インタビュー・コラム

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掲載日:2022年11月25日

座波 尚子(ざは しょうこ)さん

File9_座波尚子さん

プロフィール

川口商工会議所 総合政策課 主任。
仕事と家庭の両立を図る、30代。3児(中学生、小学生、保育園児)の母。
誰かを応援することや何か面白いことを考えるのが好きな性格であったことや、大学で生涯学習を学んだことをきっかけに、企業支援や地域振興に携わる商工会議所の仕事に興味を持ち、川口商工会議所に入所。
広報担当を経て、ものづくりブランド事業や企業間連携、デジタル化支援事業に携わる。
川口商工会議所:https://www.kawaguchicci.or.jp/

グラフ

生涯学習を学んだことが就職先を決めるきっかけに

大学のゼミで生涯学習についてたくさんのことを学びました。夜間大学に通っていたので周りには同年代のほか社会人も多く、ゼミや講義を通し自分とは違った年代の考え方にも数多く刺激を受けました。学校教育がすべてではなく、社会人になってもずっと学びの場があり、仕事や仕事以外の事でも学び方は多様であると実感しました。

昔から人を応援することや、何か面白いきっかけ作りになることを考えるのが好きで、何か自分が役に立てる仕事はないかと考え応募し、大学卒業後、川口商工会議所で働くことになりました。

仕事って面白いな

入所以来、「何が企業のためになるか、役に立つか」を考え、配属された部署で自分のできることを取り組んできました。現在は、川口のものづくりブランド認定制度や企業のデジタル化支援などに関わることができ、難しい業務ではありますがとてもやりがいを感じます。

何か事業が完了した後は、面白かった、やってよかったと思いますが、やっている最中はいつも必死です(笑)。時には空回りしてしまうこともありました。

どんなことでも、やると決めた以上は絶対やりとげよう、自分のできることを努力しようと思っています。

仕事と育児の両立は、「自分軸でいいんだ」と思えるようになった

<仕事や育児の両立で大変だったこと>

第1子の育児休業明けの頃は、「仕事ができない言い訳、進まない言い訳に子育てを使わない」と決めました。周りの若手職員と比べて仕事の到達度が落ちてはいけないと考えていましたし、「仕事も子育ても完璧にこなせないと周りから認められない」と思っていました。キャパは決まっていますから、その状態だとだんだんと立ち行かなくなりますよね。

そのうち、できなかったことが気になりメンタル的にも苦しくなり、疲労感が表に出るようになりました。親が精神的に余裕がないと子どもは敏感ですので、何か察して表情や様子に出てくるんですよね。自分も苦しいし、何のために頑張っているのだろうと思った時に、「肩ひじ張らなくていい」「自然体でいい」と思えるようになりました。自分のやれるところまで一生懸命やり、達しなかったらそれはそれと割り切る。「完璧でなくてもいい」「自分軸でいい」と、だんだんそぎ落とされていった感じです。もちろん、改善点を振り返り次へどう活かすかは大事ですが、引きずらないことも大事です。

「あなたに仕事を任せて安心」と思っていただけるように、引き受けた仕事は必ずやり遂げる、その積み重ねが職場での信頼に繋がると思っています。まだまだ子育て真っ最中ですが、今まで職場の皆さんに助けてもらった分、今度は自分がカバーしたいと思っています。

アンパンマンカレーで、心が楽になった

何となく今の社会にも、手の込んだ料理を作る理想の母親像があると思います。でも毎日手料理でなくてもいいですよね。仕事で疲れて、保育園のお迎えに行ってから帰宅し、ごはんを作らなくちゃという時に、たまにはアンパンカレー(レトルトカレー)にしてもいいじゃないですか。早く食べて、お風呂に入り子どもを寝かせることができれば、また明日元気にスタートできますよね。

保育園や学童のお母さんたち同士で、帰り道にたわいのない話をしている時が一番ホッとできました。上の子の保育園当時は、時短料理やテイクアウトをすることに今のように理解がなく、「手作り料理推し」がまだまだ根強い風潮でした。そのような中で、お母さん達と「アンパンカレーでもドラッグストアで食材調達のちゃちゃっと料理でも子どもは育つ」「今日も疲れたね。仕事頑張った。今日の晩御飯はお惣菜にするわ~」と笑いながら言い合えた時は、心がすごく楽になりました。

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ものづくりブランドやデジタル化支援事業のPR(川口市市産品フェア2022)

学校や保育園行事と仕事の狭間で

コロナ禍の異例対応で苦労もありました。小学校が臨時休校になってしまい、学童開室までの時間は小学校で自習預かりをしてくれたのですが、朝は保護者が学校へ送りにいかなければならず、短時間勤務制度(末の子が3歳未満だったため)を利用させていただき、臨時休校期間を乗り越えることができました。

