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掲載日:2024年3月27日

令和6年2月定例会 意見書

意見書・・・・次の10件です。

国土強靭化の取組の更なる加速化を求める意見書

令和6年元日に発生した能登半島地震は、石川県志賀町で最大震度7を記録し、200名以上の方が亡くなり、また、7万棟を超える住家被害が発生するなど甚大な被害をもたらした。被災された方々に対し、心からお見舞い申し上げるとともに、1日も早い復旧・復興を願うところである。
我が国は、世界におけるマグニチュード6.0以上の地震の約2割が起こっているとされる地震多発国である。国によると、今後30年以内における首都直下地震の発生確率は70%程度、南海トラフ巨大地震の発生確率は70%から80%とされている。また、北海道から九州まで、判明しているだけでも約2,000もの活断層があり、近い将来に大きな地震を起こす可能性が高い活断層も複数指摘されている。
さらに、発生確率が高いと予想されている地震のみならず、発生確率が高くないとされていた地域においても、能登半島地震や熊本地震のような大規模地震が発生している。地下に隠れてまだ見つかっていない活断層もあるといわれており、大きな地震が、いつ、どこで起きてもおかしくないと強く懸念されている。
また、気候変動により、令和元年東日本台風による大雨など、記録的な豪雨が頻繁に発生するようになっており、今後も、河川等の堤防決壊、越水、溢水、さらには、内水氾濫等による被害が危惧される。
国においては、これまで、令和2年度終期の「防災・減災、国土強靭化のための3か年緊急対策」に加え、令和2年12月に「防災・減災、国土強靭化のための5か年加速化対策」(以下「5か年加速化対策」という。)を定め、令和3年度から令和7年度までの5か年で重点的かつ集中的な対策を実施している。
しかしながら、国民の生命・財産を守り、社会の重要な機能を維持していくためには、国土強靭化の取組をさらに加速化する必要がある。
よって、国においては、更なる国土強靭化に向けて下記の措置を講ずるよう強く要望する。

1 令和7年度までの5か年加速化対策期間において、更に強力に国土強靭化の取組を推進すること。あわせて、5か年加速化対策終了後も、実効性のある対策を継続的に講ずるための必要な予算・財源を別枠で安定的に確保すること。
2 地方自治体が実施する国土強靭化対策に必要な予算の総額確保を図ること。
3 地方整備局等の人員・資機材を確保するなど、災害対応のための国の組織体制の充実・強化を継続的に図ること。
4 河川の氾濫を防止する国直轄事業の整備を着実に推進するとともに、地方自治体が実施する河川整備に対する財政支援を充実させること。あわせて、流域治水対策に基づき、荒川や利根川などの大河川が氾濫した場合の備えを一層強化すること。

以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

令和6年3月27日

埼玉県議会議長 立石 泰広

衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣
総務大臣
財務大臣                        様
農林水産大臣
国土交通大臣
内閣官房長官
国土強靭化担当大臣
防災担当大臣

