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掲載日:2021年3月30日

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答申第166号 「平成22年9月18日(土曜日)20時頃、110番受電し、埼玉県警高速道路交通警察隊特定分駐所の特定職員が担当した、特定車両ナンバー及びその所有者たる申請者に関するすべての文書」等についての不開示決定(平成23年5月10日)

答申第166号(諮問第212号)

答申

1 審査会の結論

埼玉県警察本部長(以下「実施機関」という。)が、平成22年10月5日付けで行った、「平成22年9月18日(土曜日)20時頃、110番受電し、埼玉県警高速道路交通警察隊○○分駐所の○○巡査部長及び○○警部補が担当した、自動車登録ナンバー『○○○ ○○○ ○ ○○○○(以下「車両ナンバー」という。)』及びその所有者たる申請者に関するすべての文書。及び、110番受電した際の音声記録。」の開示請求(以下「本件開示請求」という。)について、その存否を明らかにしないで不開示とした決定は妥当である。

2 審査請求及び審議の経緯

(1) 審査請求人は、平成22年9月19日付けで、埼玉県情報公開条例(以下「条例」という。)第7条の規定に基づき、実施機関に対し本件開示請求を行った。

(2) 実施機関は、本件開示請求に対して、平成22年10月5日付けで、開示請求された公文書の存否を答えることは、個人に関する情報であって、特定の個人を識別することができるものとして条例第10条第1号により不開示とする情報を開示することとなるため、その存否を答えることはできないとして、公文書不開示決定(以下「本件処分」という。)を行い、審査請求人に通知した。

(3) 審査請求人は、埼玉県公安委員会(以下「諮問庁」という。)に対し、平成22年10月12日付けで、本件処分の取消しを求めて審査請求(以下「本件審査請求」という。)を行った。

(4) 当審査会は、本件審査請求について、平成22年11月10日付けで、諮問庁から条例第22条の規定に基づく諮問を受けた。

(5) 当審査会は、平成22年12月22日に諮問庁から理由説明書(以下「説明書」という。)の提出を受けた。

(6) 当審査会は、平成23年1月11日に審査請求人から反論書の提出を受けた。

(7) 当審査会は、平成23年1月12日に諮問庁の職員から意見聴取を行った。

3 審査請求人の主張の要旨

審査請求人が審査請求書及び反論書において主張している内容は、おおむね次のとおりである。

(1) 審査請求の趣旨

本件処分を取り消すとの裁決を求める。

(2) 審査請求の理由

開示請求した公文書に記載されている個人に関する情報は、「110番通報者の個人情報」と、「当該審査請求人(公文書開示請求者)の個人情報」の2種類のみであり、前者に関する記述又は音声を除けば、特定の個人を識別することはできないことから、条例第11条第2項により「部分開示」しなければならず、本件処分は条例に違反している。

