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掲載日:2023年5月2日

平成30年6月定例会 一般質問 質疑質問・答弁全文(井上航議員)

児童虐待防止対策の強化について

Q   井上航議員(県民)

「もうおねがい ゆるして ゆるしてください」、このようなメモを残し、虐待を受けていた東京都目黒区の5歳の児童が死亡した事件は、世間に大きな衝撃を与えました。そこで注目されているのが、児童相談所から警察への虐待情報の全件共有です。今回の一般質問で知事の決断を求めようと準備していたところ、6月11日の定例記者会見において、全件共有の方針が示されました。会見では、早ければ年度内にもとおっしゃっていましたが、早期の実現に向け今後どのように取り組むのか、知事のお考えを伺います。
また、現在、県警と児童相談所とはそれぞれ異なるシステムで情報管理をしていると伺っております。漏れのない一元的な情報管理システムの必要性を感じておりますが、その点をどう克服していくのか、併せて知事にお伺いいたします。
また、児童相談所別の児童虐待通報件数を調査したところ、政令市であるさいたま市児相、草加支所を有する越谷児相を除くと、所沢児相が1,829件と群を抜いて多いことが分かりました。所沢児相の負担軽減のためにも、県南西部にもう1か所、児童相談所の設置を検討してはどうかと考えますが、いかがでしょうか。この点について、福祉部長に伺います。
続いて、国、政府への要請について伺います。
毎年、埼玉県では、国の施策に対する提案・要望を関係省庁に提出しています。児童虐待関係では、今年度、「市町村の児童虐待相談担当職員等の配置基準の明確化と財政上の措置」という項目が挙げられています。今、全国の知事が声を上げ始めています。こういう全国的な課題のときこそ、全国知事会会長として国に物申していただきたいと思いますが、知事の御所見を伺います。
そして、更に大事なのは市町村との連携だと考えます。埼玉県では、埼玉版ネウボラを進めており、県下市町村における子育て世代包括支援センターの整備促進を進めています。また、今年度の新規事業として、虐待が発生しやすいと言われるシングルマザーや貧困家庭の支援を市町村とともに進めています。ネウボラ政策が進むほど、課題を抱える家庭の状況を市町村が把握できるようになります。それならば、私は、市町村に児相の持つ権限を移管することも児童虐待防止策の一つと考えます。現在、リスクアセスメントが軽度、中度の中から適切なケースを、児童相談所から市町村への指導委託という形で市町村に委託できることも聞いております。そこで、指導委託の実績と今後どのように取り組んでいくのか、福祉部長に伺います。
また、指導委託という事例ごとに委託を決めるのではなく、包括的に児相の業務を市町村に移管することも、市町村の意向によっては検討してもよいと思いますが、いかがでしょうか。法的に可能かどうか、そして今後希望する市町村があればどのように対応するか、福祉部長のお考えを伺います。

