第2章 裁決申請書等の作り方
収用裁決申請等の手引き・第2編第2章 裁決申請書等の作り方
裁決申請書等の作り方に関する説明です。
第2章 裁決申請書等の作り方
第2編第1章で裁決申請書の記載例を見ていただきました。
では、これらの書類を実際に作るのに、どのような点に注意すればよいのでしょうか。
この章は、これらの書類の作成に当たり、留意しなければならない主な点を整理したものです。
第1 裁決申請に必要な書類
裁決申請をしようとするときは、裁決申請書とその添付書類が必要です。(法第40条第1項)
1 裁決申請書
2 添付書類
- ア 事業計画書
- イ 起業地の位置を示す一般図
- ウ 起業地を表示する図面
- エ 事業計画を表示する図面
- オ 市町村別に収用し、又は使用しようとする土地等を記載した書類
- カ 土地調書又はその写し(法第44条第1項の規定により、添付書類の一部を省略して申請をする場合は、後日補充することとなります。)
3 提出部数
正本1部及び写し(写しの部数については、収用委員会にご確認ください。)
1 裁決申請書の様式は、次のとおりです。
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2 申立てに当たっての具体的な留意点
- ア 起業者が国の行政機関であるときは、起業者とされる法令上の根拠を裁決申請書又は添付書類の中で明らかにしてください。
- イ 裁決申請書に記載する起業者の氏名及び住所(並びに法人である場合には、その代表者の氏名等)は、これらを証する書面と一致させてください。
- ウ 裁決申請書には、起業者又はその代表者の記名押印をしてください。
- エ 起業者又はその代表者の記名押印をする場合には、正規の印鑑を利用してください。
- オ 裁決申請を起業者の代理人又は起業者の代表者の代理人等で行う場合には、その代理人等であることを表示し、記名押印をしてください。
- カ 裁決申請を起業者の代理人又はその代表者の代理人等で行う場合には、代理人等の権限を証する書面には、その代理人等が申請をする権限を有することを明示してください。
- キ 裁決申請書に起業者の代理人又はその代表者の代理人等の記名押印をする場合には、その押印は印鑑を証する書面に表示する印鑑と同じものとしてください。
- ク 裁決申請書に起業者又はその代表者の代理人等の記名押印をする場合には、その代理人等が、例えば、地方自治法第153条などに規定された代理人の資格等を有していなければなりません。
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添付書類は申請の内容を示すものであり、大変重要なものです。
作成に当たっては、それぞれの記載事項について細かい点まで留意するようお願いします。
1 記載事項
ア 事業計画書
次の事項を記載してください。
- (ア)事業計画の概要(裁決を求める根拠法令も明記のこと)
- (イ)事業の開始及び完成の時期
- (ウ)事業に要する経費及びその財源
- (エ)事業の施行を必要とする公益上の理由
- (オ)収用又は使用の別を明らかにした事業に必要な土地等の面積、数量等の概数並びにこれらを必要とする理由
- (カ)起業地等を当該事業に用いることが相当であり、又は土地等の適正かつ合理的な利用に寄与することとなる理由
イ 起業地の位置を示す一般図(規則17条第1号、第3条第2号イ)
- (ア)縮尺25,000分の1、又は50,000分の1の一般図によって起業地の位置を示すこと。
- (イ)事業計画書と対照して、起業地の全部の位置を示すこと。
ウ 起業地を表示する図面(規則第17条第1号、第3条2号ロ)
- (ア)図面の縮尺は100分の1から3,000分の1程度のものであること。
- (イ)図面は地形図であるものを使用すること。
- (ウ)起業地は、収用の部分は薄い黄色、使用の部分は薄い緑色で着色すること。
(裁決申請をする部分は、薄い赤色で着色すること。)
- (エ)事業計画書と対照して、起業地の全部を表示する。
- (オ)起業地内の主要な物件を図示すること。
- (カ)収用し、又は使用しようとする物件、若しくは収用し、又は使用しようとする権利の目的である物件があるときは、物件が存する土地の部分を薄い赤色で着色すること。
エ 事業計画を表示する図面(規則第17条第1号、第3条第3号)
- (ア)図面は、縮尺100分の1から3,000分の1程度のもの。
- (イ)施設の位置を明らかに図示するもの。
- (ウ)施設の内容を明らかにした平面図を添付すること。
