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掲載日:2023年7月10日
Q 渡辺大 議員(自民)
「新型コロナウイルス感染症対策の状況分析・提言」が厚生労働省から公表されています。その中で、検査体制、医療提供体制、保健所機能、サーベイランス、感染予防対策の更なる強化について述べられており、これらに対しては、県庁としても鋭意対策中であることは承知しておりますが、県民からの声が殊更大きかったのが、保健所周辺の業務です。県民がまず第一にアクセスするところであり、この部分がボトルネックになり、相談の流れが滞っているという状況がありました。
今般の県の新型コロナウイルス対策において、対応の優先順位が高く、最も対応に苦慮した分野を所掌したのは、対策本部内では医療部であったと思います。非常態勢時の職員の動員状況で見ても、本庁40人、地域機関に142人と、全体の非常態勢322人中、57%の人員が割かれています。それでもなお保健所の業務過多については、多くの県民から声をいただきました。「電話が全くつながらない」などです。
第1波での反省を踏まえ、保健所の負担軽減を狙い、独自のクラスター対策を組織するとのことで、想定される保健所業務をオーバーフローさせない体制構築が不可欠です。今回、保健所の機能は多岐にわたりましたが、積極的疫学調査、保健所の患者振り分け業務、保健所による検体運搬業務など、適切な業務の棚卸しにより、専門性がなくとも実施できる業務に細分化し、応援を受け入れる体制を整えておく必要があります。特に積極的疫学調査、ここは保健所に大変負荷がかかるところですが、調査票などマニュアルが作成されており、一定の研修の下、保健師でない一般職員や民間協力者でも担当できる部分です。このあたりについては、第2波以降に備え対応をとっていくべき考えますが、知事の御所見を伺います。
A 大野元裕 知事
議員お話しのとおり、第2波に備えた保健所の体制整備は喫緊の課題です。
私は去る6月11日に、県内の陽性患者の約4分の1を担当した狭山保健所を視察し、保健師などの皆さんから、電話相談の集中やクラスターの発生など、感染拡大期の実情をつぶさに伺ってまいりました。
保健師などの専門職の業務量がオーバーフローしないようにしていくことが重要であると改めて認識をいたしました。
県では、保健所の負担軽減のために業務を振り分け、所外への業務委託と職員の応援体制の構築を行ってまいりました。
保健所の負担軽減に向けた取組のうち、いくつかをご紹介いたします。
所外への業務委託に関しては、県民の皆様からの相談に24時間対応する窓口を1月にいち早く開設し、3月からは一元的な窓口として「県民サポートセンター」を開設、5月には回線を増強し、保健所への相談の集中の緩和に取り組んできました。
また、帰国者・接触者相談センターとしての業務を郡市医師会や看護協会に委託する準備を進めています。
PCR検査につきましては、保健所を介さない検査ルートとして、3月から感染症指定医療機関で検査を実施するとともに、31カ所の発熱外来PCRセンターや帰国者・接触者外来と同様の機能を有する55カ所の医療機関を整備いたしました。
患者の入院調整などの振り分けは、臨床経験の豊富な医師と看護師を配置した「新型コロナウイルス感染症県調整本部」を本庁に設置し、一元的に調整を行っています。
検体搬送業務や患者搬送の運転業務に関し民間委託を拡充するとともに、専門性の高い業務への応援として、32名の民間派遣の看護師を保健所に配置しているところであります。
さらに、福祉施設や療養型医療施設におけるクラスター対策を保健所の業務から切り離せるよう、このたび「COVMAT」を創設するための予算を今定例会で提案を申し上げました。
「COVMAT」は県内の感染症専門家で構成されたチームを感染症の発生当初から現場に派遣し、感染拡大防止の支援を行うものであり、保健所は現場で積極的疫学調査に集中することができます。
職員の応援体制に関しては、入院患者数の把握やデータ管理など職員に専門性がなくても実施できる業務について、これまでも全庁から事務職員を派遣し対応してまいりました。
議員お話しの積極的疫学調査における事務職との役割分担についても、保健師などの専門職の負担を軽減する上で、貴重な御提案であると受け止めます。
例えば、公衆衛生に関する知識が必要な調査は保健師、接触者情報などの基礎資料の作成や関係機関への連絡、調整作業などは事務職というように、業務の切り分けの検討を担当部局に指示するとともに、本庁より役職を入れて検討し、現場で振り分けを行いました。
