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掲載日:2022年10月12日
Q 秋山文和 議員(共産党)
見沼代用水が9月4日、世界かんがい施設遺産に登録されました。大変嬉しいニュースです。利根川から取水し、1728年の建設以来、現在まで江戸東京の北部に位置する埼玉県東部の広大な農地に用水を供給する幹線延長約80キロメートルの用水路です。築造から300年を経てコンクリート水路に姿を変えましたが、現在も開削当時と同じ取水地点、路線、自然かんがい方式で県東部から南部の15市2町を流れています。2006年に農林水産省の疎水百選に登録、また、パナマ運河の完成に先立つこと約180年、代用水より3メートル低い芝川と船を通わすために築造された閘門式運河「通船堀」はその歴史的、文化的価値が高いことから、1982年、国指定史跡として登録されています。
埼玉県は、見沼代用水と支川の水路の改修によりできた余剰地を有効利用して、緑のヘルシーロード延長56.5キロメートル、水と緑のふれあいロード延長42キロメートルをサイクリングや散策が楽しめる自転車・歩行者用道路として整備しました。それぞれ平成2年と12年の完成ですから、20年から30年経過しています。
先日、蓮田市民から市内のヘルシーロードが暗いので街灯をつけてほしいとの要望があり、調査をしました。その上で所管する春日部農林振興センターを訪ねたところ、いささか驚きました。街灯設置予算どころか年々維持管理費が減らされて、少なくとも年2回必要な周辺の草刈り予算が足らないために、不足部分について春日部農林振興センター職員が自ら草刈りを行っている。このほか案内板、地先境界ブロック、インターロッキング等の破損修理もままならないということでした。
大野知事に伺います。改めて世界かんがい施設遺産に登録されたことを機に、見沼代用水とその支川の水路、周辺の貴重な緑と農地を埼玉県の誇るべき財産として県内外と世界にアピールし、農業の振興はもとより地域の資源としても活用する構想を是非持つべきだと思いますが、いかがでしょうか。お答えいただきたいと思います。
また、農林部長に伺います。県民の健康増進とやすらぎを目的に整備した二つのロードを良好な状態で維持管理すること、都市化に伴う時代の変化に応じて街灯設置などの安全対策を講じることを求めたいと思います。さらに、水路そのものの維持管理は、所有者である独立行政法人水資源機構と見沼代用水土地改良区が第一義的には行うものと考えますが、流域の農家の減少、特に流末地域では農地が工場や宅地に変わり、農業用水供給の役割を終えたところがあり、このような水路を含め遺産登録に恥じない維持管理のために、県としてどう進めていくのか、お答えいただきたいと思います。
A 大野元裕 知事
見沼代用水は、本年9月4日に、本県で初めて国際かんがい排水委員会から世界かんがい施設遺産として、認定・登録をされました。
行田市から草加市までの17市町の区間約80キロメートルに及ぶ見沼代用水は、本県のみならず日本を代表する長大な用水路であります。
私の生まれ育った川口市にも流れており、見沼代用水周辺は幼い頃から慣れ親しんだ風景の一つとなっています。
9月24日には、見沼代用水土地改良区の正能輝夫理事長が、インドネシアで行われた表彰式の模様などの報告のため、お越しになられました。
その歴史的・文化的価値が国内外に認められ、世界かんがい施設遺産として登録されたことを、私も誠に誇りと思い、お祝いをさせていただいたところでございます。
議員お話しのとおり、今回の登録は見沼代用水の魅力を発信する絶好の機会です。
今回の登録をきっかけとして、今後は土地改良区と協力をしながら、SNSや動画投稿サイトを活用し、多言語で広く情報発信するなど、内外にアピールするための取組を進めてまいります。
また、見沼代用水は利根大堰や桜回廊、見沼通船堀など、豊富な地域資源を有しています。
これまでも、こうした施設や景観を活用し、見沼通船堀に木製の船を浮かべ、水門を操作して船を運航する様子を再現した「見沼通船堀実演会」やウォーキングイベントなどが行われています。
さらに、埼玉高速鉄道株式会社でも、見沼たんぼを重要な観光資源と捉え「ナチュラル・グリーンパーク見沼たんぼ」と題し、ウォーキングなどを通して乗降客の拡大と地域振興を図る様々なイベントを展開する動きが始まっています。
今後は、農業関係者の意見を伺いながら、市町村や関係団体などとしっかりと連携を図り、豊富な地域資源を活用した地域振興を進めてまいります。
A 牧 千瑞 農林部長
まず、「県民の健康増進と安らぎを目的に整備した二つのロードの良好な維持管理と、時代の変化に応じた街灯設置などの安全対策について」でございます。
県では、緑のヘルシーロード及び水と緑のふれあいロードの二つのロードについて、安全対策の観点を踏まえながら、その維持管理に努めているところです。
具体的には、利用者の方々が快適に歩行や自転車での走行ができるよう、転落防止柵や舗装などの状況を点検し、必要に応じて補修を行っています。
あわせて、県の管理している全線にわたって、雑草の刈り払いなども行っています。
一方街灯については、その設置を望む市町が、水路管理者である独立行政法人水資源機構や見沼代用水土地改良区と協議の上、設置をしています。
県といたしましては、現場での要望を汲み取りながら、関係者の間の協議などが円滑に進むよう側面より支援を行っています。
このように二つのロードの維持管理については現場の状況などを踏まえながら、引き続き必要な対応を行ってまいります。
次に、「遺産登録に恥じない維持管理について」でございます。
水資源機構や土地改良区は、水路施設の適切な維持管理を行い、地域農業を支えています。
議員お話しのとおり、流末の県南地域では、水田が宅地化され農地が減少しております。
しかしながら、農地のある限り農業用水を円滑に供給する必要があり、そのためには、水路の適正な管理が必要です。
そこで県では、末端の農家の方々に不利益が生じないよう、水路の補修などにおいて管理者である土地改良区を支援しているところです。
併せて、今回の世界かんがい施設遺産の登録を一つの契機として、都市住民の皆様においても見沼代用水を地域の財産として大切にしていただけるよう気運の醸成に努めてまいります。
今後、関係市町とより一層の連携を図りながら見沼代用水の適切な維持管理に向け支援を進めてまいります。
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