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掲載日:2024年3月25日

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伊藤鉄工株式会社 (川口市)

伝統的でありながら最先端を駆けるマテリアルである鉄、その無限大の可能性に挑み鋳物による新製品や新機能材料を創り出す企業

 

伊藤鉄工は、1931年に伊藤林蔵氏、寅吉氏、幸大氏の3兄弟により伊藤合名会社として創立され、ストーブ製造を開始しました。その後、1949年に排水用鋳鉄管の製造・販売、1955年に建設用鋳鉄器材の製造・販売を開始しています。
1957年に伊藤鉄工株式会社を設立するとともに伊藤長次郎氏が社長に就任し、1985年から景観製品の製造・販売を開始しています。
1991年に伊藤光男氏(現最高顧問)が社長に就任しています。
その後も、耐震性排水鋼管用鋼球入り継手「lMLシリーズ」の開発や高機能低熱膨脹鋳鉄「NEZTEC」の開発(経済産業省創造技術研究開発事業)を行い、2006年には超薄肉鋳物を開発しています。
2021年に鋳造設備(FBO-V)を導入し、2023年に伊藤暢宏氏が社長に就任し、今に至ります。
伊藤鉄工が扱うのは、衛生排水に不可欠な「管材製品」、都市や公園計画のシンボルやアクセントとなる「景観材製品」、生活に彩りをプラスする「キッチン用品」で、鋳物技術の可能性とともに多様な拡がりをみせ、街づくりや我々の生活をサポートしています。
 

            
                                                                                                       伊藤鉄工  本社工場

今回、会社の概要について説明していただくとともに、工場を案内してもらいました。
川口の伝統でもある「キューポラ(キュポラ)(コークスを熱源とした鋳物の溶解炉)」を実際に目にする貴重な機会となりました。
キューポラで鉄を溶かし鋳物の溶湯(ようとう:溶解され液体状になった鉄)を得て、砂型に流し込み、それを冷却させ、砂型から鋳物製品を取り出す一連の工程を見学させていただくとともに、バリ等の余分な部分を除去する工程や、塗装のための電着塗装設備等を案内していただきました。
伝統的なキューポラを用いながらも周辺の設備等は最新のものに更新されており、一連の作業はオートメーション化されています。
また、工場内には伊藤鉄工の主力製品であるマンホールが用途や大きさごとに整理されて数多く保管されていました。
15時までに入った注文には、その日の内に発送作業を行っています。
製品の企画・設計から鋳造、加工等までを一貫して生産することが可能な体制が構築されているからこそ、「品質」と「速さ」を高次元で両立させ、それを実現しています。
 

        
        
        
                                                                               工場内部の様子
    上段:左・中:キューポラ、右:鉄を溶かし鋳物の溶湯をためる容器
    中段:左・中:溶湯の砂型への流し込み作業※、右:冷却中の金型
    下段:左:バリの加工、中:電着塗装設備、右:保管された各種マンホール
           ※中段の左・中の写真は、川口商工会議所のホームページから引用

事業は大きく分けて3つから構成されており、(1)衛生排水や建築土木に不可欠な「管材製品」、(2)都市や公園計画のシンボルやアクセントとなる「景観材製品」、(3)生活に彩りをプラスする「キッチン用品」となっています。
会社案内のリーフレットに、伊藤鉄工がそれぞれの分野において手掛けている製品等が分かりやすく案内されています。また、会社のホームページには製品案内、納入事例が掲載されていますので、あわせて紹介をさせていただきます。

〔街に、ビルに、公園に、生活に息づく伊藤鉄工の製品〕
    
                                                                                       【会社ホームページから引用】

(1)衛生排水や建築土木に不可欠な「管材製品」
    【会社案内リーフレットから引用】

 (2)都市や公園計画のシンボルやアクセントとなる「景観材製品」
    【会社案内リーフレットから引用】

 (3)生活に彩りをプラスする「キッチン用品」
     【会社案内リーフレットから引用】

【参考/会社ホームページの「製品案内」、「納入事例」、「FerramicaのECサイト」へのリンク】

     

  ◇製品案内  https://www.i-g-s.co.jp/product/
    【写真は会社ホームページから引用】
                             〔管材製品〕

  ◇納入事例  https://www.i-g-s.co.jp/case/
      【写真は会社ホームページから引用】
                           〔ツリーエレガンス〕                                〔災害用トイレマンホール〕

  ◇「Ferramica(フェラミカ)ダグタイル鋳鉄製鋳物鍋・フライパン」のECサイト
      https://www.ferramica.com/
     【商品ロゴマークは会社ホームページから引用】

