埼玉県議会 県議会トップ画像

ここから本文です。

ページ番号:164391

掲載日:2022年10月12日

令和元年9月定例会 一般質問 質疑質問・答弁全文(渡辺   大議員)

離婚時の養育費の取決めの啓発、勧奨について

Q   渡辺   大  議員(自民

ひとり親家庭の貧困率は、平成27年で50.8%です。埼玉県の離婚件数は平成29年で約1万2,000件であり、そのうちの半数以上の6,700件には養育すべき子供がいます。国民生活基礎調査によると、平成29年の母子世帯の平均年間所得金額は約283万円であり、児童のいる世帯の平均年間所得約743万円の4割しかありません。親が離婚した子供の半数以上は貧困に陥ってしまうのです。子供にチャンスが平等に与えられない、人生に希望を持てないそんな社会にしてはいけません。
母子家庭が貧困に陥る原因には幾つかありますが、一般的には、労働条件の男女間格差、最低賃金、保育園などの子育て支援の不足などがあり、養育費、財産分与等の離婚時の財産分配の不備も大きな理由としてあります。平成28年の厚生労働省の統計によれば、離婚時に養育費の定めをする人は42.9%にとどまり、書面により定める人はそのうちの73.3%です。つまり離婚時に書面による養育費の定めをしている人は31%に過ぎず、10組中7組は書面による養育費の定めをせず離婚をしていることになります。
子供が親の離婚により、半ば強制的に貧困状態に陥ることになる事態は防がなければなりません。そのため母子家庭が貧困に陥ることを防ぐためには、労働条件の男女間格差の解消、最低賃金のアップ、保育園などの子育て支援の拡充などの施策展開をする必要がありますが、これらはどれも容易でない課題です。
これに対し、養育費、財産分与等の離婚時の財産分配の不備を改善することは、コスト面、実効性の点で極めて効果が高いと考えられます。養育費等について書面による定めがあれば、差押えなど強制的に徴収することも容易になりますし、そもそもそうした強制力を背景に任意の支払い自体の可能性も格段に向上します。月額6万円から8万円程度が一般的ですが、養育費が支払われることで貧困に陥ることを効果的に回避することができます。
それにもかかわらず、離婚時に養育費や財産分与等についてきちんと定めない大きな要因は、離婚する当事者にその重要性が正しく認識されていない点にあると考えられます。そのためシングルマザーに対して最も直接的で、効果の大きな支援が、離婚に際して書面により養育費を定めるということをケアしていくことです。
経済的に自立できる家庭を増やすことは、人間の尊厳という意味でも、児童扶養手当、就学援助、生活保護など財政的負担を軽減するという意味でも、非常に大きな意義があります。抜本的な解決策としては扶養すべき子供がいる両親が離婚する場合には、養育費の定めを法的義務として法律制定することが直接的で効果的ですが、法制度の整わない場合の現実的な打ち手としては、貧困への入り口となる両親の離婚時に書面による養育費の定めを、できれば公正証書で定めておくことが有効です。行政による支援の前に、まず、離婚当事者である両親による子に対する生活保持義務の履行を求める意味でも大変重要な取組と考えます。
そこで、埼玉県として、離婚時の養育費の定めの啓発、勧奨に積極的に取り組むべきと考えますが、福祉部長の御所見をお伺いします。

A   知久清志   福祉部長

養育費は経済的、社会的に自立していない子供を養育する費用です。
子供の生活を保障することは親に求められる当然の役割であることから、離婚時にきちんと取り決めしておくよう民法にも明記されています。
また、取決めを行う際に、養育費の金額、支払時期、振込先などを具体的に決め、口約束でなく書面に残しておくことが重要です。
そこで県では、離婚後の養育費の重要性を広く知っていただくため、法務省が作成した「子どもの養育に関する合意書作成の手引きとQ&A」の活用を市町村に勧めています。
このリーフレットでは書面による取決めを勧奨しており、父母がお互いに養育費などの約束事を証明する合意書のひな形も掲載されています。
リーフレットの活用により、書面による取決めの重要性の啓発が進むよう、少子化対策協議会などを通じて引き続き市町村に働きかけてまいります。
その他養育費などひとり親が抱える様々な悩みに対しては、県内に4カ所ある福祉事務所の母子・父子福祉センターの自立支援員が相談を受けております。
養育費に関する相談は平成30年度に552件あり、こうした相談の中で書面による取決めについて助言を行っています。
また、男女共同参画推進センターでも、離婚に迷っている方に対する相談やセミナーにおいて、養育費に関する情報を必要に応じて提供しています。
さらに、今後は県のホームページや県スマホアプリ「まいたま」で、養育費に関する基本的な情報を広めてまいります。
ひとり親家庭が安定自立した生活を送ることができるよう、様々な場や手段を通じ、養育費に関する啓発や相談にしっかり取り組んでまいります。

 

  • 上記質問・答弁は速報版です。
  • 上記質問・答弁は、一問一答形式でご覧いただけるように編集しているため、正式な会議録とは若干異なります。
  • 氏名の一部にJIS規格第1・第2水準にない文字がある場合、第1・第2水準の漢字で表記しています。 

お問い合わせ

議会事務局 政策調査課 広報担当

郵便番号330-9301 埼玉県さいたま市浦和区高砂三丁目15番1号 議事堂1階

ファックス:048-830-4923

より良いウェブサイトにするためにみなさまのご意見をお聞かせください

このページの情報は役に立ちましたか?

このページの情報は見つけやすかったですか?