環境科学国際センター > 試験研究の取組 > 研究課題 > 令和7年度研究課題一覧 > 令和7年度研究課題 (水環境 R7~R8 希少種ムサシトミヨからのDNA放出特性に関する検討)
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掲載日:2025年9月19日
熊谷市及び埼玉県の魚であるムサシトミヨPungitius sp.はトゲウオ科トミヨ属に属し、体長3〜6cmの小型の淡水魚である。かつては東京都や埼玉県の湧水や湧水からの細流での生息記録があるが、現在は埼玉県熊谷市内の元荒川最上流域のみ生息が確認されている。本種の生息環境は、地球温暖化による河川水温上昇や排水等による水質汚濁のリスクにさらされている。また生息地周辺では、自噴する湧水は枯渇しており、熊谷市ムサシトミヨ保護センター等で地下水を汲み上げ水源を維持している。ごく最近、重要な水源の一つであった民間の養鱒場の廃業に伴い河川流量が半減し、水源維持の困難さに直面する等、その生息基盤は極めて脆弱なのが現状である。
ムサシトミヨの保護保全を進める上では、生息状況の把握が重要である。捕獲による本種の個体数調査は概ね5年ごとに実施されており、近年は減少傾向が指摘されている。しかしながら、特に稀少生物の捕獲調査は、調査行為自体が生息環境を破壊する恐れがあるため、調査頻度を増やすことは難しい。一方で近年急速に発展している環境DNA分析は、水質分析であるため、生息環境の非破壊な調査手法である。従って、調査頻度の増大が可能となる。一般に、捕獲調査と環境DNA分析は相互に補完し合う特徴を持つことから、両手法の併用により調査の効率化と精度の改善が期待される。
本研究では、ムサシトミヨの生息調査への環境DNA分析の将来的な適用を見据え、本種からのDNA放出特性について、環境DNA種特異的解析を用いて明らかにするとともに、フィールド調査への実用可能性の検討を行う。
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