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掲載日:2022年10月19日
Q 前原かづえ 議員(共産党)
社会学者の橋本健二早稲田大学教授は、2019年と2020年の平均年収について、商工業の自営業者・家族従業者、農民は127万円も減少し、貧困率が4.9%以上上昇したと発表しています。
県は、コロナ禍や物価高騰の影響を受けた生活困窮者を各種支援機関に着実につなぐため、食料品や生活必需品を配布しながら相談に乗る生活困りごと相談会を提案しています。支援機関と困窮者がつながる一歩として大事な取組ですが、どこまで相談者が来てくれるのかが不透明です。生活に困っている県民の生活を直接的に支援すべきです。岩手県や秋田県、新潟県では、物価高騰の影響を受けた生活困窮者への灯油代の補助を行うことを決めました。知事、埼玉でも実践すべきではありませんか。
私は先日、埼玉県生活と健康を守る会と県の懇談に同席しました。生活と健康を守る会は、困窮者の生活保護受給に尽力しています。同会は、「生活保護の申請に行ったら3時間かかった。扶養照会すると言われて、二の足を踏んでしまう相談者がいる」と訴えておられました。生活保護の申請窓口では、まだこうしたことが行われています。
福祉部長、憲法第25条に基づくなら、生活保護は当然の権利ではないですか。こうした窓口対応をなくす決意をお聞かせください。
また、相模原市では「生活保護の申請は権利です」というカラーポスターを作り活用しています。このようなポスターを県が作成し、市町村には活用を促すべきです。この点についても答弁を求めます。
子供の学習支援などに取り組む認定NPO法人キッズドアがこの8月に実施したアンケートによると、新型コロナ感染症流行前と比べて収入が減った世帯が約7割。中でも、今も収入が減ったままだという世帯が5割に上り、子育て困窮世帯に深刻な状況が続いていることが明らかになりました。
夏休みが終わると、げっそりとやせてくる子供もいると聞いています。千葉県が学校給食の第三子以降無償化措置を検討しています。本県でも給食費の無償化のために、市町村への助成制度を創設すべきです。知事の答弁を求めます。
また、来年4月に向けて県立高等学校のタブレットの購入が保護者に通知されています。保護者からも、教育現場からも、コロナと物価高でこれほど苦しいときになぜ今との声が上がっています。
教育長、県で全生徒分を購入すべきと考えますが、いかがですか。全生徒分購入が無理であれば、購入困難な生徒分を購入し、3年間貸与という形にしていただきたいのですが、いかがでしょうか。
A 大野元裕 知事
生活困窮者への灯油代補助についてでございます。
国は、長引くコロナ禍の中、生活に困窮する世帯の暮らしを支援するため、住民税非課税世帯や家計急変世帯を対象に臨時特別給付金10万円を給付してまいりました。
さらに、現下の物価高騰の厳しい状況を受けて、国において、低所得世帯を対象に5万円を給付する「電力・ガス・食料品等価格高騰緊急支援給付金」の実施が予定をされているところでございます。
こうしたことから、現時点においては、県として独自に補助を実施する予定はございません。
次に、給食費の無償化のために、市町村への助成制度を創設するべきについてであります。
義務教育諸学校の学校給食費につきましては、学校給食法第11条第2項で給食を受ける児童生徒の保護者の負担とすることが明記されています。
これを踏まえ、各学校では、栄養バランス等と保護者の負担を考慮し、工夫しながらできるだけ安価で提供するよう努めております。
こうした中、最近の物価高騰の影響を受けた食材の値上がりを踏まえ、国において、緊急的な措置として「新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金」を活用し、学校給食における保護者の負担軽減に向けた自治体の取組を支援する制度が設けられました。
国が実施した調査では、7月時点で県内市町村の8割以上がこの臨時交付金を活用し、学校給食費の保護者負担の軽減に向けた取組を「行う」、又は「行う予定である」としております。
急激な物価高騰の影響に対しては、このように国における制度の活用をそれぞれの設置者において判断していただくべきものと考えます。
また、義務教育諸学校における学校給食の実施を担う市町村等は、学校給食費につきましても、それぞれの実情に応じ、法の趣旨を踏まえ、自主的に判断するべきものと捉えております。
他方、物価高騰が一時的なものではなく、影響が長期間にわたる場合には、学校給食費も含め、国が全国的な対策を講ずべきものと考えます。
そのため、県といたしましては、物価高騰が長期間にわたる場合には、国の責任において財源を含め具体的な施策を示すよう要望したところでございます。
A 金子直史 福祉部長
生活保護の申請窓口の対応についてお答えを申し上げます。
生活に困窮する方は誰にでも生活保護を受給する権利があり、これを侵害することはもとより、侵害していると疑われるような行為についても厳に慎まなければなりません。
