トップページ > 文化・教育 > 文化 > 文化財 > 埼玉県内の国・県指定等文化財 > 令和4年度に新たに県指定となった文化財
ここから本文です。
ページ番号:234762
掲載日:2023年12月19日
埼玉県教育委員会では、埼玉県文化財保護審議会の答申を受け、令和5年3月17日付で、5件の県指定文化財への新規指定、1件の追加指定及び名称変更を行いました。新たに指定となった文化財をご紹介します。
★基本情報
名称:木造飛天像(もくぞうひてんぞう)
所在地:秩父市中町25番12号
所有者:札所十四番護持会
★こんな特徴があります
秩父札所14番、臨済宗南禅寺派の今宮坊(いまみやぼう)に伝来した木造飛天像は、像高29.3cm、広葉樹の一木造(いちぼくづくり)で漆箔(しっぱく、漆で金箔を貼る)の仏像です。
福島県河沼郡湯川村の勝常寺(しょうじょうじ)に所在する木造薬師如来坐像(国宝)光背の飛天像と酷似し、本来は同像と一具のものであった可能性が高いと考えられます。
伝来については不詳ですが、少なくとも18世紀後半からは今宮坊にて巡礼者の信仰対象となっていたことが明らかです。
★ここがすごい!
本像は、類例の少ない平安時代初期に遡る飛天像として貴重であると共に、秩父地方における近世の信仰史を知る上で重要な意義のあるものでもあり、県にとって重要な文化財です。
★基本情報
名称:木造釈迦如来坐像(もくぞうしゃかにょらいざぞう)
所在地:児玉郡美里町大字甘粕394番地
所有者:宗教法人多宝寺
★こんな特徴があります
真言宗智山派に属する多宝寺(たほうじ)の境内に建つ釈迦堂の本尊である木造釈迦如来坐像は、像高112.2cm、針葉樹の寄木造(よせぎづくり)で肉身漆箔(しっぱく)、着衣彩色、玉眼嵌入(ぎょくがんかんにゅう、水晶はめ込み)の仏像です。
重量感のある肉体表現、写実的な衣文(えもん)表現など、12世紀末に運慶によって造られた静岡県伊豆の国市に所在する願成就院(がんじょうじゅいん)の阿弥陀如来像(国宝)に近似した作風を示すものです。
★ここがすごい!
本像は、関東地方における運慶及びその周辺の仏師の活動を考える上で貴重な作例であり、この時代の遺品のうち製作優秀で文化史上貴重で、県にとって重要な文化財です。
★基本情報
名称:前原遺跡玉作工房関係遺物
(まえはらいせきたまつくりこうぼうかんけいいぶつ)
所在地:熊谷市船木台4丁目4番地1(埼玉県文化財収蔵施設)
所有者:埼玉県
点数:55点
★こんな特徴があります
桶川市に所在する前原遺跡は、縄文時代から近世に至る遺跡で、平成18年度に財団法人埼玉県埋蔵文化財調査事業団(現在は公益財団法人)によって発掘調査が行われました。
同遺跡の第2号住居跡は古墳時代前期のもので、小穴や間仕切り溝など、玉作に関連するものとみられる施設が備えられており、玉製作工程が復元できる製作途上の未製品や工作具としての砥石、敲石などの出土から、玉作工房跡であると考えられています。
玉作関係遺物は、同住居跡出土の勾玉未製品25点、管玉未製品10点、剥片15点、勾玉1点、砥石4点からなります。
★ここがすごい!
