トップページ > 埼玉県議会トップ > 定例会・臨時会 > 定例会概要 > 平成30年9月定例会 > 10月3日(水曜日) > 小林哲也(自) > 平成30年9月定例会 一般質問 質疑質問・答弁全文(小林哲也議員)
ここから本文です。
ページ番号:138977
掲載日:2024年10月8日
Q 小林哲也 議員(自民)
初めに、ラグビーワールドカップの安心・安全の確保について伺います。
いよいよラグビーワールドカップの開催まであと1年となりました。地元議員として、埼玉県議会ラグビー振興議員連盟の会長として、熊谷ラグビー場の改修工事を見守ってきた私としましては、すばらしいラグビー場が完成したことに感慨もひとしおです。また、開催に向けた準備につきましても機運醸成の取組やボランティアの募集など着々と進んでいると聞いており、本大会まで待ち切れない思いです。
しかし、浮かれてばかりいるわけにはいきません。本大会にお越しになる大勢の観客に無事に笑顔で帰宅してもらって初めて大会の成功と言えるのだと思っております。つまり安心・安全を確保するための取組、これが開催に向けた準備に不可欠です。特に初戦となる9月24日は19時15分キックオフで、夜間の試合となります。熊谷ラグビー場の立地を考えると、観客がノーサイドまで安心して観戦できる観客輸送の体制が必要です。また、医療救護体制の構築も必要です。海外、県外からも多くの観客をお迎えすることになるのですから、急な体調不良やけがも想定されます。そうした場合に、円滑に対処ができる仕組みづくりが必要と考えます。
また、大会当日に起こり得る様々な事態を想定し、観客を安全に誘導するため、警察、消防など関係機関と連携した危機管理体制を構築し、不測の事態に備えることも求められます。
そこで、ラグビーワールドカップ大会の成功に向けて観客の安心・安全をどのように確保していくのかという観点から、大会時の観客輸送、医療救護、危機管理体制をどのように構築していくのか、県民生活部長に伺います。
2点目に、東京オリンピック・パラリンピックにおけるテロ等に対する警備について伺います。
東京オリンピックも1年9か月後に迫ってきました。県内では御承知のとおり、バスケットボール、サッカー、ゴルフ及び射撃の4競技が開催されます。埼玉県としても世界が注目するオリンピックを盛り上げていかなければなりません。一方、世界に目を向けると車両での人混みへの突入や、爆弾を使用したテロ事件等が世界各地で発生するなど、安全・安心をめぐって非常に厳しい情勢にあります。当然日本といえどもオリンピックという世界から大きな注目を集める大規模イベントを開催するに当たり、安全の確保は絶対の条件です。
このような情勢を踏まえ、6月定例会では浅井議員が、県警が推進するテロ対策彩の国ネットワークの現状を踏まえた官民が連携するテロ対策について警察本部長に見解を伺いましたが、その答弁を聞き、安心する反面、7月18日に公表された本県の競技日程を見て、私は一抹の不安を覚えました。バスケットボールは開会式の翌日から閉会式まで15日間、予選から決勝まで休みなく競技が行われます。サッカーについても1日2試合行われる日があるほか、決勝戦はないものの男子の3位決定戦が行われるなど、大勢の観客でにぎわう姿が容易に想像できます。
さらに、7月31日金曜日と8月1日土曜日は県内の4競技が全て行われるのです。観客目線では最高の盛り上がりを見せる日程ではありますが、私は大会警備をする側の視点から見ると非常に厳しい日程だなと感じています。
警察官1人当たりの負担人口が全国でも最も高い埼玉県警、中でも有事の際に先頭に立つ機動隊は約260名と聞いています。こうして皆さんが県内治安維持のために尽力していただいている中で、同時にこの厳しい日程でのオリンピック警備を乗り切れるのかという不安がよぎります。警視庁ではテロ等に対応するため、昨年から海上警戒部隊の新設や特殊急襲部隊いわゆるSATの増強を行うなど、五輪警備は既に始まっていると体制強化に努めているとのことです。