養子縁組里親等の育児休業における子どもの対象年齢の引上げ等を求める意見書

近年、虐待を受けた子どもが増えており、保護者の適切な養育を受けられない子どもを公的責任で社会的に保護養育し、あわせて、養育に困難を抱える家庭への支援を行う社会的養護の必要性が高まっている。社会的養護を必要とする子どもの多くは、保護者等との関係を適切に築けないなどの様々な課題を抱えている。
これらの課題の解決のため、国では、児童の最善の利益を主として考慮しつつ、家庭での養育が困難又は適当でない場合は、養育者の家庭に子どもを迎え入れて養育を行う里親や特別養子縁組を優先するとしている。里親等は、家庭での生活を通じて、子どもが成長する上で極めて重要な特定の大人との愛着関係の中で養育を行うことにより、子どもの健全な育成を図る有意義な制度である。しかし、社会的擁護を必要とする子供の8割以上が施設で生活しており、里親等による養育を一層推進する必要がある。
また、育児・介護休業法の平成28年改正によって、多様な家族形態・雇用形態に対応した育児期の両立支援制度が整備された。育児休業の対象は、従前は法律上の親子関係である実子・養子のみであったが、本改正により、養子縁組里親に委託されている場合、特別養子縁組のための試験的な養育期間にある場合、養子縁組里親として委託することが適当と認められるにもかかわらず、実親等が反対したことにより、養育里親として委託された場合といった、法律上の親子関係に準じるような関係も含まれるようになった。
しかし、養子縁組里親等や特別養子縁組で迎え入れる子どもの年齢はまちまちである一方で、育児休業における子どもの対象年齢は最長2歳までとなっているため、現状の育児休業制度も不十分なものになっている。また、育児休業の対象とはならない通常の養育里親においても、里子迎え入れ当初には、各種手続きや愛着関係構築のための期間が必要である。
よって、国においては、里親等と子どもが愛着関係を構築する期間等を確保するため、下記の事項について措置を講ずるよう強く求める。

1 育児・介護休業法における育児休業期間について、現行制度で育児休業の取得が認められている養子縁組里親等や特別養子縁組の場合においては、子どもの年齢にかかわらず、養育を開始してから1年間取得できるように制度改正すること。
2 里親等を推進するとともに愛着関係を構築する期間等を確保するため、現行制度で育児休業の適用のない里親についても、育児休業制度の創設を検討すること。なお、その際には、手当が二重になり得ることなどの課題を解消すること。

以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

令和6年3月27日

埼玉県議会議長 立石 泰広

衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣               様
厚生労働大臣
こども政策担当大臣

医療・介護・障害福祉分野の処遇改善等を求める意見書

少子・高齢化が急速に進展する中、国民が将来の不安を感じることなく、住み慣れた地域で、良質な医療、介護、障害福祉サービス等が安心して受けられる体制を構築することは極めて重要である。
この体制を現場で支えるのが、医療機関や高齢者施設、障害者施設等における従事者であり、これらの方々は、厳しいコロナ禍においても、エッセンシャルワーカーとして現場の最前線で国民の命と健康、暮らしを支えてきた。
昨今、最低賃金の引上げや大手企業を中心としたベースアップ等によって給与の引上げが進んでいる中で、診療報酬、介護報酬、障害福祉サービス等報酬など、公的制度によって収入が決定される当該分野の施設等における従事者の給与は、他分野に比べて引上げが進んでおらず、人材の確保・定着が難しい状況が続いている。
令和6年度の報酬改定について、診療報酬、介護報酬、障害福祉サービス等報酬は、いずれもプラス改定となり、今後、当該分野の従事者のベースアップにつながるよう配分方法の工夫を行うなどの取組を進めることとしている。
しかし、国民が良質かつ安全な医療・介護・障害サービス等を受ける体制を維持、発展させていくためには、人材の確保等が不可欠であり、当該分野の従事者の適正な給与の引上げが重要である。
よって、国においては、医療・介護・障害福祉分野の報酬改定において関係従事者の他分野と遜色のない給与の引上げにつながるように、引き続き更なる処遇改善等を実現するよう強く要望する。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

令和6年3月27日

埼玉県議会議長 立石 泰広

衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣
財務大臣                         様
厚生労働大臣
内閣官房長官
経済財政政策担当大臣

