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掲載日:2020年3月31日
Q 須賀敬史 議員(自民)
昨年11月、ラグビーワールドカップ2019日本大会が、日本代表の悲願であったベスト8達成という偉業に大きな盛り上がりを見せ、終了しました。その後にもラグビー人気は衰えず、トップリーグの観戦者も増加し、ラグビー教室に通う子供たちも増えました。
ワールドカップで印象に残っているものの一つに、日本代表、福岡堅樹選手の青いマウスガードがあります。ラグビーでは高校生までマウスガードの装着が義務となっていて、大学以上は義務ではないものの装着率は高くなっています。
福岡堅樹選手の父親で歯科医の福岡綱二郎氏は、福岡県内で行われた市民スポーツ研修会で「スポーツと歯の健康」と題した講演を行いました。福岡氏は学校医を長年務め、スポーツ選手のマウスガードの普及にも力を入れていました。講演では、一昨年、福岡選手が試合中に脳震とうにより救急車で搬送されたものの、マウスガードの効果で脳へのダメージが防げたことを紹介し、「マウスガードは強い衝撃から歯や脳へのダメージを軽減したり防げたりするほか、装着している安心感から試合のパフォーマンスが向上する」との報告を示しました。
スポーツ基本法には、スポーツに関する科学的研究の推進等が規定されており、そこには「歯学」という文言が入っています。スポーツ基本計画の中には、学校体育に関する事故防止のことが記載されています。日本スポーツ振興センターの障害見舞金の対象の中で、歯の喪失は高い割合を占めています。特に口のけがが多いスポーツは、人と人同士の接触の多いものやボールを使用する球技です。しかし、驚くことにどちらにも当てはまるラグビーは、けがの数が少ない傾向にあります。これは、マウスガードをつけている選手が多いことに大きく関係しています。
一方、オリンピック代表候補選手のデータでは、約35%の選手が不正咬合、すなわち歯並びの乱れなどの理由でかみ合わせが悪い状態にあるといいますが、きちんとしたかみ合わせ、咬合力が強いほうが高いパフォーマンスを発揮できると言われています。
スポーツにおいて歯を守ることは、けがの防止と競技力向上の両面から重要であり、学校体育の現場では、教員が歯の健康の重要性を理解し、生徒を指導すべきと考えますが、教育長の御所見をお伺いします。
ラグビータウン熊谷市では、市民の歯と口の健康づくりを推進する条例に基づき、スポーツにおける口のけがを予防するためとして、マウスガード作製に要する費用の一部に対し、1回目は5,000円、2回目以降は2,500円の補助金を交付しています。マウスガードは安いものもありますが、個人に合わせたカスタムメードでないと十分な効果を発揮できず、かえって危険なこともあります。
しかし、カスタムメードだと数万円と決して安いものではありません。関東ラグビー協会では手弁当の歯科医をチームに出張派遣し、5,000円でカスタムメードを行う体制を整えていますが、ラグビーだけでなく他のスポーツも含め、今後もっとマウスガードを普及させていく必要があると考えます。スポーツデンティストという歯科医も制度化されており、今後、歯科医師会などとも連携し、本県としてマウスガード作製の補助も含め支援が必要と考えますが、県民生活部長の御所見をお伺いします。
A 小松弥生 教育長
議員御指摘のとおり、独立行政法人日本スポーツ振興センターの平成30年度障害見舞金の給付状況では、歯の喪失などの「歯牙障害」によるものが16.87%と3番目に多くなっております。
体が成長し、技術が向上する時期にスポーツ活動を行う際、マウスガードを利用することは、けがの防止と競技力の向上に効果があると考えております。
このような状況の中、高等学校体育連盟に加盟しているボクシング、ラグビー、ホッケー、アイスホッケーの4競技では、公式大会出場の条件としてマウスガードの装着を義務付けております。
また、大学やトップリーグのラグビーにおいて、ほとんどの選手がマウスガードを装着しているのは、高校時代の教員などの指導による影響があるとも伺っております。
来年度、県の主催する養護教諭研修会においては、歯科保健を扱うことが予定されており、その中でマウスガードについて取りあげることとなっております。
今後とも、こうした研修会を通して、マウスガードの有効性を周知してまいります。
A 小島康雄 県民生活部長
歯科医師会などと連携したマウスガードの作製の補助を含めた支援についてお答えを申し上げます。
スポーツを楽しむには、何よりもその安全性が確保されていなければなりません。
例えば、ボクシングや空手などの競技では、安全性を考慮し、マウスガードの装着が義務付けられております。議員お話しのラグビーやホッケーなどでも、中高生には装着が義務化がされています。
また、野球の打撃時やウエイトリフティングなど、一瞬のうちに力を溜めたり発揮する競技では、マウスガードを装着することで、選手のパフォーマンスが高まるという効果もあります。
これまで、県ではマウスガードによる安全性の確保とパフォーマンスの向上という二つの効果について、指導者などに対し、機会を捉えて周知してまいりました。
例えば、運動能力の高い小学生を育成するプラチナキッズ事業では、その保護者に対してスポーツと歯の関係などについて説明をしてきたところです。
今後は、県スポーツ協会や県歯科医師会とも連携し、マウスガード装着の有効性と効果について、スポーツ選手やその指導者を集めた研修会などで一層の周知を図ってまいります。
議員お話しのマウスガード作製に対する補助については、補助金支出の効果や他のスポーツ用具との整合性などを踏まえながら、その必要性について研究してまいります。
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