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掲載日:2024年4月2日
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答申第167号(諮問第215号)
答申
1 審査会の結論
埼玉県知事(以下「実施機関」という。)が平成22年8月11日付けで行った、「16小第801号ほ場整地工業務委託書類のうち産業廃棄物運搬調書(Co廃材)」(以下「本件対象文書」という。)の部分開示決定は、妥当である。
2 異議申立て及び審議の経緯
(1) 本件異議申立人(以下「申立人」という。)は、平成22年7月30日付けで、埼玉県情報公開条例(以下「条例」という。)第7条の規定に基づき、実施機関に対し以下のとおり開示請求(以下「本件開示請求」という。)を行った。
平成17年3月から5月ころ、県営○○地区土地改良事業の工事で発生した産業廃棄物(イ・コンクリート廃材、ロ・アスファルト廃材、ハ・建設残土及びニ・建設廃材)のそれぞれに関し
の各項目を示している何らかの書類
(2) これに対し、実施機関は以下のとおり開示決定等を行った。
(3) 申立人は、平成22年10月11日付けで、実施機関に対し、本件処分の取消し及び真正な文書の開示を求めて異議申立て(以下「本件異議申立て」という。)を行った。
(4) 実施機関は、平成22年11月4日付けで、本件異議申立てについて補正を求めた。
(5) 申立人は、平成22年11月14日付けで、本件異議申立ての補正をした。
(6) 実施機関は、平成22年11月25日付けで、本件異議申立てについて補正を求めた。
(7) 申立人は、平成22年12月7日付けで、本件異議申立ての補正をした。
(8) 当審査会は、本件異議申立てについて、平成23年3月3日に実施機関から条例第22条の規定に基づく諮問を受けた。
(9) 当審査会は、平成23年3月17日に実施機関から開示決定等理由説明書の提出を受けた。
(10) 当審査会は、平成23年4月11日に申立人から反論書の提出を受けた。
(11) 当審査会は、平成23年5月27日に実施機関の職員から意見聴取を行った。
(12) 当審査会は、平成23年6月7日に実施機関から開示決定等理由追加説明書の提出を受けた。
(13) 当審査会は、平成23年6月15日に申立人及び補佐人の口頭意見陳述を聴取した。
(14) 当審査会は、平成23年6月15日に申立人から意見書及び陳述書の提出を受けた。
(15) 当審査会は、平成23年6月17日に申立人から陳述内容の補正を受けた。
3 申立人の主張の要旨
(1) 異議申立ての趣旨
条例第7条の規定に基づく本件開示請求に対し、平成22年8月11日付けで実施機関が行った本件処分の取消し及び真正な文書の開示を求める。
(2) 異議申立ての理由
申立人が主張している内容は、要約するとおおむね以下のとおりである。
4 実施機関の主張の要旨
実施機関が主張している内容は、おおむね以下のとおりである。
(1) 本件対象文書は、県営○○地区土地改良事業の工事に係る業務委託として、16小第801号ほ場整地工業務委託を受託した農林公社が、委託契約内容を忠実に実行したことを証明する資料として作成し提出した文書の一部であり、同事業を所管する大里農林振興センターが収受し保管している文書である。
(2) 申立人は、本件対象文書が偽物である旨主張しているが、本件対象文書に添付されているマニフェストは、コンクリート廃材の搬出期日、搬出場所、搬出量、搬出責任者、処分場所、処分日時を示すものであり、このマニフェストに記載されたダンプの車両ナンバー「○○-○○」「○○-○○」は、工事写真でも確認でき、2つの資料の整合がとれている。
(3) マニフェストそのものについても産業廃棄物運搬者、処理場側の受領日が確認でき、内容に不合理な点はない。
(4) 実施機関は、本件対象文書を真実のものとして農林公社から収受し、開示等の決定を行ったものであり、申立人の主張には理由がないと判断する。
(5) マニフェストによるコンクリート廃材搬出後に撮影された写真にコンクリート廃材が存在する旨の申立人の主張については、当時の関係者(県監督員及び農林公社の現場代理人の上司)に確認したが、当時の県監督員は現場についての記憶が曖昧になっており、また、当時の農林公社の現場代理人の上司は直接現場を担当していないため、いずれも明快な回答は得られず、理由は不明である。なお、当時の農林公社の現場代理人は、現在は亡くなっている。
(6) 大里農林振興センターは、コンクリート廃材搬出(平成17年3月16日から同年3月18日まで)の1週間前(同年3月9日)に、1 「搬出道路が確保できていないこと」、2 「全量を本件用地に仮置きしていること」、3 「熊谷市内の再生工場へ全量搬出予定であること」、4 「現地処分は考えていないこと」をコメントしているが、当時の現場の客観的状況を説明したものであり、コンクリート廃材搬出時期とは直接関係ない。
5 審査会の判断
(1) 本件異議申立てについて
申立人は、本件異議申立てにおいて、本件対象文書の内容と申立人の保有する資料の内容が矛盾することを根拠として本件対象文書は「偽物」である旨主張している。