今後とも保健所の業務を適切に振り分け、第2波に備えた保健所の体制強化を進めてまいります。
再Q 渡辺大 議員(自民)
知事の御答弁の中でも、今回の新型コロナウイルス対策に対していろいろな施策を打っていただいたということがよく分かります。
その上で、それでもなお電話がつながらないとか、保健所の業務がオーバーフローしてしまったような事態が発生しておりまして、それに対しての手当てということで、改めて今回もう一度、再質問させていただければと思います。
今回、私がフォーカスさせていただきました積極的疫学調査の部分です。これは新型コロナウイルを発症して、その発症した患者さんに対して14日前の部分までヒアリングをしていって、場所であるとか、時刻であるとか、行動歴、接触歴、状況であるとか、そういったものをヒアリングしていくという業務です。ここに保健師さんが関わることが多いのですが、それが非常に業務量に負荷がかかるために、ここに保健師さんがかかりっきりになることでほかの業務が追いつかなくなって、業務がオーバーフローするという事態が発生しているわけです。専門家である保健師さんがやられる業務ですので、相当強い意識を持って業務を引き剥がしていかないと、専門家でない一般職員さんが業務を担当するというのは非常に難しい状況です。
第2波がこれから来るという状況で、来たときに第1波と同じような業務量が発生したときに、本当にオーバーフローさせずに対応することが可能なのか、可能な体制がもう構築できているのか、その点について知事に対して改めて伺いたいと思います。アメリカ、ブラジルなんかでもう第二波の兆しが出ているという状況で、落ち着いて体制整備ができるのはもう今しかないと思いますので、改めて再質問させていただきます。
再A 大野元裕 知事
長期化に備えた保健所の体制整備について、真に電話がつながらない、あるいは業務のオーバーフローが起こるような状況が起きたことに鑑み、第2波に備え可能な体制が整えられているのかという御質問であったと理解いたしております。
保健所におきましては様々な業務が重なる中で、県としては二つの観点からこれまで支援を進めてまいりました。一点は、既に御説明させていただきましたとおり、人的な支援を行うことでございます。もう一点については、集中する保健所の業務の中で、真に保健所でなければできない業務以外のもの、あるいはその業務についても専門性を持つ必要がないもの、あるいは薄いものについて、これを仕分けして、そして極力軽減していく。この二点の観点でございます。
後者について先ほど御説明をさせていただきましたので、詳細については避けますけれども、例えば県民サポートセンターの拡充などがその一つ。あるいは検体採取について郡市医師会に委託して、そこでPCRセンターを行っていただくこと。さらには、入院調整を保健所の手から外して、これを県庁のほうで一元化すること。これに加えて、現在行っていることといたしまして、帰国者・接触者外来と同様の機能を有する医療機関の整備をこれまでも進めてまいりましたけれども、更に進めることや、あるいはPCRセンターを強化すること。
そして、民間の看護師を派遣すること等を進めておりますが、もう一つ大きなものは、先ほど議員が御指摘のように、仮に感染者が発生した場合に、そこに伺って積極的な疫学調査を進める。その際に実は同時並行的に様々な御相談を、その患者さんやあるいは陽性者が発生した施設、関連の事業所等から御質問を受けることになります。そのうちの大きな一つがクラスター対策であって、疫学調査と同時にクラスター対策を進めなければいけないことが、これまで負担になってまいりました。
これまで県としては、総務部と企画財政部合同で県庁内の医療関係の仕事について棚卸しを直接現場に行ってやらせて、必要なものを分けてまいりましたけれども、この積極的疫学調査については専ら保健所が行うが、しかしながら、同時並行的に行ってきたクラスター対策については、これを外して別な専門家に担わせたいということで、今回の定例会に予算の中に「COVMAT」として加えさせていただいているところでございます。総体的な観点から業務の見直しを行い、これまで特に初期の頃に発生したような過度な集中が起きないような体制を組ませていただいています。
また、今の御質問の中で、第2波の中で体制が万全か、対応することは可能かという御質問でございましたが、どの地域にどのような形で発生するかが分からない状況ではございますが、県としては、保健所の業務に対して可能な限り支援が行えるような体制を構築していきたいと考えています。
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