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掲載日:2020年3月31日

令和2年2月定例会 一般質問 質疑質問・答弁全文(須賀敬史議員)

本県の子供たちをどう育んでいくのか

Q   須賀敬史  議員(自民

「ボールを蹴れる公園を造ってください」、ある小学生が市の教育長への表敬訪問の際、最後に言った言葉です。
先日、埼玉新聞に、スポーツ庁が行った小学5年と中学2年を対象に実施した2019年度全国体力テストの結果が公表されました。本県の小学5年の男女、中学2年の男女ともに昨年度を下回っており、全国の小学5年男子は、2008年度の調査開始以降、最低となりました。
こうした状況の中で、本県では、第3期埼玉県教育振興基本計画において「児童生徒の体力の向上」を掲げ、様々な取組を進めています。しかし、学校での体育の授業は週に2時間から3時間、長い休み時間に校庭で遊ぶとしても合計で週に約6時間程度、この短い時間だけで果たして体力の向上は図れるのか、甚だ疑問です。学校以外の時間にスポーツ団体に所属し、ボールにさわったり走ったりする子供たちもいますが、所属していない子供たちはどこでボールに触れ、走れるのでしょうか。
本来、それは近くの公園でした。その公園が「ボール遊び禁止」「静かにしましょう」では、体力をつけるすべがないだけでなく、子供たちの居場所も奪ってしまっているのです。公園で親子がキャッチボールする姿も余り見かけなくなりました。
本県所沢市を本拠地とするプロ野球球団埼玉西武ライオンズは、公園キャッチボールプロジェクトを実施しています。地域の公園などにグローブやボールを寄贈して、公園でキャッチボールができる環境を整えるという活動です。現在、県営公園7カ所を含む13カ所が指定されています。また、公園の遊具を取り扱うメーカーが提供しているアプリでは、県内でキャッチボールができる公園を検索できます。それによると、キャッチボールができる公園が1カ所もない市町村もあります。ちなみに、私の地元蕨市には1カ所もありません。ボールで遊べない公園が大半を占めるようになり、遊具も危険だという理由で使用禁止あるいは撤去されています。
一方で、子供たちの体力、運動能力の低下が著しいと嘆いています。当たり前の話です。余りにも不寛容な大人たちが、子供たちの自由、そして健全に成長していく機会を奪っているのです。一昔前は、暗くなるまで公園でボールを投げたり打ったり蹴ったり、鬼ごっこをして走り回って体力が備わり、遊び方も自由にアレンジして進化させ、遊びの中からルールを守ることや年下の子をいたわるなどの大切なことを学んでいました。今の時代、公園で大声を出して遊んでいると、近隣から「うるさい」と苦情が出るそうです。「公園では静かにしましょう」という、何ともナンセンスな注意書きが掲げられている公園もあります。子供は跳んだり、はねたり、大声を出したりして成長していくものです。私たち大人の子育てに対する意識は、このままで良いのでしょうか。
知事は、危険を理由に公園の遊具が使用禁止あるいは撤去され、ボール遊びも禁止、大声を出すことさえも迷惑だと言われる地域の公園の実情をどのように感じておられるのでしょうか。少々迷惑をかけることはお互いさま、そうやってお互いに温かい気持ちで補い合える社会の子育てこそ必要だと思います。市町村と連携して、地域の公園において憩いの公園とすみ分けをして、ボール遊びができる公園を増やしていくべきではないでしょうか。知事の御所見をお伺いします。
また、埼玉県青少年健全育成・支援プランには、「青少年の規範意識やコミュニケーション能力を高めるとともに、自らを律しつつ他者を思いやる心など豊かな人間性を育むため、自然との触れ合い体験や社会体験、文化芸術やスポーツ活動など、様々な体験活動等を促進します。また、健やかな発達・成長のため、望ましい生活習慣を身に付けることや健康づくりを進めます」と書かれています。先ほど述べた現状とは、かけ離れたプランではないでしょうか。少子高齢化が全国一速いスピードで進んでいく本県において、知事は大人の意識の持ち方も含め、本県の子供たちをどのように育てていこうと考えているのか、御所見をお伺いします。

A   大野元裕   知事

市町村と連携してボール遊びができる地域の公園を増やしていくことについてでございます。
公園は、人々の憩いの場であると同時に、レクリエーションの場になる貴重な地域の財産だと思います。
県営公園は、比較的面積が広いことなどから、一部の特殊な施設を除き、他の利用者の迷惑にならない範囲であればボール遊びは禁止しておりません。
一方、市町村が設置、管理している地域の公園は、比較的面積も小さく生活に密着しているため、住民からの要望や苦情が多く寄せられているのが実情です。
このため、ボール遊びの禁止など何らかの制限をかけざるを得ない公園が増えているのではないかと、私は思っています。
地域の公園は、子供たちがボール遊びをし、走り回ることで、体力をつける場や学校以外の時間の居場所になるという、議員のお話については私も同じように感じています。
そこで、行政としても知恵を絞る必要があると思います。
子供たちの遊び場となり、高齢者等の憩いの場ともなる生活に密着した地域の公園は、限られた空間を地域の方々がみんなで快適に利用していくことが理想であります。
都内の例ではありますが、例えば足立区ではモデル地域を定め、住民の意見を聞いた上で、誰もが自分に合った過ごし方をできるよう公園をにぎわいの公園とやすらぎの公園の二つに分類する試みを行っています。
にぎわいの公園では、できるボール遊びを掲示し、限られたスペースではあるものの、子供たちが大きな声を出して元気に、そして安全に遊べるようになったと伺っています。
市町村も工夫を重ねているとは存じますが、公園の整備や管理に当たっては、様々な声を聞きながら地域にふさわしい公園づくりを行うことが求められています。
県といたしましては、市町村の公園について、憩いの公園とすみわけして、ボール遊びができる公園などを増やしていけるように、先行事例の情報提供や相談への対応などの支援をしてまいります。
次に、大人の意識の持ち方も含め、本県の子供たちをどのように育てていくのかについてでございます。
いついかなる時代においても、未来に希望をもたらす子供は社会の宝であります。
子供たちが伸び伸びと成長し一人ひとりの能力を発揮できるよう、大人が温かく見守りながら、様々な体験活動を通して豊かな人間性や社会性を育んでいくことが重要だと考えます。
そのためには、県や市町村はもとより、学校、家庭、地域社会が一体となって取り組むことが必要です。
現在、県内の各学校において、児童・生徒が、発達段階に応じて自然体験、職場体験、社会奉仕体験などを行う「埼玉の子ども70万人体験活動」を実施しています。
また、県では、県内の企業や大学などの協力を得て、小学4年生から6年生を対象に、アナウンサーやデザイナーなど、憧れの職業を体験する教室を実施し、子供たちの夢や希望を育んでいます。
さらに、県内では、地域の団体などが子供たちに無料や低額で食事を提供する「子ども食堂」や、登下校時の見守り活動などを行う「学校応援団」など、地域の大人が子供を見守り支える活動も広がっています。
子供には無限の可能性があります。私は全ての子供たちに等しく活躍するチャンスがあり、元気に伸び伸びと活躍できる社会に向けて、しっかりと取り組んでまいります。

 

  • 上記質問・答弁は速報版です。
  • 上記質問・答弁は、一問一答形式でご覧いただけるように編集しているため、正式な会議録とは若干異なります。
  • 氏名の一部にJIS規格第1・第2水準にない文字がある場合、第1・第2水準の漢字で表記しています。 

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議会事務局 政策調査課 広報担当

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