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掲載日:2022年7月12日
Q 蒲生徳明 議員(公明)
県が令和4年5月に公表した埼玉県医療的ケア児者等の実態調査の結果によると、日常的に医療的ケアが必要な児童、医療的ケア児で回答のあった336人のうち、「主に母親がケアを行っている」との回答は325人と約97%を占め、母親に負担が集中していることが浮き彫りになっています。
また、「医療的ケア児のそばをひと時も離れられない」について、「当てはまる」「まあ当てはまる」と回答した人の割合が5割を超え、さらに日常生活の項目では、「利用希望があるが利用できないサービス」について、「通学の支援(スクールバスの利用)」と回答した人が63人で最も多かったとのことです。このことから、医療的ケア児を育てる母親は、子供のそばをひとときも離れられず負担が集中していること、通学にスクールバスを利用したくても利用できない人が相当いるという実態がうかがえます。
先日、この4月から県立特別支援学校の小学部1年に我が子を通わせる母親から我が団に相談がありました。
その方は3人の子育て中で、特別支援学校へは、2歳の子を保育所に預けてから、0歳児の子を抱え、自身が運転する車で毎日一緒に登校します。1日授業に付き添い、一緒に下校することが日常となっていて、これでは仕事に就くことはもちろん、毎日の家事にも支障があるとの切実な声でした。
このお子さんは肺に重い障害があり、常に酸素が必要で、ボンベと管でつながっています。就学に当たって地元市と協議を重ね、県立特別支援学校へ通うことになりました。しかし、入学してみると、学校側から、「酸素ボンベについて自己管理が難しく、また危険物に当たるため、スクールバスには乗車できません。看護教員によるボンベの交換の引継ぎができるまでは授業にも付き添ってください」と言われました。この支援学校では、乗車中にケアが必要となるという理由で、同じくスクールバスを利用できないお子さんが5人いらっしゃいます。
今回の相談内容を確認するために、相談者のお子さんが通う学校に、相談を受けた塩野議員と訪問し、校長先生にお話を伺い、状況を見てきました。
驚いたのは、約50人もいる医療的ケア児を、この学校では現在3人の看護師資格のある教員、いわゆる看護教員で対応しています。私は、事故が起こらないかと心配になりました。県では、各県立特別支援学校に看護教員を配置して医療的ケアを行っていますが、「授業に関わりながら子供の状況を見てケアを行うためには、ケアとともに教員としての関わりが重要になります」と、校長先生は話していました。
そこで、学校での医療的ケアを安全・安心に実施するためには、各支援学校の状況に応じた教員の加配など支援体制の充実が必要であると考えます。そこで、支援体制の充実に向けた教育長の考えをお聞きします。
お話しした相談者ですが、この6月に、大学病院から派遣される医師に看護教員への引継ぎ状況を見ていただき、学校での保護者の待機がなくなったそうです。良い方向ですが、登校に保護者の付添いが必要なことは変わりません。
令和3年9月、医療的ケア児及びその家族に対する支援に関する法律が施行されました。学校の設置者は、保護者の付添いがなくても適切な医療的ケアを受けられるよう看護師等を配置し、適切な支援を行うことが法律で義務付けられています。
県教育委員会では、今年1月から医療的ケアの必要なお子さんの送迎に福祉タクシーの利用を可能にしました。しかし、乗車には原則、保護者の同乗が必要です。つまり、保護者の同乗なしに登校できるようにするためには看護師等が同乗する必要があり、この壁を乗り越える必要があります。
そこで、医療的ケア児が保護者の付添いなしで登校を可能にする方策を考える必要がありますが、この点についても教育長の考えを伺います。
このように、通学支援の例をとってみても、福祉タクシーの利用で保護者自身が運転する負担がなくなるのは一歩前進。しかし、保護者の付添いが必要という課題は残ります。一つの前進は、同時に新たな課題を生み、それに対応しなければならない環境が生まれ、そこには対応できないと困る人たちがいるという現実が生まれます。そのたびごとに、調整と克服を学校だけに任せてよいのかと私は思います。報道によると、県は新たに医療的ケア児支援センターを開設するとのことですが、センターの運営に当たっては、教育、福祉、医療等がしっかりと連携をとった対応をお願いしたい。
