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掲載日:2023年12月28日

令和5年12月定例会 一般質問 質疑質問・答弁全文(高木功介議員)

医薬品不足の解消について

Q 高木功介 議員(自民)

医薬品の供給不足は、世界的に問題になっています。しかし、我が国のように大規模かつ長期間にわたって供給不足が続いている先進国はありません。この原因といたしまして、製造管理、品質管理の問題や開発や製造などの諸問題など、業界の構造、新型コロナウイルス感染症拡大により諸外国のロックダウンで原薬入手が困難になったこと、一般市民による解熱鎮痛剤の買い占め、ウクライナ情勢によるエネルギー問題による供給不安など、多くの問題が絡み合っていると言われております。
2005年の薬事法改正以降、自ら製造設備を持っていなくても、医薬品業界に参入できるようになりました。手を挙げれば作れる状態であり、管理が不安定になりました。2005年の薬事法改正前は、製造業者が自身で製造するべきという考えが前提にあり、医薬品の有効性や安全性は製造者が責任を負うという考え方でしたが、改正後は自社で製造せず委託製造ということを可能とし、社会に売り出す製造販売業者が責任を負うという考えに変わっております。
つまり、トレーサビリティがとれなくなってしまい、問題が起こった際にどこに原因があるのか分からないのが医薬品不足の原因であるとの分析もされております。製薬会社の一連の不正の中には、長年不適切な製造が行われてきたにもかかわらず、それが見つかってこなかったケースもあります。今回の問題で、ジェネリック業界団体などは社員教育の充実やコンプライアンスの遵守など、自主的な対応策を打ち出しております。それでも、医薬品の問題は人々の健康や命に直結するため、製造が適正に行われているかは薬事法により主に都道府県が調査し、そして監視することになっていますが、それが十分に機能していたとは言えません。
埼玉県として、県内の製造会社の監視やチェック機能をより強化し、それを担当する専門職員の育成にも力を入れるべきであると考えますが、保健医療部長の答弁を求めます。
次に、医薬品を適正に供給することは保険薬局として当然の機能ですが、薬局の努力だけでは先に申し上げた事情により困難であるのが現状であります。特に、このような時期に大規模災害など緊急事態が起こった場合に、救える命を救えない状態になります。医薬品の供給のレジリエンスを高める意味でも、地域で薬を管理する必要があると考えます。埼玉県が県内全薬局を対象としたネットワークを薬剤師会の協力を得て構築すべきと考えます。埼玉県薬剤師会も、こうした協力を惜しまないと言っております。その上で、薬剤の在庫管理システムを行政主導で導入し、在庫や供給に問題が起こった時に薬局同士で協力して対処できる体制を構築すべきであると考えます。このシステムを医師会とも共有すれば、有事の際の情報共有にも生かせると考えますが、保健医療部長の答弁を求めます。

A 表久仁和 保健医療部長

まず、監視やチェック機能の強化と専門職員の育成についてでございます。
医薬品不足の発端の1つとして、他県の製造業者の不正行為に対する行政処分により、製造が停滞したということがございます。
医薬品は高い品質と安全性が求められることから、製造工程や品質に厳しい基準があり、製造業者はそれを遵守しなければなりません。
このため県は、医薬品製造が適正に行われていることを確認するため、県内約100の製造業者に対し、年間およそ50件の立入検査を実施しています。
さらに、悪質な不正行為の隠蔽を防ぎ、常日頃の製造状況を確認するため、事前通告せずに立入検査をするなど、厳格に対応しています。
また、医薬品製造に係る調査員は、製造管理や品質管理に関する高度な専門知識や査察技術が求められ、要件を満たす必要があります。
そこで、調査員には、薬学的知識を有する薬剤師を充て、世界的な製造・品質管理基準を踏まえて国が定めた複数の専門的教育プログラムを受講させるほか、日常業務を通じて育成を図っています。
今後とも、医薬品の品質と安全性を確保するため、調査員の資質向上とチェック機能を強化することで、厳正かつ適切な検査・指導を行ってまいります。
次に、在庫管理システムの導入についてでございます。
県では、防災基地などへの緊急医薬品の備蓄、医薬品卸業者の協力を得て行うランニング備蓄などで災害時緊急時に備えております。
議員御提案のシステムは、災害時の備えとして有効であるとともに、医薬品に不足が生じた場合など、患者に必要な医薬品を地域で融通し合うことが可能となると考えます。
こうした取組は、地区の薬剤師会単位で特定の医薬品の情報を共有するもの、全ての在庫情報を広域で共有するもの、不足する医薬品の提供を呼び掛けるもの、薬局の在庫状況を共有するものなどの先例がございます。
一方、広域で展開することで医薬品の受渡しに時間を要したり、薬局の在庫情報の入力に大きな負担が発生したりするなど、課題もあると聞いております。
また、製造業者や卸業者の医薬品保有情報や、医療機関、薬局の在庫情報を全国的に可視化できないか、国が調査に着手したところでもあります。
県としては、国の動向を注視するとともに、先行事例や課題なども整理し、どのような情報共有の仕組みが効果的なのか薬剤師会とも意見交換するなど、検討を進めてまいります。

 

  • 上記質問・答弁は速報版です。
  • 上記質問・答弁は、一問一答形式でご覧いただけるように編集しているため、正式な会議録とは若干異なります。
  • 氏名の一部にJIS規格第1・第2水準にない文字がある場合、第1・第2水準の漢字で表記しています。 

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