(3) 反論書における主張

  • ア 本件処分理由に対する反論
    • (ア) 「○○巡査部長及び○○警部補の氏名に係る部分」が条例第10条第1号に該当するとしている点について
      総務省が各行政機関に通知した、「各行政機関における公務員の氏名の取扱いについて(平成17年8月3日情報公開に関する連絡会議申合せ)」によれば、「職務遂行に係る公務員の氏名の取扱方針として、各行政機関は、特段の支障の生ずるおそれがある場合を除き、公にすること。」としている。
      したがって、本件の場合、職務遂行に係る公務員の氏名に関する情報であるから、条例第10条第1号には該当せず、実施機関のなした処分は不当である。
    • (イ) 「車両ナンバーに係る部分」が条例第10条第1号に該当するとしている点について
      「行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律」及び「個人情報の保護に関する法律」に明文化された「法律の目的」や「個人情報の定義」等によれば、個人情報についてこれらの法令が意図しているのは、行政機関が取り扱う住民の個人情報や、企業が取り扱う顧客の個人情報が、第三者に漏洩することを防止するものであることは容易に判読することができる。
      したがって、本件の場合、審査請求人本人の情報であるから、条例第10条第1号には該当せず、実施機関のなした処分は不当である。
    • (ウ) 「所有者たる申請者に係る部分」が条例第10条第1号に該当するとしている点について
      上記(イ)のとおり、本件の場合、審査請求人本人の情報であるから、条例第10条第1号には該当せず、実施機関のなした処分は不当である。
    • (エ) 「条例第13条に基づき、存否を明らかにしない」としている点について
      上記(ア)から(ウ)までのとおり、本件の場合、条例第10条第1号で規定する不開示情報には該当しない。
      さらに、審査請求人が運転する車両に関して、特定日時に110番受電した旨、担当警察官から審査請求人宅に電話があり、この事実行為により開示請求された公文書の存在は明らかであるから、本件について存否を秘匿する理由がない。
      したがって、条例第13条には該当せず、実施機関のなした処分は不当である。
  • イ 条例の目的
    最高裁(第三小法廷)平成15年11月11日判決は、次のように判示している。
    「個人に関する情報」については、個人の思想、信条、健康状態、所得、学歴、家族構成、住所等の私事に関する情報に限定されるものではなく、個人にかかわりのある情報であれば、原則として「個人に関する情報」に当たると解するのが相当である。しかし、県の公務員の職務の遂行に関する情報は、公務員個人の社会的活動としての側面を有するが、公務員個人の私事に関する情報が含まれる場合を除き、公務員個人が情報公開条例でいう「個人」に当たることを理由に同条例の非公開情報に当たるとはいえないものと解するのが相当である。その理由として、情報公開条例は、県の県政に関する情報を広く県民に公開することを目的として定められたものであり、県の県政に関する情報の大部分は、県の公務員の職務の遂行に関する情報ということができることがあげられる。そうすると、情報公開条例が、県の公務員の職務の遂行に関する情報が記録された公文書について、公務員個人の社会的活動としての側面があることを理由に、これをすべて非公開とすることができるものとしているとは解し難いというべきである。
    以上より、実施機関のなした処分は、この判例に違反しており、条例の解釈適用に重大な誤りがある。
  • ウ 結論
    これまでに述べたとおり、実施機関のなした処分は不当であり、審査請求人が請求した情報を、速やかに開示しなければならない。

4 諮問庁の主張の要旨

諮問庁が説明書において主張している内容は、おおむね次のとおりである。

(1) 不開示情報について

本件開示請求内容のうち、条例第10条に規定する不開示情報に該当する情報及び理由は次のとおりである。

  • ア 「○○巡査部長及び○○警部補のうち、氏名に係る部分」について
    慣行として公にされていない警部補以下の職員の氏名は、個人に関する情報であって、特定の個人を識別することができるものであり、条例第10条第1号に該当すると認められる。
  • イ 「車両ナンバーに係る部分」について
    個人に関する情報であって、他の情報と照合することにより、特定の個人を識別することができるものであり、条例第10条第1号に該当すると認められる。
  • ウ 「所有者たる申請者」について
    個人に関する情報であって、特定の個人を識別することができるものであり、条例第10条第1号に該当すると認められる。

(2) 条例第13条該当性について

条例第13条は、「開示請求に対し、当該開示請求に係る公文書が存在しているか否かを答えるだけで、不開示情報を開示することとなるときは、実施機関は、当該公文書の存否を明らかにしないで、当該開示請求を拒否することができる。」と規定している。
本件開示請求に係る公文書の存否を明らかにした場合、特定の警部補以下の職員がいるか否か、特定の個人及び特定の個人の所有する車両に関する110番の通報がなされたか否かが明らかとなり、条例第10条第1号で規定する不開示情報を開示することとなるため、条例第13条の規定を適用すべきと認められる。

(3) 結論

実施機関は上記に記載した判断を経て本件処分を行ったものであり、処分は妥当なものである。

5 審査会の判断

(1) 本件開示請求について

本件開示請求は、「平成22年9月18日(土曜日)20時頃、110番受電し、埼玉県警高速道路交通警察隊○○分駐所の○○巡査部長及び○○警部補が担当した、車両ナンバー及びその所有者たる申請者に関するすべての文書。及び、110番受電した際の音声記録。」の開示を求めるものであり、警察官の氏名及び事案の当事者が特定されている。

