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掲載日:2023年3月14日

令和5年2月定例会 代表質問 質疑質問・答弁全文(岡 重夫議員)

第9期埼玉県高齢者支援計画の策定について

Q   岡 重夫 議員(県民)

埼玉県は、団塊の世代が後期高齢者になる令和7年や、団塊ジュニア世代が65歳以上となる令和22年を考えると、介護保険制度を持続するため高齢者に対する支援の在り方についても大きく変えていかなければならないと考えています。
そこで、県では、来年度は令和6年度から令和8年度までの第9期高齢者支援計画の策定に着手するわけですが、計画に次の4点を入れることを提言したいと思います。第1点目は、介護職の社会的評価の向上。第2点目は、介護予防、フレイル予防。3点目は、認知症予防に資する取組。4点目は、介護施設等の感染症対策の強化の4点です。
まず、最初の介護職の社会的評価の向上については、昨年、私が代表質問で行い、知事からは社会的評価を高めるためには専門性の向上、賃金の改善を国に求めること、さらには県独自に介護福祉士などの資格取得支援などを行う旨の答弁を頂きました。私は、中長期的に考えれば大幅に不足する介護職の人材を確保するには、例えば、看護師と同じくらいまで介護職の社会的な評価を高める施策をしなければならないと考えています。
では、なぜ社会的な評価が上がらないのかということを考えると、介護は昔から施設で行うものではなく家族が行うもので、家事の延長線上にあるものに見られ、仕事として認められてこなかったために社会的に評価されてきませんでした。また、現在は若い男女も介護士を目指して専門学校に進学していますが、昔は主婦がヘルパーの2級を取得して施設やデイサービスで働くことが多かったこともあり、その点も社会的な評価につながらなかった面があると考えています。しかし、実際の仕事は、入所施設では高齢者の生活を24時間サポートとし、健康的で楽しい生活が送れるように日々奮闘しています。
さて、現在の第8期計画には介護人材の確保、定着、イメージアップのための各種施策が記載されていますが、社会的評価の向上という取組はありません。そこで、第9期では、この項目を明記して介護職の人たちの誇りとやる気を起こし、報酬面も含めて介護を憧れの職業にする施策を行うべきと考えますが、知事の見解をお伺いします。
続いて、介護予防、フレイル予防についてです。
現在、第8期計画には介護予防の項目や具体的施策などが記載されていて、県は介護予防に力を入れています。しかし、最近ではフレイル予防に力を入れることが重要視されてきました。
フレイルとは、日本老齢医学会が定義した加齢に伴い心身の状態が低下し、要介護に至るまでの過程を言います。例えて言うのであれば、フレイルは糖尿病・高血圧性疾患などの生活習慣病が発症する前の、いわゆる健康と生活習慣病との境界領域と言えます。
今後は加齢に伴う虚弱による要介護者数が大幅に増加することが予想され、医療費の増加に比べて介護費用が大幅に増加することが見込まれています。これから早期の介護予防であるフレイル予防が、国、県、市町村の大きな課題です。
また、フレイルを予防するためには、栄養、身体活動、社会参加の三位一体の視点に立った日常生活を送ることが大事です。特に、平成26年に介護保険法の改正によって、介護保険の地域支援事業に介護予防日常生活支援総合事業(通称、総合事業)が導入され、各自治体は総合事業に力を入れていかなければ財政的にも厳しい状況になると予想されます。
そこで、計画にフレイル予防を含む介護予防政策の体系化が必要と考えますが、知事の御見解を伺います。
次に、認知症予防に資する取組について伺います。
認知症の予防に関しては、根本的な治療薬や予防法も明確に確立されていないといわれてきましたので、どちらかといえば、認知症になった後で安心して暮らせる社会づくりに力を入れているのが実態ではないかと思います。しかし、最近では、認知症の予防に関する研究が進み、その予防策が紹介されるようになりました。
認知症の原因は、一番がアルツハイマー病、次いで脳梗塞や脳出血による脳の損傷が原因の血管性認知症、そして脳の神経細胞にα-シヌクレインというタンパク質がレビー小体と呼ばれる構造を作り、神経細胞が障害を起こすレビー小体型認知症の3つが主な原因といわれています。また、認知症の中には、20代から30代の若い頃からゆっくりと進行するものもあるとのことです。
そこで、認知症予防に有効なこととして、次の5つが紹介されています。1つは適度な運動、2つ目は生活習慣病の予防、3つ目は他人との交流、4つ目は達成感を味わうこと、5つ目は趣味を無理なく長く行うことの5つです。
若い人たちに認知症の予防といってもピンと来ないと思いますが、ふだんから認知症予防に資する有効策があることを県民に知ってもらい、実践する取組を計画的に取り入れてほしいと考えますが、知事の御見解を伺います。
最後に、介護施設などの感染症対策の強化についてです。
この施策も現在の第8期計画に盛り込まれていますが、作成された当時は新型コロナウイルス感染症の感染初期の段階で、第6波や第7波のような感染拡大により介護施設などの職員の多くが感染するなどのクラスターの発生は予想していなかったと思います。第8期の計画では、介護職員は感染が防止され、入居者の感染防止に力を入れることができるという想定の取組が示されています。
しかし、現実は各施設で多くの介護職員が感染し、クラスターが発生し、県のコロナ対策チームであるCOVMATが休みなしで対応したのが実態でした。そのため、計画にある他施設からの応援職員を派遣する補助ネットワークの仕組みが機能していなかったのではないでしょうか。
そこで、第九期の計画では今回の新型コロナウイルス感染症の教訓を生かし、最悪の状態を想定した取組の具体策を記載すべきと考えますが、知事の御見解を伺います。