そこで、このような情勢を踏まえて埼玉県警としてどのように大会警備に臨まれるのか、警察本部長にお伺いします。
3点目は、ラグビーワールドカップ及び東京オリンピック・パラリンピックにおける食の安全対策についてお伺いします。
国は、本年6月に食品衛生法の一部を改正する法律を公布し、2020年までに食品衛生管理の国際基準であるHACCPを全ての食品営業施設へ義務化することとしました。また、オリンピック組織委員会によりますと、東京オリンピック・パラリンピックの選手村等で提供される食事は、HACCPにより管理された食品しか取り扱えないとも伺っています。
HACCPは現在世界各国で導入され、アメリカ、カナダ、EUなどで水産食品、乳製品、食肉製品等の様々な食品の製造において導入が義務化されています。一方、国内では大規模な製造工場を有する大手企業では導入が進んでいるものの、町の飲食店やお弁当屋さんなどではまだまだ導入が進んでいないと聞いています。
私は、スポーツ祭典であるラグビーワールドカップや東京オリンピック・パラリンピックは、その開催都市及び関係自治体への経済波及効果や国際化のほか、新しく何かにチャレンジする好機であると捉えています。HACCPについてもこれを町の飲食店などに浸透させる絶好の機会であり、ラグビー、オリ・パラを起爆剤にして営業施設の衛生状態を世界標準に底上げするチャンスと考えます。私の地元熊谷にも来年たくさんの外国のお客様がお見えになりますが、何よりも食の安全・安心はおもてなし以前の基本中の基本です。
県内にはHACCP導入の対象となる食品営業施設は、御夫婦が営むおだんご屋さん等も含めて約8万軒もあると伺っています。オリンピック・パラリンピックまでの限られた時間の中で、HACCPをこれらの店舗に導入していくことは大変なことだと思いますが、どのように県内に浸透させていくのか、保健医療部長にお伺いします。
A 矢嶋行雄 県民生活部長
「ラグビーワールドカップ及び東京2020オリンピック・パラリンピックの安全対策について」のうち、ラグビーワールドカップの安心・安全の確保についてお答えを申し上げます。
観客の安心・安全の確保は、大会の成功を左右する最も重要なポイントであると考えております。
そこで県では、観客輸送・医療救護・危機管理の観点について、共同開催都市である地元熊谷市とともに様々な対応の検討を進めております。
まず観客輸送ですが、熊谷ラグビー場には試合当日、約2万6千人もの観客が来場いたします。
こうした多くの観客を円滑に輸送するため、熊谷・籠原の両駅からシャトルバスを運行するほか、周辺の森林公園駅など3駅からも予約制バスを用意いたします。
試合当日は自家用車の会場への乗り入れはできませんので、熊谷市と行田市に臨時駐車場を6か所設け、パークアンドバスライドを実施いたします。
また、9月24日の試合は終了時間が21時となりますが、熊谷駅の東京方面の終電が23時11分発であるため観客の乗り遅れが懸念されます。
そこで、観客の皆様方が安心して帰宅できますように、JR東日本に対して終電の延長を要望しております。
次に医療救護でございますが、観客の体調不良に備え、ラグビー場内に観客専用の医務室を設けるほか、徒歩ルートにも救護所を設置いたします。
また、重症患者を速やかに救急搬送するため、救急車の配備やドクターヘリの離着陸場所の確保について、消防などと調整を進めております。
さらに、海外からの観戦客に対応するため、救護所に医療通訳を配置するなど、多言語での円滑な意思疎通にも配慮してまいります。
次に危機管理ですが、地震・台風などの自然災害やテロといった不測の事態の発生を想定し、これらの事態に対して備えることも不可欠でございます。
そこで、大会組織委員会や熊谷市とともに災害時などの通報連絡や避難誘導の手順を定めた危機管理計画を平成30年度中に策定してまいります。
