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掲載日:2023年3月13日
Q 小島信昭 議員(自民)
平成29年10月1日現在の人口10万人当たりの一般病床数は、埼玉県が497.4床で、全国最小、トップの高知県の1,109.8床の半分以下です。埼玉県の第7次地域保健医療計画では、国への協議の結果、1,638床の増床が可能な状況となっています。これが言わば厚生労働省のお墨付きで、この計画がなければ、全く増床はできません。
病床の整備は病院整備計画の公募、各医療圏での地域医療構想調整会議での協議を経て、医療審議会で病床整備方針を整備しています。各医療圏の地域医療構想調整会議の意見を基に、各病院の整備計画の整備を進める、規模を見直す、継続して協議、協議から除外の四つに区分します。整備可能病床数1,638に対し、平成31年2月に整備を進めると区分されたのは僅か227床、継続して協議が1,531床でした。
その後、継続して協議とされたものは、地域医療構想調整会議において改めて協議がなされ、令和元年12月までに1,014床の整備方針が出されました。整備可能病床1,638床に対し、合計で1,241床しか整備されないという状況です。埼玉県における整備可能な病床数があるのですから、それに向けて少しでも増やしてほしいというのは、県民の至極当然な思いであります。
地域医療構想調整会議は関係者20名から30名程度で構成され、地域医療の課題等が議論され、新設病床の病院の役割等を議論、整備しています。しかし、聞くところによると、病院同士の利害関係から排除の議論も多いと聞いております。感情論ではなく、地域に必要な医療を第一として、病床整備が認められている地域に必要な病床を速やかに整備して医療体制を整えるべきだと思いますが、知事の御所見をお伺いいたします。
もちろん病床整備が進んででも、医療スタッフが確保できなければ、県民の安心・安全にはつながりません。知事の公約には、「医師を増やし、県内に安心の医療ネットワークを作ります」とありますが、残念ながら公約には、医師を増やす具体的な施策はありません。本件の平成30年12月31日現在の人口10万人当たりの医師数が169.8人で、引き続き全国最下位です。医師の増加数や増加率は全国でトップクラスだという話はよく伺いますが、医師不足の状況は全く変わりません。
厚生労働省は現在、将来人口を踏まえた医療ニーズに基づき、地域ごと、診療科ごと、入院外来ごとの医師の多寡を統一的、客観的に把握できる医師偏在の度合いを示す新しい指標を明らかにしました。この指標でも、埼玉県は44位と低位に位置付けられました。
知事の工程表を見ると、医師確保、派遣の推進の取組に位置付けられたものは幾つかありますが、新たに取り組むものは令和2年度スタートの後期研修医の県内誘導定着だけです。今までやっていなかったのかと疑問に思いますが、予算編成の中で十分にブラッシュアップされ、新規としてふさわしいものになっていることを期待しています。
医師の研修医制度は、2年間に各診療所を幅広く経験する初期研修と、その後、3から5年程度かけて専門知識を深める後期研修があり、例えば平成29年に初期研修を始めれば、2年後の令和元年から後期研修に入ることになります。本県の平成29年の初期研修受講者は331人、これが令和元年の後期研修受講者になると256人となり、22.7%も減少してしまいました。前年の20.3%より悪化しており、関東1都6県では最も悪い数字であります。
初期研修を埼玉で受講した医師を中心に後期研修受講者を確保し、県内定着につなげていくのかが極めて重要であります。平成30年、通常国会において医療法及び医師法が改正され、県は医師確保計画の策定、医師偏在指標を踏まえた目標医師数の設定などが義務付けられています。
そこで、目標医師数設定の考え方と、目標実現可能な対策について知事に伺います。
県民の安心・安全につながる病床と医師確保でありますが、双方に有効なのが順天堂大学医学部附属病院及び医学系大学院等の整備であります。当初のスケジュールから3年遅れておりますが、2024年開業が見込まれております。私ども自由民主党議員団も、順天堂大学の理事長を訪問し、意見交換をさせていただいております。推進には知事の強いリーダーシップが不可欠だと思いますが、整備に向けた知事の御決意をお伺いいたします。