    ※リンク先には伊藤鉄工の扱う多数の製品や納入事例が掲載されています。

 

川口商工会議所では、「ものづくり中小企業」が集積する川口市において川口市役所や(公財)川口産業振興公社などの関係機関と連携して、高い技術力やノウハウを生かした優れた製品を市の「ものづくりブランド」として認定していく『川口i-mono(いいもの)ブランド認定制度』を2009年度から開始しています。
伊藤鉄工は、2製品で「川口 i-mono(いいもの)ブランド」の認定を受けています。

一つ目は、2009年に「キッチン」の分野で暮らしにまつわるいいものということで『「Ferramica(フェラミカ)」ダグタイル鋳鉄製鋳物鍋・フライパン』が認定を受けています。
認定のポイントは、従来の鋳鉄製鍋から約40%の軽量化に成功し、鋳物の熱伝導性に優れた特性によりクッキングヒーターにも最適な鍋・フライパンとなっている点です。

【参考/川口 i-mono(いいもの)ブランド認定制度】
    その1/伊藤鉄工/「Ferramica(フェラミカ)」

        https://www.kawaguchicci.or.jp/brand/product/kurashi/kitchen02.html
                         イメージ写真                              (川口商工会議所の該当ページへのリンク)

        https://youtu.be/xSsQ5oZx0ZA
                   YouTube紹介動画                 (動画へのリンク)

 

二つ目は、2021年に「建設・流通」分野においてビジネスを広げるいいものということで『堅牢で新しいデザインの鋳物製トイレ「耐破壊型ダクタイル鋳鉄製小便器」』が認定を受けています。
こちらの認定のポイントは、公園等の公設トイレでは、陶器製小便器が破壊行為により長期間使用できず、修理入替の費用等毎年被害が発生している中で、薄肉ダクタイル鋳鉄の技術を活かし陶器製小便器より軽量化した上、洗浄の吐水方法や排水トラップの設計技術により良好な排水と配管内臭気防止等の機能性、デザイン性に優れた鋳鉄製小便器の製品化を実現し、高い防食性機能をもった表面に、バリエーションのある塗装色を施すことで新たなトイレ空間を演出することが可能な点です。

    その2/伊藤鉄工/「耐破壊型ダクタイル鋳鉄製小便器」
        https://www.kawaguchicci.or.jp/brand/product/business/construction07.html
                           イメージ写真                      (川口商工会議所の該当ページへのリンク)

        https://youtu.be/mkd-PChf5Ag
                   YouTube紹介動画                   (動画へのリンク)

「耐破壊型ダクタイル鋳鉄製小便器」については、開発に至る経緯や鋳物メーカーならではの独自の発想やこれまでの実績に基づく様々な工夫等が着目され、新聞等のマスメディアに数多く取り上げられています。
その中でも、朝日新聞と日刊工業の記事は、この製品を開発するまでの経緯等がよく分かる内容となっています。

【参考/2020年2月3日付け朝日新聞デジタルの関連記事へのリンク】

  - 「最強の小便器」誕生  相次ぐ破壊被害、鋳物業者が奮闘 -
      https://www.asahi.com/articles/ASN22573WN1WUTNB002.html

【参考/2019年12月3日付け日刊工業新聞の関連記事へのリンク】

  - 「壊れやすいものは鋳物に」で生まれたトイレ -
      https://newswitch.jp/p/20233

また、川口商工会議所会報「MOVE」の2022年10月号に、世界にはばたく鋳物工場「造ったのは堅牢無比の“最強小便器”」というタイトルで「耐破壊型ダクタイル鋳鉄製小便器」が紹介されています。
公園などの公共施設にあるトイレの便器が破壊されてしまいその修繕に多額の費用が掛かるという課題に対して、創業90年を超える老舗の鋳物工場がダクタイル鋳鉄の技術を活用し、4年をかけて「頑丈で軽量化した小便器」を開発・製造するに至った経緯が紹介されています。
この“最強小便器”は川口市内の公園に既に設置されており、新しいトイレ空間を演出し、環境美化にも大きく貢献しています。

【参考/川口商工会議所会報『MOVE 2022年10月 Vol.587』の掲載記事】

        
                                                                                               川口商工会議所 会報『MOVE 2022年10月 Vol.587』から引用

 