また、本年11月には熊谷ラグビー場で、警察・消防などとともに、本番時のテロ発生を想定した訓練も予定しております。
この訓練を通じて関係機関の緊密な連携体制を構築してまいります。
大会本番では、観客の皆様に笑顔でお帰りいただけますよう、観客の安心・安全の確保について、万全の体制を整えてまいります。
A 富田邦敬 警察本部長
東京オリンピック・パラリンピックにおけるテロ等に対する警備についてお答えいたします。
今般の東京オリンピック・パラリンピック競技大会は、御指摘のありましたとおり、世界各地で車両突入や爆弾を使用したテロ事件、更には大規模なサイバー攻撃やドローンによる攻撃が発生するなど厳しいテロ情勢下で開かれるものでありまして、安全対策を担当する開催県の警察としてその責務は非常に重いものと考えております。
まず、テロ対策の要諦は情報であります。警察におきましては、県民の皆さま、「彩の国」ネットワークに参画していただいている467の事業者、特にテロに利用されるおそれのある、レンタカーあるいは爆発物原料取扱事業者のご協力を頂き、さらに国、警察庁と緊密に連携して、県内のみならず全国、さらに警察庁を通じて国外から、関連情報の収集及びそれらの分析を行い、テロの兆候等の把握に努めてまいります。
次に、4会場周辺等の警備態勢でございます。機動隊だけでなく、埼玉県警察管区機動隊、両機動隊経験者で編成する特別機動隊や方面機動隊などを中心とし、警察全体の勤務体制の変更も行い、最大限の数の警察官を動員して、総力を挙げた態勢で警備に当たります。
さらに、機動隊には、銃器テロに対応する銃器対策部隊、生物・化学兵器テロに対応するNBC対策部隊及び爆弾テロに対応する爆発物処理班を配置しております。
これらの部隊につきましては、サブマシンガン、化学物質分析装置、遠隔式処理装置等の資機材を装備し、SATの指導のもと、訓練を行っていますが、今後、更なる資機材の整備のほか、諸外国におけるテロ事件を参考とし、様々な状況に対応する具体的な訓練を行うなど、練度向上を図ってまいります。
また、サイバー攻撃やドローン対策につきましても、何より部外専門家の意見も聞きながら、「彩の国」ネットワークに参加していただいている特にインフラ関係事業者と連携し、対応してまいります。
A 本多麻夫 保健医療部長
「ラグビーワールドカップ及び東京オリンピック・パラリンピックの安全対策について」のうち、食の安全対策について、お答えを申し上げます。
HACCPには、大規模製造施設を対象とする基準Aと、街の飲食店など小規模施設を対象とする基準Bがございます。
小規模施設を対象とする基準Bは、対象業種も店舗数も多いことから、限られた時間の中でどのように導入を進めていくかが大きな課題となっております。
HACCPの基準Bでは、例えば、お団子屋さんの場合、殺菌工程に相当する団子を蒸したり焼いたりした時間や温度を、チェック表に逐次記録する必要がございます。
製造工程の全てを記録する必要はなく、重要な衛生管理のポイントさえ記録していれば基準Bを満たすことができます。
このため、事業者の方々に、基準Bでは何に取り組めばよいのか、具体的なポイントを理解していただくことで導入を進めることができると考えております。
まずは、申請手続き等で保健所に来所された事業者の方々に窓口で個別に説明を行うほか、事業者向けの講習会の場を活用し、地域ごとにきめ細かく情報を提供して参ります。
また、保健所の食品担当者に加え、食品衛生協会の440人の指導員や既に基準Bを導入した地域の事業者が戸別に訪問を行い、各地域において具体的な必要事項を丁寧に説明して参ります。
県といたしましては、こうした取組を通じ、ラグビーワールドカップや東京オリンピック・パラリンピックを絶好の機会と捉え、HACCPの導入を進めて参ります。
お問い合わせ
より良いウェブサイトにするためにみなさまのご意見をお聞かせください