A   大野元裕   知事

介護職の社会的評価の向上についてであります。
議員お話しのとおり、介護職の社会的評価を向上させることで介護職の誇りとやる気を喚起し、あこがれの職業にすることは非常に重要だと思います。
介護の仕事に従事される方は、感染症対策や看取りケアの知識に加え、体の仕組みや動きを理解して最小限の力で身体介護を行うなど、日常的に多くの技術を駆使しています。
介護職の社会的評価を向上させるには、こうした幅広い知識や技術が必要な専門職であることを多くの方に知っていただくことも効果的であります。
このため、これまで県が実施してきた介護の魅力を伝える取組に、専門性のPRという視点を加えて、介護職員が実践している高度な介護技術を紹介する動画の配信を新たに実施します。
また、来年度初めてバーチャル空間で開催する介護職員合同入職式では、新任介護職員に私からメッセージカードを授与することで、県全体として介護職員を応援していることを伝えます。
こうしたことも、介護職自身が誇りを持ち、周囲からの評価の向上につながると考えております。
さらに、介護職員永年勤続表彰や、利用者やその家族が介護職員に感謝の気持ちを伝える「コバトン・ハートフルメッセージ」の優良事業所表彰など、社会全体で介護職員を顕彰する取組も続けてまいります。
あわせて、高度な専門性を有する介護職員がその評価にふさわしい賃金を得られるよう、これまで国に対して介護報酬の見直しなどを働き掛けており、今後も強く要望してまいります。
次に、介護予防・フレイル予防についてであります。
高齢者がフレイルや要介護状態にならないためには、早期かつ体系的な介護予防の取組が重要であり、外出や対面での会話等を控えがちであったコロナ禍においては、その重要性はますます高まっております。
そこで県では、実施主体である市町村に対して、理学療法士などのリハビリ専門職や認知症施策の専門家等で構成する地域包括ケア総合支援チームを派遣して、オーダーメイド・伴走型の支援を行っています。
例えば、健康な高齢者に社会的なつながりや運動の機会が提供できるよう、通いの場の立上げや運営を支援したり、フレイルの方が栄養・口腔等の専門職による指導が受けられるようにするなど、具体的な助言を行っております。
また、要支援者に対しては、「介護予防・日常生活支援総合事業」にも位置付けられる短期集中的な運動機能改善プログラムの提供ができるようにするなど、健康状態に応じた体系的な介護予防の取組を支援しております。
一方、フレイルを含めた早期の介護予防に取り組むためには、健康に関するデータを収集し、活用することも重要であります。
市町村によっては、気軽に参加できるフレイルチェック測定会を定期的に開催したり、医療・介護のレセプトや健診結果を把握し、フレイルのおそれのある高齢者に対して専門職の指導を行っているところもございます。
今後は、このような健康データを積極的に活用した好事例が更に広がるよう、県が実施する研修会などを通じて横展開を図ってまいります。
介護予防政策の体系化については、埼玉県高齢者支援計画推進会議の御意見も伺いながら、計画の中に位置付けて、フレイル予防を含む介護予防に取り組んでまいります。
次に、認知症予防に資する取り組みについてでございます。
認知症は未だに発症や進行の仕組みの解明が不十分であり、根本的な治療薬や予防法は確立されておりません。
