インタビュー・コラム

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掲載日:2022年6月30日

大塚 聡子(おおつかさとこ)さん

File5_大塚聡子さん

プロフィール

株式会社矢口造園(北本市)にて営業、設計、施工管理を担当。
知人からのアドバイスをきっかけに2002年より造園業界で働き始め、2007年に入社、現在に至る。会社のサポート制度を利用し、仕事と家庭の両立を図りながらスキルアップにも積極的に取り組む。
株式会社矢口造園:http://www.yaguchi-zoen.co.jp/

バランスのグラフ

知人のアドバイスから造園業界へ

30代の時、今後の働き方やライフプランについて知人に相談していたところ、「これからの時代は女性も専門的な知識を身に付け仕事をした方がいい」とアドバイスをもらいました。

その知人が園芸店を経営していることもあり、「庭のデザインをする仕事はどうか」と勧めてくれましたが、実はそれまで全く植物や庭の事に興味を持ったことがなく、自分に出来る仕事ではないと思っていました。

子育て中に散歩をする機会が増え、車移動では気付かなかった花や木を目にするうちに植物に興味が湧いてきて、少し勉強してみようかと「庭園デザイナー」の通信教育を始めたのですが、講座が終了してまもなく、造園会社(前職)に入社することができ、営業、設計、施工管理の業務を行うようになりました。

前職での仕事内容や職場の人間関係は良かったのですが、当時は土日の勤務もあり双子の育児をしながら、仕事を続けるには負担が大きく、転職を考えるようになりました。

矢口造園大塚デスク写真

 

求人情報がなくても思い切って会社へ電話

造園業界ではなかなか思うような求人が見つからず諦めかけていたころ、たまたま地元の公園で開催されていたお祭りに矢口造園という会社が関わっていることを知りました。イベントとは無縁そうな造園の会社がなぜこのようなことをしているのか興味が湧き、どんな会社なのか調べてみたところ、古くから地元にある企業で、公園や公共施設の緑地管理をしている会社だという事が分かりました。

可能なら今までの経験を生かしたいと思っていたので、求人情報は出ていなかったものの、問合せするだけでもと、思い切って電話を掛けてみたんです。

すると、ラッキーなことにちょうどパート職員の採用を検討していたとのことで面接してもらえることになりました。ですが、私の希望は正社員での採用だったので、過去に作成した図面などを見てもらったりしながら経験や意気込みを必死にアピールしました。(笑)

「子育てとの両立をしながら働きたいので土日は休みたい」と正直に伝え、会社としては初の女性の正社員という形で採用が決まりました。当時から従業員の要望に対して耳を傾けてくれるという社風でしたので新たな試みに対しても前向きに検討してもらえたと思っています。

当初は苦労することも多く

仕事は、経験と努力がものを言うと思います。

当初、植物に関しても庭やエクステリアに関しても、知識や経験が全くなかったので、ちょっとしたお客様からの疑問に答えられなかったり、適切なアドバイスを差上げることが出来なかったりして落込むことも多くありました。

お客様からの信頼を得るために、日々勉強や資格取得に取組みました。仕事は資格が全てだとは思いませんが、専門知識や技能を習得することはお客様への安心・信頼の提供にもつながります。お客様によっては、私の名刺に記載してある資格に興味を示してくださり、「あなたがしっかり勉強したうえで、提案してくれたものだから」と納得してくださることもあります。

また、失敗もありました。

現場の職人さん達からの信頼を得る事が出来ず、こちらの指示がうまく伝えられなくて作業が滞ってしまったことがありました。子どもが小さかったので現場でのトラブルなどがあった際にすぐに対応できず、ジレンマに陥ったこともありました。

大塚聡子当初は苦労

周りに助けられて苦労や困難を乗り越えた

自分の未熟さからベテランの職人さんに怒られてとても落込んでいた時に、「みんな同じだから気にすることないですよ」と声を掛けられました。今までほとんどしゃべったことがなかったシャイな職人さんからの言葉だったので、どこからか見てくれている人はいるんだなと元気を出すことができました。一生懸命やっていれば、誰か見てくれている人はいると思って、それをモチベーションにしています。

仕事のトラブルで、急に保育園のお迎えに行けなくなってしまった時は、両親の助けを借りたこともありました。

自分が若い時に助けられた分、今は逆に若い人の力になりたいと思っていますが、今でも自分が仕事や生活面で困った時は、職場の同僚に相談し助けられています。相談というか話を聞いてもらっている感じです。あまり愚痴っぽくならないように注意していますが、それだけでも気が晴れます。

当社には、仕事と家庭の両立についての制度や利用しやすい雰囲気があります。多くの企業で両立支援制度の拡充等に取組んでいます。子育て世代の方は、自信を持って両立に取組んでほしいです。

矢口造園大塚育休ポスター写真

仕事で目標にしていること

最近は庭づくりの仕事はさほど多くありませんが、常にアンテナを張って見る目を養うようにしています。単純に好きということもありますが、お寺や神社、植物園などに出かけて気持ちのいい空間に触れるようにしています。

また、お客様への提案力強化・仕事の幅を広げるため、何か新しいことを取入れて行こうと常に考えて、近々「公園管理運営士」の資格に挑戦する予定です。

ありがたいことに、当社には資格取得の手厚い補助制度があり、社長自らを筆頭に社員全員がスキルアップに取組む雰囲気があります。せっかくの恵まれた社内制度を積極的に利用しようと思っています。

時には一歩を踏み出す勇気を

 

色々なことに興味を持って楽しそうだと思うものを増やしていくのはいいことです。

何がきっかけになって自分の人生が動き出すか分かりません。

もしかしたらその中から一生携われるような仕事に出会えるかもしれません。そして思い切って行動に移すという大胆さも時には必要ではないでしょうか。

うまくいくこともあれば、いかないこともあります。

年齢に関わらず興味を持てることとの出会いを大切にしてもらいたいと思います。

 

矢口造園社長写真

・大塚聡子(写真左)

・代表取締役 矢口光太郎(写真右)

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