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ページ番号:55192
掲載日:2024年3月4日
ここから本文です。
番号 |
件名 |
受付年月日 |
結果通知日 |
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1 |
県道における車止めの撤去に関する件 |
平成27年6月29日 |
平成27年7月16日 |
県道(市道の進入路)に設置されている車両通行止め杭により、県道の渋滞が増幅され車の通過が特定の市道に集中し、緊急搬送や災害時の避難行動の障害となるなどの弊害が生じている。これは県道及び市道の機能を阻害し、一部地域を利することにより公益を損なうものである。埼玉県が当該杭の設置を認めていることは、公道の管理が公共の福祉を増進するものであることに逆行しているので、撤去を請求する。
地方自治法(昭和22年法律第67号。以下「法」という。)第242条第1項に定める住民監査請求の対象は、当該地方公共団体の執行機関又は職員等による違法・不当な公金の支出、財産の取得、管理若しくは処分等の財務上の行為とされている。
ところで、請求人は、「車両通行止め杭の設置」について、公共の福祉を増進するものである「公道の管理」に照らし、弊害があり機能を阻害し公益を損なっているので撤去することを主張しているものと解される。
住民監査請求の対象について、裁判例では、「法第242条1項の定める財産の管理…についていえば、…当該財産の財産的価値そのものの維持、保全又は実現のためにそれを直接の目的としてされる行為でなければならないのであって、その他の非財産的目的のためにする行為は、たとえそれが何らかの形で右財産の財産的価値に影響を及ぼすことがあるものであるとしても、これを財産の管理等に当たる…とすることはできない」(昭和53年10月26日東京地方裁判所判決、昭和54年10月25日東京高等裁判所判決)としている。
他の裁判例でも、法第242条第1項に定める事項について「公金の支出、財産の取得・管理・処分、契約の締結・履行、債務その他の義務の負担、公金の賦課・徴収を怠る事実、財産の管理を怠る事実に限られるのであり、右事項はいずれも財務会計上の行為又は事実としての性質を有するものである。」としたうえで、市道建設工事について「道路整備計画の円滑な遂行・実現を図るという道路建設行政の見地からする道路行政担当者としての行為(判断)であって、本件土地の森林(保安林)としての財産的価値に着目し、その価値の維持、保全を図る財務的処理を直接の目的とする財務会計上の財産管理行為には当たらないと解するのが相当である。」(平成2年4月12日最高裁判所判決)としている。
これを本件請求についてみると、当該車止めは、周辺道路通行の安全対策として警察との協議を踏まえて、平成6年5月11日に県が設置し同年5月18日に供用が開始されたものである。
当該車止めの設置は、安全かつ円滑な道路交通の確保を目的とした道路管理行政上の行為、一般行政上の非財務的行為である。つまり、当該車止めの設置は、道路自体の財産的価値・評価を直接変動させる、財務的処理を目的とした行為ではないことは明らかであり、住民監査請求の対象となる財産の管理に係る行為に該当しない。
以上のとおり、当該車止めの撤去を求める本件請求は法第242条第1項に定める住民監査請求として不適法であるので、これを却下する。
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