議員お話しの生活保護の窓口で申請を受理するまでに長い時間をかけたり、親族に扶養照会することを強調して申請をためらわせるようなことがあってはならないと考えます。
県は福祉事務所に対し、生活保護の申請窓口で申請する意思が確認された場合には速やかに申請を受理するよう指導してまいりましたが、今後も改めて研修や監査の場などを通じて徹底してまいります。
次に、「生活保護の申請は権利です」というポスターを県が作成し、市町村に活用を促すべきについてでございます。
国のホームページでは、「生活保護の申請は国民の権利です」と明記しています。
また、本県でも、生活保護に関するホームページを作成し、その中で「生活保護を申請する権利はすべての国民に無差別平等に与えられた権利です」と明記しています。
ポスターの作製は考えておりませんが、県福祉事務所において、生活保護の相談の際に用いる「保護のしおり」の中にも同様の趣旨を新たに記載して、配布してまいります。
A 高田直芳 教育長
まず、県立高等学校のタブレット端末は県で全生徒分を購入すべきについてでございます。
国が令和元年に示したGIGAスクール構想を受け、令和2年度には、国における一定の財源措置のもと、小中学校の児童生徒に対する1人1台端末環境が整備されたところでございます。
国は、高等学校においても、小中学校から切れ目のない環境で学ぶことができるよう、1人1台の学習者用コンピュータ端末環境を整備することを求めております。
県では、県立高校の生徒数が10万人を超えることから、莫大な財源が必要となり、速やかに1人1台の端末環境を整備することが困難であることを踏まえ、生徒が所有するタブレット端末等を学校で教育活動に使用して、1人1台端末の環境を目指すこととしたところです。
GIGAスクール構想は、国が全国的に進めているものであり、本来、高校生の学習用コンピュータの整備についても、国の財源措置がなされるべきものと考えております。
そのため、学習者用コンピュータの整備に係る財源について、国に対して要望しているところであり、今後とも、機会を捉えて働きかけてまいります。
次に、購入困難な生徒分を購入し、3年間貸与という形にしてはどうかについてでございます。
経済的理由によりタブレット端末等の購入が困難な生徒が一定数いることを踏まえ、県では、それらの全体の必要数を見込んだ上で、タブレット端末を公費で整備しております。
このタブレット端末を必要な期間貸与し、全ての生徒がタブレット端末環境で学習できるよう対応してまいります。
再Q 前原かづえ 議員(共産党)
文科省は9日に、物価高騰の影響を受けて1,491自治体が小学校学校給食費の保護者負担の軽減に取り組んでいるというふうに発表されています。給食費の無償についてということで知事の方からもお話がありましたけれども、やっぱり食育という観点からも給食は子供たちにとって大切な教材の一つでありますので、子育て支援策としても無償化に県が取り組むことという、このことについて実施に向けての姿勢を是非示していただきたいなと思いますので、知事に御答弁をお願いいたします。
再A 大野元裕 知事
「給食費の保護者負担軽減について、食育という観点から大切なものなので、県が無償化に取り組むという姿勢を示すこと」についての御質問がございました。
先ほども申し上げましたけれども、義務教育諸学校の学校給食につきましては、学校給食法第11条第2項で給食を受ける児童生徒の保護者の負担とすると法律で定められております。
そこで、この件につきまして我々としても検討をし、必要な場合には国に対して法律を変えなければなりませんので、働きかけを行っていきたいと考えております。
再々Q 前原かづえ 議員(共産党)
学校給食費の無償化の問題について、今、知事が制度、法律を変えなくてはだめだという御答弁だったんですけれども、埼玉県内でも、それから全国的にも自治体の考え方で無償化をやっていますし、やっぱり要求はすごく大きいと思うんですね。だから、法律を変えなくても、そういう制度を変えなくてもやれているわけですから、埼玉県がこれをやって子育てを応援しているよという、そういうことを発信していただきたいなと思いまして、再度質問いたします。
再々A 大野元裕 知事
「学校給食に関して、県が率先をして無償化に向けて取り組んでいく姿勢を示せ」ということだと理解をさせていただいておりますが、先ほど申し上げたとおり、学校給食法第11条第2項で給食を受ける児童生徒の保護者の負担とするというまず法律があり、それを踏まえた上で、設置者が検討するべき問題でございます。
ただし、今回取組が行われたのは物価高騰の影響を受けた緊急的な措置として、国の交付金を活用し、自治体、つまり設置者である市町村がこれを実施するという制度と理解をしておりますので、我々といたしましても、国に対して食育等の働きかけは今後とも引き続き行っていきたいと思いますけれども、やはり、無償を制度として作るためには、私は法律から取り組むべきだと考えております。
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