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掲載日:2023年5月2日
Q 井上航議員(県民)
去る6月7日、総務県民生活常任委員会の視察で大阪府摂津市にあるダイキン工業株式会社のテクノロジー・イノベーション・センターを訪れました。私が、このTICで強く印象に残り、是非、今後の県の次世代産業支援に生かしてほしいと感じた点が2つあります。
1つは、協力して創造すると表記する「協創イノベーション」という発想です。ダイキンでは、このTICを、社内外の多様な人々が互いの強みと情熱を持ち寄る協創イノベーションに挑戦する場と位置付けていました。開設から2年間で約6万人が訪問しているとのことで、オフィスも社内の部門を越えてミーティングしやすい設計になっているほか、研究施設としては珍しく、開放的な対話スペースも設けられています。その結果、社外の専門家との共同研究も300品に上るそうです。県が、埼玉県鶴ヶ島ジャンクション周辺地域基本計画基本方針案で掲げているオープンイノベーションというコンセプトを具体化していく上でも、ハード、ソフトの両面で大変参考になる事例だと考えます。
そして、もう1つは、研究者に対する尊敬の念です。TICでは、著名な大学教授などの研究者との連携も密にしており、専用のフェロー室も設置されていました。そして、自社の研究職は最長で70歳まで就業できるとのことでした。
さて、知事は最近、アクティブシニアの活躍について様々な機会を捉えて語っておられます。私は、研究者の分野でも推進すべきと考えております。この考えは和光市の市長とも共有しており、本年5月10日に開催された市町村長会議でも、研究者の分野におけるアクティブシニアの活躍について発言し、知事ともやりとりがあった旨、聞いております。埼玉県には、ホンダ寄居工場、カルソニックカンセイの本社、研究所、理化学研究所などの多数の研究機関があります。それらで研究を行っていたシニアの力を引き続き生かしてもらうことができれば、埼玉県の知の財産はもっと大きくなります。
また、鶴ヶ島ジャンクション周辺地域基本計画には、理化学研究所や埼玉県産業技術総合センターなどの名前が地域経済牽引支援機関として載っていますが、今後決定する企業の事業が本格化する頃には、今現役で働いている関連研究分野の職員が退職してしまうことも想定する必要があると考えます。
以上を踏まえ、未来法事業の更なる推進につなげることも視野に入れて、埼玉県における協創イノベーションの推進と研究者のアクティブシニアの活躍支援について、知事の御所見を伺います。
A 上田清司 知事
埼玉県における「協創イノベーションの推進」についてでございます。
近年、AIやIoTなどの技術は高度化・複雑化しており、企業は社内の人材と技術だけで新製品・新サービスを創出することが難しくなってきております。
そのため、外部からアイデアや技術を取り入れイノベーションを起こす取組が極めて重要であると思っております。
県では平成26年に全国で初めて産業技術総合研究所とNEDOとの間で、先端産業の育成に関する三者協定を締結しました。
これを契機に、県内中小企業の優れた技術と大学・研究機関の先進的な研究成果を融合させ、企業の研究開発を支援する先端産業創造プロジェクトに取り組んでまいりました。
その結果、医療イノベーション分野では戸田市に本社のある機械メーカーが理化学研究所や複数の大学と連携し、iPS細胞を大量に培養する装置を開発いたしました。
これは県内企業が有する全国屈指の技術と理化学研究所などのiPS細胞に関する知見が結び付くことで、世界初となる産業用装置の誕生につながったものでございます。
このプロジェクトに加えて、県では県内企業と大学・研究機関との連携を促進しており、競争的資金の獲得に向けたグループ形成の支援やセミナー・交流会の開催などを行っております。
また、鶴ヶ島ジャンクション周辺地域の基本方針では、様々な主体が連携し相乗効果を上げるオープンイノベーションをコンセプトとし、情報通信基盤の整備などを進めております。
今後もあらゆる機会を捉えて、企業と大学・研究機関の垣根を越えて、異業種・異分野が持つアイデアや技術を組み合わせることで新たな価値を創造し、県内企業の稼ぐ力を高めてまいります。
次に、「研究者のアクティブシニアの活躍支援」についてでございます。
議員御指摘のとおり、理化学研究所をはじめ研究機関で活躍する研究者は、高い知見と円熟した技術を併せ持つ、正に「知の財産」であります。
人生100年時代に退職後も御活躍いただくことは、稼ぐ力を高め本県の経済の成長に大きく寄与いたします。
シニア世代の研究者の方に能力を発揮してもらうためには、その知識や経験とそれを必要とする企業とをマッチングする仕組みが重要でございます。
県では研究者も含めた、いわゆるプロフェッショナル人材を県内企業に紹介する取組を平成27年12月から実施しております。
これまで接点が少なかった研究者やシニア世代と中小企業とのマッチングに難しい面もありますが、平成29年度末までに取組全体で123件の実績を上げております。
こうした中、本年5月の市町村長会議において和光市長から退職した研究者に活躍してもらうための具体的な提案をいただいたところでございます。
地元自治体がたまり場となる場所を用意し、県がこれまで蓄積してきた県内企業とのネットワークを活用することで、出会いの場を創出できれば面白い取組になります。
まずは和光市長の提案を参考に、どうすれば「知の財産」である退職した研究者に活躍してもらえるのか検討してまいります。
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