特別支援学校における過密状況の解消のための財政支援を求める意見書

文部科学省「令和5年度学校基本調査」によると、全国の特別支援学校の在学者数は15万1千人で、前年度より2,700人増加し、過去最多となった。
本県では、平成19年以降、知的障害特別支援学校を19校設置するとともに、現在も、新たな分校の設置など学校整備に取り組んでいるところであるが、県立知的障害特別支援学校における児童生徒数は平成25年度から令和4年度の間に4,936人から6,646人に増加するなど知的障害特別支援学校をはじめとした特別支援学校は、過密の状況となっている。今後も、知的障害特別支援学校の児童生徒数は増加する見込みであり、過密状況への対応は喫緊の課題となっている。
国では、在籍者数の増加により慢性的な教室不足が続いている特別支援学校の教育環境を改善する観点から、学校教育法に基づき、令和3年9月に特別支援学校設置基準を制定した。また、令和2年度から令和6年度を集中取組期間として、既存施設を活用した特別支援学校の改修について、国庫補助が3分の1から2分の1に引き上げている。
しかし、特別支援学校の設置・運営に係る財政的負担は極めて大きく、過密状況の解消を計画的に推進するためには、既存施設を活用した特別支援学校の改修については集中取組期間を延長するとともに、国庫補助が2分の1である新築及び増築についてはさらなる引上げを実施し、備品購入への補助を新設するなど、一層の財政支援の充実が必要である。
よって、国においては、過密状況の解消のために、特別支援学校の設置・運営に係る財政支援の更なる充実強化を図ることを強く要望する。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

令和6年3月27日

埼玉県議会議長 立石 泰広

衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣
総務大臣          様
財務大臣
文部科学大臣

自動車・自転車の窃盗罪について厳罰化を求める意見書

警察庁「令和5年の犯罪情勢」によると、刑法犯認知件数の総数は70万3,351件であり、戦後最少となった令和3年から2年連続で増加した。
刑法犯のうち、自動車の盗難の認知件数は、ピーク時の平成15年6万4,223件から、令和4年5,734件と1割以下に減少したものの、令和4年は前年と比較して500件以上も増加した。
近年では、リレーアタックやCANインベーダーと言われる特殊な機器を使用するものもあり、犯罪グループが組織的に関与して、作業場所等に盗難自動車を運んで解体し、部品等を海外に不正に輸出するものなどがある。このため、犯人が検挙されても、盗難自動車は戻ってこないケースがある。
一方、自転車の窃盗については、令和4年の認知件数は12万8,883件で、令和3年から2割以上増加した。中でも高級なロードバイクは特に狙われやすい。
身近な移動手段である自動車・自転車は、被害が絶えない状況にある。また、自動車の窃盗については、組織化されている中で、抑止力の強化が必要となっている。
よって、国においては、自動車・自転車の窃盗について、刑罰の上限を引き上げるなど抑止力の強化を図るよう強く要望する。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

令和6年3月27日

埼玉県議会議長 立石 泰広

衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣                 様
法務大臣
国家公安委員会委員長

男性育児休業の取得促進に向けた取組の一層の充実を求める意見書

少子化に伴う人口減少下において、出産・育児による労働者の離職を防ぎ、希望に応じて男女ともに仕事と育児を両立できる社会の実現が重要となっている。
しかしながら、我が国における家事育児時間は女性に大きく偏っており、女性1人が育児をするいわゆる「ワンオペ育児」は少子化の原因の一つとも言われており、女性活躍の阻害要因ともなっている。
また、国が実施した調査研究事業報告書において、男性労働者のうち、育児休業制度の利用を希望し、利用しなかった割合は約4割にのぼり、育児休業制度を利用しなかった理由としては、職場が育児休業制度を取得しづらい雰囲気であることなどが挙げられている。
こうした中、国では、平成28年には、中小企業事業主を対象に男性労働者が育児休業を取得しやすい雇用環境整備等を行い男性労働者が育児休業を取得した場合に支給する助成金を創設、令和3年6月には育児・介護休業法を改正し、男性の育児休業取得促進のため、子どもの出生直後の時期における柔軟な育児休業の枠組の創設や、育児休業の分割取得が可能となった。
さらに、今年2月に国会に提出された法案では、男性の育児参加を促すため、2歳未満の子を養育するため時短勤務中に支払われた賃金額の10%を支給することなどが盛り込まれ、現在審議がなされている。
現状の育児休業取得率は、令和4年度雇用均等基本調査によると、女性80.2%に対し、男性17.13%と、男女で大きな差が存在する。男性の育児休業取得率は令和元年度の7.48%から上昇しているものの、令和5年6月時点の政府目標である令和7年の民間における50%とは乖離が大きい。
よって、国においては、男性育児休業の取得促進に向けて、下記の取組を一層充実させるよう強く要望する。

