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掲載日:2021年9月1日
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統計調査には、調査の対象となっている集団の構成単位すべてを調査する全数調査(悉皆調査)と、集団の構成単位の一部を調べて母集団全体の様子を知ろうとする標本調査があります。実際の調査では、全数調査を行って調査の対象となる単位をすべて調査することのほうがよいように考えられますが、標本調査にもいくつかの利点があり現在は多くの調査が標本調査によってなされています。
なお、標本調査の目的が、標本についての観察結果から、もとの統計集団についてその集団性の記述を行うことにありますから、標本はもとの統計集団のできるだけ完全な縮図になっていることが必要となります。実際の標本設計では、次に記述する各種の統計抽出法をその調査の内容に応じ組み合わせて実施することにより、より精度の高い調査結果を導くことが大切です。
母集団から標本を抽出するに当たって、抽出単位又はその集団ごとに確率を用いる抽出方法を無作為抽出法といいます。無作為抽出法は、簡単に言えばくじ引きです。このくじ引きを行うにあたっては、対象となる集団のフレーム(調査の対象となる集団の名簿や台帳)や抽出単位、確率が明らかになっていなければなりません。
抽出フレームとしてよく使われるものに、(1)国勢調査調査区 (2)住民基本台帳 (3)選挙人名簿 (4)経済センサス調査区 (5)事業所名簿があります。
一方、母集団から標本を抽出するにあたって、乱数表などを使って確率的に選ぶのではなく、調査の企画者がその知識、経験等により「典型的」あるいは「代表的」であるとして抽出する方法を有意抽出法といいます。
無作為標本には客観性がありますが、有意標本には客観性が乏しくなります。また、有意標本による調査結果は企画者には価値があってもそれ以外の人にもそうであるとは限りません。ですから、無作為標本のほうが一般的であると言えます。
しかしながら、確率抽出が困難なとき、又は、大規模調査の前に農村地区や新興住宅地区などにおける調査方法の適否などを確認するための試験調査などには、有意抽出のほうがよい場合があります。
どの抽出単位も抽出される確率が等しい抽出方法を、単純無作為抽出法といいます。単純無作為抽出法は、あらゆる抽出方法の中で最も基本的なものです。
しかし、単純無作為抽出法は母集団が比較的小さい場合は問題ありまんせんが、数万、数十万といった人間の集団を扱う場合、実施することがきわめて困難となります。
フレーム(名簿や調査区リスト)から標本を抽出するとき、ある規則性を持たせて抽出する方法を系統抽出法といいます。系統抽出法のなかで、最も基本的なのは等間隔抽出法といわれるものです。
(例)800人の中から、40人を抽出する場合
人や世帯、事業所を調査するにあたって、調査区を設定して調査区のリストをつくり、単純無作為又は系統抽出法などにより調査区を選び出し、その調査区に所在する世帯や事業所などをすべて調べる方法です。
この抽出法は、各集落間のばらつきが小さければ、どの集落を選択しても結果に大きな振れが出ないので精度は高くなります。
母集団を、いくつかの部分母集団(層化)に分割し、各部分母集団から標本を抽出する方法を層化抽出法といいます。
【比例配分法】
層化抽出法で、各層の大きさに比例させて抽出数を配分し、抽出する方法を比例配分法といいます。
【ネイマン配分法】
抽出数を層の大きさに比例させるとともに、層内の特定項目の標準偏差にも比例させて配分するのがネイマン配分法です。ネイマン配分法では、標準偏差が著しく大きい層(データのばらつきが大きい層)があると、その層の抽出率を1にして、全数抽出することがあります。
例えば、ある地域の企業の生産高を推定するのに、企業の設備で層化していくと、大規模になるほど企業数は少なくなり、生産高のばらつきも著しく大きくなる傾向があります。このようなとき、ある一定規模以上の大企業については全数を調べ、それ以外の中小企業については抽出により調査し、生産高を推定します。
抽出を二段階に分けて標本を作成すること二段抽出方法といいます。
初めに調査区を設定し、次に抽出された調査区の中から世帯を抽出する方法がこれにあたります。二段抽出法は、概して一段抽出法による結果より精度は悪くなります。その理由としては、二段抽出法では標本誤差が一段目と二段目に生じて、これが加算されるためです。
二段抽出法では、通常、第一次抽出により深い注意を払う必要があります。第一次抽出で各抽出単位に大きなばらつきがあると、いくら第二次抽出で工夫しても精度に関する効果は少なくなるからです。
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