同じく、今後直面する難題について、縦割りを超え、関係機関が横の連携をとり、県も一体となって県立特別支援学校の教育環境の整備に取り組むべきと考えますが、大野知事の御所見を伺います。
A 大野元裕 知事
県も一体となって県立特別支援学校の教育環境の整備に取り組むべきについてでございます。
議員に例として取り上げていただいた、医療的ケア児の特別支援学校への通学についても、登下校時のタクシー利用の費用について国と県で補助制度を設けるなど、調整や克服に向けた支援を行っております。
また、令和3年9月に施行された「医療的ケア児及びその家族に対する支援に関する法律」では、医療的ケア児支援センターにおいて、医療的ケア児等からの相談への助言や、関係機関等との連絡調整などを行うこととされています。
県では現在、支援センター設置に向けて、学識経験者、医療・福祉関係者、教育関係者、保護者等を委員とする「埼玉県医療的ケア児支援センター等あり方検討会議」を設置し、支援センターに求められる役割や機能などについて、検討しております。
支援センターには、相談支援に係る「情報の集約点」になること、医療、福祉、教育など多くの機関にまたがる支援の調整について中核的な役割を果たすことなどが期待されております。
議員お話しの県立特別支援学校につきましては、医療的ケアを受けながら学校生活を送っている子供たちをサポートできるよう、今後設置される支援センターを活用しながら、教育委員会と連携し着実な教育環境整備に努めてまいります。
A 高田直芳 教育長
まず、学校での医療的ケアを安心で安全に実施するため、教員の加配などの支援体制の充実に向けた考えについてでございます。
県では、特別支援学校において、ケアが必要な児童生徒数やケアの内容などを踏まえ、全般的な医療的ケアを担う看護教員を、昨年度から2名増員し、今年度当初には、11校に28名配置しております。
また、県教育委員会の主催するたんの吸引等の研修会を受講することにより、担当する児童生徒に特定の医療的ケアが実施できるようになる認定特定行為業務従事者として、昨年度は198名の教員が、実際にケアを実施しておりました。
しかしながら、チューブを用いて流動食をとらせる経管栄養といったケアでは児童生徒の昼食時間に対応が集中するなど、一定の時間帯に多くの医療的ケアが必要となることがございます。
そのため、看護教員等の配置とは別に、県独自に、全体で28名の非常勤看護師を配置し、校内の医療的ケア体制の充実を図っております。
医療的ケアを必要とする児童生徒は年々増加傾向にあり、より安全で安心していただける医療的ケアの実施体制を整備していくことは大変重要なことと認識しております。
県といたしましては、まずは、国が定める教員定数の改善について粘り強く要望を続けるとともに、各学校の状況に応じ、非常勤看護師の配置など医療的ケア体制の更なる充実に取り組んでまいります。
次に、医療的ケア児が保護者の付き添い無しで登校を可能にする方策についてでございます。
県では、特別支援学校で医療的ケアを必要とする児童生徒が通学に福祉タクシーを利用する際に、就学奨励費としてその交通費を補助する制度を令和3年度から導入し、保護者の経済的負担や運転による負担の軽減を図っているところです。
しかしながら、福祉タクシーの利用にあたっては、医療的ケアが実施できる保護者や看護師の同乗が必要となり、現状では、保護者が付き添っていることが多くなっております。
こうした保護者の負担を軽減するためには、登下校の時間帯に利用が集中する福祉タクシー車両の確保や、児童生徒に付き添う看護師の確保といった大きな課題がございます。
県といたしましては、児童生徒が安心して通学でき、保護者の付添い無しで登校を可能にする方策について、こうした課題を一つ一つ克服していく道を探り、検討を進めてまいります。
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