウィンドウで開きます)

お問い合わせ

保健医療部 感染症対策課   感染症担当

郵便番号330-9301 埼玉県さいたま市浦和区高砂三丁目15番1号 本庁舎4階

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