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掲載日:2023年3月14日

令和5年2月定例会 代表質問 質疑質問・答弁全文(小島信昭議員)

順天堂大学病院の誘致等について

Q   小島信昭 議員(自民)

御案内のとおり、本県の医師不足・病床不足は深刻であります。人口10万人当たりの医師数は全国最下位、病床数も2025年の人口などを基にした必要数に対し1,763床の不足が見込まれ、公募を行いましたが、期間延長しても不足が解消できない全国でもまれな状況となっています。
このような状況を解消する一つの有効な手段は、大学病院の誘致であります。(仮称)順天堂大学医学部附属埼玉国際先進医療センターは、我が党が岩盤規制といわれた地域医療体制整備のルールに風穴を開け、誘致にこぎつけたもので、地域の医療体制の整備だけでなく、県内全体に医師派遣をも実現する重要なプロジェクトであります。当初2021年に開院する計画でありましたが、残念ながら幾たびかの計画変更により、現在は2025年着工、2027年11月の開院を目指すとされています。
そこで3点、知事に伺います。
まず1点目は、この誘致の実現に向けた進捗状況です。
昨年11月に環境アセスメントの調査計画書の縦覧が始まったとのことですが、2027年の開院に向けて今後予定されている工程は現在順調に進んでいると認識していいのか、また、この工程上に開院を遅らせる可能性のある要素はないと理解していいのか、現時点での見込みについてお答えください。
また、開院に先行して始まっている同大学からの県内医療機関への医師派遣の状況についてもお答えください。
2点目は、費用負担についてです。
県と順天堂大学は2018年にいわゆる確認書を取り交わしていて、そこには整備費用の2分の1以内を負担、用地については無償で貸与することになっているそうですが、知事はこの確認書の効力は一部なくなっているとの認識をさきの県議会で示されています。では、今どのような県の負担が適当だとお考えでしょうか。今後は詳細な費用見込みが算出され、そのうち同大学と協議を行った上で県の負担は確定すると思いますが、現時点ではどういった負担を行う腹づもりなのか、お答えをお願いいたします。
また、そういったものを持った上で、なるべく早目に相手方である順天堂大学と意見交換をすべきだと思いますが、いかがでしょうか。負担の規模感を県民にオープンにした上で、誘致活動を行うべきと考えての質問です。
3点目は、二次医療圏を超えた病床数の調整について伺います。
2月10日に行われた埼玉県医療審議会において、第七次地域保健医療計画の変更に基づく病院整備計画の公募状況について諮問がありました。全国の医療水準維持のために、国は二次医療圏ごとの基準病床数を示し、これに従って各都道府県は二次医療圏ごとに病床を整備していくルールとなっていますが、医療圏ごとに見ていくと手を挙げる病院が少なく、せっかく割り振られた病床数をみすみす放棄してしまっている医療圏域が複数あります。
例えば、川越比企保健医療圏は、公募260に対して応募数が74、採択はそのうち53、207も病床枠が無駄になります。片や、病床を増やしたくても、基準病床数に達しているため増やすことのできない圏域もあります。川越比企のすぐ隣の南西部保健医療圏では、公募対象病床数65に対し、倍近くの122の応募がありましたが、採択予定の病床数は公募数の65のままです。公募対象病床数がゼロの利根地域のように、全く増やすことのできない地域もあります。圏域間の調整を国が認めていないからです。
近年の県内交通網の発展や医療の専門化などが理由で、罹患した病気の内容や病状に応じて少し離れた地域の医療機関をわざわざ選んで受診する方も増えています。そういった現状に鑑みれば、狭い医療圏にこだわって病床数を整備しなければならないとする国の硬直化した考え方は改めてもらうべきだと思います。フレキシブルな運用を可能とするよう、県が積極的に国に働き掛けを行うべきだと考えますが、知事いかがでしょうか。

