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掲載日:2023年10月23日
Q 柳下礼子 議員(共産党)
先日の台風第10号は、九州を中心に50人以上の重軽傷者、大規模停電や土砂災害などをもたらしました。被災された皆様に、心よりお見舞い申し上げます。
台風第10号について、気象庁は早い段階から「今すぐ避難してください」と呼び掛けました。地域によっては90キロも離れた場所へ避難し、難を逃れた方もいました。本県加須市でも昨年の台風第19号のとき、避難指示を受け、約9,500人もの住民が大型バスで利根川を渡り、群馬、栃木、茨城の3県へと避難しました。
温暖化、気候変動等により、想定を超えた超大型台風が発生する時代です。災害死を出さないためには、早めの避難行動が重要です。知事、早い段階からの避難の意義、また市町村の手に負えない広域、長期にわたる避難について県が十分にバックアップすべきと考えますが、この点について御答弁を求めます。
とりわけ、要配慮者をどのように避難させるかは重大な課題と考えます。今回は施設入所の要配慮者について伺います。
さきの九州豪雨では、高齢者施設で痛ましい犠牲者が出ました。高齢者や障害者等の社会福祉系施設においては、様々な事情で浸水想定区域内に立地しているケースが少なくなく、本県も例外ではありません。災害死に直結するだけに対策が急がれます。現在、浸水想定区域に立地する県内要配慮者施設数は4,207施設ですが、避難計画が策定されていない施設が2,374で、56.4%に上ります。社会福祉施設の避難計画について、早急に策定するよう働き掛けるべきと考えますが、福祉部長の答弁を求めます。
昨年の台風第19号では、本県も越辺川決壊などにより甚大な被害を被りました。この教訓から、抜本的な治水対策も急がれます。
本年度、県土全体の強靱化を図るとして、85億円の予算で県土強靱化緊急治水対策プロジェクトが実施されています。先日、党県議団は、プロジェクトの一つである元荒川の現場を視察しました。長期に土砂が河床、河川敷、さらには護岸まで堆積して、川幅は狭く、河床は浅くなっていました。土砂の撤去により、広く、深く、きれいに整備され、河川整備事業が治水対策として有効であると改めて感じました。
そこで、県土整備部長、県土強靱化緊急治水対策プロジェクトについて、その整備状況と治水効果についてお答えください。
2、特に私の地元、所沢では、平成28年から昨年と、豪雨、台風により東川、柳瀬川の流域でたびたび被害が発生しています。早急な対策を求めます。
3、また、プロジェクトは単年度事業とのことですが、河川の樹木伐採や土砂撤去の要望は、まだまだ全県から上がっております。来年度も引き続き、これらの要望に取り組むべきと考えますが、以上3点、答弁を求めます。
続いて、複合災害について。
コロナ禍で自然災害が発生すれば、複合災害となります。今回の沖縄や九州を中心とした豪雨災害は、その一例となってしまいました。防災に関わる58学会からなる防災学術連携体は、この5月に感染症と自然災害の複合災害に備えることを求める緊急メッセージを発表し、避難所の増設、消毒液などの備品整備、感染の疑いのある人の隔離などの検討を求めています。
本県では、新型コロナウイルス感染症に対応したガイドラインを作成しました。台風第10号の際には、密を避けるために間仕切りなどが行われた結果、避難所が足りなくなる事態が発生しました。危機管理防災部長、コロナ禍と自然災害の複合災害においては、より多数の避難所確保が鍵となると考えますが、県としての対策をお答えください。
また、コロナ患者の情報は、原則、市町村には提供されません。県内には多いときで350人の自宅待機者、調整中のコロナ患者がおりました。これらの患者の避難について県が責任を持って移送すべきと考えますが、人員不足の保健所体制で果たして可能なのか、疑問です。この点について、保健医療部長、御答弁を求めます。
A 大野元裕 知事
早い段階からの避難の意義についてでございます。
台風や大雨については事前に一定程度予測することが可能であり、自らの身を守るため早めの避難が何よりも重要であります。
このため県では、警戒レベル3で高齢の方などが、警戒レベル4で全員が避難を開始することをテレビ、ラジオ、SNS等
、様々な方法で周知を図っているところであります。今年9月の台風第10号では県や市町村に加え、様々な機関から繰り返し強く訴えることが避難行動に繋
がるということを改めて認識をいたしました。今後も気象庁や市町村と連携しながら、早い段階から確実に避難が始まるよう積極的に呼び掛けを行ってまいります。
次に、広域、長期にわたる避難についての県のバックアップについてであります。
災害時の避難場所はそれぞれの市町村で確保することが基本となりますが、近年、自然災害が激甚化・頻発化しており、ご指摘のとおり広域的な視点で検討することも重要となっております。
議員お話しの加須市では、令和元年東日本台風において、近隣市町
との協定に基づき、初めて広域避難を実施しました。他の市町村にもこうした取組が広がるよう、この8月に加須市職員の方から協定締結までのプロセス、実際の広域避難の状況、課題、今後の取組等
