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掲載日:2022年10月19日

令和4年9月定例会 一般質問 質疑質問・答弁全文(前原かづえ議員)

 学校にいけない子どもたちの学ぶ権利を守るのは行政の義務

Q   前原かづえ 議員(共産党)

県内小中学校における不登校児童生徒数は、2020年度8,934人と少子化にもかかわらず年々増加し最高数となっています。9,000人近い児童生徒が学校を否定していることは重大な問題です。中学校時代不登校であった千葉工業大学準教授の福嶋尚子さんは、「行きづらい場所、生きることがしづらい場所、それが私にとっての学校だ」と指摘しています。
不登校対策のまず大前提として、小中高校など学校が行きづらい場所ではなくなることが必要です。具体的には、更に少人数学級の拡大や教員の定数増、競争的な教育の改善、部活動での暴力廃絶など教育環境の整備に全力を挙げるべきです。
県教委は、いじめ・不登校対策として全小中学校スクールカウンセラー配置などに努力してきました。しかし、1小学校に月に1回、半日滞在するだけ。1人の方がたくさんの学校を巡回しています。スクールカウンセラーを更に拡充すべきと考えますが、教育長、答弁を求めます。
県教委は、県立戸田翔陽高校内にモデル事業として不登校生徒支援教室「いっぽ」を9月から本格的にスタートしました。県教委が場所、教員やボランティア確保に責任を持って実施することは高く評価します。戸田翔陽高校との連携の中で得られるものも大きいと思います。しかし、学校内施設である「いっぽ」に通える状態の不登校生徒はごく一部だということ、また、県内1か所では不十分です。
党県議団は、栃木県高根沢町にある町立フリースペース「ひよこの家」を視察しました。20年目に入った「ひよこの家」は、いわゆる適応指導教室と違い、学校へ戻ることを目的としていません。築100年の古民家を借り受け、土間が広く、いろりがあり、まきストーブがあります。あえて教育機関、行政機関から離れた場所を探したとのこと。学校や制服、ジャージを見るだけでも泣いてしまう子が多かったという理由です。
活動の第一は、心の充電です。毎日やることは話し合いで決めます。給食もほかの学校と同じ物が出ます。近隣市町からも児童が集まり、150人の卒業生を送り出しました。何より学ぶべきだと感じたのは、「学校に行けない子供たちの権利を守るのは、町の義務だ」と語った高根沢町の姿勢です。
教育長に伺います。
不登校生徒支援教室「いっぽ」は、子供たちの気持ちを尊重していただきたい、学校復帰や進学、まして支援教室に毎日登校することなど数値目標としない教室にすること。また、「いっぽ」のほかにもモデル事業を複数実施すること。「ひよこの家」なども研究し、モデル事業に取り入れること。以上3点、答弁を求めます。

A 高田直芳 教育長

まず、スクールカウンセラーをさらに拡充すべきについてでございます。
県内公立小・中学校における不登校児童生徒数は、全国の状況と同様に、近年、増加傾向が続いており、全ての児童生徒の学ぶ機会の確保という観点からは、大きな課題であると受け止めております。
まずは、児童生徒一人ひとりが充実した学校生活を送り、安心して教育を受けられる学校づくりを進めていくことが重要です。
そのためには、教育相談体制を充実することが必要であり、担任や養護教諭などの教員やスクールカウンセラー等の専門スタッフによる組織的な体制を整備することが求められます。
県では、スクールカウンセラーを平成19年度からさいたま市を除く全公立中学校に、令和元年度からは全公立小学校に配置し、教育相談体制の整備を図ってまいりました。
スクールカウンセラーの配置については、現在の体制による効果なども見ながら、引き続き検討してまいります。
次に、不登校生徒支援教室「いっぽ」は子どもの気持ちを尊重し、学校復帰や進学、まして支援教室に毎日登校することなどを数値目標としない教室にすることについてでございます。
平成29年3月に文部科学省が「義務教育の段階における普通教育に相当する教育の機会の確保等に関する基本指針」を定めました。
この指針では、不登校児童生徒への支援に際しては、登校という結果のみを目標とするのではなく、児童生徒が自らの進路を主体的に捉えて、社会的に自立することを目指す必要があるとされております。
県立戸田翔陽高等学校の校舎内に設置した不登校生徒支援教室、通称「いっぽ」は、不登校児童生徒への多様な教育機会の充実に関するモデル事業として、令和4年5月に開設いたしました。
戸田市教育委員会と連携し、戸田市立中学校に在籍する不登校生徒を対象とした教室として、9月からは学習支援を開始しております。
この教室については、文部科学省の基本指針を踏まえ、生徒の意向を踏まえることを第一にしており、学校復帰や毎日教室に来ることなどを目標にするのではなく、生徒自身が教室の利用計画を作成し、それぞれのペースで学びを深めることを支援するなど、生徒の主体性を尊重する方針で運営してまいります。
次に、「いっぽ」の他にもモデル事業を複数実施することについてでございます。
議員御指摘のとおり、不登校の生徒は「いっぽ」に通えるエネルギーのある生徒ばかりではないことから、そうした子供たちに対する支援も必要です。
そのため、支援教室「いっぽ」のモデル事業においては、毎日教室に通うことが難しいような子供たちに対する支援策についても研究していくこととしております。
まずは、今年度から取り組み始めたこの事業を2年間実施し、成果を検証してまいります。
次に、「ひよこの家」なども研究をし、モデル事業にとりいれることについてでございます。
栃木県高根沢町における「ひよこの家」では、学校に通うことができない子供たちが安心して心を休めることのできる居場所づくりを目指して、様々な取組を実施していると承知しております。
支援教室「いっぽ」のモデル事業において、この「ひよこの家」の取組も参考に実践を重ね、その成果や課題を県内市町村に発信し、個々の不登校児童生徒に応じた支援の充実を図ってまいります。

 

  • 上記質問・答弁は速報版です。
  • 上記質問・答弁は、一問一答形式でご覧いただけるように編集しているため、正式な会議録とは若干異なります。
  • 氏名の一部にJIS規格第1・第2水準にない文字がある場合、第1・第2水準の漢字で表記しています。 

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