令和7年度住民監査請求却下一覧
令和7年度受付分却下一覧表
|
番号
|
件名
|
受付年月日
|
結果通知日 |
|
1
|
コロナ関連予算決議に対する損害賠償請求に関する措置請求
|
令和7年11月25日
|
令和8年1月22日
|
| 2 |
令和5年度~令和7年度に係る政務活動費に関する措置請求 |
令和8年1月6日 |
令和8年2月25日 |
| 3 |
伊奈学園総合高等学校・中学校の空調設備工事等に関する措置請求 |
令和8年2月10日 |
令和8年3月27日 |
1.コロナ関連予算決議に対する損害賠償請求に関する措置請求
請求の要旨
請求の理由は、以下のとおりである。
- 違憲違法無効な令和2年度、3年度、4年度、5年度、6年度のコロナ関連予算の支出が審議され、議会多数が賛成表決を行った(以下「本件表決行為」という)。本件表決行為等は、民法第709条・第719条の要件を構成するにもかかわらず、損害賠償請求権の行使を怠っている。
- 議会・議会構成員は、公開質問状受領後、感染症法・予防接種法・新型インフルエンザ等対策特別措置法等が適用される立法事実存在の抗弁を回答せずに、令和2年度、3年度、4年度、5年度、6年度のコロナ関連予算議決無効確認不作為を継続している。
- 地方自治法第96条第1項第13号に規定する「法律上その義務に属する損害賠償の額を定めること」の議決不作為は、国家賠償法あるいは民法の規定により、普通地方公共団体が損害賠償請求責任を負う。
違法な理由は、以下のとおりである。
- 病原性未証明遺伝子検出について、病原性未証明・感染症法第15条行政検査非該当、遺伝子検出について同意不存在。違法性阻却されないので、障害未遂(暴行)・傷害・同意傷害罪もしくは業務上過失傷害罪共同正犯構成要件該当性・違法性阻却事由不存在が推定される。予算議決による資金が正犯の「実行を容易にする」要件を充足し生命身体に対する何らかの有形力の行使を行っていなくても資金の援助は刑法第62条ほう助犯を構成する。
- 予算議決によりワクチンと呼称されている病原性未証明「生物兵器」病原体感染症遺伝子治療製剤の投与強制が可能になっているので処分性あり。感染症法・予防接種法・新型インフルエンザ等対策特別措置法等が適用される立法事実存在の抗弁不提出であるので、立法事実不存在が推定される。本件表決行為は、重大明白性要件充足による無効、公序良俗違反による無効に該当する。
請求措置内容
(ア)令和2年度、3年度、4年度、5年度、6年度のコロナ関連予算案に賛成票を投じなかった議員を除く議会議員に対して民法第709条、第719条に基づく損害賠償請求権の実施を埼玉県知事に対し命じる措置
(イ)令和2年度、3年度、4年度、5年度、6年度のコロナ関連予算議決無効確認不作為に対する民法第709条、第719条に基づく損害賠償請求権の行使
(ウ)地方自治法第96条第1項第13号に規定する不当利得返還元本債務に関する「法律上その義務に属する損害賠償の額を定めること」の議決不作為に対する民法第709条、第719条の損害賠償請求権の行使
(エ)埼玉県知事が本件予算議決への賛成表決作為による損害賠償請求権の行使を怠っている事実が、地方自治法第242条第1項の「違法又は不当な必要な措置を怠る事実」に該当することの確認
(オ)議員の予算案賛成表決等により埼玉県に生じた損害の回復及び今後の同種事業の再発防止のための措置
却下した理由
- 請求措置内容の(ア)では、令和2年度、3年度、4年度、5年度、6年度のコロナ関連予算案に賛成表決を行った議員に対する損害賠償の実施を求めているが、そもそも地方公共団体の予算は、法第211条第1項及び第218条第1項並びに第2項の規定に基づき、当該地方公共団体の長が議会に提出するものであるため、長が賛成した議員に損害賠償を請求する理由がない。
- 請求措置内容の(イ)及び(ウ)では、議会の議決不作為についての損害賠償請求権の行使を求めているが、そもそも地方公共団体の議会が議決すべき事件を議決しないときは、当該地方公共団体の長は同法第179条第1項の規定に基づき、その議決すべき事件を処理することができるため、長が議会に対し損害賠償を請求する理由がない。
- 請求措置内容の(エ)については、違法・不当な財務会計行為の是正等に該当しない。
- 請求措置内容の(オ)のうち損害の回復については、議員の表決等による直接の損害はなく、再発防止のための措置については、違法・不当な財務会計行為の是正等に該当しない。
以上のことから、本件請求は、法第242条第1項に定める住民監査請求の要件を具備しない不適法なものであると判断する。
2.令和5年度~令和7年度に係る政務活動費に関する措置請求
請求の要旨
令和5年度~令和7年度に、埼玉県議会の高橋稔裕元議員(以下「元議員」という。)が「ホームページ・SNS(Instagram・TikTok)管理費」等の名目で支出した政務活動費(1,030,689円)について、「埼玉県政務活動費の交付等に関する条例」の趣旨及び使途基準に適合しない疑いがある。
ア ホームページについて
- 元議員のホームページは、令和5年11月以降、一般の検索及びURLの直接入力によっても確認できない状態であった。
- 県政報告書(令和5年12月以降の発行分)には、ホームページのQRコードの記載が確認できなかった。
イ SNS(Instagram・TikTok)について
- TikTokに投稿された動画は、主として街頭や成人式会場等におけるインタビュー形式の動画であり、多くが約1分程度の短時間動画であった。
- これらの動画には、県政上の課題についての体系的な調査、分析、又は政策立案に資する成果物は確認できなかった。