(2) 本件審査請求について

本件審査請求は、実施機関が、本件開示請求に対して、開示請求された公文書の存否を答えることは、条例第10条第1号に規定する不開示情報を開示することとなるため、条例第13条に基づきその存否を明らかにすることはできないとして行った本件処分を不服として、審査請求人がその取消しを求めているものである。
諮問庁は、本件開示請求に係る公文書の存否が明らかになった場合に、特定の警部補以下の職員がいるか否かの情報、特定の個人及び特定の個人の所有する車両に関する110番の通報がなされたか否かの情報が明らかとなり、条例第10条第1号で規定する不開示情報を開示することとなるため、条例第13条を適用して存否応答拒否を行ったとしている。
条例第13条は、「開示請求に対し、当該開示請求に係る公文書が存在しているか否かを答えるだけで、不開示情報を開示することとなるときは、実施機関は、当該公文書の存否を明らかにしないで、当該開示請求を拒否することができる。」と規定している。
本件開示請求は、110番通報の処理を担当した警察官の氏名及び事案の当事者を示し、個別具体的事案を特定してなされたものである。そのため、もし、本件開示請求に係る公文書の存否を明らかにすれば、特定の警部補以下の職員が存在するという事実の有無並びに特定の個人及び当該個人の所有する車両について110番の通報がなされたという事実の有無(以下これらの事実の有無を「本件存否情報」という。)が開示される結果となる。
そこで、当審査会は、本件存否情報が不開示情報に該当するか否かを検討する。

(3) 本件存否情報の不開示情報該当性

  • ア 特定の警部補以下の職員が存在するという事実の有無について
    諮問庁は、警部補以下の職員の氏名は、条例第10条第1号の不開示情報にあたると主張している。それに対して、審査請求人は、職務遂行に係る公務員の氏名であることを理由に、条例第10条第1号に該当しないと主張している。
    条例第10条第1号は、「個人に関する情報(事業を営む個人の当該事業に関する情報を除く。)であって、当該情報に含まれる氏名、生年月日その他の記述等により特定の個人を識別することができるもの(他の情報と照合することにより、特定の個人を識別することができることとなるものを含む。)」を不開示情報として規定している。しかし、同号は、ただし書イ、ロ又はハに掲げる情報に該当する場合には、不開示情報から除くとしている。
    このうち、ただし書ハでは、当該個人が公務員である場合において、当該情報がその職務遂行に係る情報であるときは、当該情報のうち当該公務員の職及び当該職務遂行の内容に係る部分は開示するとしている。なお、職務遂行に係る情報に公務員の氏名が含まれる場合には、ただし書イの「慣行として公にされ、又は公にすることが予定されている情報」に該当するときに限り開示することとなる。
    ただし書イで規定する、「慣行として公にされ、又は公にすることが予定されている情報」とは、一般に公にされている、又は公にすることが予定されている情報であり、開示しても、一般的に個人の権利利益を侵害するものではないと認められるものをいう。例えば、埼玉県の知事部局の職員の場合、職員の職及び氏名が掲載された埼玉県職員録が市販されており、何人でも知り得る状態に置かれているため、職務遂行に係る情報に職員の氏名が含まれている場合には、職員の氏名は、慣行として公にされている情報として開示となる。
    他方、埼玉県警における警部補以下の職員の氏名は、従来から、埼玉県職員録においても、また、新聞の人事異動情報でも公表されていない。そのため、警部補以下の職員の氏名は、慣行として公にされている情報とはいえず、公にすることが予定されている情報ともいえないことから、ただし書イに該当しないことが認められる。また、本件の場合、ただし書ロに該当する事情も認められず、条例第10条第1号に規定する不開示情報に該当する。
    したがって、不開示情報である氏名により特定された警部補以下の職員が存在するという事実の有無についても同様に、条例第10条第1号に規定する不開示情報に該当するものと認められる。
    なお、審査請求人の引用する「情報公開に関する公務員の氏名・不服申立て事案の事務処理に関する取扱方針(各府省申合せ等)」中の「各行政機関における公務員の氏名の取扱いについて」(平成17年8月3日情報公開に関する連絡会議申合せ)は、上記解釈に影響を与えるものではない。
  • イ 特定の個人及び当該個人の所有する車両について110番の通報がなされた事実の有無について
    実施機関は、特定の個人及び当該個人の所有する車両に関する情報である「車両ナンバー」及び「所有者たる申請者」の記述は、条例第10条第1号の不開示情報にあたると主張している。それに対して、審査請求人は、これらの情報は審査請求人本人の情報であることを理由に、条例第10条第1号には該当しないと主張している。
    条例第7条は、公文書の開示を請求できるものとして、「次の各号のいずれかに該当するものは、実施機関に対し、当該実施機関の保有する公文書の開示を請求することができる。」と定め、第1号から第4号においては、県内在住、在勤・在学者を、第5号においては、前各号に該当しないが、公文書の開示を必要とする相当の理由を有する者を請求権者としている。これは条例に定める情報公開制度は、情報を広く一般に公開することを前提としているからであり、その結果、開示情報は不特定多数の者に対して開示されることとなる。したがって、開示・不開示の判断については、開示請求者が誰であるかは考慮されない。そのため、条例第10条第1号の不開示情報該当性の判断については、開示請求者本人の情報であったとしても、他の個人に関する情報と同様に取り扱うことになる。
    したがって、事案の当事者を示す「車両ナンバー」及び「所有者たる申請者」の記述は、条例第10条第1号に規定する個人に関する情報であって、特定の個人を識別することができるものであり、かつ、同号ただし書のいずれにも該当しない。そして、これらの不開示情報により特定された、個人及び当該個人の所有する車両について110番の通報がなされたという事実の有無についても同様に、条例第10条第1号の不開示情報に該当するものと認められる。
  • ウ 以上から、本件存否情報は、条例第10条第1号の不開示情報に該当するものと認められ、本件開示請求に係る公文書が存在しているか否かを答えるだけで、不開示情報を開示することとなることから、実施機関が条例第13条に基づき行った本件処分には理由があると認められる。
    なお、審査請求人は、担当警察官の行った事実行為の存在を理由に、条例第13条には該当しないと主張しているが、前述のとおり、開示情報は不特定多数の者に開示されることとなるため、開示・不開示の判断については、請求者の個別的事情等を考慮しないものであることから、かかる事実行為の存在は、当審査会の判断に影響を与えるものではない。
    また、審査請求人は、条例第11条第2項により部分開示すべきであるとの主張をしている。しかし、本件開示請求は、上記のとおり不開示情報である警察官の氏名及び事案の当事者を特定してなされたものであるので、仮に、本件開示請求に係る公文書が存在するとして個人識別性のある部分を除いた上で部分開示したとしても、結局、不開示情報を開示することと同様の結果を生じることとなる。したがって、審査請求人のかかる主張は失当である。

