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掲載日:2023年3月14日

令和5年2月定例会 代表質問 質疑質問・答弁全文(小島信昭議員)

DXの推進について

Q   小島信昭 議員(自民)

日本社会におけるデジタル化の進展は非常に目覚ましいと言えます。ほんの数年前まではスーパーやコンビニでキャッシュレス決済で支払いを行う人はまばらでしたが、今では当たり前のように見掛けるようになりました。コンビニ業界の発表では、4割以上の利用者がキャッシュレスで決済を行っているとのことです。財布を持たずに外出する方々も増えていると聞いております。正に生活様式が変わってきたと言える状況だと思います。
このようなデジタル化は、新型コロナウイルスの流行に後押しされて急速に広まってきていますが、単にデジタル化にとどまらず、物事の根本的な仕組みやビジネスモデルまで変えてしまうような真のDX、デジタルトランスフォーメーションは、これからということになります。
さきの12月定例県議会で提案、可決された県証紙の廃止は、キャッシュレス決済の導入ですので正しくデジタル化ですが、それは証紙というアナログからクレジットカードなどデジタルへの変更であって、これにより公金出納の仕組みが根本から変わったわけではなく、トランスフォーメーションには当たりません。DXは、今までのペーパーレスやキャッシュレスの延長線上ではなく、新たなステージへの転換です。そもそも発想が異なるものです。
こういった仕組みの構築には、行政制度に精通する担当職員の知識や経験とデジタル技術に精通する専門職員の協働が必要不可欠であると考えます。幾ら行政制度に精通していても、デジタル技術を知らなければ一体何ができるのかできないのか知識がありませんので、新しい仕組みは生まれません。逆もまた真なりです。
このような仕組みの再構築を県庁中で行うためには、数人の専門家がいても先には進みません。知事が言うように、トランスフォーメーションを実現するためには、今までの発想を超えて目指すべき理想の姿を描き、一歩ずつ進んでいくことが重要です。そのためにも、IT技術により何ができ得るかを熟知した専門人材が相当数必要ではないでしょうか。DXの知識を持つ専門人材と共に職員が議論を重ねながら埼玉県の具体的なビジョンを描き、新たな技術などを活用しながらDXを実現していく必要があると考えます。
国のデジタル庁では民間企業から多くのIT技術等を持つ職員を採用し、新型コロナワクチン接種証明書アプリやマイナンバーカード活用など国民向けのサービス開発から、行政のDX推進まで様々活躍していると聞いています。今年度4月当初で730人の職員のうち、250人が民間出身者であるとのことです。
こういった専門人材の確保について、3点伺います。
1点目は、県の今後の専門人材の採用についてです。
県として民間企業等からIT人材を広く採用していくことが必要と考えますが、今後どの程度の人数の専門人材を採用していくおつもりがあるのか伺います。
2点目は、採用するだけではなく、人材を育てていく必要があると思いますが、これについてのお考えをお伺いいたします。
ビジョンを描き、それを具体的に実現していくためには、職員がIT技術の知識や経験を持って推進していくことも必要と考えますが、IT技術の知識、経験を持つ職員をどのように育成していくのか伺います。
3点目は、市町村における専門人材の確保についてです。
市町村においては、県にもまして人材の確保が難しいようです。そのため、ペーパーレス化や電子申請などにおいても、行政自体のデジタル化が遅れている状況となっている市町村が多いと聞きます。各市町村のDXに向けた現状をどのように捉えているのか、そして市町村行政のデジタル化に向けてどのような姿勢に取り組んでいくのか、お伺いいたします。