1 ワークライフバランスの観点から職場における働き方改革を進めることはもとより、組織のトップや管理職、従業員の意識が改革され、男性も希望どおりに気兼ねなく、育児休業制度を使用できるとともに、育児休業期間終了後においても、定時退勤が当たり前にできる職場の雰囲気になるように、周知啓発に国を挙げて徹底的に取り組むこと。
2 中小零細企業においては、育児休業等取得に伴う代替要員確保や業務体制の整備等に関して、助成金制度を拡充するとともに、相談対応や好事例の提供等の助成金以外の支援の強化を行うこと。
3 時短勤務に対する支援策をさらに充実させること。

以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

令和6年3月27日

埼玉県議会議長 立石 泰広

 

衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣
財務大臣
厚生労働大臣
経済産業大臣                     様
内閣官房長官
こども政策担当大臣
少子化対策担当大臣
男女共同参画担当大臣

ケアラー支援の法制化等を求める意見書

本県では、家族の介護に追われ、心身の健康や学業、仕事、ひいては人生全般にわたって深刻な影響が出ているケアラーに対応するため、令和2年3月に全国初となる埼玉県ケアラー支援条例を制定した。
本県に続くように北海道から長崎県まで、全国の多くの地方自治体で条例が制定されるなど、ケアラー支援の気運は大いに高まっているものの、ケアラーの抱える問題は全国共通であるため、自治体任せにせず、支援に関して基本的な事項を定めた法制化が不可欠である。
こうした中、国では令和5年12月に策定した「こども大綱」において、ヤングケアラーへの支援を位置付けた。
さらに、本年2月には、ヤングケアラーを「家族の介護その他の日常生活上の世話を過度に行っていると認められる子ども・若者」と明記し、ヤングケアラーを国・地方自治体等による子ども・若者支援の対象とした子ども・若者育成支援推進法の改正を含む法案が国会に提出された。法制化が実現すれば、ヤングケアラー支援のさらなる進展が期待される。
しかしながら、家族の中にヤングケアラーを含め複数のケアラーがいる場合もあり、ケアラー全員に対して支援が必要になる場合も多い。
よって、国においては、ヤングケアラーだけでなく、全てのケアラーが健康で文化的な生活を営むことができる社会を実現するため、下記の事項を速やかに実施するよう強く要望する。

1 多様なケアラーを社会的に認知し、支援していくため、ケアラー支援に係る総合的な計画を策定するとともに、ヤングケアラーだけでなく全てのケアラーを対象としたケアラー支援基本法(仮称)の早期制定を図ること。
2 介護保険法や障害者総合支援法など、ケアラーの存在が想定される既存の法律について、ケアラー支援の視点を取り入れた見直しを検討すること。
3 ケアラーを支援する施策を実施する地方自治体やケアラーに対する具体的支援に繋げるための財政的支援を行うこと。
4 ヤングケアラー支援については、若者ケアラー、大人ケアラーと切れ目のない支援となるよう全世代に配慮された支援となるようにすること。
5 家族の介護その他の日常生活上の世話を過度に行うケアラー・ヤングケアラーの抑止につながる抜本的な対策を検討すること。

以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

令和6年3月27日

埼玉県議会議長 立石 泰広

衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣
総務大臣
財務大臣                    様
文部科学大臣
厚生労働大臣
こども政策担当大臣
若者活躍担当大臣