A   上田清司   知事

児童相談所から警察へ虐待情報の全件共有の早期実現に向け、今後どのように取り組むかについてでございます。
東京都で起きた5歳の女の子の死亡事例は大変痛ましく、胸が締め付けられるような思いがいたしました。
児童虐待防止には児童相談所と警察をはじめとする関係機関の連携が極めて重要でございます。
本県では昨年6月に、警察本部やさいたま市と情報共有に係る協定を締結いたしました。
協定では、虐待が疑われる傷やあざ、育児放棄による発育不良などが認められる児童などの情報を全て情報共有の対象として、児童相談所と警察署との連携を密にしたところでございます。
さらに、共有する情報の範囲が拡大できないか警察本部と協議を進めてきたところでございますが、その結果、本年8月1日から全ての児童虐待事案について、児童相談所と警察で情報共有をすることが可能だということがはっきりしましたので、早速、8月1日から情報共有をすることにいたします。
具体的には児童相談所に通告のあった児童の氏名、住所、生年月日、虐待の種類といった情報を警察本部においても利用できるようにいたします。
このうち緊急を要するものやリスクの高いものについては、従来どおり個別に児童相談所から警察署へ情報を提供してまいります。
共有された情報が有効に活用されることによって網の目が塞がれ、児童虐待の防止に、よりつながっていくものだと考えられます。
次に、漏れのない一元的な情報管理システムが必要だと考えるが、どう克服していくのかについてでございます。
児童相談所のシステムには虐待に関係のない養育に関する相談の情報なども多く含まれております。
一方、警察のシステムは機密性の高い情報などが含まれていることから、既存の情報システムを活用した一元的な情報管理は難しい、このように考えられます。
児童虐待情報を一元的に管理するということになるには、新たな情報管理システムが必要だと思われます。
新たなシステムに児童相談所と警察署が直接アクセスできるようにすれば、より迅速かつ詳細に情報共有ができます。
今後、このようなシステム構築の可能性についてしっかり研究や検討を進めなければならないと思っております。
次に、児童虐待防止対策の全国的な課題について全国知事会会長として国に申すことについてでございます。
本県はこれまで児童相談所の体制強化について様々な要望をしてまいりました。
その結果、平成28年に新たに児童相談所の職員配置標準が明確化され、児童相談所の体制強化が図られることになりました。
一方、法律上は、市町村は県とともに児童虐待通告の窓口とされているにもかかわらず、虐待相談に対応する職員の配置基準もなく、財政措置も明確にされておりません。
従いまして、私は児童相談所だけではなく市町村の体制強化も大変重要と考えており、本年度も強く要望したところでございます。
また、全国知事会としても、就任直後の5月に「子どもの貧困対策の抜本強化に向けた緊急提言」を次世代育成支援対策プロジェクトチームリーダーの尾崎高知県知事とともに厚生労働大臣に提出をいたしました。
この中で児童虐待対策として児童相談所の人材確保や財政支援、市町村の子供家庭相談体制の強化、民生・児童委員による地域の見守り体制の充実などを提言しております。
児童虐待は決して許されるものではございません。
今後とも児童虐待の防止に向け、地方の声を代表しながらあらゆる機会を捉え、必要な提言や要望を積極的に行ってまいります。

A   知久清志   福祉部長

「県南西部にもう1か所児童相談所の設置を検討してはどうか」についてお答えを申し上げます。
近年、本県の児童虐待通告件数は大幅に増加しており、所沢児童相談所の件数も増加しています。
児童虐待に迅速に対応していくには新たな児童相談所を設置することも有効な手段であると考えております。
一方、県南西部地域では、和光市が児童相談所の設置を検討していると聞いております。
新たな児童相談所の設置については、市町村の動向や児童相談所の通告件数、人口、面積など様々な観点から、その必要性について検討してまいります。
次に「児童相談所から市町村へ指導委託の実績と今後の取組」についてでございます。
市町村への指導委託は、平成29年度に創設された制度です。
この制度は児童が施設から自宅に戻った後に定期的な安全確認と継続的な支援を身近な市町村で行うことが効果的な場合などに実施するものです。
現在まで、県内全ての市町村と指導委託のための契約締結をしており、実績はこれまで12件となっております。
委託できるケースの抽出や市町村との調整を行っているところであり、引き続き積極的に働き掛けてまいります。
次に「包括的に児童相談所の業務を市町村に移管すること」についてでございます。
包括的に児童相談業務を移管すること、すなわち児童相談所の設置については、法律に定めがあり、設置する自治体は、原則、都道府県、政令指定都市となっております。
それ以外の市については、平成18年度から、政令で定めることで設置できるとされております。
市が設置しようとする場合、人材の確保や財政的負担など、課題があると聞いております。
市から具体的な相談があれば、実務研修の受入れによる人材育成や、設置に向けた国との協議など必要な手続きについて県として最大限支援してまいります。

 

  • 上記質問・答弁は速報版です。
  • 上記質問・答弁は、一問一答形式でご覧いただけるように編集しているため、正式な会議録とは若干異なります。

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議会事務局 政策調査課 広報担当

郵便番号330-9301 埼玉県さいたま市浦和区高砂三丁目15番1号 議事堂1階

ファックス:048-830-4923

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