水晶を素材とした勾玉未製品や緑色凝灰岩を素材とした管玉未製品は、荒割工程、形割工程、調整工程、研磨・穿孔工程といった玉製作工程を具体的に示す資料群です。特に水晶を素材とした勾玉の製作工房の例は、東松山市の反町遺跡とともに全国的に希少です。
玉作工房とみられる住居跡から出土した一括資料は、玉製作工程を具体的に示す資料群であり、古墳時代前期における玉類の生産を考える上で極めて重要であり、県にとって重要な文化財です。
★基本情報
名称:反町遺跡玉作工房関係遺物
(そりまちいせきたまつくりこうぼうかんけいいぶつ)
所在地:熊谷市船木台4丁目4番地1(埼玉県文化財収蔵施設)
所有者:埼玉県
点数:172点
★こんな特徴があります
東松山市の反町遺跡第48号住居跡は、平成18年度に財団法人埼玉県埋蔵文化財調査事業団(現在は公益財団法人)によって発掘調査され、古墳時代前期の集落跡が発見されました。
同遺跡の第48号住居跡は古墳時代前期のもので、小穴や間仕切り溝など、玉作に関連するものとみられる施設が備えられており、玉製作工程が復元できる製作途上の未製品や工作具としての鉄針、砥石などの出土から、玉作工房跡であると考えられています。
玉作関係遺物は、同住居跡出土の勾玉未製品12点、管玉未製品106点、剥片44点、石製品2点、鉄針6点、同住居跡と第56号住居跡が重複する部分から出土した砥石2点からなります。
★ここがすごい!
水晶を素材とした勾玉未製品や緑色凝灰岩を素材とした管玉未製品は、荒割工程、形割工程、調整工程、研磨・穿孔工程といった玉製作工程を具体的に示す資料群です。特に水晶を素材とした勾玉の製作工房の例は、桶川市の前原遺跡とともに全国的に希少です。
玉作工房跡とみられる住居跡から出土した一括資料は、古墳時代前期における玉類の生産を考える上で極めて重要であり、県にとって重要な文化財です。
★基本情報
名称:反町遺跡玉作工房関係遺物
(そりまちいせきたまつくりこうぼうかんけいいぶつ)
所在地:東松山市大字下野本528番地1
所有者(管理者):東松山市(東松山市教育委員会)
点数:1点
★こんな特徴があります
東松山市の反町遺跡第48号住居跡は、玉製作工程を具体的に示す一括資料が出土していることなどから、玉作工房跡であると考えられています。
同遺跡では、第48号住居跡以外からも玉作に関連するとみられる遺物が出土しており、平成20年度に調査された同遺跡第206号住居跡からは、ガラス小玉鋳型1点が出土しています。
この資料は、同遺跡が石材による玉生産を中心としながらも、ガラス玉類の製作も行っていたことを示す貴重な資料です。
★ここがすごい!
古墳時代前期におけるガラス小玉鋳型の出土例は少なく、当該期の玉類の生産を考える上で極めて重要なものとして、同遺跡第48号住居跡出土の玉作工房関係遺物とともに一体のものとして評価できるものであり、県にとって重要な文化財です。
★基本情報
名称:三峯神社(みつみねじんじゃ)
本殿(ほんでん)
付(つけたり) 棟札一枚(むなふだいちまい)
枘(墨書)一本(ほぞ(ぼくしょ)いっぽん)
拝殿(はいでん)
随身門(ずいしんもん)
国常立神社(くにとこだちじんじゃ)
日本武神社(やまとたけるじんじゃ)
手水舎(ちょうずしゃ)
秩父宮台臨記念館(ちちぶのみやだいりんきねんかん)
所在地:秩父市三峰298の1番地
所有者:宗教法人三峰神社
★こんな特徴があります
三峯神社境内には、江戸時代以降に建立された様々な建造物が所在します。今回は、既に県指定となっていた本殿に、(1)拝殿、(2)随身門、(3)国常立神社、(4)日本武神社、(5)手水舎、(6)秩父宮台臨記念館の6棟の追加指定を行いました。
この内、(1)~(5)については、近世期を通じて仏教(修験道)系の施設として用いられていた三峯神社の建造物が、明治の廃仏毀釈・神仏分離を経ても破却されることなく、手を加えることによって神社建築として今日まで維持されています。いずれも、流派的又は地方的特色が顕著であり、価値が高いものです。
(6)は昭和6年(1931)竣工の木造平屋建の寄棟造で、宮殿建築の性格を有します。外部・内部ともに当時の姿をよく留めた非常に優れた近代和風建築であり、歴史的価値が高いものです。
お問い合わせ
より良いウェブサイトにするためにみなさまのご意見をお聞かせください