経年車に対する重課措置の廃止を求める意見書

自動車には、取得・保有・走行の各段階において、複雑かつ過重な税負担が課せられており、道路特定財源の一般財源化により課税根拠が喪失した税の存続や消費税との二重課税といった様々な課題が指摘されている。
自動車に対する税のうち、自動車税・軽自動車税種別割は、自動車の所有に担税力を見出して課する財産税的性格等を持っており、住民に身近な行政サービスを提供している地方公共団体の貴重な財源になる地方税である。一方、自動車重量税は、自動車の重量に応じて課税される国税である。
自動車税・軽自動車税種別割については、初回新規登録から一定年数を経過した自動車は環境への負荷が大きいため、地球温暖化及び大気汚染への対策を目的として、税率を重くする重課の措置がなされている。また、自動車重量税については、平成22年度税率引き下げ時に、一定年数を経過した自動車のみ改正前の税率を適用する重課の措置がなされている。
具体的には、例えばガソリン・LPGを燃料とする自動車では、保有年数で13年を超えると、自動車税・軽自動車税種別割及び自動車重量税の重課措置が同時に行われ、18年を超えると、自動車重量税においてはさらに2段階目の重課措置が行われる。
自動車は生活必需品であるものの、自動車保険料、高速道路料金、高止まりしている燃料油価格などの費用とともに、自動車に対する税は自動車ユーザーにとって大きな負担となっており、自動車税制の簡素化や負担軽減を早急に実現する必要がある。
また、限りある資源を無駄に浪費することなく有効に活用することが求められている現代において、引き続き継続使用が可能な自動車を、車齢のみを理由に一律に重課の措置により廃車を促して新車に乗り換えさせることは、地球に与える環境負荷が大きくなることにもつながる。
よって、国においては、地方財政に影響を与えることのないよう、具体的な代替財源を確保することを前提として、下記の措置を講じるよう強く要望する。

1 自動車の使用に係るユーザーの負担軽減を図るため、経年車に対する重課措置を廃止すること。
2 自動車に関する税制の議論に際しては、既存のガソリン車等への重課措置という考えを取り入れないこと。

以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

令和6年3月27日

埼玉県議会議長 立石 泰広

衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣
総務大臣
財務大臣               様
経済産業大臣
国土交通大臣
環境大臣

認知症との共生社会の実現を求める意見書

我が国では、急速な高齢化の進展に伴い、令和7年には約700万人、65歳以上の人の約5人に1人が認知症になると見込まれている。
こうした中、認知症の人が尊厳を保持しつつ希望を持って暮らすことができるよう、認知症施策を総合的かつ計画的に推進するため、共生社会の実現を推進するための認知症基本法(以下「認知症基本法」という。)が令和5年6月に成立した。
また、国は、令和5年9月に「認知症と向き合う『幸齢社会』 実現会議」を設置し、認知症の人やその家族の方々などからの意見を取りまとめた。取りまとめでは、全ての施策や取組を、「本人が基本的人権を享有する個人として、自らの意思によって日常生活及び社会生活を営むことができるようにする」という認知症基本法の基本理念を根幹に据え、中長期的に立案・実施・評価することが重要とした。
今こそ、認知症の人を含めた国民一人一人がその個性と能力を十分に発揮し、相互に人格と個性を尊重しつつ支え合いながら共生する活力ある社会としての共生社会の実現を推進するために、認知症施策を国と地方が一体となって進めていくときである。
よって、国においては、認知症との共生社会を各地域で実現するため、下記の事項を講ずるとともに、必要な予算を継続的・安定的に確保するよう強く求める。

