(1)家具の固定 ~命を守る3つの自助の取組~
家具の固定をしましょう
マグニチュード7クラスの首都直下地震は今後30年以内に70%の確率で発生し、最新の埼玉県被害想定調査結果では、県南東部の11市区に震度6強の揺れが発生すると想定されています。
首都直下地震の被害イメージと近いとされている阪神・淡路大震災では死者数は6,434人に及び、死者の80%以上が家屋の倒壊や家具等の転倒による圧迫死でした。“自分の命、安全は自分で守る”ためには、必ず家具や家電製品の固定をしておきましょう。
リーフレット『家具の固定をしましょう』はコチラから
1.家具の固定のポイント
家具類の転倒・落下・移動防止対策の考え方

※出典:東京消防庁『家具類の転倒・落下・移動防止対策ハンドブック』
- 集中収納(居住収納分類)
- 家具類のレイアウト上の工夫
- 家具類の転倒・落下防止対策
- 家具類の移動防止対策
(1)まずは安全空間の確保(家具の配置などを工夫する)

- 避難の妨げとなる場所(出入口付近、廊下、階段等)には家具を置かない。
- 寝室や幼児・高齢者がいる部屋にはなるべく家具を置かない。
- 地震時の出火を防ぐため、火気の周辺に家具を置かない。
- 家具の上にガラス製品等落下すると危険なものは置かない。
- 重いものを下の方に収納し、倒れにくくする。
(2)家具を固定する方法は?

原則は、L型金具等で壁下地(柱、間柱、胴縁等)にネジで固定する。
それが難しければ、ポール式器具(つっぱり棒)とストッパーないしマット式器具を組み合わせるとよい。
※L型金具等→L型金具、ベルト式器具、チェーン式器具等
特に重要なポイント

(1)寝ている場所、(2)よくいる場所(タ゛イニンク゛、キッチン、子供部屋等)、(3)避難経路は、家具や家電製品が倒れてこないようにする。

2.固定器具の効果
固定器具の効果

L型金具等で壁下地にネジで固定する方法が効果の高い方法です。
ポール式器具(つっぱり棒)の場合は、ストッパーないしマット式器具を組み合わせる、単独で使用するよりも効果が高くなります。
※固定器具は正しい使い方(取付方法)があります。取り付け場所や取り付け方法によって「固定強度」が異なってくるので、注意しましょう。

※出典:東京消防庁『家具類の転倒・落下・移動防止対策ハンドブック』
3.L型金具の取り付け
壁に固定する場合のポイント

- 転倒・落下・移動防止対策の基本は、ネジによる固定です。その場合、家具を固定する対象は、壁下地の柱、間柱、胴縁等とします。
- 木ネジは長めのものを使用し、ネジ頭までしっかりねじ込みます。
- 付け鴨居は、強度が確認された場合、これに固定することが可能です。
- 上下2段式の家具など、やむを得ず積み重ねる場合は金具などで連結します。

L型金具の取り付け(家具の天板に強度がない場合)

家具の天板の後ろ側にしっかりとした桟の入っていないものは、家具の幅全体に板を渡しネジ止めしてから金具を取り付けます。
金具をネジ止めする際には、長めの木ネジを使用して取り付けてください。

付け鴨居に固定する場合

居室の壁に付け鴨居や長押、横木などがある場合は、ベルト式やチェーン式などの器具を使って固定する方法があります。
従来の木造住宅は、真壁構造が多く、付け鴨居は構造部材の一つで強度がありますが、最近の木造住宅は大壁構造となっており、付け鴨居は石膏ボードに接着されているものが多くなっています。
【ポイント】付け鴨居等が石膏ボードに接着剤で付けられている構造の場合は、付け鴨居等を間柱等に木ネジで止めた上で、対策器具を取り付けます。

4.ポール式・ストッパー式器具の取り付け
ポール式(つっぱり棒)の取付けポイント

- ポール式器具は、家具の両側の側板部の壁側奥に設置します。
- ポール式器具はできるだけ奥に取付けます。
- ポール式器具を取り付ける時は天井に十分な強度(マンションのコンクリート天井など)があることを確認します。
- 天井に強度がない場合には、天井側に家具の幅以上の板で補強し、更にポール式と当て板をネジで固定すると効果が高くなります。
- ポール式器具は奥行きのない家具、天井との間隔が大きい場合には不向きです。
- ストッパー式器具は家具の端から端まで敷きます。
※ストッパー式やマット式の単独使用は、大きな家具の場合は一般的に適しません。

5.家電製品の固定
冷蔵庫の転倒・防止対策のポイント

- 冷蔵庫の背面上部のベルト取付け部分と壁とをベルトで連結すると、効果が高くなります。
- 冷蔵庫は、移動や転倒したときに備え、避難の障害にならないように置き方を工夫しましょう。
- 冷蔵庫の固定脚を引き出し、ロックするとともに、必ず上部固定も併用しましょう。

テレビの転倒・落下・移動防止対策のポイント

- 床、壁に固定されたテレビ台とテレビを直接固定するのが最も確実な方法です。
- ストラップを使って連結・固定する場合は、テレビ本体の形状・重量に応じて本数を増やすことが重要です。(4本以上)
- 粘着性マットで固定する場合は重量、台座の形状のほかに、取付け面の凹凸にも注意しましょう(凹凸が大きいと粘着しない。)。
- 壁等とヒートンを使用して固定する場合は壁の強度と、テレビの重量に耐えるヒートンや紐の太さ、強度を確認しましょう。
- 取り扱い説明書に従い固定しましょう。
- キャスター付きのテレビ台は、移動防止対策をしておくことが重要です。


【出典】東京消防庁『家具類の転倒・落下・移動防止対策ハンドブック』
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