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掲載日:2022年8月1日

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契約の一般的注意

これから建設業者に新築住宅の工事請負を頼もうと思うが、どのような点に注意したらよいか。

  • 建設工事請負契約上のトラブルは、当事者の自己責任による解決が大原則です。
  • トラブルが起きないよう、契約内容については双方で十分協議の上、必ず文書で取り交わします。
  • トラブルが発生した場合の解決方法についても、あらかじめ取り決めしておきましょう。

1 建設工事の請負契約

契約書を作成すること

契約は、必ずしも契約書がなくとも成立するため口頭の約束であっても成立します。しかし、建設工事の場合、金額が大きく長期にわたる工事や様々な工程が含まれるため、建設業法第19条では、全ての建設工事の請負契約は書面による契約とすること、また請負契約書に記載しなければならない内容を定めています。

ただし、建設業法に定める建設工事請負契約書が揃っていないからと言って、契約は無効であるとはならず、民法上は有効であることに注意してください。

また、国土交通省では、一般的に建設工事請負契約で使われる契約条項をまとめた標準請負契約約款を作成し、国土交通省のホームページで公表しています。個人住宅の建築であれば、民間建設工事標準契約約款(乙)を参考にしてください。

 

 

(建設工事請負契約の原則)

第18条 建設工事の請負契約の当事者は、各々の対等な立場における合意に基いて公正な契約を締結し、信義に従って誠実にこれを履行しなければならない。

(建設工事請負契約の内容)

第19条 建設工事の請負契約の当事者は、前条の趣旨に沿って、契約の締結に際して次に掲げる事項を書面に記載し、署名又は記名押印をして相互に交付しなければならない。

  1. 工事内容
  2. 請負代金の額
  3. 工事着手の時期及び工事完成の時期
  4. 工事を施工しない日又は時間帯の定めをするときは、その内容
  5. 請負代金の全部又は一部の前金払又は出来形部分に対する支払の定めをするときは、その支払の時期及び方法
  6. 当事者の一方から設計変更又は工期着手の延期若しくは工事の全部若しくは一部の中止の申出があった場合における工期の変更、請負代金の額の変更又は損害の負担及びそれらの額の算定方法に関する定め
  7. 天災その他不可抗力による工期の変更又は損害の負担及びその額の算定方法に関する定め
  8. 物価等(物価統制令(昭和二十年一勅令第百十八号)第二条に規定する価格等をいう。)の変動若しくは変更に基づく請負代金の額又は工事内容の変更
  9. 工事の施工により第三者が損害を受けた場合における賠償金の負担に関する定め
  10. 注文者が工事に使用する資材を提供し、又は建設機械その他の機械を貸与するときは、その内容及び方法に関する定め
  11. 注文者が工事の全部又は一部の完成を確認するための検査の時期及び方法並びに引渡しの時期
  12. 工事完成後における請負代金の支払の時期及び方法
  13. 工事の目的物が種類又は品質に関して契約の内容に適合しない場合におけるその不適合を担保すべき責任又は当該責任の履行に関して講ずべき保証保険契約の締結その他の措置に関する定めをするときは、その内容
  14. 各当事者の履行の遅滞その他債務の不履行の場合における遅延利息、違約金その他の損害金
  15. 契約に関する紛争の解決方法
  16. その他国土交通省令で定める事項

二 請負契約の当事者は、請負契約の内容で前項に掲げる事項に該当するものを変更するときは、その変更の内容を書面に記載し、署名又は記名押印をして相互に交付しなければならない。

 

着工前に請負契約について合意した契約書に双方署名又は記名押印し、相互に所持する。変更契約の場合も同様

 

2 業者と建築請負契約を結ぶ場合の注意事項

建築制限の有無や制限の内容を調べる

家を建てる場合、様々な法令上の制限があります。

たとえば、都市計画法では、市街化区域と市街化調整区域があり、市街化調整区域では開発行為が制限されています。市街化区域であっても、建築基準法で用途地域別に建築可能な建築物が定められています。また、一定の幅以上の道路に接していないと建築はできませんし、建物の建築面積や床面積は、敷地面積に対して割合が決められています。業者任せにしたばかりに、建築後に法律違反のため取壊しや改修命令を受けることにもなりかねません。

まずは、建築しようとする土地がどのような制限を受けるのか、市町村や最寄りの県土整備事務所(建築安全センター)等に確認しましょう。

自分のプランをしっかり立て、相手業者と十分協議する。

建設工事請負請負契約を交わす前に、自分のプランを業者と十分に協議しましょう。

請負業者は基本的には発注者の意向を尊重しますが、自社のお勧めプランを強く押す場合などもあります。

協議が十分でなかったり、自分の希望があいまいなまま業者任せにすると、あとになって「思いどおりのものではない」「約束が違う」などとトラブルになりかねません。

工事完成前であれば契約解除は可能ですが、それまでに要した費用等は請負者には支払う必要があります。また、支払済み代金を回収するのは大変な困難を伴う場合があります。できるだけ細部まで検討して契約条件を決めてから契約しましょう。

請負金額は双方の合意により決まります。契約後に、他と比較して高い、契約内容がおかしい、などと申し出ても、一度合意した事項を変更するには大変な労力がかかります。事前契約金額に含まれる内容等を確認し、納得してから契約しましょう。

あとあと問題になりそうな事項は、あらかじめ契約書で詳細に取り決めしておく

建設工事請負契約では、工事の内容など十分納得できる設計図面や見積書を添付し、それを契約の条件としましょう。

建設業法第20条では、請負業者は注文者から請求があった場合は、請負契約が成立する前に工事の見積書を提出しなければならないと定められています。できるだけ詳細な見積書を要求するようにしましょう。詳細な見積書の提出を拒むような業者や発注者の意向を聞かない業者との契約は、後々のトラブルの元になりますので注意しましょう。

建設業法第18条では、建設工事の請負契約の当事者は、おのおの対等な立場である、と位置付けています。

対等な立場なので、業者が提示する契約書について発注者も自分の希望を言うことができます。提示する契約書には着手金や中間払金等の定めがある場合がありますが、建設業法上必ず支払わなければならないものではありません。いつまでにいくら払うかは、双方の協議の上での合意事項です。多額の着手金を払ったが一向に工事に着手しないなどのトラブルもありますので、施工計画やスケジュールとともに支払いの時期や金額を明らかにするなどの予防措置を取りましょう。

さらに、工事途中に業者が倒産した場合の保証、完成後に工事の不適合(工事が不完全なための問題)が起きた場合の対応、途中で契約解除した場合の違約金等、についても発注者に不利な記載をしている場合があります。不利な契約にならないように内容を必ず確認しましょう。また、重要な事項の予防措置はしすぎるということはありません。建設業法に定めること以外でも重要なことは必ず契約書に明記しておきましょう。

 

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