- 多くの動画において、インタビュー後に「好きな政治家」を尋ねる場面が含まれ、編集後の動画では元議員の氏名を答える内容が表示されているものが確認された。
- Instagramの投稿は、TikTok動画の流用又は元議員本人による簡易な投稿が大半であり、TikTok管理とは別個の独立した管理業務が行われていたとは認め難かった。
請求措置内容
- 上記の政務活動費支出の適法性及び妥当性について監査を行うこと
- 不適切な支出の返還を含む必要な措置を講ずること
- 再発防止のため、適正な政務活動費執行に関する指導及び是正措置を行うこと
却下した理由
調査の結果、監査事務局が把握した経緯は以下のとおりである。
- 令和6年度県交付金支出は、令和6年4月15日、同年7月12日、同年10月15日及び令和7年1月15日に元議員が所属していた会派である埼玉県議会自由民主党議員団(以下「自民党議員団」という。)に交付された。
- 令和7年4月30日に議長に収支報告書が提出され、政務活動費支出額は交付額を上回っていた。当該収支報告書には元議員が支出したホームページ等管理費の領収書が添付されており、県交付金支出がホームページ等管理費に充当されていた。
- 令和8年1月21日に自民党議員団は、元議員のホームページ等管理費に政務活動費を充当しないこととし、議長に訂正後の収支報告書を提出し、同日付で受理された。
- 訂正後の令和6年度の自民党議員団の政務活動費支出額は、なお、県が交付した金額を上回っていたため、交付額に変更はなかった。
- 訂正後の報告書に記載されている政務活動費の支出額に係る領収書を閲覧し、元議員のホームページ等管理費は含まれていないことを確認した。なお、各会派が知事から交付された政務活動費を個々の議員にどのように配分するかについては、条例等に定めはなく、知事への報告義務もない。
- 令和7年度の県交付金支出については、令和7年4月15日、同年7月15日、同年10月15日及び令和8年1月15日に交付されているが、収支報告書は年度終了後に提出されるものであり、現時点においては提出されていない。
住民監査請求は、法第242条第1項の規定に基づき、地方公共団体による違法又は不当な公金の支出、財産の取得、管理又は処分、違法又は不当に公金の賦課、徴収又は財産の管理を怠る事実等(以下「財務会計上の行為」という。)を対象として、違法又は不当な財務会計上の行為の予防、是正及び損害の補填等に必要な措置を講ずべきことを監査委員に対して請求できることとされている。
しかし、上記経緯のとおり、訂正後の収支報告書において、請求人が違法または不当であると摘示した政務活動費の充当はない。
また、訂正後の当該会派の政務活動費支出額が県交付額を上回っているため、県の不当な財産的損害もない。
さらに、令和7年度県交付金支出については、違法または不当な財務会計行為であることを示す事実がない。
よって、本件請求は、法第242条第1項の規定による監査を実施する理由がないものと判断し、却下する。
(なお、本件請求については、県議会議員から選任された監査委員は、法第199条の2に定める直接の利害関係者に当たるため、除斥とした。)
3.伊奈学園総合高等学校・中学校の空調設備工事等に関する措置請求
請求の要旨
- 県立伊奈学園総合高等学校において、PTAが契約主体とされる空調設備工事及びその維持管理に関し、契約名義人はPTA会長であるが、以下のとおり契約主体と支出主体が一致しない財務処理が行われている。
(ア)請求書は学校宛となっている。
(イ)学校内部で執行伺・支出決裁が行われている。
(ウ)学校が金融機関を通じて振込手続を実施している。
- 令和6年度に空調設備フィルター清掃費(約20万円)が支出されており、当該清掃対象はPTAが設置した普通教室だけでなく、教職員室・特別教室等の公費設置設備を含む全232台とされているが、当該費用全額をPTA会計から支出させている。
- 教職員室・特別教室等の空調設備は、公費により設置された学校施設であり、その維持管理費は設置者である埼玉県が負担するべきものであるにもかかわらず、当該維持管理費をPTAに全額負担させていることは、地方自治法(以下「法」という。)第242条第1項の「公金の支出を怠る事実」に該当する。
措置請求内容
- 当該空調設備工事及び維持管理に係る契約主体・支出主体・管理主体を法令に基づき是正すること。
- 学校がPTA契約に基づき支出を行う行為を直ちに停止させること。
- 本来埼玉県が負担すべき経費について、適法な公金支出を行う、又は適法な契約関係を再構築すること。
- 同様の処理が県立学校全体で行われていないかを調査し、再発防止措置を講ずること。
却下した理由
法第242条第1項に定める住民監査請求が適法となるためには、執行機関又は職員の違法・不当な財務会計行為により、当該地方公共団体に損害が生じているか、又は将来損害を生じるおそれがあることが要件となるものである。
しかしながら、調査の結果、令和6年9月1日付けで埼玉県伊奈学園PTA会長が受注者と契約した「埼玉県立伊奈学園PTA空調設備更新及び増設工事」の前払金160,000,550円及び増設工事に伴う費用8,116,130円は、全てPTA会費を原資とした「空調設備積立金」から支払われており県の財政的負担は発生していない。
よって、県に財産的損害は生じておらず、現時点では県に将来損害を生じるおそれがあるとはいえないことが確認された。
空調設備のフィルター清掃費に係る費用203,225円についても、PTA会費を原資とする「空調設備費」から支払われており、県に財産的損害は生じておらず、現時点では県に将来損害を生じるおそれがあるとはいえないことが確認された。
以上のことから、本件請求は、法第242条第1項に定める住民監査請求の要件を具備しない不適法なものであると判断する。