1 認知症基本法を円滑に施行するため、認知症施策推進本部における認知症施策推進基本計画の策定準備等に万全を期すこと。また、認知症に対する偏見や差別の解消のため、省庁横断的かつ総合的な取り組みの推進に総力を挙げること。
2 地方自治体における認知症施策推進計画の策定において、専門人材の派遣などの支援を行うとともに、認知症の人が施策の企画から評価まで参画できる体制の整備を検討すること。また、各地方自治体の自由度の高い施策展開と予算措置のあり方を検討するなど、地方自治体への支援を強化すること。
3 認知症の人の労働意欲をかなえる環境を整備するため、就労や社会参画を支える支援・相談体制の整備を図るとともに、事業者の理解を促進すること。
4 認知症の人の家族等の負担軽減を図るため、オール・イン・ワンの介護サービスを提供することで在宅での生活が継続できるよう支援する小規模多機能型居宅介護サービス事業について、見守り体制の整備も含めて拡充すること。
5 身寄りのない方を含めた認知症の人に関して、成年後見制度や身元保証等のあり方について現状の課題を整理し検討を進めること。また、住まいに課題を抱える方々に対して、一貫した支援を行う体制を整備すること。
6 認知症の容態に応じて、認知症の人や家族が受けられる支援を地域ごとにまとめた「認知症ケアパス」や、認知症の人を支える周囲の人の意思決定支援の基本的考え方などを整理した「認知症の人の日常生活・社会生活における意思決定支援ガイドライン」をはじめとした認知症に関する基本事項について、国民が繰り返し学べる環境を整備すること。

以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

令和6年3月27日

埼玉県議会議長 立石 泰広

衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣
総務大臣
財務大臣                  様
厚生労働大臣
内閣官房長官
共生社会担当大臣

仮放免制度の改正を求める意見書

国によると、中長期在留者数と特別永住者数を合わせた在留外国人数は、令和4年末現在において307万5千人余りと初めて300万人を超え、過去最高を更新した。このうち、本県は約21万3千人であり、全国第5位の多さとなっている。
令和5年6月には、出入国管理及び難民認定法の改正法が成立し、本年6月15日までに施行される。この改正によって、退去強制手続における収容に代わる選択肢として、親族や知人などの監理人の下、逃亡等を防止しつつ、相当期間にわたり社会内での生活を許容しながら退去強制手続きを進める監理措置制度が創設された。
現行法では、被収容者の収容を解く手段は仮放免しかなく、収容の長期化を回避するために、個別の事情に応じて仮放免を柔軟に運用してきた。改正法においては、監理措置制度の創設に伴い、仮放免制度は本来の趣旨どおり健康上又は人道上の理由等により収容を一時的に解除する措置と規定され、監理措置制度との使い分けが明確になされることになった。
しかしながら、監理措置に付された外国人である被監理者は、制限はあるものの許可を得ることで報酬を受ける活動が可能とされたが、仮放免された外国人である被仮放免者は、就労ができないために不安定な生活を余儀なくされる現状は変わらない。
また、一部の外国住民による目に余る行為により、地域住民が安心して暮らすことを阻害する事案が発生しているとの報道もあり、安心・安全な暮らしを実現するための取組が必要となっている。
よって、国においては、下記の事項について早急に措置を講ずるよう強く求める。

1 仮放免の許可については厳格に行うこと。被仮放免者が不法行為を行うなど退去強制事由に該当する場合には、収容及び速やかな送還を行うこと。
2 監理措置制度の対象とならない被仮放免者においても最低限の生活維持ができるよう、就労を可能とする制度の導入を検討すること。
3 被仮放免者の現状把握を確実に行い、居住自治体に情報を提供すること。あわせて、不足している収容所の整備など、出入国在留管理体制の充実強化を図ること。
4 被仮放免者等を健康保険その他の行政サービスの対象とすることについて検討すること。

以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

令和6年3月27日

埼玉県議会議長 立石 泰広

衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣
総務大臣              様
法務大臣
財務大臣
厚生労働大臣

 

  • 注意:議員の氏名の一部にJIS規格第1・2水準にない文字があるため、第1・第2水準の漢字で表記しているものがあります。

お問い合わせ

議会事務局 政策調査課 政策・法制担当

郵便番号330-9301 埼玉県さいたま市浦和区高砂三丁目15番1号 議事堂1階

ファックス:048-830-4923

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