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掲載日:2022年7月12日

令和4年6月定例会 一般質問 質疑質問・答弁全文(水村篤弘議員)

防災意識を高めていただくための視点(伝承・正常性バイアス・フェーズフリー)について

Q   水村篤弘 議員(民主フォーラム)

先日、ある研修会で、東日本大震災の津波の伝承活動を続ける大船渡津波伝承館の齊藤賢治館長のお話を伺いました。齊藤館長は、東日本大震災当時は製菓会社の専務取締役でした。子供の頃から津波の怖さを親から聞かされていて、近々地震や津波があると思っていたとのことでした。
そして、地震が来たら、また津波が来たら、このように行動しようと心構えや想定をしていたとのことです。社内の朝礼やメールで、職場放棄をしてでも逃げろと呼び掛けをしていました。実際、3月11日当日も、社内で従業員に津波が来るから早く逃げろと繰り返し呼び掛けをして、それで大勢の命が救われました。
数十年すると、津波の「つ」の言葉すら発せられなくなる。これが自然なのだろうと思っている。そして、同じように犠牲者が出てくると思うと、大津波の悲劇、惨劇の元凶となる風化に警鐘を鳴らし、伝承活動に取り組んでいるとのことでした。
そして、津波で亡くなった方の約4割が避難行動をとらなかった方だというデータがあるとして、私だけは大丈夫という正常性バイアスの恐怖を強くおっしゃっていました。
人はなぜ逃げ遅れるのか、「災害の心理学」という本には、私たちの心は予期せぬ異常や危険に対してある程度鈍感にできている。日常生活で何か変わったことが起きるたびに、一々びくびく反応していたら心が疲弊してしまうからだ。ある限界までの異常は、正常の範囲内として処理する心のメカニズムが正常性バイアスなのである。しかし、私たちの心を守るための機能が非常事態の際、まだ大丈夫と危険を過小評価し、避難するタイミングを奪ってしまうことがあるというようなことが書かれています。
また、最近はフェーズフリーという考え方が、これからの防災に対する一つの答えとして注目を集めています。これは日常時と非常時の二つのフェーズを分けず、連続的に捉えるという考え方です。
以上を踏まえて質問は、1点目、埼玉県は災害が少ないといわれますが、水害は多発しています。令和元年東日本台風による大きな被害は記憶に新しいところです。こうした埼玉県の実情に特化した身近な水害の怖さを伝える伝承事業が必要です。カスリーン台風のパネル展などを行っていることは承知をしていますが、例えば、動画などで被災者の方に台風の怖さを語っていただくことも、水害の怖さを伝える効果的な方法だと考えます。今後、どのような伝承事業を行っていくのでしょうか。
2点目、正常性バイアスは先ほど申し上げたとおり、人の心にもともと備わっている働きです。まずは、こうした正常性バイアスという働きがあることを御理解いただくことが重要です。そして、正常性バイアスを克服するには状況判断、つまり怖さを知ることだという指摘や、疑うこと、また自分に対しては正常性バイアスがかかっても他人、自分にとって大切な人に対しては心配性バイアスがかかるという性質を利用した仕組み、仕掛けを講じて課題解決を図るべきなどと専門家が指摘をしています。
今年3月に修正された埼玉県地域防災計画に新たに記された避難行動の妨げとなる正常性バイアス等の理解の促進の具体化はこれからだと伺っておりますが、具体化していく際には理解の促進とともに、克服策も盛り込んでいくべきと考えますが、御見解を伺います。
3点目、徳島県鳴門市では、学校でのフェーズフリー教育によって平常時の防災意識を底上げする取組を行い、注目されています。具体的には、市内全ての幼稚園、小中学校で研修を行い、ガイドブックを作成して活用するなどしています。埼玉県もこうした取組を参考にして、児童生徒はもちろん大人にもフェーズフリーという考え方を活用した防災意識の向上に取り組むべきと考えますが、御見解を伺います。

A 三須康男 危機管理防災部長

まず、身近な水害の怖さを伝える伝承事業についてでございます。
県では、令和元年東日本台風の襲来以降、被災状況や治水対策をお知らせするパネル展の開催、防災マニュアルブック(風水害・土砂災害編)の新たな作成など、水害に焦点を絞った啓発事業を実施してまいりました。
また、県内各市町村においても、想定し得る最大規模の降雨に対応した洪水ハザードマップに見直しを行うなど、水害リスクをより身近なものとして認識していただくよう取り組んでおります。
水害の怖さも含め被災の実情を正しく伝承していくことは、県民の皆様の適切な避難行動を促す上で重要です。
関係部局とも連携しこれまで実施してきた県政出前講座や、パネル展などの内容を動画の活用の検討も含め充実させ、過去の水害を教訓とし、日頃の備えの重要性について理解を深めていただけるよう努めてまいります。
次に、「正常性バイアスの理解促進と克服策について」でございます。
議員が引用されましたように、「非常事態の際に、まだ大丈夫と危険を過小評価し、避難するタイミングを奪ってしまうこと」は防がなければなりません。
県では、台風直撃など災害の危機が迫っている際に、県民の皆様が避難スイッチを逃さないよう、あらかじめ、とるべき行動を時間の流れによって整理する、「マイ・タイムライン」の作成についてホームページや、まいたま防災アプリなどを通じ、普及啓発に努めております。
市町村の中には、自治会、学校などに出向いてこのマイ・タイムラインを活用した講座を実施し、近くに流れる川の状況や避難のタイミングを再認識してもらうとともに、家庭ごとに話し合ってもらう取組を行っている例もございます。
こうした地域の実情に応じた取組を市町村防災担当課長会議などで共有しながら、地域の創意工夫を促し、県民お一人お一人の正常性バイアス克服に繋がるよう努めてまいります。
最後に、「フェーズフリーを生かした防災意識の向上」についてでございます。
県では、地震への備えを「モシモ」のことではなく、「イツモ」の生活の中で当たり前のこととして取り組む「イツモ防災事業」を実施しております。
例えば、備蓄する食料・水を定期的に古いものから順に食べる、食べた分を買い足し補充するという、「ローリングストック法」の啓発を行っています。
この取組は、「フェーズフリー」の考え方に通ずる部分があると考えております。
議員から、防災意識の向上に取り組んでいくための御提案をいただきました。
まずは徳島県鳴門市の事例を含め、「フェーズフリー」についての専門的知見を有する講師をお招きして、県や市町村の防災担当者を対象に勉強会を実施してまいります。

 

  • 上記質問・答弁は速報版です。
  • 上記質問・答弁は、一問一答形式でご覧いただけるように編集しているため、正式な会議録とは若干異なります。
  • 氏名の一部にJIS規格第1・第2水準にない文字がある場合、第1・第2水準の漢字で表記しています。 

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