A   大野元裕   知事

誘致の実現に向けた進捗状況についてであります。
令和4年4月に医療審議会から求められた内容を踏まえ、大学では令和9年11月の開院を目指し、準備を進めております。
整備計画をスケジュールどおり進めるため、県・さいたま市・大学の3者で協議した上で、今後行政協議が必要となる項目を、漏れのないよう抽出、整理してまいりました。
整理した協議項目の内容を踏まえ、大学と県及びさいたま市の関係部署との間で、例えば病院敷地内への車両出入口の場所などにつき順次協議を行っているところであります。
大学が作成した環境影響評価調査計画書については、令和4年12月の住民説明会を経て、先日開催のさいたま市環境影響評価技術審議会での審議が行われました。
このように、大学は令和9年11月の開院に向け、工程に沿って進めていると伺っております。
次に、工程上に開院を遅らせる可能性のある要素についてであります。
資材費の高騰や部品の調達等、不可抗力と考えられる事態が生じる可能性を除けば、工程そのものに開院を遅らせる要素はないものと考えております。
引き続き、県がしっかりと進捗を把握し、工程どおりの進捗に向け関係者と必要な調整を行ってまいります。
次に、開院に先行して始まっている同大学から県内医療機関への医師派遣の状況についてであります。
医師派遣については、県北などの地域で中心的な役割を担う公立・公的病院のうち、医師派遣を希望する県北の5つの病院と大学との間で、県が仲介役となり協議を行ってまいりました。
この結果、令和5年2月1日より済生会加須病院に対し、病院が希望していた整形外科の専門医について、1名の派遣が開始されました。
今後も継続的・計画的に医師確保困難地域に大学から医師が派遣されるよう、現在、大学に対し、令和5年度以降の医師派遣の考え方をお尋ねしているところであります。
大学附属病院誘致の最大の目的でもある医師派遣につき、着実に実施されるよう強く働き掛けてまいります。
次に、費用負担についてであります。
県と大学との間では、議員御指摘のように、平成30年に大学附属病院の整備スケジュールや今後の進め方などを文書で取り交わしております。
その中で、県の負担にかかる協議に当たっては、大学が将来的に実施する医師派遣の取組を勘案し、用地の無償貸与及び整備費に対する財政支援は予算の範囲内で行い、補助率は2分の1以内とすることを基本的な方針としております。
確認書の効力がなくなったのは整備スケジュールの部分であり、この点については新たな整備スケジュールが記された整備計画書を医療審議会での審議を経て県として承認をしております。
費用負担の考え方を含む、それ以外の部分については、現時点においてもこの方針に基づき両者が誠実に協議・交渉をしていくものと考えております。
したがいまして、まずは確認書に従い、費用負担に関する協議・交渉に先立ち、大学が今後の医師派遣について具体的な考え方を示していただく必要があると考えており、現在、令和5年度以降の医師派遣の考え方を照会しているところであります。
また、整備費用については飽くまで大学が見積もるものであります。
本年11月まで実施する基本設計の中で概算額が算出されると伺っておりますので、今後大学から示される将来的な医師派遣の考え方、これが示され、それが勘案した後に大学と協議・交渉してまいります。
次に、二次医療圏を超えた病床数の調整について、県が積極的に国に働きかけをすべきについてであります。
二次医療圏は医療法の規定に基づき入院医療の提供体制を整備することが相当と認められる地域の単位として設定をされており、この単位を基に病床の整備を行っております。
現在の制度では、病床数は二次医療圏ごとに算定され、既存病床数が基準病床数を上回る圏域では、原則として新たな病床整備を行うことができず、議員御指摘のとおり圏域間で病床数の調整もできません。
私としてもこうした現行制度には課題があると考えており、厚生労働大臣や副大臣などとお会いしたときには、そうした思いも直接お伝えしております。
現在の基準病床数制度は、新興感染症への対応や地域医療提供体制の確保などにおいて、十分対応できる制度にはなっていないことから、県では、感染症対応を想定して平時から各医療機関の病床数に一定の余力を持たせることや、病床過剰の圏域であっても、都道府県知事の裁量により、高度で専門的な病床を必要とする圏域への弾力的な配分を可能とするよう、基準病床数制度の見直しを国に対し要望しております。
今後もあらゆる機会を捉え、国に対し働き掛けてまいります。

 

  • 上記質問・答弁は速報版です。
  • 上記質問・答弁は、一問一答形式でご覧いただけるように編集しているため、正式な会議録とは若干異なります。
  • 氏名の一部にJIS規格第1・第2水準にない文字がある場合、第1・第2水準の漢字で表記しています。 

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