伊藤鉄工は、2017年12月に経済産業省が選定する「地域未来牽引企業」に選ばれています。
これは、経済産業省が「地域内外の取引実態や雇用・売上高を勘案し、地域経済への影響力が大きく成長性が見込まれるとともに、地域経済のバリューチェーンの中心的な担い手、および担い手候補である企業」として選んでいるものです。
埼玉県内でも、選定されている企業は92社(令和6年1月末時点)で、当センター管内の川口市、蕨市、戸田市に限ってみれば8社(川口市:6、蕨市:1、戸田市:1)で、その中の一つが伊藤鉄工です。

    
            地域未来牽引企業の選定証

【参考/地域未来牽引企業のホームページ(経済産業省)】

    
    https://www.meti.go.jp/policy/sme_chiiki/chiiki_kenin_kigyou/index.html
 

埼玉県では、中小企業等経営強化法に基づき、経営革新計画を承認しています。
経営革新計画が承認されると、様々な支援措置を利用することが可能となり、事業者の皆さまの業績拡大、向上が期待されます。
伊藤鉄工は、2022年10月に県から経営革新計画の承認を受けています。
経営革新計画のテーマは、「当社用にカスタマイズした『電脳工場SC 販売』ソフトの開発・導入による、適正な在庫管理・売上増を図る。」となっています。
【参考/埼玉県:経営革新計画を策定しませんか!】 

        https://www.pref.saitama.lg.jp/a0803/shigoto/sangyo/kigyo/kigyoshien/keekakushin/
                                                                       (埼玉県/経営革新計画のホームページ)

 

また、県では仕事と家庭の両立を支援するため、テレワークや短時間勤務など、多様な働き方を実践している企業等を認定しています。
基準を満たす企業等を認定し、働きやすい企業として、ホームページ等で広くPRしています。
現在、認定企業数は3,500社を超え、県内企業に「多様な働き方」が少しずつ広まっています。
伊藤鉄工は、埼玉県多様な働き方実践企業として2023年8月に最上位のランクである『プラチナ』の認定を受けており、埼玉版働き方改革ポータルサイトの中で、男性の育児休業取得促進に関連した取組が具体的に紹介されています。

【参考/多様な働き方実践企業】

        https://www.pref.saitama.lg.jp/workstyle/diversity/about.html
                   認定証                  (埼玉県/多様な働き方実践企業認定制度とは?)

【埼玉版働き方改革ポータルサイト > 県内企業の事例 > 働き方改革に取り組む企業】
    https://www.pref.saitama.lg.jp/workstyle/torikumi/review/model/0406.html

 

最後になりますが、県ではシニアの活躍の場の拡大も推進しており、その一環として「シニア活躍推進宣言企業」の認定をしています。
これは、定年・継続雇用の年齢の延長(66歳以上)や定年の廃止、シニア向けの仕事を新たに作るなど、シニアの活躍の場の拡大のための取組を実施している、又は今後実施する予定の企業等を募集しているものです。
伊藤鉄工では、項目のうち「シニアの定年や継続雇用の制度を見直す」、「シニアが安心して働ける環境を整える」、「シニアの技術・経験を生かす」について既に実施済みであることを宣言し、2016年10月に「シニア活躍推進宣言企業」の認定を受けています。
その後も、「継続雇用の上限年齢を70歳以上に引き上げている」ことを宣言し、2023年3月に「シニア活躍推進宣言企業プラス」の認定も受けています。

        https://www.pref.saitama.lg.jp/a0813/kakudai-jigyou/kakudai-jigyou.html
                        マーク                          (シニア活躍推進宣言のホームページ)

是非とも川口の伝統であるキューポラと鋳物製品の製造工程を実際に見てみたいとの強い思いから、伊藤鉄工にご協力をいただき、企業訪問の実現に至りました。
工場内部の設備等は更新され、鋳物製品の製造工程もオートメーション化されており、伝統的な工法と最新の技術が上手く融合していました。
そのような環境の中で伝統的でありながら最先端を駆けるマテリアルである鉄を原材料とし、鋳物により新製品や新機能材料に創り上げていく様子は、圧巻の一言でした。
また、企業概要の説明を聞くとともに工場内部を案内していただく中で、創業から93年を迎えた老舗企業ならではの経験や知識に裏打ちされた自信を随所に感じとることができ、大変貴重な時間を過ごすことができました。
ご対応いただきました伊藤鉄工株式会社の伊藤暢宏代表取締役社長と伊藤光男最高顧問、ありがとうございました。

                                              

伊藤鉄工株式会社

お問い合わせ

企画財政部 南部地域振興センター  

郵便番号332-0035  埼玉県川口市西青木二丁目13番1号 埼玉県川口地方庁舎2階

ファックス:048-257-0529

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