について、市町村職員に講演をしていただきました。 また、県内には荒川右岸広域避難検討会及び利根川中流4県境
広域避難協議会の2つの広域避難を検討する場が設置されており、本県も参加をしています。そこでの検討の状況や成果を他の市町村にも提供し、広域避難の取組が進むよう支援をしてまいります。
また、避難生活が長期化した場合、避難者の皆様の健康管理が課題となります。
そこで令和元年東日本台風では、長期にわたり避難所を開設した東松山市及び坂戸市へ、県から7日間にわたり保健師延べ15人を派遣し、避難者の健康状態の確認や相談等
を実施しました。また、避難の長期化によって、避難所を運営する市町村職員が不足することも想定されます。
こうした事態に備え、県と比較的被害の小さい市町村がチームを組んで被災市町村に応援職員を派遣する仕組みを整えております。
避難生活が長期化するような甚大な災害において、県民の安心・安全を確保できるよう市町村と力を合わせしっかりと取り組んでまいります
A 山崎達也 福祉部長
社会福祉施設における避難計画の策定についてお答えを申し上げます。
県では、これまで会議の場などで計画策定を周知するとともに、今年度の指導・監査の重点項目に位置付け、実地指導の際に計画の策定状況を確認するなど、必要な指導を行ってまいりました。
災害の危険性は年々高まっており、改めて本年9月、計画を未策定の施設に対して速やかな計画策定と避難訓練の実施を個別に働きかけたところです。
今後も、市町村や関係部局と連携し、対象となる全ての施設において早期に計画が策定されるよう働きかけてまいります。
A 中村一之 県土整備部長
「県土強靭化緊急治水対策プロジェクト」についてお答えを申し上げます。
まず、整備状況と治水効果についてでございますが、県では令和元年東日本台風の被害を受けて、「県土強靭化緊急治水対策プロジェクト」を立ち上げ、溢水・越水が生じた河川を中心に、61河川・101箇所で、緊急的な治水対策を実施しております。
現在、出水期でも施工が可能な工事内容の箇所を中心に、約5割の箇所で工事に着手しており、今後も引き続き対策を進め、樹木伐採や土砂撤去など即効性のある対策については、年度内の完了を目指してまいります。
プロジェクトの効果の一例といたしましては、議員お話しの元荒川では、土砂撤去などにより、洪水時に河川水位を約10センチメートル低下させる効果があるとの検討結果が得られております。
次に、所沢市内の東川及び柳瀬川については、国の「防災・減災、国土強靭化のための3か年緊急対策」の一環として、平成30年度から樹木伐採や土砂撤去に取り組んでおります。
令和2年度も「県土強靭化緊急治水対策プロジェクト」として、東川1箇所、柳瀬川2箇所の計3箇所で樹木伐採や土砂撤去を実施する予定で、現在、工事の発注準備を進めており、年度内の完成を目指してまいります。
次に、樹木伐採や土砂撤去の継続についてでございますが、議員お話しのとおり適切な河道断面を維持するうえで重要な事業であると考えております。
このような事業を推進するため、令和2年度から令和6年度までの特別な地方財政措置として「緊急浚渫推進事業債」が設けられているところです。
今後も、このような有利な地方財政措置を活用するとともに、計画的、効果的に河川整備を進め、県民の安全・安心の確保に努めてまいります。
A 森尾博之 危機管理防災部長
避難所確保の対策についてお答えを申し上げます。
県が作成した「新型コロナウイルス感染症に対応したガイドライン」では、世帯間での間隔の確保、発熱等の症状がある避難者のための専用スペースの設置等を求めておりますので、これまでよりも多くの避難所を開設する必要がございます。
そこで県では、290を超える宿泊施設が加盟する埼玉県ホテル旅館生活衛生同業組合と協議を進め、本年9月に災害時応援協定を締結しました。
これにより、市町村とホテルや旅館との間で災害時の協力体制がない場合でも、県の協定を活用し、速やかに宿泊施設を避難所として利用できるようになりました。
また、県有施設につきましても、さらに災害時の利用が進むよう関係部局に対し協力を求めています。
さらに、安全が確保できる場合には、自宅や知人、親戚宅など避難所以外への避難も検討していただくよう、ホームページやSNSをはじめ様々な方法で広く呼び掛けております。
災害の危険が高まっているときに、県民の皆様が躊躇せず、安全な場所に避難できるよう、市町村とともに取り組んでまいります。
A 関本建二 保健医療部長
コロナ患者の避難先への移送についてでございます。
議員御指摘のとおり、患者の移送は県が行う業務であり、水害対策では48時間前に避難の要否を確認し、宿泊療養施設へ移送いたします。
現在、入院以外の患者は宿泊療養を原則とし、自宅療養は家庭の事情など例外的な措置としています。
自宅療養者には災害に備え、自宅周辺の環境を把握していただき、保健所もハザードマップなどを確認した上で、避難が必要な場合には保健所同士の応援体制を確立し、計画的に宿泊療養施設へ移送して参ります。
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