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掲載日:2025年9月19日

令和7年度新規研究課題 (水環境 R7~R8 蛍光を用いた水質事故時の油検出法の構築と実用性評価)

(水環境:池田;土壌・地下水・地盤:柿本)

埼玉県の河川水質事故の半数近くを占める油流出は、浄水場での水処理工程でも障害となる重要な問題である。水道水源管理においては、事故の早期検出、可能であれば水質事故に備えた連続的な水質監視が望しい。油の検出は、ノルマルヘキサン抽出物質量の測定、GC/MSによるTPH試験、臭気試験、油膜センサーなどで行われる。これらの手法には迅速性あるいは油種特定ができないなどの問題がある。

一方、水試料を直接蛍光分析することで、油に含まれるPAHsを検出し、これにより油流入を検知し、スペクトルの形状から油種までも推測するという手法が期待されている。前処理がほとんど不要な蛍光分析は迅速性に優れ、自動化も可能である。自動水質監視システムとして実装できれば、省労力でリアルタイムでの油検知と油種判定が可能となり、浄水場での初期対応と発生源調査の迅速化と効率化につながる。

しかしながら、蛍光分析による油分測定が、河川水に適用可能で実用レベルにあるのかは十分に検討されていない。そこで本研究では、蛍光分光光度計を用いたラボスケールでの検討を行い、手法を開発・評価することを目的とする。

本研究の最終目標は、蛍光分析に基づく油検出手法における、(1)同定できる油種の決定、(2)実河川水における流入検出可能濃度の把握、(3)前処理を含めた手法の構築となる。

《研究の概要》(PDF:502KB)

令和7年度第1回研究審査会コメント

  • この技術も様々な応用が考えられる。河川への適用が頭に浮かびがちであるが、現在、ダム湖では、ダム湖の水面の画像からアオコの発生度合いを把握することが行われつつある。そうした場所に設置したりドローン撮影をすることで、直ぐに実用化が可能な技術である。
  • 水質事故の大部分を占める油流出への対応に取り組んだ課題であり、実行可能性が見込まれる。
  • 緊急を要する油汚染事故に対して簡便かつ迅速な蛍光分析法を用いるという意義は大きいと思われます。マスキングや分析精度の問題を従来法(GCMS)との比較などによって明確にすることが実用化に向けて重要と考えられます。
  • 発展性に富み、得られた成果の実用化も大いに期待されます。手法のさらなる精度向上を図るうえで、共存物質(特にタンパク質など芳香環構造を有する化合物)による影響についても検討が加えられることが望まれます。
  • 油流出水質事故時への対応の迅速化に貢献する研究として必要性が高い。
  • 原理から、現時点ではどの程度の油種分類ができるかどうかは未知ではあるが、迅速分析の実用化の期待ができることから有用性の高い検討課題といえる。蛍光パターンについて、目視だけでなく、統計的など丁寧に分析する手法などを検討してはどうか。

お問い合わせ

環境部 環境科学国際センター 研究企画室

郵便番号347-0115 埼玉県加須市上種足914 埼玉県環境科学国際センター

ファックス:0480-70-2031

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