A 大野元裕 知事
地域に必要な病床の速やかな整備についてでございます。
現在いわゆる「団塊の世代」の全てが75歳以上となる令和7年を見据えて、全ての都道府県が地域医療構想を策定し、将来の医療需要に見合った体制づくりが進められているところです。
本県では、大幅な医療需要の増加と、特に急性期を経過した患者を受け入れる回復期の機能を担う病床の不足が見込まれています。
そこで、第7次地域保健医療計画で増床が可能となった医療圏では、地域の関係者による協議を基に、回復期の病床を中心に整備することで地域の病床のバランスを整えていくことといたしました。
回復期の病院には、急性期の病院と地域のかかりつけ医や介護施設などをつなぐ役割が求められます。
今回整備を進めることとした計画以外には、こうした重要な機能を担うことが期待できる増床計画がありませんでしたので、結果として現在は約400床の病床を整備できる余地があります。
医療圏ごとの整備病床数の上限を定める基準病床数については、令和2年度に見直しを予定していることから、その中でこの400床の活用についても併せて検討をしてまいります。
今後とも、客観的なデータを基に専門的な観点からの協議を地域で重ねながら、限られた医療資源がより効率的に機能するよう、地域の実情に合わせた過不足ない医療提供体制の構築に努めてまいります。
次に、医師確保計画の目標医師数の設定の考え方と目標実現可能な対策についてでございます。
医師確保計画は医療計画の一部として策定するものとされており、今議会に埼玉県地域保健医療計画の一部変更として提案させていただいております。
まず、目標医師数設定の考え方であります。
国との協議を経て、医師確保計画はこれまでの医療計画と整合性を図るため、令和5年度を目標年度として「地域医療構想による医療体制を実現する為に必要な医師を確保する。」という考え方のもと策定したものであります。
また、令和7年を見据えた地域医療構想から、令和5年時点の医療需要を推計し、今後の医師の働き方改革の影響を考慮しつつ、その時点で必要な医師数を目標に設定いたしました。
その結果、医療体制を確保するには、常勤換算で約9,700人の勤務医が必要であると推計いたしました。
平成30年の勤務医師数の暫定値は常勤換算で約8,700人であることから、令和5年度までに約1,000人の医師を増やしていく必要があります。
次に、目標実現可能な対策についてでございます。
病院勤務医師を増やすための対策は、一つ目に、医療計画に基づく病床整備により医療提供の基盤となる医師を増やしてまいります。
二つ目に、埼玉県医学生奨学金により医師を養成し、特定地域や特定診療科の医師確保に努めます。
三つ目に、後期研修医の獲得・定着を進めます。
具体的には新たな取組として、優れた指導環境を整備するため、県外の大学病院から県内病院へ指導医と専門医をチームで派遣していただき、後期研修医を集めます。
また、後期研修医になる方に対する日本最大規模の合同説明会への参加や、後期研修医に対する研修資金の枠を10人に増やすことにより、県内外からの後期研修医の確保に努めてまいります。
これらの施策を推進することで、医師確保計画に設定した必要医師の確保を着実に実現してまいります。
次に、順天堂大学医学部附属病院及び医学系大学院等の整備に向けた決意についてでございます。
順天堂大学附属病院の整備は800の病床、加えて医学系大学院など教育・研究機能も強化され、医療提供体制は量的にも質的にも充実します。
また、誘致の最大の目的である県北地域などへの医師派遣を安定的・継続的に行っていただくことで、医師の地域偏在、診療科偏在の解消を目指します。
私も、就任早々の9月と年明け1月に学校法人順天堂の小川理事長と順天堂大学の新井学長にお会いし、重ねて医師の派遣をお約束いただいたところであります。
さらに、国際的な人材を育成し、高度・先進医療を提供するキャンパスの構想を直接お伺いいたしました。県議会の御尽力により誘致できた800床でございます。
大変大きな事業ではありますが、県民の安心・安全に直接つながる病床の整備と医師の確保をともに、実現してまいる覚悟で臨んでまいります。
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