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掲載日:2020年3月31日

令和2年2月定例会 一般質問 質疑質問・答弁全文(須賀敬史議員)

ネット依存・ゲーム障害の対策について

Q   須賀敬史  議員(自民

厚生労働省によると、我が国では成人の421万人、中高生の93万人が、オンラインゲームを含めた病的なネット依存が疑われると推計され、過去5年間で倍増しました。中高生の実に7人に1人が、ネット依存のおそれがあるのです。
昨年5月、WHO(世界保健機関)が「ゲーム障害」を新たな国際疾病分類として認定しました。ゲーム障害とは、ゲームをする時間がコントロールできない、他の生活上の関心事や日常の活動よりゲームを優先するといった症状が1年以上継続することをいいます。症状が重い場合は、1年以内でも該当します。
平成23年に国内で初めてネット依存の専門外来を開設した神奈川県横須賀市にある国立病院機構久里浜医療センターによると、ゲーム障害が疑われる患者の約8割が未成年で、大半は中高生です。未成年に患者が多いのは、脳にも関係があります。発達段階にある子供の脳は本能が強く、危ないという考えよりも好奇心が勝る傾向があり、ゲームの刺激を受けやすく、時間をコントロールすることが難しくなります。依存すると、理性をつかさどる部分の働きが低下し、更にゲームに没頭するという悪循環に陥るのです。
ゲーム障害では、体を動かさずにゲームに没頭するため、昼夜が逆転して引きこもり、体力の低下や栄養不足、鬱ぎみになるといった心身不調を来し、親に注意されて暴言や暴力を振るうこともあります。
インターネットやスマホの普及で、ゲーム障害は世界中で問題となっています。日本より早くから社会問題化している韓国では、2002年、オンラインゲームを86時間続けた男性が、長時間同じ姿勢で下半身が鬱血するエコノミークラス症候群で死亡しました。
ゲーム障害の多くは、オンラインゲームに没頭しています。オンラインゲームとは、インターネット上で通信しながら複数でも同時に遊べるゲームです。学校やアルバイトが終わった夜11時頃から深夜1時、2時が最も盛り上がる時間帯で、深夜にゲームをすることで睡眠時間が短くなり、朝も起きられず、成績不振やひきこもりにつながってしまうのです。
長時間ゲームをすればするほど、アバターと呼ばれる自分の分身が強くなり、武器やゲームに使うアイテムも充実し、他の参加者よりゲームを優位に進めることができます。ネット上で知り合った複数の仲間とチームを組んでモンスターを倒したり、架空の戦場で闘うゲームでは、自分一人がゲームを抜けると、チームが負けたり他の参加者に迷惑をかけたりすることになるため、責任感が生じ、学校があるから、眠いからといって自分だけゲームをやめることが難しくなるのです。
さて、本県の児童生徒のスマホ所持率は、平成30年度では小学6年生32.3%、中学2年生68.4%、高校2年生96%でした。ネットゲームに限らない平日のインターネット利用時間は、平均で約1時間から3時間程度、高校2年生の約12%は5時間以上という調査結果でした。
このような状況の中で、本県でもネット依存・ゲーム障害への対策を早急に進めていくべきではないでしょうか。具体的には、実情の把握、相談・治療体制の整備、予防教育の推進です。
実情の把握については、スマホ所持率と利用時間に加え、長期欠席の児童生徒の欠席事由がネット依存・ゲーム障害に起因する可能性も想定し、本人と保護者への聞き取り調査を丁寧に行うことが必要です。
相談・治療体制の整備については、現在の相談窓口である県内保健所に、ネット依存・ゲーム障害の相談ができる人材を配置できるよう、研修や専門人材の育成が必要です。また、教員とスクールカウンセラーにも研修が必要だと思います。治療体制については、県立精神医療センターにネット依存症外来を開設していますが、今後はネット依存・ゲーム障害を重症化させないための予防キャンプの実施も検討すべきと考えます。
予防教育の推進については、学校ではネットリテラシーやインターネットそのものの使い方については力を入れていますが、ネットやゲームの負の側面についての教育は余り行われていないようです。これは児童生徒だけでなく、保護者も対象にして一緒に行う必要があると思います。また、eスポーツが話題になってきました。eスポーツに憧れてネット依存になることも十分に想定できます。ここも今から対策が必要です。
以上を踏まえて、本県としてネット依存・ゲーム障害についての対策を早急に進めるお考えはないか、教育長と保健医療部長にお伺いします。