(4) その他

審査請求人は、最高裁平成15年11月11日第三小法廷判決を引用して、情報公開条例の目的が県政に関する情報を広く県民に公開することであり、県政に関する情報の大部分が県の公務員の職務の遂行に関する情報であることからすれば、実施機関の行った本件処分には、条例の解釈適用において誤りがあり、不当であると主張している。
しかし、審査請求人が引用する判決は、公務員の職務の遂行に関する情報も「個人に関する情報」であることを前提として、「公務員の職務の遂行に関する情報が記録された公文書について、公務員個人の社会的活動としての側面があることを理由に、これをすべて非公開とすることができるものとしているとは解し難い」としているに過ぎず、公務員の職務の遂行に関する情報が記録された公文書に公務員の氏名が含まれる場合に、当該公務員の氏名が、慣行として公にされていないのであれば、条例第10条第1号ただし書イに該当しないため不開示とすることは、判決の趣旨と矛盾するものではない。
したがって、実施機関における本件処分には、条例の解釈適用に誤りがあったとは認められず、不当であるとはいえない。

以上のことから、「1 審査会の結論」のとおり判断する。

(答申に関与した委員の氏名)
鈴木 幸子、田村 泰俊、早川 和宏

審議の経過

年月日

内容

平成22年11月10日

諮問を受ける(諮問第212号)

平成22年12月22日

諮問庁から理由説明書を受理

平成23年1月11日

審査請求人から反論書を受理

平成23年1月12日

諮問庁から意見聴取及び審議(第三部会第66回審査会)

平成23年2月10日

審議(第三部会第67回審査会)

平成23年3月25日

審議(第三部会第68回審査会)

平成23年5月10日

答申

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総務部 文書課 情報公開・個人情報保護担当

郵便番号330-9301 埼玉県さいたま市浦和区高砂三丁目15番1号 埼玉県衛生会館1階

ファックス:048-830-4721

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