そもそも、横浜地方裁判所平成19年(行ウ)第55号同21年6月29日判決が示すように、条例中には、実施機関において管理する文書における記載内容の真偽や適否を審査することを定めた規定はないこと、他方、実施機関は開示請求があったときは、原則として、当該開示請求があった日から起算して15日以内に当該開示請求に対する諾否の決定を行わなければならないとされていること(条例第15条第1項)からすると、条例は、開示請求があった公文書について、その記載内容の真偽を実施機関において審査することを予定しておらず、その記載の客観的な内容に照らして、当該請求のあった公文書について条例第10条に定める不開示情報があるかどうか等の判断を迅速にすべきとしているものと解される。そのため、当審査会においても、本件対象文書の記載内容の真偽を審査して本件対象文書が「偽物」であるか否かを判断することは予定されていないものである。
一方で、申立人は、本件対象文書は、本件開示請求にあたり実施機関の職員が「捏造」した旨も主張している。そこで、当審査会においては、かかる申立人の主張について検討した上で、本件処分の妥当性について判断する。
(2) 本件対象文書について
当審査会において確認したところ、本件対象文書は、産業廃棄物運搬調書(Co廃材)とマニフェストの写し(20枚)により構成されている。そして、産業廃棄物運搬調書(Co廃材)には、各マニフェストの収集運搬数量が収集運搬日及び収集運搬車両ごとに表形式で記載されている。
実施機関は、本件対象文書について、県営○○土地改良事業を所管する大里農林振興センターが発注した16小第801号ほ場整地工業務委託を受託した農林公社が、委託契約内容を履行したことを証明する資料として作成し提出した文書の一部であり、大里農林振興センターが収受し保管している文書であると説明している。
そこで、当審査会において、大里農林振興センターの職員に確認したところ、平成16年12月24日付け業務委託契約書により、同日、実施機関が農林公社理事長を相手方として16小第801号ほ場整地工業務委託契約を締結したことが認められる。当該業務委託契約書によれば、委託場所は「○○○○○○大字○○地内」とされており、履行期限は「平成16年12月24日から平成17年3月25日まで」とされている。なお、履行期限については、平成17年3月7日付け業務委託契約変更契約書により、平成17年3月31日までとされ、さらに、平成17年3月28日付け業務委託契約変更契約書により、平成17年5月31日までとされている。
一方で、本件対象文書のマニフェストの写しによれば、交付年月日は「17年3月16日」、「17年3月17日」、「17年3月18日」、排出事業者の名称は「(社)埼玉県農林公社」、事業場の所在地及び名称は「○○○大字○○地内 16小第801号ほ場整地工業務委託」と記載されており、当該業務委託契約に対応したものとなっている。さらに、処分業者による「受入済」及び「処分完了」の印も押されていることから、農林公社から当該業務委託契約内容を履行したことを証明する資料として入手したものであるという実施機関の上記説明に不自然な点は認められない。
そして、本件対象文書のマニフェストの写しは、廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行規則第8条の21第2項に規定する法定の様式に準拠した建設系廃棄物マニフェストの記入用紙が使用され交付番号が印字されていること、「運搬受託者(収集運搬業者)(1)の住所、氏名又は名称、電話番号」、「運搬先の事業場(処分業者の処理施設)の所在地、名称、電話番号」、「処分受託者(処分業者)の住所、氏名又は名称、電話番号」、「処分担当者(受領)」、「処分担当者(処分)」、「最終処分終了日(埋立処分、再生等)」の欄に業者名の入った印が押印されていることから、外形上不自然な点はなく、本件開示請求にあたり実施機関の職員が「捏造」したと疑わせるような事情は認められない。
(3) 本件処分の妥当性
実施機関は、本件対象文書について、マニフェストの写しの「交付担当者の氏名」及び「運搬担当者(1)の氏名」欄の記載を条例第10条第1号に該当するとして、不開示としている。
当審査会において、本件対象文書を見分したところ、マニフェストの写しの「交付担当者の氏名」欄には農林公社の職員の氏名が手書きで記載されており、「運搬担当者(1)の氏名」欄には収集運搬業者の従業員の名字が手書きで記載されていることが認められる。
しかるに、これらの記載は、個人に関する情報であって、特定の個人を識別することができるものであることは明らかであるから、条例第10条第1号に該当し、また、同号ただし書のいずれの事由にも該当しないことから、これらの記載を不開示とした本件処分は妥当であると認められる。
(4) 申立人のその他の主張について
以上のことから、「1 審査会の結論」のとおり判断する。
(答申に関与した委員の氏名)
管野 悦子、田代 亜紀、田村 泰俊
審議の経過
年月日 |
内容 |
---|---|
平成23年3月3日 |
諮問を受ける(諮問第215号) |
平成23年3月17日 |
実施機関から開示決定等理由説明書を受理 |
平成23年4月11日 |
異議申立人から反論書を受理 |
平成23年5月27日 |
実施機関から説明及び審議(第一部会第63回審査会) |
平成23年6月7日 |
実施機関から開示決定等理由追加説明書を受理 |
平成23年6月15日 |
申立人及び補佐人から意見陳述聴取(第一部会第64回審査会) |
平成23年6月15日 |
申立人から意見書及び陳述書を受理 |
平成23年6月17日 |
申立人から陳述書の補正を受理 |
平成23年8月1日 |
審議(第一部会第65回審査会) |
平成23年9月1日 |
答申 |
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