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掲載日:2021年10月21日

令和3年9月定例会 一般質問 質疑質問・答弁全文(柳下礼子議員)

米価暴落対策を急げ!営農型太陽光発電推進を

Q   柳下礼子 議員(共産党)

コロナ禍で米需要が激減し、米の在庫は膨れ上がるばかりです。全国農業協同組合中央会では、直ちに政府が過剰米を買い上げ隔離しなければ、3年連続で米価暴落の危機と警告しました。農協の概算金の提示が始まりましたが、1俵の単価が彩のかがやきでは1等JA米が8,000円という額も見られます。米作りに必要な経費は、1俵当たり1万5,000円以上かかります。正に米作って飯食えない、これが現実です。
今、過剰米を市場から切り離せ、再生産可能な米価を、県も独自の支援を、これが農家の心からの叫びです。知事、この声に応え、希望を持って米作りのできる埼玉の農政、思い切った対策を実施すべきです。その決意をお示しください。
本県農業のこの10年は、耕地面積が1万ヘクタール以上減少し、農家戸数も農業就業人口も激減の一途です。食べていける農業経営の推進は急務です。
当県議団は、この間、一方策として、営農型太陽光発電(ソーラーシェアリング)を提案してきました。この事業は、農地の上に日照を確保しつつ、トラクターなども動ける高さに太陽光パネルを設置し、農業しながら売電収入を得るものです。
先日、田んぼを活用した加須第2市民発電所を視察しました。この田んぼの所有者も、設置者も、農家自身です。太陽光パネルのある稲穂のほうが大きい、生育が良いとのお話でした。この田んぼでの収穫見込みは10俵で、1俵1万円でも10万円、全くの赤字です。売電は年約190万円の見込み、着入金の返済などを引いても、80万円程度の収益が見込めます。農家の方は、半農半田なら農業を続けられる、来年はもっと広げるつもりと意欲的です。
知事に伺います。本県における営農型太陽光発電の普及状況と先進事例について、県としての研究は進んでいるのか、お答えください。
営農型太陽光発電は、新たな農業経営の一つとして期待できます。同時にCO2を削減して、持続可能な社会の実現に貢献するエネルギー政策と言えます。
しかし、本県の農林水産業振興基本計画では、営農型太陽光発電事業に触れてはいますが農地法に基づく指導程度で、本県農業の振興に位置付けられたとは言えません。営農型太陽光発電の推進を本県の農業政策に明確に位置付けるべきです。知事、お答えください。
視察先では、皆さん、異口同音に農地転用許可が大変だった、行政側の認識不足を感じた、審査が厳しいのは理解するが、農家が農業で食べていくためのもの、企業と区別して対応してもらいたいとの声です。
そこで、許認可手続を簡略化していただきたい。また、農家にとって投資資金の不安が決断への大きな障害となっています。そこで、県としての補助金制度を創設していただきたい。併せて、農林部長よりお答えください。

A   大野元裕   知事

希望をもって米作りのできる埼玉の農政へ、思い切った対策を実施するべきについてでございます。
令和3年産米につきましては、新型コロナウイルス感染症の影響などによる需要減少が想定よりも厳しく、高い水準の民間在庫を背景に、本県を含め全国的に米価が大幅に下落しています。
米価を回復させるためには、まずは全国的な民間在庫の削減や、主食用米からの作付転換を推進する予算の確保など、国による対策が不可欠であり、野上浩太郎農林水産大臣に対し要望を行ったところであります。
県としても、生産者の所得確保を図るため、様々な対策を講じています。
まず、県産米の販路拡大対策として、家庭用米は業務用米に比べ売り値が高く、コロナ禍でも需要が堅調であるため、これまで県産米の取扱いがなかった県内量販店での販路拡大に取り組んでいます。
また、生産者の経営安定のためには、需要に応じた生産が重要であることから、助成水準の高い飼料用米への転換を推進した結果、作付面積は昨年の2.3倍となりました。
さらに、農作物の価格変動への備えとして、収入保険などのセーフティネットへの加入を推進しております。
今後も、こうした施策を総動員し、国や農業団体とも連携をしながら、米の再生産ができる環境を守るため、全力で取り組んでまいります。
次に、本県における営農型太陽光発電の普及状況と先進事例について、県としての研究は進んでいるのかについてでございます。
営農型太陽光発電の取組は、本県では平成26年から始まり、令和2年度末時点で123件に広がっています。
発電設備の下で栽培される農作物は、米のほか、観賞用植物や野菜など多岐にわたります。
県では、毎年、農作物の生産状況について事業者から報告を受け、収穫量などの状況を把握・研究しております。
県内での先行事例の中には、観賞用植物について、平均的な水準以上の面積当たりの収量を継続して確保している優良な取組があります。
一方、令和2年度の報告では、栽培する農作物の収量が、平均的な水準よりも2割以上低くなっているケースもあります。
県としては、引き続きこうした知見を集め、取組を開始する際の申請者への助言や、継続中の取組に関わる指導に生かし、営農と発電事業の両立を促進してまいります。
次に、営農型太陽光発電の推進を本県の農業政策に明確に位置付けるべきについてであります。
埼玉県農林水産業振興基本計画では、営農型太陽光発電について、「適切に事業が行われ、農業者の所得向上等が図られる」ように取り組む旨を記載しており、所得向上に結び付く施策として位置付けています。
農作物の生産と、適切な営農型太陽光発電を組み合わせることで、農業者の所得向上が図られるよう、まずは周知をしてまいりたいと思います。

A 強瀬道男 農林部長

営農型太陽光発電設置の許認可手続きの簡略化についてでございます。
営農型太陽光発電を設置するには、発電設備の支柱について、農地法に基づく一時転用許可を受ける必要があります。
この許可制度に関する内閣府での規制改革の検討を踏まえ、農林水産省から、荒廃農地を活用する場合には平均収量の8割以上の確保を求めないことや、申請書類を必要以上に求めないことなどの考え方が示されたところです。
県といたしましては、こうした許可手続の簡略化に資する農林水産省の考え方を踏まえ、制度運用を行ってまいります。
次に、補助金制度の創設についてでございます。
営農型太陽光発電では、再生可能エネルギーの固定価格買取制度を活用して売電を行う取組が一般的となっています。
この制度の電気の買取価格は、電気の供給を安定的に行うことを可能とする価格として、発電に必要な費用や、事業者の適正な利潤などを勘案して定められています。
このため、必ずしも新たな補助金がなくても、設備の設置費用を含めた上で収益性が期待でき、今後も取組が拡大していくのではないかと考えられます。
初期投資資金については、農業経営基盤強化資金などの制度資金や、農協など民間金融機関にも融資商品があり、営農型太陽光発電に関する国の相談窓口でも資金調達を含む幅広い相談を受け付けています。
申請者から相談があった場合には関連する情報を提供し、不安の解消に努めてまいります。

 

  • 上記質問・答弁は速報版です。
  • 上記質問・答弁は、一問一答形式でご覧いただけるように編集しているため、正式な会議録とは若干異なります。
  • 氏名の一部にJIS規格第1・第2水準にない文字がある場合、第1・第2水準の漢字で表記しています。 

お問い合わせ

議会事務局 政策調査課 広報担当

郵便番号330-9301 埼玉県さいたま市浦和区高砂三丁目15番1号 議事堂1階

ファックス:048-830-4923

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