また、子どもが3人いると学校行事や保育園行事が集中して大変です。小中学校の授業参観や個別面談、部活動関係、保育園行事…ひと月に7回行事があることも。到底すべて参加はできませんので、必ず押さえなければいけない行事から日程を調整し、時間休を取得し出席をしています。これもある意味、親子でコミュニケーションをとって割り切るしかないですが、それでも子どもたちのことを思うとつらいですね。正直、学校にもどうにかならないかなと思うことはあります。

苦労や困難を乗り越える時に参考にしていること

私は、企業経営者のお話を聴く機会が多くあり、その方の考え方や言葉が苦労を乗り越える原動力になります。信念をもって経営していく、実際にやってこられた方の言葉の重みは違います。ある方は、一人でも多くの赤ちゃんの命を救うために人工呼吸器を開発されてきた。ある方は、夫の急逝により専業主婦から必死に経営の勉強をして会社を引っ張ってこられた。ある方は、“世界で初めて”“日本で初めて”を追求してITのインフラを築きあげてこられた…。その時代時代の背景と共に、そこに経営者がゆるぎない信念をもって実行してこられたからこそ、今の私たちの生活や仕事につながっているのだなと感じます。

仕事のことでくよくよ悩んでいた時は、なんて自分の考えはちっぽけなんだろうと思い吹っ切れたり、実際に励ましのお言葉をいただくこともありました。

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川口まちこうば芸術祭メンバーと共に

(クリエイター・町工場・学生がコラボし新製品を開発して展示)

「子供の性格は一人ひとり違う」「夫婦はチーム」

3人の子育て中ですが、子どもの性格の違いでちょっとした苦労がありました。一番上の子がとても神経質で、私以外が抱っこするのは嫌、掃除機も嫌、食べ慣れない物も嫌、いつもと違う場所も嫌で、何か変化が起こると大泣き…。そんな感じなので外食する気にもならず、3歳まで一緒にどこかに外食したり旅行に行った記憶がありません(笑)。

3人いるので子育てと仕事の両立をどうやっていたのかよく聞かれるのですが、その子その子で違うので気揉みせず、そんなもんだと思って親が気負わないことですよね。そのためには、精神的にも体力的にも疲れたときは甘える、吐き出すことも大切だと思います。

世の中では「働き方改革」が進んできていますが、すべての会社が同じような体制ではありません。育児や家事は夫婦で分担するのが理想ですが、何事も真っ二つに同じ条件とはいかないものです。夫婦で話し合い納得感のある落としどころを考えるのが良いと感じています。

我が家でも夫の会社でだんだんと子育てに融通が利くようになり、保育園の送迎を分担したり、中抜けして学校の個人面談に行ってもらったり、手が増えて助かっています。私の一週間を過ごし方のイメージですが、「平日は仕事に集中し家事は必要最低限、生活が回ることを重視する。休日は家を整えたり、子どもとの時間をたくさんとる」といった感じです。

座波2

『ハートは熱く、頭はクールに』

これは以前直属だった上司の言葉です。仕事の色々なこと全てが上手くいかず空回りしていた時期がありました。多分そういう状況の私を見ていてくださって、私の考えにも共感していただいた上で、この言葉をかけていただいたのだと思います。この言葉にハッと気づかされました。突っ走ってしまう性格なので、この言葉を大切にして「一旦冷静になること」を心掛けています。

思うと、私は今同僚にも上司にも恵まれており、誰かが見てくれていて助けてくれる、アドバイスをくださる環境にあります。自分も物事を俯瞰して冷静に声をかけられる人になりたいと思いますが、まだまだ修行中の身です(笑)。

最後の育休は、子供と一緒に楽しく過ごす

3人目を出産後、これが最後の育休になると考えました。仕事復帰すると、一日中子どもとべったり過ごすこともできないので、子どもたちに何かやってあげようと思いました。放課後、子どもたちが家に来て遊んだり、イベントやパーティーをやったり、授業参観・保育参観や面談もフルで出席しました。学校から帰ってくる子どもたちに「おかえり」と言えることや、おやつを考える時間も大切だったなと思います。この1年間を楽しく過ごしたことが、現在でも頑張って働く活力にもなっています。

一言メッセージ

社会でいろいろな人と出会い、様々な価値観に触れることは自分自身にとって、きっとプラスになるはずです。私自身も試行錯誤の連続です。仕事も子育てもトライ&エラー、大きな失敗は避けたいですが、やってみて改善することの繰り返しなので、気負わずチャレンジすることが大事だと思います。何事も、やってみないと分からないことの方が多いのではないでしょうか。自分の周りの状況が考えの先に立ってしまいますが、決断に悩んだ時は、自分が何をしたいか、どうしたいかを主眼に考えてみてはいかがでしょうか。

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