A   大野元裕   知事

今後どの程度の人数の専門人材を採用していくのかについてであります。
私は知事就任以来、DXへの第1段階としてペーパーレス化に取り組み、アナログからデジタルに転換させる取組を進めてまいりました。
今後はいよいよ第2段階のデジタライゼーションに踏み出し、行政サービスの向上につなげていきたいと考えます。
デジタライゼーションとはデジタルを活用して仕事のやり方を根本から変革していく取組であり、デジタルと行政の両方を理解し、課題を解決できる人材が必要となります。
こうした人材を確保するには、民間のIT人材を採用して行政を学んでいただく方法と、逆に行政事務に従事する職員のデジタルスキルを高めていくという方法の二通りがあると考えます。
本県ではこれまでも民間企業でエンジニア等の経験を持つ人材を経験者試験で採用し、DX部門の主要ポストに配置しています。
こうした職員であっても「県庁のDXを推進するには、デジタルの知識だけではなく、一定の行政経験がないと難しい」と言っています。
行政のステークホルダーは幅広く、様々な配慮や丁寧な調整が求められ、現場の事情を知らないままデジタル化を進めてもうまくいかないからであります。
また、デジタルについては技術革新の速度が速く、企業で培ったスキルもすぐに陳腐化してしまいます。
民間人材がDXの担い手として活躍するためには、行政実務を学びつつも、デジタルの知識も常にアップデートをする必要がございます。
このため、私は採用時の専門性が高い民間出身の人材に専らDX推進を委ねるのではなく、行政職員が自らの足りない部分を学び、成長し続け、共に協働する職場風土を作っていきたいと考えます。
当面、DXに必要な人材の需要は増加が見込まれますが、外部人材の人数ありきではなく、需要に見合った人材の確保に向け、柔軟な対応を行っていきたいと考えます。
庁内の職員の育成を基本としつつも、専門的な知識や経験を持つ民間人材の活用にも道を開きながら、DXを強力に推進してまいります。
次に、IT技術の知識経験を持つ職員をどのように育成していくのかについてであります。
DXを県庁のあらゆる現場に浸透させるためには、全ての職員のデジタルスキルを底上げするとともに、それぞれの職員の役割に応じたスキルを計画的、効果的に習得させることが必要となります。
そこで、DXを推進するリーダー等に求められるスキルやキャリアパスを明らかにした「デジタル人材育成研修実施方針」の策定を進めており、新年度からこの方針に基づき研修を実施することとしております。
全ての県職員に求められる基本的なデジタルスキルや、DXを推進するリーダーに求められるスキル等を明確にし、各職員の意欲やレベルに応じて必要な研修を受講できるようにします。
学習効果の高いワークショップ型研修のほか、履修しやすいeラーニングやオンデマンド型講習を実施し、より高度な学びを求める職員には民間企業等が提供する有償の研修も活用してスキルアップを支援してまいります。
研修の充実に加え、職員の自発的な情報交換や交流を活性化するため、デジタルに関する庁内コミュニティを立ち上げ、優れた取組の表彰や勉強会など多様な学びの場を広げてまいります。
次に、各市町村のDXに向けた現状をどのように捉え、どのような支援に取り組んでいくのかについてであります。
県内市町村のデジタル化のニーズを伺うと、今後実施したい取組としてはペーパーレス化が最も多く、県に求める支援策としては参考事例の紹介や研修・人材育成の要望が多くなっています。
このため、県と県内全市町村で構成するスマート自治体推進会議の枠組みを活用し、ペーパーレス化の参考事例として県の取組を紹介するとともに、市町村ニーズを踏まえた研修や講演会を開催しています。
議員のお話しにありました電子申請につきましても、市町村の電子申請システムの運営負担が軽くなる共同利用が広がるよう、スマート自治体推進会議に専門部会を設け、サポートを行っております。
さらに、市町村からは「困ったときに気軽に相談できる窓口が欲しい」という声も多く、まずは県が窓口になり、相談の内容に応じて国や他の自治体、IT企業や各種団体などに丁寧につないでまいります。
デジタルに関するニーズは絶えず変化しており、どのような支援が必要なのか、常に市町村の声に耳を傾けながら、効果的な支援に取り組んでまいります。

 

  • 上記質問・答弁は速報版です。
  • 上記質問・答弁は、一問一答形式でご覧いただけるように編集しているため、正式な会議録とは若干異なります。
  • 氏名の一部にJIS規格第1・第2水準にない文字がある場合、第1・第2水準の漢字で表記しています。 

お問い合わせ

議会事務局 政策調査課  

郵便番号330-9301 埼玉県さいたま市浦和区高砂三丁目15番1号 議事堂1階

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