- (エ)事業計画書と対照して、起業地の全部を表示すること。
オ 市町村別に、収用し、又は使用しようとする土地等を記載した書類
(法第40条第1項第2号、規則第17条第2号、3号)
次の事項を記載してください。
- (ア)収用し、又は使用しようとする土地(収用し、又は使用しようとする土地が一団の土地の一部であるときは、その一団の土地の全部を含む。)の所在、地番、登記簿上の地目及び現況地目
- (イ)収用し、又は使用しようとする土地(収用し、又は使用しようとする土地が一団の土地の一部であるときは、その一団の土地の全部を含む。)の登記簿(登記事項証明書)上の面積と実測面積
- (ウ)収用し、又は使用しようとする土地のうちに一筆の土地の一部があるときはその部分の土地の実測面積
- (エ)土地を使用しようとする場合においては、使用の方法及び期間
- (オ)土地所有者の氏名及び住所
- (カ)土地に関して権利を有する関係人の氏名及び住所(登記されている権利を有する関係人については、その権利についての登記申請書受付年月日及び受付番号その他の登記簿(登記記録証明書)上の表示を含む。)
- (キ)土地所有者、関係人の氏名及び住所に関し、知ることのできないものがある場合にはその旨の記載
- (ク)法第44条第1項の規定により、登記簿に現れた土地所有者及び関係人の氏名及び住所を記載したときはその旨の記載
- (ケ)土地に対する損失の補償の見積り、その内訳並びにその積算の根拠
- (コ)土地に関する所有権以外の権利に対する損失の補償の見積り、その内訳並びにその積算の根拠
- (サ)権利を取得し、又はこれを消滅させる時期
力 土地調書(法第37条第1項、規則第14条、規則別記様式第8)
- (ア)土地調書の記載事項
次の事項を記載してください。
- (1) 起業者の氏名及び住所
- (2) 事業の種類
- (3) 起業地
- (4) 事業認定の告示の年月日
- (5) 収用又は使用の手続を保留した起業地があるときは、手続開始の告示の年月日
- (6) 土地所有者の氏名及び住所
- (7) 関係人の氏名及び住所
- (8) 収用し、又は使用しようとする土地(収用し、又は使用しようとする土地が一団の土地の一部であるときは、その一団の土地の全部を含む。)について、下記事項が記載されていること。
- 土地の所在
- 地番
- 地目
- 土地登記簿(登記事項証明書)上の地積
- 実測地積
- 収用し、又は使用しようとする土地の面積
- (9) 所有権以外の権利の種類及び内容(登記されている権利については、登記申請書
受付年月日及び受付番号その他の登記簿上の記載事項を含む。)
- (10) 権利者の氏名
- (11) 土地の状況
- (12) 調書を作成した年月日
- (イ)土地調書は、土地所有者ごとに作成してください。
- (ウ)土地調書の添付図面及びその内容
(法第37条第1項、規則第14条、様式第8)
土地調書には、収用し、又は使用しようとする土地(収用し、又は使用しようとする土地が一団の土地の一部であるときは、その一団の土地の全部を含む。)の実測平面図を添付してください。
- (1) 実測平面図は、縮尺100分の1から1,000分の1程度までのものであること。
- (2) 実測平面図には、収用又は使用の予定地を薄い赤色で着色すること。
- (3) 実測平面図は、その位置が特定できるように作成すること。
- (4) 実測平面図に記入されている長さは、正確に記入すること。
- (5) 実測平面図の面積の計算に誤りはないか、「三辺法(へロンの公式)」により検算すること。
- (6) 他の図面等と照らし合わせてみて、食い違っている点のないように作成すること。
(2)添付書類作成上の留意事項
ア 市町村別に収用し、又は使用しようとする土地等を記載した書類
- (ア)収用し、又は使用しようとする土地(収用し、又は使用しようとする土地が一団の土地の一部であるときは、その一団の土地の全部を含む。)の所在、地番並びに登記簿上の地目は、登記簿の記載と一致すること。
- (イ)収用し、又は使用しようとする土地(収用し、又は使用しようとする土地が一団の土地の一部であるときは、その一団の土地の全部を含む。)の登記簿(登記事項証明書)上の面積は、登記簿(登記事項証明書)の記載と一致すること。
- (ウ)収用し、又は使用しようとする土地(収用し、又は使用しようとする土地が一団の土地の一部であるときは、その一団の土地の全部を含む。)の実測面積は、土地調書に記載のそれと一致すること。
