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掲載日:2025年9月19日

令和7年度新規研究課題(化学物質・環境放射能担当 R7 ICP-MS測定のNガスを利用したコリジョン法の検討)

(化学物質・環境放射能:北島、竹峰)

誘導結合プラズマ質量分析法(ICP-MS)はアルゴンガスから生成したプラズマを利用し、霧状に導入した水試料中の元素をイオン化して質量分析計で検出する手法である。原子の質量数はそれぞれに固有であるため、得られた質量スペクトルにより、種類や濃度を特定することができる。また、測定濃度範囲が広く(ppm~ppt)、多元素一斉分析が可能であるため、環境科学をはじめ様々な分野で利用されている。

ICP-MSによる元素分析において、測定対象とする元素は、ほかの元素の同位体ならびにアルゴン(Ar)や添加剤、バックグラウンド等に由来する複合体からスペクトル干渉を受ける場合がある。スペクトル干渉はArO+、ArClなどの多原子イオンや他の元素の酸化物イオン(MO+)が測定対象の元素のm/zに干渉し過大評価することをいう。スペクトル干渉を除去または低減する手段の一つとして、ヘリウム(He)ガスを用いたコリジョン法があり、鉄(Fe)等の精確な測定に必要な技術となっている。しかしながら、Heガスの供給不足が大きな問題となっており、今後の安定的な環境監視の為に、代替的な測定技術の確立が望まれている。

そこで本研究では代替ガスを用いたコリジョン法によるICP-MSの測定法を検討する。代替ガスとして、入手が容易な不活性ガスである窒素(N2)を用いる。河川水の測定を想定し、環境基準に対して十分な定量下限を得られる測定法の確立を目的とする。

《研究の概要》(PDF:534KB)

令和7年度第1回研究審査会コメント

  • 本課題は、開発される技術自体が極めて新規性に富んだものであり、利用価値も高い。まずは、河川水に利用ということの様であるが、河川に留まらない他の利用法も視野にいれて、より社会実装しやすく影響の大きい利用先を考えるとよい。場合によっては、県内の産業育成にも貢献するのではないか。
  • ヘリウムの代替ガスによる新方法の開発であり、測定環境の改善だけでなく他分野への応用も可能な可能性を高く評価する。
  • ICP-MS分析に必要なHeガスの代替としてN2ガスを用いるという実用的価値の高い研究と思われます。この方法がどの機種にも適用でき、特別な技術が不要であることが示されること、またN2使用の限界などの問題点も明確になることを期待します。
  • 目標が明確であり、また必要性の観点からも大変有用な研究であると高く評価できます。得られた測定条件等に関する知見については他社製装置でも応用可能な形で情報提供がなされることを期待します。
  • コリジョン法によるICP-MS測定において、ヘリウムの代替として窒素を用いる実用的な研究として評価できる。
  • Heガスの希少性、価格等から、実用的な分析条件の検討を行うという内容で、既に得られている基礎的データでも実用化可能性の高い検討課題といえる。得られる成果については、センターのみならず、多くの地方自治体の研究所や、調査分析機関での活用が期待できる。分子が大きい期待を反応ガスとして使用することから、最適な条件を見つけることと、新たな分析上の課題などが見つかる可能性もあり、有益である。

お問い合わせ

環境部 環境科学国際センター 研究企画室

郵便番号347-0115 埼玉県加須市上種足914 埼玉県環境科学国際センター

ファックス:0480-70-2031

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