A   小松弥生   教育長

いわゆるネット依存・ゲーム障害については、今後、学校においても対応していくべき、健康課題のひとつであると認識しております。
まず、実情の把握についてでございます。
WHOが疾病分類に加えたことによる日本国内での取扱いについては、現在、国が議論を始めたところでございます。
今後、その議論を踏まえ、実情を把握するための方法や内容などについて研究してまいります。
次に、相談・治療体制の整備についてでございます。
まず、教員とスクールカウンセラーの研修についてでございますが、学校における相談体制を整備するためには、教員やスクールカウンセラーがネット依存・ゲーム障害を正しく理解することが大切です。
今後は、教員やスクールカウンセラーの研修会などでも、ネット依存・ゲーム障害について取り上げ、正しい知識の普及とともに、その習得を図ってまいります。
また、予防キャンプについてでございますが、児童生徒を対象とした予防キャンプのプログラムを実施している自治体がこざいますので、その事例を把握し、紹介してまいります。
次に、予防教育の推進についてでございます。
ネット依存・ゲーム障害を予防するためには、インターネットゲームの怖さなど、負の側面を含めた視点での教育も必要です。
新学習指導要領では、中学校の情報モラルの必要性に係る授業の中で、使い方次第でネット依存等の問題が発生する危険性があることを扱います。
また、高等学校の授業では、情報化が社会に及ぼす影響と課題について、生徒が主体的に考え、話合いを通して理解させる学習を行っております。
さらに、家庭の果たすべき役割も大きいことから、保護者会や学校保健委員会のテーマとして、ネットやゲームの負の側面についても取り上げるなど、さまざまな機会を捉え、保護者も含めた周知を図ってまいります。
今後、これらの取組を通して、児童生徒がネット依存・ゲーム障害にならないよう努めるとともに、必要に応じて、医療機関につなげられるよう関係者と連携してまいります。

A   関本建二   保健医療部長

相談窓口である保健所に人材を配置できるよう研修や専門人材を育成し、ネット依存・ゲーム障害についての対策を早急に進める考えはないか、についてお答えを申し上げます。   
現在県では、ネット依存やゲーム障害に関する相談はアルコールやギャンブルなどと同様に依存症に対する相談として、県の13の保健所や精神保健福祉センターにおいて対応しております。
平成30年度は、13の保健所においてネット依存とゲーム障害の合計で68件、精神保健福祉センターにおいては97件の相談を受けています。
相談には依存症の特性に精通した専門職である精神保健福祉士、保健師、公認心理師などが対応しております。
相談は家族からの電話から始まるケースが多く、そうした場合でも本人の来所を促し、面接では生活歴、ネットやゲームの過度な使用に至るまでの経緯、発達障害などの傾向などを確認し支援方針を決めます。
自らがそれまでのゲームへの依存やこだわりを修正し、ゲームに依存し過ぎない生活へと踏み出すことを助ける認知行動療法などの治療に繋げております。
こうした中、国はゲーム依存症対策について関係者連絡会議を開催し、実態把握や対策の在り方について議論をしております。
またゲーム依存症の相談マニュアルや治療ガイドラインを作成するなど、ゲーム依存症対策を現在まとめているところであります。
こうした国の動きを踏まえ、保健所職員を対象とした研修にゲーム障害を盛り込み、ネット依存・ゲーム障害に対応できるより専門性の高い職員の育成を進めるなど対策を早急に進めてまいります。

再Q   須賀敬史  議員(自民

教育長は、「予防キャンプの事例などを紹介していく」とおっしゃいました。
予防キャンプというのは、もう既にネットとかゲームにある程度依存とかが始まっていて、重症化させないためにやるキャンプですので、例えば中高生とか全員が対象で、学校の行事として何かそういう訓練キャンプみたいなものをやるとかというものではありません。
あくまでも、もう既に困っている親たちの相談によって子供たちを集めて、例えばやっているところで言うと、30名ぐらいの小規模で、そこでお兄さん・お姉さん的な人たちがキャンプに一緒に参加して、ネットから切り離す期間を何日間か作って、その中で「ゲームとかネット以外にも楽しく過ごせる時間があるんだよ」ということを教えるものですので、これをどこかに紹介してやってもらうというよりは県が主導して、医療機関が主催するのか、県が主催するのか、そこは分かりませんが、県が主導でやっていくものですので、どこかに紹介して学校でやってもらうというものではないので、そこの認識をもう一度確認させてください。

再A   小松弥生   教育長

予防キャンプでございますが、今、議員お話しのとおり、既にネット依存・ゲーム障害にかかっている子供たちなどを集めて実施しているもので、国の委託事業としても、例えば、秋田県とか大分県などで行われているということを把握しております。
そういった事例を学びながら、おそらく教育委員会だけでなく保健医療部あるいは医療機関等も協力をしていただいて、実施していくことになると思いますので、実施方法については工夫をさせていただきたいと思います。

 

  • 上記質問・答弁は速報版です。
  • 上記質問・答弁は、一問一答形式でご覧いただけるように編集しているため、正式な会議録とは若干異なります。
  • 氏名の一部にJIS規格第1・第2水準にない文字がある場合、第1・第2水準の漢字で表記しています。 

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議会事務局 政策調査課 広報担当

郵便番号330-9301 埼玉県さいたま市浦和区高砂三丁目15番1号 議事堂1階

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