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掲載日:2024年7月4日

令和3年6月定例会 一般質問 質疑質問・答弁全文(山根史子議員)

多胎児世帯に対する支援と環境整備について

Q 山根史子 議員(民主フォーラム)

育児は親の思いどおりにいかないものです。ミルクを飲ませ、げっぷをさせ、おむつを替えて着替えもさせた。なのに、なぜ眠れずに泣いているのか。私自身、何度も何度も頭を抱えたことがありました。泣いている我が子を満足させてあげられずにいる自分のふがいなさを感じて悲しくなり、この際、一緒に泣こうじゃないかと共に涙したこともありました。
一人でも大変な育児ですから、多胎児の育児は想像を絶する大変さだと拝察します。同時に目覚め、同時にミルクを飲み、同時に眠るといったサイクルが理想ですが、多胎児を子育て中の髙木県議からは、そのようにうまくいくことはほぼないと伺いました。
公園で数年ぶりに再会した友人は、生後8か月の双子を子育て中でしたが、出産してから外に出るのが2回目と聞き、驚きを隠せませんでした。双子を育てるということは、かわいさも倍であるけれども、同時に経済的、肉体的、精神的な負荷は倍以上かもしれません。
経済面に関して例を挙げれば、ミルクは新生児用から生後6か月以上のものまで金額も量もそれぞれなので一様には言えませんが、一般的に大体一人当たり月1万円かかります。それが双子になると2万円です。おむつ代も一般的には赤ちゃん一人当たり月に約5,000円、お尻拭きに約2,000円と言われているので、双子の場合1,4000円かかります。ミルクとおむつだけで年間40万8,000円になります。
また、肉体面や精神面については、1歳になる頃まではほぼ引きこもり状態になってしまうということが挙げられます。外気浴は赤ちゃんにとってもお母さんにとっても良いことは知っている。しかし、外に出るための支度は三人分です。動きまわる子供たちに注意を払いながら、やっとのことで準備を済ませ、いざ外へ出てみても、公園の入り口やエレベータなど双子用のベビーカーが通れないところがあります。その都度、子供を抱えなくてはいけませんが、大人一人では困難です。また、生活に身近なスーパーや薬局でも狭い通路などがあり、ショッピングカートとすれ違うことができません。こうして双子を連れての外出を諦めてしまうのです。
しかし、家の中でさえ、てんやわんやです。あらゆる人の手を借りながら、どうにか子育てと家事をやっている。それでも時間が足りないのです。時間が取られ、体力も奪われ、精神的にもやられます。ベランダで外気を浴びるのが精いっぱいです。ゆえに家に引きこもりがちになってしまうのです。
そして、追い詰められた親は、子供へ虐待をしてしまうおそれが高くなります。平成30年の厚生労働省の「多胎育児家庭の虐待リスクと家庭訪問型支援の効果等に関する調査研究」によれば、多胎育児家庭における虐待死は単体育児家庭と比べ2.5倍から4倍も多いことが指摘されています。私は、多胎児世帯に対してより手厚い行政の支援が必須だと考えます。
そこで、2点お伺いいたします。
1点目、多胎児の育児は母親にとって負担が大きく、虐待や産後鬱などを防止するためにも、産後支援ヘルパーの派遣事業を県内全市町村に広げてほしいと考えます。多胎児世帯にとっては、この事業を実施している市区町村へ引っ越すほどに重要な支援制度です。
県として市町村のサポートはできないか、保健医療部長へお伺いいたします。
2点目、街中には、多胎児用のベビーカーを使用してみて気がつく不便がたくさんあります。通れない門や片開きで、なおかつロックをされていてベビーカーから離れないと開閉できない扉などです。周囲の方が手助けをしてくれることもたくさんありますが、物理的に大型ベビーカーが通ることのできないところも散見されます。
そこで、パパ・ママ応援ショップなどを中心に多胎児のものを含めたベビーカーへの配慮について周知していくことはできないでしょうか。福祉部長へお伺いいたします。

A 関本建二 保健医療部長

産後支援ヘルパーの派遣事業を全市町村へ広げる県のサポートについてお答えを申し上げます。
産後のご家庭の中でも特に多胎児のご家庭については、議員ご指摘のとおり、授乳やおむつ替えなどの育児に時間がかかる他、外出時の体力的な負担も大きく、産後の支援は重要です。このような多胎児家庭を支援するため、国では令和2年度から市町村を実施主体として、日常の育児介助や外出時の補助を行うサポーターを派遣する「多胎妊産婦サポーター等事業」を始めました。
県では市町村における事業実施を促進するため、多胎児家庭の理解や本事業の効果的な実施について、まずは市町村の母子保健を担当する保健師を対象にオンライン研修を行い、104人の方に受講いただきました。受講した方々からは「多胎児の親の大変さや思いを学べた」「外出支援の必要性が理解できた」といった感想をいただき、県としてもこの事業の必要性を強く認識したところです。
令和3年度から新たに本事業を実施する市もございます。今年度はさらに対象を広げ、市町村の子育て支援に携わる事務職員にも多胎児家庭への支援の必要性と本事業の周知を行い、市町村における事業実施の促進に取り組んでまいります。

A 山崎達也 福祉部長

パパ・ママ応援ショップなどを中心に、多胎児のものを含めたベビーカーへの配慮について周知していくことはできないかについてお答えを申し上げます。
議員お話のとおり、子育てはお子さん一人の場合でも心身ともに大変ですが、特に多胎児のご家庭の場合には、その倍以上ご苦労があるものと認識しています。
NPО法人が多胎児家庭に対し行ったアンケート調査の中では、外出に関して負担に感じた方が最も多く、89%の方が「辛いと感じた」と回答しています。
県では、子育て応援の趣旨に賛同する約2万3千店の「パパ・ママ応援ショップ」や乳幼児との外出を支援する「赤ちゃんの駅」等の協賛店とともに、子育て支援の気運づくりを進めております。そこで、「パパ・ママ応援ショップ」をはじめとする、こうした協賛店に対し、子育て家庭の外出を支援するためベビーカーが店内に入りやすくするなど、できるところから工夫して対応いただくようお願いしてまいります。
また、協賛店以外の事業者や地域の県民の方にも、多胎児世帯を含む子育て家庭に対し、思いやりの気持ちを持っていただくことが重要です。このため、子育て家庭へのベビーカーへの配慮について、SNSやホームページ等を活用し、理解を深めてまいります。
今後も子育て支援の気運を盛り上げ、多胎児世帯を含めたすべての子育て家庭にやさしい社会づくりに取り組んでまいります。

 

  • 上記質問・答弁は速報版です。
  • 上記質問・答弁は、一問一答形式でご覧いただけるように編集しているため、正式な会議録とは若干異なります。
  • 氏名の一部にJIS規格第1・第2水準にない文字がある場合、第1・第2水準の漢字で表記しています。 

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議会事務局 政策調査課 広報担当

郵便番号330-9301 埼玉県さいたま市浦和区高砂三丁目15番1号 議事堂1階

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