- (エ)土地所有者の氏名及び住所は、これらを証する書面に記載されているものと一致していること。
- (オ)土地所有者の氏名及び住所は、土地調書に記載されているものと一致していること。
- (カ)土地所有者が土地登記簿(登記事項証明書)上の土地所有者と同一人でないときは、その関係が明らかにされていること。
- (キ)土地に関する所有権以外の権利を有する関係人の氏名及び住所は、それらを証する書面に記載されているものと一致していること。
- (ク)土地に関する所有権以外の権利を有する関係人の氏名及び住所は、土地調書に記載されているものと一致していること。
- (ケ)土地に関する所有権以外の権利で登記されたものについての記載は、登記申請書受付年月日及び受付番号を含めて、登記簿(登記事項証明書)の記載と一致していること。
- (コ)土地に関して登記された権利を有する関係人が登記簿(登記事項証明書)上の権利者と同一人でないときは、その関係が明らかにされていること。
- (サ)土地所有者及び土地に関して権利を有する関係人の氏名及び住所に関して知ることのできないものがあるときは、起業者に過失のないことを証明すること。例えば、戸籍謄本、除籍謄本、戸籍附票写し、住民票写し、法人等登記簿謄本(登記事項証明書)、土地所有者あるいは関係人間に所有権その他の権利について争訟などがあるときは、その争訟の内容がわかるような資料、調査報告書その他調査の過程で集めた資料等を提出すること。
イ 土地調書
- (ア)次の事項について、他の書面における記載と一致していること。
- (1) 事業の種類
- (2) 起業地
- (3) 事業の認定の告示の年月日
- (4) 収用又は使用の手続を保留した起業地があるときの手続開始の告示の年月日
- (イ)起業者の氏名及び住所は、これらを証する書面における記載と一致していること。
- (ウ)土地所有者の氏名及び住所は、これらを証する書面における記載と一致していること。
- (エ)関係人の氏名及び住所は、これらを証する書面における記載と一致していること。
- (オ)土地の所在、地番、並びに土地登記簿上の地目及び地積は、登記簿(登記事項証明書)の記載と一致していること。
- (カ)土地の実測面積は、実測平面図に記載の面積と一致していること。
- (キ)土地所有者が登記簿(登記事項証明書)上の所有者と同一人でないときは、その関係が明らかにされていること。
- (ク)所有権以外の権利で登記されているものについての記載は、登記申請書受付年月日及び受付番号を含めて、登記簿(登記事項証明書)の記載と一致していること。
- (ケ)所有権以外の権利で登記されたものを有する関係人が、登記簿(登記事項証明書)上の権利者と同一人でないときは、その関係が明らかにされていること。
- (コ)土地所有者及び土地に関して権利を有する関係人の氏名及び住所に関して知ることのできないものがある場合には、知ることのできないことにつき、起業者に過失のないことが認められること。
- (サ)土地調書における起業者の署名押印について
- (1) 土地調書には、起業者又はその代表者の署名押印をすること(”記名”押印ではないことに注意。以下同じ)。
- (2) 起業者又はその代表者の署名押印をする場合には、その押印は、印鑑を証する書面に表示の印鑑と同じものであること。
- (3) 起業者又はその代表者の代理人等が署名押印をする場合には、その代理人等本人が署名押印をすること。
- (4) 代理人等が署名押印する場合には、代理人等の権限を証する書面には、その代理人等が起業者又はその代表者に代わって、又は委任を受けたものとして、署名押印をすることができる旨の記載をすること。
- (5) 代理人等の署名押印の場合には、その押印は、印鑑を証する書面に表示の印鑑と同じものですること。
- (6) 代理人等の署名押印の場合には、その代理人等について、例えば地方自治法第153条などに規定された代理人としての資格等を有していること。
- (シ)土地調書作成の際の立会人等について
(法第36条第2項、第4項、第5項及び第6項)
- (1) 土地所有者(共有のときは共有者全員)が立ち会い、土地調書に署名押印をすること。
- (2) 関係人全員が立ち会い、土地調書に署名押印をすること。
- (3) 土地所有者及び関係人が、署名押印をしない場合には、市町村長又は市町村の吏員若しくは埼玉県の吏員が立ち会い、その者が署名押印をすること。
この場合、市町村長又は市町村吏員若しくは埼玉県の吏員は、起業者又はその代表者であったり、法第61条第1項2号又は3号に該当する者でないこと。