このため、国の「認知症施策推進大綱」では、仮に認知症になったとしても地域の中で共に暮らせる社会を実現することが求められています。
私は、かつて認知症カフェを訪問した際に、いきいきとバンド活動を行う認知症の方々にお会いし、認知症の方もまたそうでない方も、尊厳と希望を持ち、同じ社会で共に生活していく重要性を、身をもって実感いたしました。
一方、議員お話しのとおり、若いうちから認知症について正しく理解し、認知症予防に資する活動を実践することも重要であります。
県では、認知症サポーター養成講座において、若い時から適度な運動や健康的な食生活・生活習慣を心がけることなどが、結果的に認知症になるリスクを減らせることを周知しております。
今後は、県内の大学や企業に対して、学生や若い社員向けに認知症サポーター養成講座の開催を働き掛けることで、認知症予防に資する取組への理解を促進するとともに、県のSNSなども活用し普及・啓発を行ってまいります。
第9期計画において、こうした認知症予防に資する取組を県民に更に実践いただけるように取り組んでまいります。
次に、介護施設等の感染症対策の強化についてであります。
本県では、新型コロナウイルス感染症による死亡者や重症者を減らすことを戦略目標に掲げ、重症化リスクの高い高齢者が入所する施設に重点的な対策を実施してまいりました。
例えば、感染対策の徹底のため県職員による施設の巡回や、感染拡大防止のためCOVMATやeMATによる早期介入を行ってまいりました。
また、施設職員の不足への対応としては、議員お話しの互助ネットワークに加え、施設内での療養体制を確保するための看護師派遣、リリーフナース制度を導入をいたしました。
さらに、感染が急拡大した時期には、施設内に感染を持ち込まない対策として、職員に対する頻回検査も実施をしてまいりました。
このように、戦略に基づく様々な戦術を展開してきたところであります。
一方で、互助ネットワークについては有効に利用されておりましたが、感染拡大時に自分の施設で陽性者が出ると他の施設に人を出す余裕がなくなるなど、派遣の調整が難しい場合もございました。
そうしたことも含めて、新型コロナウイルスなどの感染症にも対応できる実践的な業務継続計画の策定など、個々の施設の運営強化を推進する一方で、必要な場合に互助ネットワークを活用いただくなど、総合的な体制強化が必要と考えます。
こうした課題などについて、第9期計画では、最悪の事態が発生しても介護施設等がサービス提供体制を確実に確保できる効果的な取組が盛り込めるよう計画策定の会議の場を通じて検討してまいりたいと考えます。

 

  • 上記質問・答弁は速報版です。
  • 上記質問・答弁は、一問一答形式でご覧いただけるように編集しているため、正式な会議録とは若干異なります。
  • 氏名の一部にJIS規格第1・第2水準にない文字がある場合、第1・第2水準の漢字で表記しています。 

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議会事務局 政策調査課 広報担当

郵便番号330-9301 埼玉県さいたま市浦和区高砂三丁目15番1号 議事堂1階

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